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博士(歯学)北川栄二 学位論文題名

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(1)

     博士(歯学)北川栄二 学位論文題名

フェ リプレッシンの心機能に及ぼす影響に関する研究      ― 非 虚 血 心 お よ び 虚 血 心 で の 検 討 一

学位論文内容の要旨

緒言

  

.附科川J 耐所麻酢薬に添カ‖される各櫛.I[IL/i:rj: 亅l 乂fci 薬の術環動態に及ば す 影 嚮 に

I

刈 し て , カ テ コ ラ ミ ン 類 に つ い て は 郷

/

検 討 が カ ‖ え ら れ て き た. す なわ ち ,ア ド レナ リ ンは ,

IflIEI

三や ´ 心拍 数 な どの み かけ の変 化 以 上 に 心 筋 収 縮 カ や 心

lltl ii

t

風 を 上 昇 さ せ る こ と か ら , ま た ノル ア ドレナリンは,.|rllEI !を辧しく亅二ウ|させ' 心:機fj 匕に飴蚕むをかけることか ら , と も に 心 筋 職 索 消 貲 ゴ

it

を 亢 逆 さ せ る . ま た , い ず れ も 不 髏 脈 誘 発

ll1

ミ が あ る こ と , 心 臓 の 予

'Oiii

能 カ が 低 下 し た 心 省 に 不 川 意 に 投与 す る と, 合

t)j:lli.i

発 症の 危 険セ

l

ミ があ る こと が 指摘 さ れて い る. し かし , フ ェリ プ レッ シ ンに 惻 して は ,ぢ ↓ 羽. : カコ

1

ラ ミン 對

i

t

司様 に

I'I

常の

. 歯 科 臨 床 で 広 く

nJ

い ら れ て い る に も か か わ ら ず , 十 分 な 検 討 が な さ

れ て い る と は

ff

い 嫐 い . す な わ ち , フ ェ リ プ レ ッ シ ン は そ の 榊 造 が

對i 似している バソプレッ シンと同様のイ′

l

!川を有し,亅fl 【EI ニ上歩や冠勁

脈 の 収 縮 を 招 く と さ れ て い る が , こ れ ら は 臨 床 他 川 風 の

10

100

以 上 の 大 鍬 投 与 下 で の 変 化 を み た も の で あ る . 現 在 , 臨 床 的 投 与 釁

の フ ェ リ プ レ ッ シ ン が 循 環 に 及 ば す ぇ 髟 騨 に つ い て の 報 告 は 少 な く ,

特 に 心 機 能 に 及 ば す 影 孵 に つ い て の 研 究 は , 著 省 が 渉 獅

I

し た 範 川 で

は 見 当 た ら な か っ た . し か し , 一 方 で , フ ェ リ プ レ ッ シ ン 添 加

1

局 所

麻 酢 薬 は , と り わ け 循 環 器 炊 心 を 布 す る 伽 科 心 者 を | .

ll

心 と し て , カ

テ こ1 ラ ミン 對 !の 刪 們! 川 を避 け る1 :

I

的でよく 川いられて いる.した がっ

(2)

て , こ の よ う に 米 だ 不 Iリ 亅 な 点 が 多 い フ ェ リ ブ レ ッ シ ン の 心 機 能 に 及 ば す 影 響 を よ り i'(igflllに 検 討 し て お く こ と は , 靦 袖 ! , 歯 科 麻 酔 毎i域 で の亜要な課題のーっと思われる・

  そ こ で 著 者 は , ま ず , 実 験1と し て ヨ1: ム 舷 .IflL心 を 対 象 に フ ェ リ プ レ ッ シンが心機能に及ばす.j影驛を械察した.次いで,災験2として冠動

脈の‑‑..播15を狄ットした急1−:.心筋艦.lfIIモデルを作製し,J丶:v.ltIL甜i域とゴl:A{ur .I(IL Ti域 で の フ ェ リ プ レ ッ シ ン の 竹 ! 川 の 期1述 に つ い て 蝕 察 し , フ ェ リ プ レ ッ シ ン が 艦 , lflt心 の 心 機 能 に 及 ば す 錨 う キ 響 に つ(、 て 検 討 し た .

実験1‑非虚JflL心 に 対す る フ ェ リプ レ ッ シン の 形 響

  方 法 : 対 象 は 体 亜 7〜 12kgの ビ ー グ ル 火 | 離 雄 6珂 1と し , Iン レ タ ン と ク 口 、 ラ 口 ー ス の 持 絖 静 脈 内 投 与 に よ り 麻 酔 を 維 持 し た . 術 環 動 態 の 安 定 を 確 認 後 , フ ェ リ プ レ ッ シ ン を O. 05, 0. 10, 0. 20, 0. 40mlU/

kg/minの 持 続 瀞 は 述 J叟 で そ れ ぞ れ 30分 I; | | J投 与 し , 術 環 諸 指 機 の 変 化 を 械 察 し た . す ナ ょ わ ち . 循 環 , 心 機 能 を ミ ・ I浮 価 す る た め に , 心 拍 数 , 前 負 荷 と し て 肺 動 脈 楔 入 爪 , 心 収 縮 ヤ1: . と し て 撮 火 ガ 竃JIミ 一 次 微 分1爪 , 後 負 荷 と し てJfIL圧 お よ び 体 . |fII管 抵 抗 係 数 , ,IfIL液 蝋iI.j能 と して 左 室tIニ 亊 量 係 数 お よ び 心 係 数 を 測 定 し た . ま た 心 筋 殿 索 消 費 ! itは RaLc PrcssIlrcrr刪 uct( RPP) で , 心 筋 酸 索 需 珱 の 増 減 は 冠 動 脈 . |fII弼t風 お よび 同 所心筋翁 【織,IfIt瀦ti式で ,心筋艦 ,IfIIの有ml.E、 は艦,lflLの鋭敏な 指樔で ある 局 所 心筋 短 縮 氷( % 黙 )を ねl|J定 し 諍FfI‖iし た .

  結 采 : ー フ ェ リ プ レ ッ シ ン 投 与 に よ っ て 有 意 な 変 化 を 認 め た 循 環 指 標 は , .M」 ! お よ び 体 ,lflI竹 抵 抗 係 数 の 亅 . ・ .外 , 心jl:1数の 低 下 , 撤人 ム 室 LT: 一 次 微 分 値 の 低 下 , 心 係 数 の 低 下 で あ っ た . ま た , 左 室 仕 司 i盈 係 数 に は 有 意 な 変 化 は な く , 肺 動 脈 楔 入 圧 に は 上 昇 傾 向 が 認 め ら れ た が 有 意 差 は な か っ た . 一 方 , % 終 に は 変 化 が な か っ た が , RPP, 冠 動 脈 .lfll流 盈 お よ び 局 所 心 筋 翁 | 織 ,IfIl弼t!i, ( は 同 窰a度 に 低 下 し た ・   考 察 : ( 1) fII圧 と 体 . IfIL管 抵 抗 係 数 の 上 昇 は , フ ェ リ プ レ ッ シ ン に よ る . |fIL管 ユ 1え 滑 筋 の 収 縮 に よ る も の と 考 え ら れ た . ま たJ司 所 心 筋 糾 織

.lflL弼t凧 お よ び 冠 動 脈 .lfI【 流 風 も 減 少 を 認 め た こ と か ら , フ ェ リ プ レ ッ シ ン の ,Iflt管 収 縮 竹 ! 川 は , 体 ,IfIt僻 の み で な く 冠 動 脈 に も 竹 ! 川 す る こ と

(3)

が 示 唆 さ れ た . さ ら に , 心 拍 数 の 低 下 は .1觚 圧 上 昇 に 対 す る 圧 受 容 体 の 作 用 に よ る も の で , 心 収 縮 性 と 心 係 数 の 低 下Iま , 冠 .lfIl流 量 の 減 少 に よ る も の と 考 え ら れ た . こ れ ら の こ と か ら , フ ェ リ プ レ ッ シ ン が 心 機 能 に 及 ぼ す 影 嚮 を 諍lえ 釦rlす る と , 前 負 荷 に 上 昇 傾 |fロ が あ る に も か か わ ら ず , . | 觚 液 蜊tu能 は 低 下 あ る い は 変 化 が なく , 心 収 縮 ゼl: . が 低 下 し た こと から ,フ ェリ プレ ッシン によ って ´心 機fiiJはJfI亅'; l,Uさ れた とし 、 える.(2)フェリプレッシン投与によって,冠.|fII弼i:轟|(I轟低ー1;.したが,

R即 も iI窰I! 艘 に 減 少 し た こ と か ら , 心 筋 の 職 索7x,lliお よ び 職 索 りt給 のlil・ |j者 も 同楢I. . 度 に 減 少 し た と い える . ま た , %SSに 変化 がな かっ た こ と か ら も 心 筋 に 雌 .Ifltセl: . の 変 化 は 劉 ! じ な か っ た と 考 え ら れ た .   こ れ ら の こ と か ら , フェ リ プ レ ッ シ ン は 少 姦iで も´ 心 機fj亀 を 扣JfIi0し , 織 . |fIt泓i! 訣を 減 少 さ せ る 作J. |jを有 する が, その変 化は 心筋 の髄 索需 給 バ ラ ン ス を jめ す ほ ど の 潸 し い も の で は な い こ と が fリ 】 ら か に な っ た .   以 上の 翁!i来か ら, 冠.lfll弼i!式が低下した状態に ̄あるム舷,m心に及ばす フ ェ リ プ レ ッ シ ン の 影 響 に つ い て も 検 討 す る 必 要 が あ る と 心 わ れ た ・ そ こ で , 冠 動 脈 ー ・ 枝 を 狄 窄 し た パ ま .fl心 モ デ ルを 作 製 し , 虚Jflい 心 の 心 機 能 に 対 す る フ .T. リ プ レ ッ シ ン の ぇ ミ 彡 鰐 に つ いて りJら か に す る1;1的 で 尖験2を行った・

実験2虚.乢c、に対するフェリプレッシンの影鰐

  方 法 : 体 亜7〜 20kgの ビ ー グ ル 犬 雌 雄 6頭 を 実 験 対 象 と し た . 麻 酔 ガ法 ,循 環淅 擶樔 の測 定は 災験1とtld様 に才rった .r,li'.lfIL,ci,は, .IrII竹 狄 即 器 で 左 冠 勁 脈 nllluL bk(LCX)を 狄 礑 し て 作 製 し た . LCX狄 窄 に よ っ て , 他 淵 がl睹 赤 色 を 呈 し たI艫 . |fll領 域 と , 色 淵 の 変 化 を 認 め な か っ た ガ 冠 動 脈 萄 ぴ 下 行 枝 (1,AD)の)IEI,lr'.ltIL領 域 に, それ ぞれ 水索 クリ アラ ン スマ瞳概とー・対の趨音波クリスタルを刺入し,J耐所心j'r7i7t:l.L織.I(ILl)Llj:l;tと 96SSを糾察した.LCXの狄窄は,I」CX.lfILLjjj{ikが対J駁値より5096麓ト|.度減少 す る の をI三I概 に 行 い , 術 環 動 態 が 安 定 し た | 時 ∴ 慧 で あ ら た め て 狄 窄 | 蜉 の 災 測 値 を 測 定 し た . そ の 後 , 実 験 1と 同 様 に フ ェ リ プ レ ッ シ ン を 投与し測定他を得た.

  剰i栄 : (1) ま ず ,LCXの 狄 窄 に よ っ て ,I,CX.lfll流 釁お よび1ーCX領域 局

(4)

所 心7fji9f.It織llflLbllifl: (lIBFi.cx) は 有 意 に 減 少し た が ,LAD何i域J司 所心 筋 tfl:L織itit瀦i盈 (MBFlI・Al ) に は 有 意 な 変 化 は 認め ら れ なか っ た .ま た ,JJ|b 動 脈 楔 入 圧 が ー I二 昇 し , 撮 大 左 室 圧 一 次 微 分 他 が 減 少 し た が , 他 の 指 樔には有意差が認められなかった.(2)フェリプレッシン投与後,

対j駁1・IAと の1; | |jに 有 意 差 を 認 め た の は , 心 拍 数 の 減 少 , 体 . | 觚 管 抵 抗 係 数 の 上W, 搬 火 左 塗J三11. ・ ・ 一 次 微 分 似 の 減 少 ,nIb動脈 楔 入f.l! のー1ニ 昇, 左 糸 fI: 3jf: jitイ 系 数 の 減 少 , 心 係 数 の 減 少 で あ っ た . す な わ ち , 尖 験 1の ゴ|!ム舷llfIl心での糸I|i氷と典なり,j|え均.lrItJ:rミにイr意な亅ニ昇が認められず,

JJlU動 脈 楔 入 仁 Eと 左 室 f: Hf盈 係 数 に 有 意 な 変 化 が 認 め ら れ た . ま た , MBFl. ^1, は フ ェ リ プ レ ッ シ ン 投 与 に よ っ て 減 少 し た が ,MBF| .cxとLCX JfIt流 量 は 狄 窄 1時 と 比 較 し て 変 化 が な か っ た . さ ら に , XsSは L^ D領 域 で減少したが,LCX領域では逆に増カ‖した.

  考察:(1)艦,f心では,フェリプレッシン投与により,前負荷の

譜 | リJな 上0fを 認 め た も の の , 亅fIL液蝌 ; . |.t能 と 心収 縮 悩 :. が 著 しく 低 下 し た.したがって,冠動脈狄礑で低下した心機能はフェリプレッシン

投 与 に よ っ て さ ら に 顕 蕃 に 抑 制 さ れ た と い え る . ( 2) % 黙 の 変 化 だ け か ら み る と , フ ェ リ プ レ ッ シ ン に よ っ て 虚 .IrIt領 域 の 艦 .IfIIが 改 蒋 さ れ , 非 虚 . lfIt領 域 に 虚 血 が 坐 じ た こ と に な る が , % ssは 心 収 縮 性 や 局 所 後 負荷の影孵を受けること,さらに,フェリプレッシンによって心機

能が抑制されたことを考慮に入れる必要がある.すなわち,ミ熾|f

領 域 の .ml流 盈 や 心 収 縮 倒 . : の 低 下 に よ っ て , 熾 | 觚 領 域 に か か る 負 荷 が 減 少 し た た め , ふ 艫 . lfll毎 f域 の % 黙 の 改 蕃 が シ 占 か け 上 蝕 察 さ れ た も の と 考 え ら れ る . 逆 に , ゴ1! 艦 jfIl領 域 は 自 身 の 心 収 縮 セ1ミ が 低 下 し た に も か か わ ら ず , 虚 .lfII領 域 の 心 収 縮 性 が 変 化 し な か っ た た め に , 椚 三l対 的 に 負荷が増大レ,%然が下降したものと考えられる.したがって,フェ

リ ブ レ ッ シ ン は , 艦 JfIt心 全 体 の 心 機 能 を 抑 制 す る が , 領 域 う 晒 に み る と ゴ | ! ム 艫 亅 flL何 i域 は 虚 ,lfIt毎i域 よ り 強 く 抑 制 さ れ る と 考 え ら れ た ・

羸!i ミ・砥

   以上のことから,ゴI !虚.IfIL 心に対してフェリプレッシンは比較的少

量でも心機能を抑制し, 7 | f ル流鑓を減少させるが,心筋の職索需給

(5)

バ ラ ン ス に は ほ ば 彫 瓣 を . 与 え な い こ と がIリ 亅 ら か に な っ た . ま たAiVv.ltIL

´心に災fしてフェリプレッシンは,Alir.lfIl何!域よルゴ|!ム綾.lflL甜!域を磁iく抑 制 し , 非 虚 血 心 に 比 べ て 心 機 能 を 顕 著 に 低 下 さ せ る こ と が 明 ら か に なった.

(6)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主 査

副 査 副 査

教 授 教 授 教 授

福 島 松 本 亀 田

和昭     コ6     一早・

和夫

     学 位 論 文 題 名

フ ェ リ プ レ ヅ シ ン の 心 機 能 に 及 ぽ す 影 響 に 関 す る 研 究      ー 非 虚 血 心 お よ び 虚 血 心 で の 検 討 一

   本 論文の審査は,審査 担当者が一堂に会 して,口頭試問にて行っ た.まず,学位申請者に対レて研究の概要についての説明を求めた・

   フェ リプ レ ッシ ンが 添 加さ れた 局 所麻 酔薬は,とりわけ 循環器疾 患 を有 す る歯 科患 者 を中 心と し て, カテ コラミン類の 副作用を避け る目 的でよく用いられて いる.しかし,臨床的投与量のフェリプレッ シ ンが 循 環に 及ば す 影響 につ い ての 報告 は少なく,符 に心機能に及 ば す影 響 にっ いて の 研究 は見 当 たら ない .そこで著者 は,まず,実 験 1 と し て 非虚 血心 を 対象 にフ ェ リプ レッ シ ンが 心機 能 に及 ばす 影 響 を 観 察 した . 次い で, 実 験2 と して 冠動 脈 の一 部を 狭 窄し た急 性 心 筋虚 血 モデ ルを 作 製し ,虚 血 領域 と非 虚血領域での フェリプレッ シ ンの 作 用の 相違 に つい て観 察 し, フェ リプレッシン が虚血心の心 機能 に及ばす影響にっい て検討した・

実 験 1 ー 非 虚 血 心 に 対 す る フ ェ リ プ レ ッ シ ン の 影 響

   方法:対 象は体重7 〜 12kg のビ ーグル犬雌雄 6 頭とレた.フェリプ

レッシンを0 . 05 ,0 .10 ,0 .20 ,0 .40mIU/kg/min の持続静注速度で

それぞ れ 30 分間投与し,心拍数 ,肺動脈楔入圧, 最大左室圧一次微

分値, 血圧および体血管抵 抗係数,左室仕事 量係数および心係数,

(7)

Rate Pressurc Product(RPP) ,冠動脈 血流量および局所心筋組織血 流量,局所心筋短縮率(96SS) の変化を観察した.

   結 果: フェ リ プレッシ ン投与によってイr 意な変化を 認めた循環 指標は,血圧およ び体血管抵抗係数 の上昇,心拍数の低下,最大左 室圧一次微分値の 低下,心係数の低 下であった.また,左室仕事盈 係数には有意な変化はなく,肺動脈楔入圧に1 まーヒ昇傾向が認められ たが有意差はなかった.一方,%SS には変化がなかったが,RPP ,冠 動 脈 血 流 量 お よ び 局 所 心 筋 組 織 血 流 量 は 同 程 度 に 低 下 し た ・    考察:( l)itiL 圧と体血管抵抗係数の上昇は,フェリプレッシンに よる血管平滑筋の 収縮によるものと 考えられた.また局所心筋組織 血流量および冠動 脈血流量も減少を 認めたことから,フェリプレッ シンの血管収縮作 用は,体血管のみ でなく冠動脈にも作用すること が示唆された.さ らに,心拍数の低 下は血圧上昇に対する圧受容体 の作用によるもので,心収縮性と心係数の低下j ま,冠血流量の減少 によるものと考え られた.これらの ことから,フェリプレッシンが 心機能に及ばす影 響を評価すると, 前負荷に上昇傾向があるにもか かわらず,血液駆 出能は低下あるい は変化がなく,心収縮性が低下 したことから,.フェリプレッシンによって心機能は抑制されたとい える.(2 )フェリプレッシン投与によって,冠血流量は低下したが,

RPP も同 程度 に 減少 したことから,心 筋の酸素需要およ び酸素供給 の両者も同程度に 減少したといえる .また,% sS に変化がなかった こ と か ら も 心 筋 に 虚 血 性 の 変 化 は 生 じ な か っ た と 考 え ら れ た ・    以 上の結果から,虚 血心に及ばすフェ リプレッシンの影響につい て も 明 ら か に す る 必 要 が あ る と 思 わ れ , 実 験 2 を 行 づ た ・

実験2 虚 血心に対するフェ リプレッシンの影響

   方法:体重7 〜 20kg のビーグル犬雌雄 6 頭を実験対象とした.麻酔

方法 , 循環 諸指標の測定は 実験1 と同 様に行った.虚血心 は,血管

狄窄器で左冠動脈回旋枝(LCX )を狄窄して作製レた.LCX 狄窄によっ

て,色調が暗赤 色を呈した虚血領 域と,色調の変化を認めなかった

左冠 動 脈前 下行枝 (LAD) の非 虚血領域に,それ ぞれ水素クリアラン

(8)

ス 電 極 と 一 対 の 超 音 波 ク リ ス タ ル を 刺 入 し , 局 所 心 筋 組 織 血 流 量 と 96SS を 観察 し た. LCX の 狭 窄は , LCX 血 流 量が 対照 値 より 5096 程度 滅 少 す る の を 目 標 に 行 い , 循 環 動 態 が 安 定 し た 時 点 で あ ら た め て 狄 窄 時 の 実 測 値 を 測 定 し た . そ の 後 , 実 験 1 と 同 様 に フ ェ リ プ レ ッ シ ン を 投与し測定値を得た・

   結米:(1 )まず, LCX の狄窄によって,LCX.I(ILjt;jjLk およびLCX 領域局 所 心 筋 組 織 血 流 量 (MBF . cx ) は 有 意 に 滅少 し たが , LAD 領 域 局所 心筋 組 織血流量(IIBF .^ n )には有意な 変化は認められ なかった.ま た,肺 動 脈 楔 入 圧 が 上 昇 し , 皺 大 左 室 圧 一 次 微 分 値 が 減 少 し た が , 他 の 指 標 に は 有 意 差 が 認 め ら れ な か っ た . (2) フ ェ リ プ レ ッ シ ン 投 与 後 , 対 照 値 と の 間 に 有 意 差 を 認 め た の は , 心 拍 数 の 減 少 , 体 血 管 抵 抗 係 数 の 上 昇 , 最 大 左 室 圧 一 次 微 分 値 の 減 少 , 肺 動 脈 楔 入 圧 の 上 昇 , 左 室 仕 事 量 係 数 の 減 少 , 心 係 数 の 減 少 で あ っ た . す な わ ち , 実 験 1 の 非 虚 血 心 で の 結 果 と 異 な り , 平 均 血 圧 に 有 意 な 上 昇 が 認 め ら れ ず , 肺 動 脈 楔 入 圧 と 左 室 仕 事 量 係 数 に 有 意 な 変 化 が 認 め ら れ た . ま た , IIBFLAD はフ ェ リプ レッ シ ン投 与 によ っ て減 少し た が, lfBF ・cx と LCX

. 血流 量 は狄 窄 時と 比 較し て 変化 がな かった.さら に,96SS はLAD 領域 で減少したが,LCX 領域では逆に増加レた・

   考 察 : ( 1 ) 虚 血 心 で は , フ ェ リ プ レッ シ ン投 与 によ り ,前 負 荷の

著 明 な 上 昇 を 認 め た も の の , 血 液 駆 出 能 と 心 収 縮 性 が 著 し く 低 下 し

た . し た が っ て , 冠 動 脈 狭 窄 で 低 下 し た 心 機 能 は フ ェ リ プ レ ッ シ ン

投 与 に よ っ て さ ら に 顕 著 に 抑 制 さ れ た と い え る . (2) 非 虚 血 領 域 の

血 流 量 や 心 収 縮 性 の 低 下 に よ っ て , 虚 血 領 域 に か か る 負 荷 が 減 少 し

た た め , 虚 血 領 域 の 96SS の 改 善 が 見 か け 上 観 察 さ れ た も の と 考 え ら

れ る . 逆 に , 非 虚 血 領 域 は 白 身 の 心 収 縮 性 が 低 下 し た に も か か わ ら

ず , 虚 血 領 域 の 心 収 縮 性 が 変 化 し な か っ た た め に , 相 対 的 に 負 荷 が

増 大 し , 96SS が 下 降 し た も の と 考 え ら れ る . し た が っ て , フ ェ リ プ

レ ッシ ン は, 虚 ,乢 心 全体 の 心機 能を 抑 制す る が, 領 域毎 にみ る と非

虚 血 領 域 は 虚 血 領 域 よ り 強 く 抑 制 さ れ る と 考 え ら れ た .

(9)

結論

   以上の ことか ら,非虚血心に対してフェリプレッシンは比較的少 量 でも心 機能を 抑制レ,冠血流量を滅少させるが,心筋の酸素需給 / ヾランスにはほば影響を与えないことがfJ らかになった.またふ巌.dLL 心に対してフェリプレッシンは,虚JflL{ 域より非虚JfIL 領域を強く抑 制し,非虚血心に比べて´心機能を顕著に低下させることが明らかに なった.

   以上 のよう な概 要説明 がなさ れた後,審査担当者より研究内容お よびその関連事項,・すなわち各循環指標の変動の意味と相互関迎性,

心機能 の評価 ,麻 酔維持 に用い た薬物や呼吸調節などの実験条件,

虚血心 の代謝 ,フ ェリプ レッシ ンとバソプレッシンとの相違,カテ コラミ ン類と の比 較,フ ェリプ レッシンの歯科用局所麻酔薬の血管 収縮薬 として の適 切性な どに関 して,種々の試問がなされた.学位 申請者は,これら質疑に対して明快かつ適切な説明をもって回答し,

本研究 に関す る領 域はも ちろん のこと,専門および関連領域につい

て も 十 分 な 学 識 と 理 解 を 有 し て い る こ と が 認 め ら れ た .

   本研究は,フ.エリプレッシンの心機能に及ぼす詳細な影驚および

その機 序につ いて 総合的 な検討 がなされており,今後の進展性につ

い て も , 多 く の 新 た な 研 究 課 題 が 明 ら か に さ れ た .

   以上 より, 審査 担当者 は全員 ,本研究論文が学位論文として十分

値 し, 本 学 位 申 請者 が 歯 学 博 士の 学 位 授 与に値 すると 認定し た.

参照

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