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博士(歯学)長谷川智一 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(歯学)長谷川智一 学位論文題名

骨髄問質細胞の骨芽細胞への分化に対する      細 胞 外 マ ト リ ッ ク ス の 影 響

The Effect of the Extracellular Matrix on Differentiation     of Bone Marrow Stromal Cells into Osteoblasts

学位論文内容の要旨

【目的】細胞の分化は、種々の成長因子ぱかりでなく細胞外マ卜リックスの影 響も受けることが、近年明らかとなった。.細胞外マ卜リックスはコラーゲンを 主成分としているが、骨芽細胞の分化誘導とどのような関わりを持っているの かは不明である。そこで今回骨髄間質細胞(骨髄細胞)を用い、各種形状のコ ラーゲンが骨芽細胞の分化にどのように影響するかを調ベ、細胞外マトリック ス と 細 胞 分 化 の 間 に は ど の よ う に 関 わ り が あ る か を 検 討 し た 。

【材料と方法】雄Wistar 系ラット6 −8 週齢を屠殺後、無菌的に大腿骨を採取、

可及的に軟組織を除去後、骨端を分離した。骨髄腔を培養液で洗浄後、骨髄細 胞 を採 取し、培養に用いた。培地は Q ー MEM に 152;FCS 、抗生物質を加えたもの

(以下S ヒ.  Mem. とする)を使用した。骨髄細胞はT 一25 flask 内で培地を一日お きに交換しながらコンフルエン卜まで培養した。浮遊細胞を可及的に除去後、

付着細胞を継代し、 5 .6  x10 ゜個/cm に細胞数を調製して実験に供した。この 際 通常 のディッシュで培地にSt. Mem. を用いたものを negative control , St.

Mem. に10 ‑ 。M dexamethasone(DEX) およ乙FlOmM 口一glycerophosphate (ローGP) を 加えたものをpositive control とした。

   細胞 は細 菌培養 用デ ィッ シュに I 型コ ラ―グ ング ル( 高研、 PC 、 グル濃度 0.1LV ,0 .  3% .0.5 覧)をコー卜したディッシュ、I 型コラーグンコ ‑ 卜ディッシ ユ.、そして細菌培養用ディッシュにIV 型コラーゲン(高研、ゲル濃度0 .3 名)を コ―卜したディッシュ上で培養した。培地としては St . hlem. に3mM 口一GP を加 えたものを使用した。   ゛

   位相差顕徽鏡による経時的形態観察、培養終了後の光学顕微鏡、透過型電子 顕微鏡による形態学的観察および生化学的分析により、骨芽細胞への分化の程 度を検討した。

【結果】ラット骨髄より骨髄細胞を採取レ、通法に従い培養すると線維芽細胞

の形態を示しながら増殖し、コンフルエン卜に達した。その後浮遊細胞を除去

し、継代したものを骨髄細胞として使用した。コラーグングル上で培養した場

合、骨髄細胞はコンフルエントに達した後、形態を多角形で敷石上に変化させ

た 。そ の後 も細胞 は緩 やか に増殖 を続 け、 培養 開始後 約2 週間 で結 節を形成

し、結節内部に不透過像を形成した。この不透過結節は経時的に拡大し、さら

に 培養 開始後4 週間で不透過部位が融合し、さらに大きな不透過結節を形成し

(2)

た。この不 透過結節はVon Kossa染色で 黒褐色を呈し、石灰化組織であること が明らかとなった。なお他の培養条件下では線維芽細胞の形態を保持し 結節の 形成は認められなかった。  ・

  この石灰化 組織が骨様組織であるか否かを検討するため、光学ならびに電子 顕微鏡によ る観察を行った。石灰化結節部では細胞がグル内に侵入し、細胞は 三次元的に 配列していた。そして電子顕微鏡による観察から、盛んにコラ―グ ンを合成し ているのが認められた。さらに細胞外マ卜リックス中には内部に針 状結晶を伴 った二重膜構造を示す基質小胞様の構造物、コラーグン線維上への 針状結晶の 沈着が認められた。このことは、コラ―ゲングル上で培養された細 胞は生体内における初期石灰化の過程をたどっていることを示す、ものである。

なお石灰化 結節部の細胞を観察すると、細胞質に眉板構造をしめす豊富な粗面 小胞体が認 められ、その間にはミ卜コンドリアが散在していた。ゴルジ体は核 の近傍に存 在し、夕ンパク合成が盛んであることがうかがわれた。微量元素分 析法より石 灰化結節部 の結晶を分 析すると、CaとPが多量に検出され、ヒドロ キシアパタイ卜と推定された。  .

  さらに結節 中に存在する細胞が骨芽細胞であるかどうか、また細胞外マ卜リ ックスによ り細胞の形質発現がどのように変化するかを、骨芽細胞の形質であ るアルカリ フォスファ ターゼ(ALP)活性、オス テオカルシン量を定量すること で検討した。

  I型コ ラーグング ル上で培養 した場合、ALP活性 は経時的に 増加し、骨 芽細 胞の形質を 発現してい ることが明 らかとなっ た。細胞の増殖をDNA量の変化に て分析を 行ったとこ ろ、コラ― グングル上 でのDNA量 の変化は揺 種後3週目ま で経 時 的に 増 加し 、 その 後 増加 は 認められな かった。同 時にALP活 性が上昇 し、細胞増殖が停止すると形質発現の増加が認められた。

  骨髄細胞 はin vitroにおいて10 ‑。M DEXおよびlOmMp−GP存在 化で骨芽細 胞に分化し 骨様組織を形成することが報告されており、オステオカルシンの産 生が認めら れた。コラ ーゲングル 上で培養し た場合でも培養開始後3週よルオ ステオカル シンの産生 が認められ 、DEX投与 骨髄細胞と同様、コラ―ゲングル 上 で 骨 髄 細 胞 は 骨 芽 細 胞 に 分 化 し て い る こ と が 明 ・ ら か と な っ た 。   I型コラ ーグングル 濃度が骨芽 細胞への分 化にどのような形響があるかを検 討するため、0.lX,0.3X,0.5鸞濃度のグル上で骨髄細胞を培養した。骨芽細胞へ の分化能は ゲル濃度が 高いものほ ど高い傾向 を示したが、ALP活性、オステオ カルシンの産生に有意な差は認められなかった。

.コラーゲンの性状および種類が骨芽細胞の分化にどのような棗彡響を与えるか を検討する ため、I型コラーグ ンコートデ ィッシュ、細菌培養用ディッシュに r型コラ ーグンをコ ―卜したデ ィッシュ上 で骨髄細胞を培養した。両ディッシ ユい ず れの 場 合で もALP活 性、 オ ステオカル シンの産生 はほとんど 検出され ず、骨芽細 胞の分化は 認められな かった。し かレDNA量はconヒrol群、グル上 培養群と比 較して高い値を示し、分化は促進しないが増殖を促進レていること が考えられた。

【考察】骨 髄細胞をI型コラー ゲングル上 で培養すると骨芽細胞に分化し、骨 様組織を 形成するこ とを明らか にした。し かしI型コラ―グ ンコ‑卜 ディッシ ユ、IV型コラ ーグンをコ一卜したディッシュ上で培養した場合骨芽細胞の分化 は認められ ず、このこ とからI型コラーグ ンとの接触のみでは効果を持たない こ と 、 ま た コ ラ ー グ ン の 効 果 はI型 に 特 異 的 で あ る こ と が 示 さ れ た 。

(3)

  I 型コラーゲングルによる分化誘導の作用機構として@I 型コラーグンのみ

による効果、◎I 型コラーグンおよび細胞問の相互作用、◎細胞が高密度化す

るための単なる足場を提供、が考えられる。今後これらのどの機榊が勧いて骨

芽細胞の分化が生じたのかを検討する必要がある。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

骨髄問質細胞の骨芽細胞への分化に対する      細 胞 外 マ ト リ ッ ク ス の 影 響

The Effect of the Extracellular Matrix on Differentiation      of Bone Marrow Stromal Cells into Osteoblasts

【目 的 】 骨は 骨 芽細 胞 に より 形 成さ れる が、骨芽 細胞の分 化やその 訓節機f藩に は不 明 な点が まだ多い。 一方、翁 ‖胞の分 化は種々 の成長因 子ばかり でなく、細 胞外マ卜リックスの影iL!も受けることが、近年1羽らかとなった。).の Iiil0外マ 卜リ ッ ク スは コ ラー グ ン を主 成 分と し て いる が 、骨 芽 細 胞の 分 化誘 導とどのよ うな関わりを持っているのかは不明である。そこで今同骨髄問質細1Jl包(骨髄翁‖

胞)を用 い、各1n形 状のコラ ーグンが骨 芽莉‖胞 の分化に どのように彫4!するか を調 ベ 、細胞 外マ卜リッ クスと細 胞分イヒ のmHこはど のような 関わりが あるかを 検討した。

【材料と方法】骨髄細胞は6ー8迎齢雄のWis Lar系ラット大J腿´ij゛より通法に従っ て採取した。この細胞を15XFCSを含むaーMEM中で培養し、非接i野性の翁‖llaiを除 去後継代 し、実験 に供した 。タイプIコラ―ウ゛ングルまたはタイブIVコラー´/゛ ンを フ ィルム 状にコ―ト したディ ッシュ、 そのほか に既成の タイブIコ ラー´/゛ ンをコ‑Fし たディッ シュ(コ ―二ング社製)で3遡「|q培養し、形態らと『FJ観察 およ び 生化学 的分析を行 い、骨髄 細胞が骨 芽&川J包ヘ 分化して いるか否 かを検討 した。継f弋後は15'XFCSと3mMローglyceropliosphate(ローBP)を含むa‑ ViLM中で培 養した。

【結 果 】 タイ ブIコ ラー グ ン グル 上 で培養 した場合 、骨髄翁tl胞はコン フルエン トに 述 し た後 、 緩や か に 増殖 を 統け 、培 養剛始後 約2迎fl‖で 不遊過結 節を形成 した。この不透過結節は経時的に拡大し、培養r‖始後4遡fj‖で不遊過tj‖他が刪!

合し 、 さ らに 大 きな 不 透 過結 節 を形 成し た。この 不透過結 節はVor Kossこl染 他 で照 褐 色 を呈 し 、石 灰 化 組織 で ある こと が明らか となった 。なお他 の培養粂f小 下 で は 線 維 芽 細 胞 の 形 態 を 保 持 し 、 結 節 の 形 成 は 認 め ら れ な か っ た 。

   

   

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  こ の 石 灰 化組 織 が 骨様 組 織で あ る か否 か を検 討 す るた め 、光 学 な らび に 電 子 顕 徽鏡 に よる 観 察 を行 っ た。 石灰化結 節部では 翁‖胞が ゲル内に 侵入し、 細胞は 三 次元 的 に配 列 し てい た 。そ して電子 顕微鏡に よる観察 から、鼎/uにコラー ウ ン を 合 成 し て いる 像 が認 め ら れた 。 さ らに 細 胞外 マ ト リッ ク ス中 に は 内Bbに 針 状 結品 を 伴っ た 二 重膜 構 造を 示 す 基質 小 胞 様の 構 造物 、 コラ‑´ ノン繊維 上への 針 状結 品 の沈 着 が 認め ら れた 。このこ とは、コ ラーグン ´ノル上 で培養さ れた細 胞 は生 体 内に お け る初J明 石 灰化 の 過 程を た どっ て い るこ とを示 すもので ある。

石 灰 化 結 節 部 の結 晶 を微 量 元 素分 析 法 より 分 析す る と 、CaとPが多 避 に 恢とnさ れ、ヒド口キシアバタイトと推定された。

  さ ら に 結 節中 に 存 在す る 細胞 が 骨 芽細 胞 であ る か どう か 、ま たaI胞 外 マ トリ ックスにより細胞の形質発現がどのように変化するかを、´仁j 芽細i|色の形質であ る ア ル カ リ フ エ ス フ ァ タ ー ゼ(ALP)活 性 、オ ス テ オカ ル シ ン量 を 定蠍 す る こと で検討した。

  I型コラ一´/ ウノ ル上で培養した場合、ALP活性は経峙的に増カ[lし、骨芽翁‖

胞の形質を発現していることが明らかとなった。.に!´朏細胞はir vitroにおいて lO‑Hbl dexamethasone(DEX)お よ びlOmFrAD―GI) 存 在化 で 骨 芽細 胞 に 分化 し 骨 様 組 織 を 形 成 する こ とが 報 告 され て お り、 オ ステ オ カ ルシ ン の産 生 が 認め ら れ た 。コ ラ ー´ / ン ゲル 上 で培 養 し た場 合 で も培 盤HH始 後3遡よルオ ステオカ ルシ ンの産 生が認め られ、DEXを投与した骨蝕細胞と同様、コラ一´/゛ン´/ ル上で丗 馳細胞は骨芽細胞に分化していることが明らかとなった。

  コラー グンの性 状および種磐fが骨芽細胞の分化にどのようなをミ彡嚮を与えるか を検討 するため 、I型コラー ゲンヨー トディッ シュ、細1僅fi醤饕耳1ディッシ ュに rv型コラ―グンをー」ー卜したディッシュ上で骨髄細胞を培養した。・il百ディッシ ユ い ず れ の 場 合 で もALP活 性 、 オ ス テ オ カ ル シ ン の 産 生 は ほ と ん ど 検 出 さ れ ず 、 骨 芽 細 胞 の分 化 は認 め ら れな か っ た。 し かしDNAft!はcorlLrol群 、 ゲル 上 で 培養 し た群 と 比 較し て 高い 値を示し 、分化は 促進しな いが増弼 [を促進 してい ることが考えられた。

  【考察】骨髄細胞をI型コラーグン´ノル上で培養すると骨 i{qll胞に分化し、´1才 様 組 織 を 形 成 す ろ こ と を 明 ら か に し た 。 しか しI型 コ ラー グ ンコ ー ト ディ ッ シ ユ、IV型 コラーグ ンをコート したディ ッシュ上 で培養した場合、.翻 芽細胞の分 化 は 認 め ら れ ず 、 こ の こ と か らI型 コ ラー グ ンと の 接 触の み では 効 果 を持 た な い こ と 、 ま た コ ラ ー グ ン の 効 果 はI型 に 特 異 的 で あ る こ と が 示 さ れ た 。     I型 コラ ー ゲ ング ル に よる 分 化誘 導 の 作用 機 榊と し て(I型 コラー´ /ンのみ に よ る 効 果 、 ◎I型 コ ラ ― ゲ ン お よ び 細胞 間 の相 互 作 用、 ◎ 細胞 が 高 密度 化 す るため の単なる 足場を提供 、が考え られる。 今後これ らのどの 機榊が働 いて i寸 芽細胞の分化が生じたのかを検討する必要がある。

参照

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