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博 士 ( 農 学 ) 石 川 隆 二 学 位 論 文 題 名

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 農 学 ) 石 川 隆 二

学 位 論 文 題 名

イ ネ の ア イ ソ ザ イ ム に 関 す る 遺 伝 育 種 学 的 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  イネの19種の アイソ ザイム にっ いて,まず組織特異性および培養細胞での発現様式を解明した。

次いで ,これ まで見 出さ れたア イソザ イム遺 伝子 の染色 体上に おける 位置に っいて,三染色体分 析によ り所属 染色体 を决 め,さ らに三 点実験 によ りその 位置を 推定し た。ま た,イネの系統分類 のため にアイ ソザイ ム遺 伝子を 指標と する判 別法 の改良 を行い ,日本 の水稲 および陸稲品種の由 来を検 討した 。さら に, アイソ ザイ厶 遺伝子 と出 穂性や ,桴毛 および 配偶体 遺伝子との間におけ る連鎖 関係を 検出し た。

  (1)アイ ソザイ ムの 発現様 式

  17種の アイソ ザイ ム遺伝 子にっ いて種 子根 ,幼芽 および 成葉で の組織 特異 性を調 べ,8種が 恒 常的 に 発現 し,9種は 組織特 異性を 示すこ とを 明らか にした 。また ,こ れらの17遺伝子 は遺 伝標 識とし て利用 可能な こと を確認 した。さらに,カルスレベルではその内の12種が恒常的に発現し,

共 優 性 を 示 す こ と が わ か り , 細 胞 レ ベ ル で の 標 識 と し て も 役 立 っ こ と が わ か っ た 。   (2)遺 伝子分 析

  まず, 三染 色体分 析によ り6種のア イソザ イム遺 伝子 を4種 類の 染色体 へ配分 した。そのうち,

Pgd―1およ びSdh・1に っ い て ,三 染 色 体 上 に集 積 し た と ころ , 対 立 遺 伝子 の発現 量の差 がそ れぞれ の遺伝 子数に 対応 するこ とから ,座乗 染色 体を決 定でき た。次 いで, 日本型イネの標識遺 伝子 系 統と インド 型品種 間ある いは 日本型 系統と 野性イ ネ間 の交雑 によるFエ 集団を 作成し て,

ア イ ソ ザ イ ム遺 伝 子 に 関 する 連 鎖 分 析 を行 い , 第3染色 体 で はGdh・1お よ びPgd,2, 第11染 色体 で はAdh・1お よ びPgd・1の計4種 の 遺 伝子 に っ いて, それぞ れの 位置を 推定し た。ま た,

第12染 色体 に お い て は3種 の ア イ ソザ イ 厶 遺 伝 子 と既 知 の 遺 伝 子を 交 え て ,Acp・1‑rl・3― Poxー2―Sdhー1―spZ―1なる 新し い位置 関係を 明らか にし た。

  (3)系統 分化お よび 品種分 類への 応用

  イ ネ は元来 インド 型と 日本型 品種群 に大別 されて いる 。今回 は2種のア イソザ イム遺 伝子 すな わ ちPgi・3お よ びMof―1の遺 伝 子 型 に よっ て 同 様 な2大 別 の 可 能 な こと を 明 ら か にす る と 共

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(2)

に,これまで明らかにされた品種群に特異的な7種のアイソザイム遺伝子と上記の2遺伝子を加 えた9種のアイソザイムの遺伝子型から判別値を算出して,形態および生理形質を用いたこれま での系統分類ときわめてよく一致することを明らかにした。

  日本の水稲450品種ならびに陸稲66品種にっいて,17種のアイソザイム遺伝子の多型を調査し た結果,水稲では445品種が日本型,5品種がインド型と判定された。さらに,日本の水稲は遺 伝的に高い均一性を有することもわかった。一方,陸稲は64品種が日本型,2品種がインド型と 判定され,水稲と同様にその主流は日本型であることが判明した。ただし,陸稲53品種は水稲に は存在しないP|gd・1゜を有しており,水稲よりも遺伝的に分化していて,独特の形質組合せを 有することが明らかになった。なお,Pgd―1座に群別されるインド型品種,日本型水稲および 日 本 型 陸 稲 の3品 種 群 は 形 態 ・ 生 理 的 形 質 に お け る 分 化 と も 関 連 が み ら れ た 。   (4)アイソザイムと有用遺伝子間の連鎖関係

  農業形質である出穂性と第6染色体の瓰f−2の間,また,脱穀時の粉塵害を少なくする短桴 毛遺伝子と第6染色体のA′n・p―3との間では,それぞれ密な連鎖関係が検出された。さらに,

雑種における分離比のゆがみをもたらす配偶体遺伝子とアイソザイム遺伝子間の連鎖関係から,

第6染色体のヱゐと・2およびP訊・2,ならびに第12染色体のAcpー1およびP〇エ・2の近傍には それぞれ異なる配偶体遺伝子があって,日本型品種内に分化のみられることが明らかになった。

学位論文審査の要旨

  イネのアイソザイムは生化学形質のーっとして遺伝や育種研究に活用されている。本研究では 19種のアイソザイム遺伝子の発現の組織特異性および培養細胞での発現の有無を調査した。次い で,アイソザイム遺伝子の染色体マッピングを行い,それらを遺伝子指標に用いて,イネ系統分 化や育種の効率化の研究に役立てる基礎知見を得た。

  本論文は4章よりなり,157頁で,表46と図16を含む。主な内容は下記の如く要約される。

  (1)アイソザイムの発現様式

‑ 383

郎 也 夫 俊 義

哲 下 本

上 木 島

三 授 授

授 教 教

教 査 査

査 主 副

(3)

  17種のアイソザイ厶遺伝子にっいて種子根,幼芽および成葉での組織特異性を調べ,8種は各 器官を通じて恒常的に発現し,9種は組織特異性を示すことを明らかにした。さらに,カルスレ ベ ル では その 内の12種が 発現 し, 細胞 レ ベル での 標識 とし て 役立 っこ とがわかった。

  (2)遺伝子分析

  まず,三染色体分析によルアイソザイムの6遺伝子座を4種類の染色体ヘ所属せしめ,そのう ち,Pgdー1および.Sdh―1にっいては,対立遺伝子の発現量の差からそれぞれ第11および第12 染色体上にあることを决めた。次いで,日本型とインド型間の交配や日本型と野性イネ間の交配 よ りのF2集団を用いて,連鎖 分析を行い,第3染色体上のGdh―1,第6染色体上のPgd・2, 第11染色体上のAdh−1およびPgd・1の位置をそれぞれ決定した。また,第12染色体ではAcp ‑ 1ー ん‑3ーPox―2ーSdh―1ーspl―1の 順 位 に よ る 新 し い 連 鎖 関 係を 明ら かに し た。

  ロ)系統分化および品種分類への応用

  イネは元来インド型と日本型品種群へ大別される。今回は2種のアイソザイム遺伝子すなわち Pgi−3およびMal・1の遺伝子 型によって,同様な2大別の可能なことと,品種群に特異的な 9種のアイソザイム遺伝子型から判別値を算出して,形態および生理形質によるこれまでの系統 分類ときわめてよく符号することを明らかにした。

  また,17種のアイソザイム遺伝子の多型を調べ,水稲では445品種を日本型,5品種をインド 型と判定した。一方,日本の陸稲では64品種を日本型,2品種をインド型と判定して,水稲と同 様にその主流は日本型であることを示した。ただし,陸稲53品種は水稲には存在しないPgd, 12を 有し てお り, 水 稲よりも遺伝的 に分化していて,独特の形 質組合せを有していた。

  (4)アイソザイムと有用遺伝子間の連鎖関係

  農業形質である出穂性と第6染色体のPgi‑2の間,また,脱穀時の粉塵害を少なくする短桴 毛 遺伝子と第6染色体のAmp・3との問には,それぞれ密な連鎖関係が見出された。これらの 有用形質の育種に当たっては,アイソザイム遺伝子を標識に用いることにより,それらの選抜を 効率化することができる。さらに,雑種における分離比のゆがみをもらたす配偶体遺伝子とアイ ソザイム遺伝子間の連鎖関係から,新しい配偶体遺伝子が第6染色体のEst・2およびPgi−2, な らびに第12染色体のAcp―1およびPox―2の近傍にも存在することを見出し,さらに,日本 型品種内における分化を明らかにした。

  以上の研究成果は,アイソザイムに関する遺伝育種研究の進展に役立っばかりでなく,生化学 形質を標識として育種の実際に用いるためにも有用である。

  よって審査員一同は,別に行った学力確認試験の結果と合せて,本論文の提出者石川隆二は博 士(農学)の学位を受けるのに十分な資格があるものと認定した。

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