九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
中国人日本語学習者のメタフォリカル・コンピテン スの発達と養成に関する考察
鐘, 勇
https://doi.org/10.15017/1398295
出版情報:Kyushu University, 2013, 博士(比較社会文化), 課程博士 バージョン:
権利関係:Fulltext available.
中国人日本語学習者のメタフォリカル・コンピ テンス(MC)の発達と養成に関する考察
鐘 勇
謝 辞
まず、本論文の作成にあたり終始適切なご助言と丁寧なご指導をくださった指導教官の 井上奈良彦先生に心より感謝申し上げます。
次に、本論文の予備審査と公開審査の際に心温まるご支援・ご協力・ご指導をくださっ た東眞須美先生、鍋島弘治朗先生、松村瑞子先生、李相穆先生に厚く御礼申し上げます。
また、データ収集や調査実施にあたりいろいろ協力していただいた陳俊森先生、邱為平 先生、河崎深雪先生、朴英姫先生、劉歩庭先生、張静先生、闵向梅先生、李榮先生、及び 本研究の趣旨を理解し快く協力していただいたデータ提供者や調査対象者の皆様に、心か ら感謝いたします。
最後に、薛華民さんを始め大学院生の方々には常に有益なコメントを頂き、どうもあり がとうございます。また、早瀬沙織さんをはじめ日本語母語話者の皆さんにいつも日本語 のチェックなどをしていただき、誠にありがとうございます。
要 旨
概念メタファー理論が提唱されて以来、メタファーと外国語教育との関係が大いに議論 され、学習者のメタフォリカル・コンピテンス(
MC)養成の重要性が次第に強く認識さ
れるようになってきた。また、近年の応用認知言語学的アプローチの提唱にともない、概 念メタファー理論は教育現場で数多く応用され、外国語学習者のMC
養成の必要性と重要 性はより一層高まった。現在では、英語教育などで外国語学習者のMC
の発達や養成など に関する考察がかなり進んでいる。しかしながら、日中両国における日本語教育の領域で は、MCという能力はまだ等閑視されており、学習者のMC
の発達状況や養成法などに関 する考察もあまり見当たらない。そこで本研究では8
章を用い、中国の日本語教育におけ るMC
研究と応用認知言語学研究を推進するという上位目的のため、中国人日本語学習者 のMC
発達の現状を解明するとともに、中国人日本語学習者のメタファー表現理解力の養 成、更に総合的なMC
の養成について考察と議論を行った。各章の詳細は以下のとおりで ある。第
1
章は序論で、本研究の背景、目的と意義について述べるとともに、研究の全体的な 構成について紹介した。第2
章では、概念メタファー理論の諸側面、応用認知言語学の発 展及び外国語学習者のMC
の発達や養成などに関する先行研究を概観し、それを踏まえて 本研究の3
つの課題を提示した。課題1:中国人日本語学習者の MC
発達の現状はどうな っているのか。課題2
:中国人日本語学習者のメタファー表現理解に影響する要因は何か、学習者のメタファー表現理解力はどのように養成するのか。課題
3:中国人日本語学習者
の総合的なMC
はどのように養成するのか。第
3
章と第4
章では、それぞれMC
の構成要素(メタファー表現識別力、メタファー表 現理解力、メタファー表現産出力)と概念的流暢性(CF)の2
つの視点に基づいて第2
章で提示した課題1
に取り組んだ。具体的には、第3
章では、中国人日本語学習者向けのMC
テストを作成し、それを用いて日本語を専攻とする上級生(学部3
年生)のMC
発達 の現状について調査した。主な結果としては、次の3
点となる。①上級生のメタファー表 現の理解力は産出力よりやや高いが、メタファー表現の識別力、理解力と産出力のいずれ も十分に発達しておらず、それを更に向上させる必要がある。②メタファー表現の識別力 と理解力に比べ、上級生のメタファー表現産出力の発達において比較的個人差が大きいが、メタファー表現の識別力、理解力と産出力のいずれの発達程度においても性差が見られな
い。③上級生のメタファー表現の理解力と産出力の間に正の相関が存在しているが、識別 力と理解力、及び識別力と産出力の間に相関がない。第
4
章では、中国人日本語学習者と 日本語母語話者による作文データの中のメタファー密度(MD)や誤用例について分析し、母語話者と比べながら学習者の
MC
発達の実態を解明した。主な結論としては、次の2
つ に集約することができる。①中国人日本語学習者のMC、特に日本語独特のメタファー的
概念体系に関わるJ-MC
は学習歴が上がっても十分に発達しない。②中国人日本語学習者 が持つ母語知識はMC
発達に功罪両面がある。第
5
章と第6
章では、第2
章で提示した課題2
の解決を試みた。具体的には、第5
章に おいては、中国人日本語学習者を対象にメタファー表現理解テストを実施し、その結果に 基づいて母語とメタファー基盤に関わる概念・言語の知識、認知様式の知識及び文化知識 などの要素と日本語メタファー表現の理解との関連性について調べた。主な結果としては、次の
2
点が得られた。①母語に基づく概念・言語の知識とメタファー基盤に関わる認知様 式の知識の両方は中国人日本語学習者の日本語メタファー表現の理解に多くの影響を及ぼ す要素であり、中でも、特に概念・言語の知識のほうが非常に影響力が強い。②中国人日 本語学習者にとって、日中両言語間で概念的・言語的に共有される日本語メタファー表現 と、換喩基盤のメタファーに基づく日本語メタファー表現のほうが比較的理解されやすい のに対し、言語的に非共有の日本語メタファー表現と、隠喩基盤のメタファーに基づく日 本語メタファー表現のほうが比較的理解されにくい。第6
章では、1つの授業実践例に基 づき、従来の暗記を中心とした指導法(暗記法)に比べ、概念メタファー理論と用法基盤 モデルからの知見を生かした応用認知言語学的な指導法(認知法)が中国人日本語学習者 のメタファー表現理解力の養成に有効かどうかについて考察した。主な結論としては、次 の3
つにまとめることができる。①認知法は中国人日本語学習者のメタファー表現理解力 の養成に有効であり、かつ、その効果が持続的である。②認知法も暗記法もメタファー表 現の記憶において一定の効果がある。③認知法によるメタファー表現の記憶持続性は暗記 法とほぼ同様である。第
7
章では、第2
章で提示した課題3
に取り組み、中国の日本語教育におけるMC
の位 置づけ、MC養成の導入時期や段階性、概念メタファーの導入順序及びMC
養成のための 教材作りなどの、中国人日本語学習者の総合的なMC
養成に向けての基礎的な問題につい て検討を行った。暫定的な結論としては、次の5
点が得られた。①日本語教育においては、学習者の
MC
は言語能力やコミュニケーション能力と同等な重要性を持つ。②中国人日本 語学習者のMC
養成の導入時期は初級コースの終わりの頃が適している。③概念メタファーの導入順序の一案として、その基本義が先に学習過程に出る単語に関わるメタファー、
日中両言語間で共有のメタファー、及び複雑なメタファー・システム(metaphor system)
の下位の具体的なメタファーを優先的に導入することが考えられる。④MC養成のプロセ スは「気付き」、「理解力養成と付随的な識別力養成」、「産出力養成と付随的な識別力養成」、
「創造力養成」の
4
段階に分けられる。⑤MC養成のための日本語教材作りに関しては、既存の英語教育関連の教材が有益な参考となる。
第
8
章は結論で、本研究で述べている研究内容とその成果を総括し、①概念メタファー に関する日中対照研究、②文脈の長短や語の難易度、及び文化知識などの側面からのメタ ファー表現理解への影響に関する考察、③日本語メタファー表現の理解に関わる様々な知 識の活用法についての研究、④認知法によるメタファー表現理解力の養成に関する長期間 の考察、⑤日本語学習者のメタファー表現産出力の養成における考察、⑥日本語学習者の 総合的なMC
の養成に関する理論的・実証的な研究、⑦MC養成のための日本語教材作り、⑧MC発達における日本留学経験などの影響の考察、⑨MCと言語能力、コミュニケーシ ョン能力、認知スタイル、性別などとの相関研究、などの今後の課題について提示した。
以上の内容をまとめてみると、本研究の第
3
章と第4
章の結論からは、中国人日本語学 習者のMC
はまだ十分に発達しておらず、それを更に向上させる必要があることが分かる。次に、第
5
章と第6
章の結論からは、中国人日本語学習者のメタファー表現理解力の効果 的な養成法が窺える。即ち、認知法を用いながら、日中両言語間で言語的に非共有の日本 語メタファー表現や、隠喩基盤のメタファーに基づく日本語メタファー表現に対する理解 を重要視し、母語に基づく概念・言語の知識及び文化知識を活用するという方法である。また、第
7
章の検討からは中国人日本語学習者の総合的なMC
の養成に向けて更なる理論 的な検討と実証的な研究が必要であることが分かり、第8
章から言えるのは中国人日本語 学習者のMC
研究に関してまだ多くの課題が残っている。目 次
謝 辞 ... i
要 旨 ... ii
図一覧 ... ix
表一覧 ...x
略号一覧 ... xii
第1章 序論 ... 1
1.1 本研究の背景 ... 1
1.2 本研究の目的と意義 ... 2
1.3 本研究の構成 ... 3
第2章 先行研究及び本研究の課題 ... 5
2.1 はじめに ... 5
2.2 概念メタファー理論 ... 5
2.2.1 概念メタファー理論の誕生と発展 ... 5
2.2.2 概念メタファーの基盤 ... 12
2.2.3 概念メタファーの種類 ... 14
2.2.4 概念メタファーと文化 ... 21
2.2.5 概念メタファーの実在性 ... 26
2.3 応用認知言語学 ... 27
2.3.1 認知言語学の概要 ... 27
2.3.2 応用認知言語学の台頭及び日本語教育における応用認知言語学研究 ... 34
2.4 MC
研究 ... 382.4.1 MC
の定義 ... 382.4.2 MC
の重要性 ... 402.4.3 MC
と概念的流暢性 ... 422.4.4 外国語学習者の MC
発達に関する研究 ... 442.4.5 外国語学習者の MC
養成に関する研究 ... 502.4.6 外国語学習者の MC
に影響する要因の研究 ... 542.5 先行研究のまとめ及び本研究の課題... 55
第3章 MC の構成要素の視点から見る中国人日本語学習者の MC 発達 ... 58
3.1 はじめに ... 58
3.2 研究方法 ... 59
3.2.1 MC
テストの作成... 593.2.2 MC
テストの実施と処理 ... 673.3 結果と考察 ... 68
3.3.1 日本語を専攻とする上級生の MC
発達の現状 ... 683.3.2 MC
発達における性差 ... 723.3.3 MC
の構成要素間の相関性 ... 733.3.4 まとめと考察... 74
3.4 第 3
章のまとめ... 76第4章 概念的流暢性の視点から見る中国人日本語学習者の MC 発達 ... 77
4.1 はじめに ... 77
4.2 研究方法 ... 78
4.2.1 作文データの収集 ... 78
4.2.2 メタファー表現の選定と分類 ... 80
4.2.3 メタファー密度の算出 ... 83
4.2.4 データ分析方法 ... 84
4.3 結果と考察 ... 85
4.3.1 中国人日本語学習者の MC
発達の現状 ... 854.3.2 MC
発達への母語知識の影響 ... 904.3.3 まとめと考察... 92
4.4 第 4
章のまとめ... 93第5章 中国人日本語学習者のメタファー表現理解に影響する要因 ... 94
5.1 はじめに ... 94
5.2 研究方法 ... 95
5.2.1 メタファー表現理解テストの作成 ... 95
5.2.2 テストの実施と処理... 101
5.2.3 分析方法 ... 102
5.3 結果と考察 ... 102
5.3.1 母語に基づく概念・言語の知識とメタファー表現理解の関連 ... 102
5.3.2 メタファー基盤に関わる認知様式の知識とメタファー表現理解の関連 ... 105
5.3.3 概念・言語と認知様式の知識の影響力 ... 107
5.3.4 文化知識の側面からの影響 ... 108
5.3.5 質的分析及びその示唆 ... 110
5.3.6 まとめ及び日本語教育への提言 ... 112
5.4 第 5
章のまとめ... 113第6章 中国人日本語学習者のメタファー表現理解力の養成について ... 115
6.1 はじめに ... 115
6.2 研究方法 ... 116
6.2.1 授業対象 ... 116
6.2.2 授業準備 ... 117
6.2.3 授業実践 ... 122
6.2.4 テストの実施と処理... 123
6.3 結果と考察 ... 123
6.3.1 直後テスト ... 123
6.3.2 遅延テスト ... 126
6.3.3 未習表現理解の詳細及びその示唆 ... 128
6.3.4 まとめと考察... 131
6.4 第 6
章のまとめ... 132第7章 中国人日本語学習者の総合的な MC の養成に向けての検討 ... 134
7.1 はじめに ... 134
7.2 中国人日本語学習者の総合的な MC
の養成について ... 1357.2.1 日本語教育における MC
養成の位置づけ ... 1357.2.2 MC
養成と概念メタファーの導入時期と順序 ... 1367.2.3 MC
養成の段階性... 1377.2.4 MC
養成のための教材作り ... 1407.2.5 まとめ ... 141
7.3 第 7
章のまとめ... 141第8章 結論 ... 143
8.1 本研究の総括 ... 143
8.2 今後の課題 ... 146
参考文献 ... 148
付録1 MC テスト作成のために収集した表現 ... 157
付録2 調査票の概要 ... 166
付録3 MC テスト(初版) ... 167
付録4 MC テスト(最終版) ... 173
付録5 作文データ例 ... 176
付録6 メタファー表現理解テスト ... 182
付録7 直後テスト ... 185
付録8 遅延テスト ... 186
図一覧
図
1
本研究の構成 ... 3図
2
起点‐経路‐終点のスキーマ ... 7図
3 LOVE IS A JOURNEY
のメタファーの写像 ... 8図
4
「ところ」の多義に関するプロトタイプ・カテゴリー ... 28図
5
ヘ格・カラ格・マデ格... 37図
6 MC
の3
要素の相互関係 ... 40図
7
概念メタファー説明用のプリント ... 117図
8
実験群向けのプリント... 120図
9
対照群向けのプリント... 121図
10 MC
養成の4
段階 ... 138表一覧
表
1
調査票提供者の内訳 ... 62表
2
調査対象の内訳 ... 67表
3
各下位テストの正答率... 68表
4
各下位テストの正答率における記述統計の結果 ... 71表
5
各下位テストの男女別の正答率における記述統計の結果 ... 72表
6
各下位テストの男女別の正答率の変動係数 ... 73表
7
各下位テストの正答率の間のPearson
の相関係数 ... 73表
8
グループ分けの内訳 ... 85表
9
各群による作文のメタファー密度 ... 86表
10 各群による作文のメタファー密度における記述統計の結果 ... 87
表
11 各群による作文のメタファー密度における多重比較の結果 ... 88
表
12 日本語学習歴とメタファー密度の Pearson
の相関係数 ... 90表
13 得られたメタファー表現の内訳... 100
表
14 被験者の内訳 ... 101
表
15 グループ a、b、c
の正答率 ... 102表
16 グループ a、b、c
の正答率における記述統計の結果 ... 104表
17 グループ 1、2、3
の正答率 ... 105表
18 グループ 1、2、3
の正答率における記述統計の結果 ... 106表
19 概念・言語の知識と認知様式の影響力 ... 107
表
20 グループ①、②の正答率における記述統計の結果 ... 109
表
21 文化知識の影響力 ... 110
表
22 各テスト項目の正答率 ... 111
表
23 授業対象の内訳 ... 116
表
24 選出された未習メタファー表現の内訳 ... 119
表
25 直後テストにおける実験群の正答率 ... 124
表
26 直後テストにおける対照群の正答率 ... 124
表
27 直後テストの正答率における記述統計の結果 ... 125
表
28 遅延テストにおける実験群の正答率 ... 126
表
29 遅延テストにおける対照群の正答率 ... 127
表30 遅延テストの正答率における記述統計の結果 ... 128
表31 両テストにおける各未習メタファー表現の正答率 ... 129
略号一覧
暗記法: 暗記を中心とした指導法 認知法: 応用認知言語学的な指導法
CET : College English Test CF
:Conceptual Fluency
J-MC
:Japanese-Metaphorical Competence J-MD
:Japanese-Metaphorical Density
JC-MC: Japanese & Chinese-Metaphorical Competence JC-MD: Japanese & Chinese-Metaphorical Density MC
:Metaphorical Competence
MD
:Metaphorical Density
TEM
:Test for English Majors
第1章 序論
1.1 本研究の背景
従来の生成文法などの言語学では、言語能力は、言語以外でも観察される比較、一般化、
関連付け、参照点能力、ゲシュタルト的な知覚、視点の投影などの一般的な認知能力とは 独立した自律的なモジュールとしての言語知識であると捉えられている。しかしながら、
1970
年代末に誕生した認知言語学(Cognitive Linguistics)はこのようなパラダイムに対 し、言語能力は人間が持っている一般的な認知能力によって動機づけられ、この認知能力 の反映として位置づけられるものであるという立場を取り、言語とその背後にある言語主 体の認知メカニズムとの関係の解明に大いに力を注いでいる(山梨 1995、山梨 2000)。当初は、認知言語学に関する理論的な研究のみが盛んになっていたが、今世紀に入ってか ら、その理念や研究成果を外国語の習得や指導に取り入れようとする応用認知言語学の研 究が唱えられ、様々な提案がなされ、外国語教育に多くの示唆をもたらしている。応用認 知言語学研究は英語教育において始められたが、現在では日本語教育の分野にも及んでい る。例えば、森山(2006a,
2007, 2008)は「認知言語学的観点を生かした日本語教授法・
教材開発研究」という研究課題で、英語教育からの示唆を取り入れながら日本語教育にお ける応用認知言語学研究を全面的に提唱している。
その一方で、認知言語学の重要な一分野としての概念メタファー理論 (Conceptual
Metaphor Theory)は Metaphors We Live By
(Lakoff & Johnson 1980)という著書に よって提唱された新しいメタファー理論であり、メタファーに関する従来の考え方をすっ かり変えてしまった。概念メタファー理論では、メタファーは具体的な言語表現ではなく、ある事柄を通して他の事柄を理解・経験する概念レベルの現象であるとされている。例え ば、日本語母語話者の概念体系には次のようなメタファーがあると考えられる。
《重要は中心、非重要は周辺》1
a.
組織の中核b.
中心的な存在1 このメタファーは筆者がまとめたものである。以降、特に説明がない場合、出典を付していない メタファーの例や例文はすべて筆者による。
c.
周辺的な問題d.
言葉の端をとらえる《重要は中心、非重要は周辺》の部分は概念レベルのメタファーを表しており、「『中心』
や『周辺』の概念を通して『重要』や『非重要』の概念を理解・経験する」という意味で ある。その下に示しているのは、概念レベルのメタファーの存在を裏付ける具体的なメタ ファー表現例である2。a〜d からは、日本語母語話者は中心・周辺という空間的な概念に 基づいて重要性という抽象的な概念をメタファー的に把握しているということを窺うこと ができる。日常の言語生活において、日本語母語話者は《重要は中心、非重要は周辺》の メタファーに基づいて
a〜d
などのメタファー表現を無意識に理解、運用している。Lakoff
& Johnson(1980)以降、概念メタファー理論は多くの研究者の注目を集め、メタファー
写像(metaphorical mapping)の理論、プライマリー・メタファー(primary metaphor)の理論、更に、身体性メタファー理論へと、新たな発展を遂げ続けている。外国語教育の 分野においても、メタファーと第二言語習得の関連性が次第に認識され議論されてきてい る。更に、近年の応用認知言語学的アプローチの発展にしたがって、概念メタファー理論 は外国語教育にも応用可能であるとされ、その知見が数多く外国語教育の現場に応用され てきている。現在では、外国語学習者の言語能力やコミュニケーション能力に次ぎ、目標 言語にあるメタファー表現の理解や産出などに関わるメタフォリカル・コンピテンス
(Metaphorical Competence、以降
MC)の重要性が高まっており、MC
と外国語教育の 関係に関して大いに論じられている。また、英語教育などでは、従来の指導法による授業 を受けてきた学習者のMC
発達の現状、MC発達に影響を与える要因、MCと言語能力や コミュニケーション能力との関連性、及びMC
の養成法についてかなり考察を進めている。1.2 本研究の目的と意義
概念メタファー理論と応用認知言語学研究の発展にともなって、外国語習得・教育にお ける
MC
の重要性がますます増してきているが、日中両国の日本語教育では、MCという 能力はまだ等閑視されており、日本語学習者のMC
の発達状況や養成法などに関わる考察 もあまり見られない。そこで本研究では、英語教育やイタリア語教育などからの知見を参 考にしながら、中国人日本語学習者のMC
に関する研究に取り組み、日本語教育における2 以降、日本語のメタファーはすべてこのように表記する。
応用認知言語学研究を推進することを主要目的とする。具体的には、概念メタファー理論 などを中国の日本語教育に応用する基礎研究という位置づけで、MCテストや作文データ を用いて中国人日本語学習者の
MC
の発達状況を明らかにするとともに、先行研究や授業 実践例をもとに中国人日本語学習者のメタファー表現理解力の養成及び総合的なMC
の養 成について考察・検討する。本研究の意義としては、主に次の3
点が挙げられる。① 中国人日本語学習者の
MC
発達の現状を解明することにより、中国における日本語 教育の実態の一側面を窺うことができる。加えて、中国の日本語教育の今後の在り 方や方向性に一定の示唆を与えることができる。② 中国人日本語学習者の
MC
養成の可能性や有効性に関する実証的な研究や理論的な 検討は今後のMC
の効果的な養成法の開発を促進することができる。③ 本研究は中国の日本語教育における
MC
研究の空白を埋めることができるとともに、中国ひいては世界の日本語教育における応用認知言語学研究をより一層推し進める ことができる。
1.3 本研究の構成
本研究は本章を含めて
8
章から構成される(図1
を参照)。図
1 本研究の構成
第1章 序論
第2章 先行研究及び本研究の課題
第3章
MC
の構成要素の視点から見る中国人日本語学習者のMC
発達 第4章 概念的流暢性の視点から見る中国人日本語学習者のMC
発達 第5章 中国人日本語学習者のメタファー表現理解に影響する要因 第6章 中国人日本語学習者のメタファー表現理解力の養成について 第7章 中国人日本語学習者の総合的なMC
の養成に向けての検討 第8章 結論各章の概要は次のとおりである。第
1
章は序論であり、本研究の背景、目的と意義につい て述べるとともに、研究の全体的な構成について紹介する。第2
章では、これまでの先行 研究及び本研究の研究課題に関して説明する。具体的には、まず概念メタファー理論の諸 側面と、日本語教育における応用認知言語学研究の現状について見る。次に、MC
の定義、外国語教育における
MC
の重要性、及び外国語学習者のMC
の発達や養成に関する研究な どについて概観する。また章末では、本研究の主な研究課題について提示する。第3
章と 第4
章は中国人日本語学習者のMC
発達の実態解明に焦点を当てる。具体的には、第3
章 では、MCの構成要素の視点から独自のMC
テストを作成し、日本語を専攻とする上級生 のMC
発達の現状、MC
における性差及びMC
の構成要素間の相関性などについて分析す る。第4
章では、概念的流暢性(Conceptual Fluency、以降CF)の視点から、中国人日
本語学習者と日本語母語話者の作文を収集し、その中のメタファー表現の使用頻度や誤用 例を分析することにより学習者のMC
発達の現状について調べる。また、第5
章と第6
章 はMC
の重要な構成要素であるメタファー表現理解力の養成に注目する。具体的には、第5
章では、中国人日本語学習者のメタファー表現理解力の養成に資するため、母語とメタ ファー基盤に関わる概念・言語の知識、認知様式の知識及び文化知識などの要素と日本語 メタファー表現の理解との関連性について考察する。第6
章では、1つの授業実践例に基 づいて、従来の暗記を中心とした指導法に比べ、概念メタファー理論と用法基盤モデルか らの知見を生かした応用認知言語学的な指導法が中国人日本語学習者のメタファー表現理 解力の養成に有効かどうかについて分析する。また、第7
章では、先行研究を参考にしな がら中国人日本語学習者の総合的なMC
の養成に向けての基礎的な問題について検討する。第
8
章は結論であり、本研究で述べている研究内容とその成果を総括し、今後の課題につ いて提示する。第2章 先行研究及び本研究の課題
2.1 はじめに
概念メタファー理論と応用認知言語学の発展にともない、外国語学習者のメタフォリカ ル・コンピテンス(MC)の重要性が強く認識されるようになってきた。今のところ、英 語教育やイタリア語教育などにおいては、MCの重要性に関する議論が積み重ねられてお り、学習者の
MC
の発達や養成についての考察がかなり進んでいる。本章では、これまで の先行研究について紹介し検討したあと、本研究の主な研究課題について述べる。2.2 概念メタファー理論
概念メタファー理論は、認知言語学における重要な理論の
1
つである。本節では、これ までの概念メタファー研究の流れについて紹介するとともに、メタファーの基盤や分類、メタファーと文化の関係、及びメタファーの実在性などの側面について見ていく。
2.2.1 概念メタファー理論の誕生と発展
従来、メタファーとは、「2つの事物・概念の何らかの類似性に基づいて、本来は一方の 事物・概念を表す形式を用いて、他方の事物・概念を表すという比喩」を指していた(籾 山 2010: 35)。例えば、「君の瞳はダイヤモンドだ」というメタファーについては瞳とダイ ヤモンドは「光る」という共通点を持つため、瞳をダイヤモンドに喩えられるわけである。
しかしながら、Lakoff & Johnson(1980)の
Metaphors We Live By
は、これまでのメ タファーに関する考えを一変させた。彼らは「メタファーの本質は、ある事柄を他の事柄 を通して理解し、経験することである」3と解釈し、メタファーを一種の認知プロセスとみ なし概念メタファー理論を提唱している。それによると、人間の概念体系は根本的にメタ ファーによって構造を与えられ、規定されている。また、概念体系の中に概念レベルのメ3 日本語訳は渡部・楠瀬・下谷(訳)(1986: 6)による。原文は次のとおりである。
“The essence of metaphor is understanding and experiencing one kind of thing in terms of another.”(Lakoff &
Johnson 1980: 5)
タファーが存在しているからこそ、言語レベルのメタファー表現が可能である。例えば、
英語母語話者の概念体系には次のメタファーが存在していると考えられる。
ARGUMENT IS WAR(議論は戦争)
a. Your claims are indefensible .(あなたの主張は防ぎえない。)
4b. He attacked every weak point in my argument.(彼は私の議論のすべての弱点を
攻撃した。)c. You disagree? Okay, shoot !(反対か、よし、撃ってみろ!)
d. He shot down all of my arguments.(彼は私のすべての議論を撃ち落とした。)
(Lakoff & Johnson 1980: 4)
大文字表現の“ARGUMENT IS WAR”とその直後の括弧にある日本語訳「議論は戦争」は 概念レベルのメタファーで、その意味は「戦争を通して議論を理解・経験する」である。
メタファーの下にある
a〜d
の小文字の英語表現は言語レベルの具体的なメタファー表現 例である5。a〜dから分かるように、英語母語話者は普段、“indefensible”、“attacked”、“shoot”などの戦争に関する言葉を用いて議論について語っている。即ち、戦争に関する知
識を通して議論というものを理解し経験している。他には、概念メタファーの典型例とし て次のようなものも挙げられる。HIGH STATUS IS UP; LOW STATUS IS DOWN(地位が高いことは上、地位が低い
ことは下)
a. He has a lofty position.(彼は高い地位を持っている。)
b. He’s at the bottom of the social hierarchy.
(彼は社会的階層のどん底にある。)(Lakoff & Johnson 1980: 16)
《楽しい状態は上、悲しい状態は下》
a.
天にも昇る気持ちだ。b.
彼は今落ち込んでいる。4 特に説明のない場合は、本研究における英語メタファー表現の日本語訳は筆者によるものである。
翻訳の仕方については、本来の英語メタファー表現のメタファー的な箇所が理解されやすいように できるだけ直訳を用いているが、直訳が困難な場合は意訳を使っている。また、日本語訳の中の下 線は元の英語表現のメタファー的な部分に対応している箇所を表している。
5 以降、英語のメタファーはすべてこのように表記する。
前者の場合は、
“HIGH STATUS IS UP; LOW STATUS IS DOWN
(地位が高いことは上、地位が低いことは下)
”の部分がメタファーであり、その下の英語表現がメタファー表現例
である。このメタファーから見れば、英語母語話者は“up & down(上と下)”という空間 位置に基づいて地位という抽象的な概念を把握していることが分かる。後者の場合は、《楽 しい状態は上、悲しい状態は下》が概念レベルのメタファーを表し、その下の日本語表現 が言語レベルのメタファー表現例である。aとb
からは、日本語母語話者は普段上下の空 間位置を通して哀楽という抽象的な感情を理解・経験していることを窺うことができる。以上見てきたように、人間の概念体系にあるメタファーは、戦争や上下のような相対的に 具体的で把握されやすい概念を通して議論、地位や感情のような相対的に抽象的で捉えら れにくい概念の理解を促している。
Lakoff & Johnson(1980)以降、Lakoff(1987a)、 Johnson(1987)、 Lakoff(1993)
及び
Lakoff & Johnson(1999)では、概念メタファーに基づいた「メタファー写像理論」
が提案され、写像を基本とした現代のメタファー理論が精緻化されてきた。写像から見る 概念メタファーは起点領域(source domain)から目標領域(target domain)へとイメー ジ・スキーマを写像するものであると考えられる。ここで言うイメージ・スキーマとは、
我々の身体的運動、物体の操作や知覚的相互作用などのような基本的な経験の中に繰り返 し現れる比較的単純なパターンを指す(Johnson 1987: xix)。典型的なものとして「起点
‐経路‐終点のスキーマ」が挙げられる6。このスキーマを図示すれば、次のように表すこ とができる。
起点 終点
図
2 起点‐経路‐終点のスキーマ
6 他には、容器のスキーマ、上下のスキーマ、リンクのスキーマ、力のスキーマ、バランスのスキ ーマ、前後のスキーマ、遠近のスキーマ、部分・全体のスキーマ、周辺・中心のスキーマなどの代 表的なイメージ・スキーマもある。我々はこれらのイメージ・スキーマをもとに、更にメタファー を介して心理的領域や社会的領域に関わる様々な抽象的な経験を構造化することができる。即ち、
イメージ・スキーマは抽象的な概念に対する我々の理解や把握において大きな役割を担っている。
経 路
メタファー写像理論の観点によれば、LOVE IS A JOURNEY(恋愛は旅)のメタファー は次のように解釈できる。
LOVE IS A JOURNEY(恋愛は旅)
起点領域: 空間(移動)
目標領域: 恋愛
イメージ・スキーマ: 起点‐経路‐終点のスキーマ
(谷口 2003: 53)
空間移動である起点領域の「旅」には、「起点‐経路‐終点」というイメージ・スキーマ が内在している。我々は目標領域としての「恋愛」というより抽象的な概念の
1
つの側面 からこのイメージ・スキーマに対応する構造を見つけ出し、旅の構造としての「起点」、「経路」、「終点」を、それぞれ恋愛における「出会い」、「過程」、「結婚」の部分に写 像させる(即ち、対応付ける)のである(図
3
を参照)。旅の構造:
写 像:
恋愛の構造:
図
3 LOVE IS A JOURNEY
のメタファーの写像このようなメタファー写像の作用、本質や特徴に関しては、谷口(2003: 58-60)は
Lakoff
(1993)に基づいて次のようにまとめている。
Ⅰ.メタファーの性質
a.
メタファーは、抽象的概念を理解し、抽象的推論を遂行するための主要なメカニズ ムである。b.
世俗的なものから深遠な科学理論にいたるまで、多くの事柄はメタファーを介して のみ理解される。c.
基本的にメタファーは概念的なものであり、言語的なものではない。d.
メタファー的言語表現は、概念メタファーが表出したものである。出合い 過 程 結婚 経 路
起点 終点
e.
概念体系の多くはメタファー的であるが、その重要な部分は非メタファー的7であ る。メタファー的理解は、非メタファー的理解に基づく。f.
メタファーによって、比較的抽象的な、あるいは本来十分な構造を持たない事柄を、より具体的で構造化された事柄によって理解することができる。
Ⅱ.メタファーの構造
a.
メタファーは、概念領域間の写像である。b.
写像は部分的であり、非対称的である。c.
写像はすべて、起点領域にある要素と、目標領域にある要素の間の対応関係が集ま った、定まった集合である。d.
定まった対応関係が活性化された場合、写像によって、起点領域の推論パターンを 目標領域の推論パターンに投射することができる。e.
メタファー写像は、「起点領域のイメージ・スキーマ構造を、目標領域の本来の構 造と矛盾のないよう投射する」という「不変性原理」(Invariance Principle)に従 う。f.
写像は恣意的なものではなく身体および日常的な経験・知識に根差している。g.
概念体系には、数多くの慣例的なメタファー写像があり、それらは高度に構造化さ れた下位体系を形成している。h.
写像には2
種類ある。1
つは概念的な写像で、もう1
つはイメージの写像である8。 ただし、双方とも不変性原理に従う。Ⅲ.メタファーの諸側面
a.
慣例的な概念メタファーの大部分は無意識的で、自動的であり、労力をかけずに使 用される。それは、私たちの言語体系やその他の概念体系と同様である。b.
慣例的メタファーの体系は、自動的に、意識にのぼらないレベルでたえず使用され ているという点では、文法・音韻の規則と同様に「生きて」いると言える。c.
メタファーの体系は、私たちの経験の理解にとって中心的であり、また、私たちが その理解を実行する方法にとっても中心的である。7 ここで言う「非メタファー的」なものとは、他の抽象的概念の基盤となる方向などの空間的概念 を指す(谷口 2003: 67)。
8 例えば、先述した
LOVE IS A JOURNEY(恋愛は旅)のメタファーにおいては、「旅」という概
念に関わる豊富な知識が「恋愛」という概念の構造に写像されているのに対し、「君の瞳はダイヤモ ンドだ」という表現においては、ダイヤモンドの「光る」という具体的なイメージが瞳に写像され ている。d.
慣例的メタファーは、静態的な対応関係であり、それ自体はアルゴリズム的な性質 のものではない。しかし、だからと言って、静態的な対応関係が連続的な言語処理 に用いられる可能性を排除しているわけではない。e.
メタファーは、類似性よりもむしろ、経験における対応関係に基づいている場合が 多い。f.
メタファーの体系は、言語の文法および語彙において、主要な役割を担っている。g.
メタファー写像の持つ普遍性は、さまざまである。普遍的なもの、広範に行き渡っ たものもあれば、文化特有のものもある。h.
詩的メタファーは、大部分が日常的・慣例的なメタファー的思考の拡張である。Lakoff & Johnsonのメタファー写像理論は、概念メタファーの研究を大いに推進したが、
問題点も少なくない。その後、Grady(1997)はメタファー写像理論における「写像の不 完全性」や「経験基盤の欠如」9などの問題点を指摘し、その解決法として「プライマリー・
メタファーの理論」を提案した。それによれば、概念メタファーにはプライマリー・メタ ファーと、それによって構成される複合的メタファー(complex metaphor)の2種類があ る。プライマリー・メタファーとは、直接的な経験基盤がありそれによって言語的データ を予測できるメタファーであり、複合的メタファーとは、複数のプライマリー・メタファ ーから合成されたメタファーである。ここで言う直接的な経験基盤とは、人間が原始的に よく経験する基本的な場面における、感覚運動的な経験と主観的な経験や判断が共起する 場合を指す。プライマリー・メタファーの例として、次のようなものが挙げられる。
ACTION IS SELF-PROPELLED MOTION(行動は自力移動)
経験基盤:何か行動する時に、よくどこかへ移動する。
表現例:I’ve got to start
moving on this project.(私はこのプロジェクトを進めること
を決めた。)DESIRE/NEED IS HUNGER(欲求は飢餓)
9 写像の不完全性とは、起点領域にある重要な要素が、目標領域にそれに対応する要素を持たない ことを指す。例えば、THEORIES ARE BUILDINGS(理論は建築物)というメタファーに関して は、起点領域の「建築物」に必要不可欠な「窓」という要素を利用した“This theory has no windows. ” というメタファー表現は、一般に成り立たないと考えられる。また、経験基盤の欠如は、起点領域 の概念と目標領域の概念の間に経験上の直接的な共起関係がないことである。例えば、THEORIES
ARE BUILDINGS
の場合は、「理論」と「建築物」の間に直接の共起経験が認められにくい。経験基盤:お腹が空いている時に、食物を探して食べようとする欲求が湧いてくる。
表現例:We’re
hungry for a victory.(私たちは勝利を欲している。)
UNDERSTANDING IS GRASPING(理解はつかむこと)
経験基盤:ある物体に関わる知識は、その物体を手につかんで操作することで得られる。
表現例:I’m trying to
grasp the meaning of this verdict.(私はこの評決の意味をつか
もうとしている。)(Grady 1997: 287-297)
これらのプライマリー・メタファーでは、それぞれ感覚運動的な経験(自力移動、飢餓、
つかむこと)と主観的な経験や判断(行動、欲求、理解)が、原初的経験における共起性 を介して繋がっている。また一方で、複合的メタファーの例に関しては、
THEORIES ARE BUILDINGS(理論は建築物)のメタファーは以下の2つのプライマリー・メタファーか
ら構成されるとされている(Grady 1997: 45-50)。①ORGANIZATION IS PHYSICAL STRUCTURE(組織は物理的構造)
a. The theory has completely unraveled .(あの理論は徹底的に崩れている。)
b. Our marriage is in tatters .(私たちの結婚はぼろぼろだ。)
②VIABILITY IS ERECTNESS(正しく機能することは真っ直ぐ立つこと)
a. The speed record for the mile still stands .(1マイル競争のスピード記録はまだ破
られていない。)b. This situation will not stand .(この情勢は続かないだろう。)
具体的には、まず①と②が複合し、《正しく機能する組織は真っ直ぐ立つ物理的構造》と いうメタファーがなされ、その後、起点領域と目標領域の具現化によりTHEORIES ARE
BUILDINGSという複合的メタファーが出来上がったと考えられる。
また近年、鍋島(2011)はプライマリー・メタファーの理論を批判し、①プライマリー・
メタファーは、複合的メタファーに対して特権的地位を持たないこと、②メタファーの合 成のもとになるのはプライマリー・メタファーである必要はなく、メタファーの合成は異 なるレベルで何重にも作用することができること、③メタファーの基盤として知覚的基盤 と概念的基盤があり、その双方がメタファー表現の形成に重要であることなどを主張しな がら、認知の諸機構と複数のメタファーが自由に合成されてメタファー表現を成す多重制
約充足的な機構を想定した身体性メタファー理論を唱えている。身体性メタファー理論に よれば、人間には、イメージ・スキーマ/構造性、カテゴリー性、近接性や評価性などの 様々な認知機構による共起リンクがあり、メタファーはそのシステム全体の中で捉えられ る必要があるという。例えば、次の「困難」に関する表現例においては、本来マイナスの 評価性のものにはすべてメタファーを形成する素地があるが、①~④の場合は自然な表現 になっているのに対し、部分的に衝突のある⑤や⑥の場合はメタファー表現を形成できな い、という多重制約充足的システムを窺うことができる。
① 貧困と戦う (《貧困は敵》)
② 問題を抱える (《問題は重荷》)
③ 弾圧を乗り越える (《弾圧は障害物》)
④ 病に蝕まれる (《病は害虫》)
⑤ 害虫に冒される (《害虫は病》:具体的で身体的なものが起点領域となる傾向 に反するため)
⑥ 重荷と戦う (《重荷は敵》:重力軸である上下軸と戦いの基本方向軸であ る前後軸が不整合なため)
(鍋島 2011: 119)
このように、メタファー表現の形成に関しては、一般に
1
つの認知機構のみによって動機 づけられるのではなく、複数の認知機構からの多重制約を受けるのである。2.2.2 概念メタファーの基盤
概念メタファー理論では、離れた2つの領域の写像がなぜ存在するかというメタファー の基盤(動機づけ)が重要だとされている。Lakoff & Johnson(1980)以後は、主にメタ ファーの共起性基盤、即ち起点領域と目標領域が共起する状態を体験することが重要視さ れ、議論されてきている。例えば、前節で触れたACTION IS SELF-PROPELLED
MOTION、 DESIRE/NEED IS HUNGER、 UNDERSTANDING IS GRASPINGなどのプ
ライマリー・メタファーは典型的な共起性基盤を持っている。他には、先述したHIGH
STATUS IS UP; LOW STATUS IS DOWNのメタファーに関しては、次のような共起経験
が挙げられる。経験基盤10:古い時代では、体の大きい人は一般に体力があり、格闘で勝って上に乗っ た状態になる。また、勝った人は首領などになり、高いところに座り、高い社会的地位 と権利を有する。
また、《楽しい状態は上、悲しい状態は下》のメタファーは、人間は一般に嬉しくて元気で ある時はまっすぐな姿勢になり、悲しくて気持ちが沈んでいる時はうなだれた姿勢になる という共起経験に根差していると考えられる。このように、共起性基盤はメタファー基盤 の重要な
1
種であり、軽視できないものである。しかし近年、鍋島(2011)では、具体的な言語例に基づき、メタファーの基盤として共 起性基盤だけでなく、同じく身体的経験に根ざしている構造性基盤と評価性基盤も存在す ることを主張している11。まず、構造性基盤とは、イメージ・スキーマ、または形状が基 盤となることを指す。例えば、次の
2
つのメタファーはそれぞれ「連続体」と「力」のス キーマを共有する構造性基盤のメタファーである。《群衆は水》(「連続体」のスキーマを共有する)
a.
駅からずっと甲子園に行く人の流れが続いている。b.
陽子は人波に飲まれていった。《心理的力や社会的力は物理的力》(「力」のスキーマを共有する)
a.
僕の感情は現実の大きさに押しつぶされようとしていた。b.
政治家が僕たちの活動に圧力をかけてきた。
(鍋島 2011: 105-108)
一方、「わたあめ」、「氷砂糖」、「グローブの手」、「大根足」、「ワシ鼻」12などの表現の形成 に関しては、形状の類似が基盤となっていると考えられる。次に、意味には、通常の辞書 的意味とは別に、良い感じや嫌な感じ、大きい感じや小さい感じといった情緒・感覚的な 意味が存在する。その意味に含まれる評価性(好ましい評価性、否定的な評価性)が基盤
10 この説明は
Lakoff & Johnson(1980: 16)を参考にしたうえで著者の解釈も付け加えたものであ
る。11 鍋島(2011: 111-113)では、カテゴリーがメタファーの基盤となるケースにも触れているが、カ テゴリー性基盤は構造性基盤に還元でき、その特殊例であると説明している。
12 これらの例は鍋島(2011: 124-126)から引用したものである。
となるものが評価性基盤のメタファーである。例えば、以下の善悪に関するメタファーに おける「白」、「黒」などの起点領域は本来評価性を含んでいる。
《善は白、悪は黒》:
a.
黒い霧、b.
身の潔白を証明する《善は均等、悪は歪み》: a. モラルのゆがみ、
b.
歪んだ政治《善は奇麗、悪は汚れ》: a. 汚れた政治家、
b.
手を汚す(鍋島 2011: 110)
評価性基盤のメタファーにおける起点領域と目標領域は、評価性に由来する価値類似性を 介して繋がっている。このように、実際的には構造性基盤のメタファーも評価性基盤のメ タファーもある種の類似性(客観的類似性または主観的類似性)に基づいている。それゆ え、本質的には、共起性基盤は換喩に基づくのに対し、構造性基盤と評価性基盤は隠喩に 基づくと考えられる。ここで言う換喩とは何らかの隣接性を持つ
2
つの事物の一方を用いて 他方を指示する認知様式を指し、隠喩とは何らかの類似性を持つ2つの事物の一方を用いて 他方を理解・経験する認知様式を言う(籾山 2010: 35-52)。2.2.3 概念メタファーの種類
概念メタファーの種類に関しては、2.2.1 節と
2.2.2
節で見てきたGrady(1997)の複
合性による分類(プライマリー・メタファー、複合的メタファー)と鍋島(2011)の基盤 による分類(共起性基盤のメタファー、構造性基盤のメタファー、評価性基盤のメタファ ー)の他に、Lakoff & Johnson(1980)、Lakoff(1987b)、Lakoff & Turner(1989)、Lakoff(1993)、Lakoff & Johnson(1999)、Kövecses(2002)
、高尾(2003)などで は、①メタファーの慣習性、②メタファー写像の機能状況、③メタファーの認知的機能、④メタファーの複雑性、⑤メタファーの一般性などの観点に基づいた分類がなされている。
以下ではその詳細について見ていく。
(1)メタファーの慣習性
ほとんどの人によく利用され、概念・思考体系に埋め込まれている慣例的メタファーも あれば、個人的であまり利用されない新しいメタファーもある(Lakoff & Johnson 1980:
139-146、Kövecses 2002: 29-32)。例えば、英語の“love(恋愛)”という目標領域に関し
ては、一般に、“journey(旅行) ”
(例:We’re at acrossroads
(私たちは十字路にある))、“fire(火)”(例: burning with love(恋のために燃えている)
)、“physical unity(物理 的統一)”(例:We are asone
(私たちは一つになっている))、“insanity(狂気)”(例:I’m madly in love
(私は狂おしいほど恋している))、“economic exchange(経済的取引)”
(例:
She invested a lot in that relationship
(彼女はその恋愛関係にたくさん投資した))、“physical forces(物理的力)”(例:She attracts me irresistibly(彼女の魅力に私は争え
ない))、“magic(マジック)”(例:I’menchanted
(僕は魔法にかけられた))、“war(戦 争)”(例:She eventuallysurrendered
(彼女はやっと降参してくれた))などの起点領 域の概念を通して理解されている。以上のような概念メタファーはすべて無意識に使われ ている慣例的メタファーである。しかし一方で、恋愛の目的、責任、コストなどの面にフ ォーカスすれば、LOVE IS A COLLABORATIVE WORK OF ART(恋愛は芸術作品の合 作)という新しいメタファーを作ることも不可能ではない。このメタファーは、主に詩人、芸術家、政治家、科学者などによって何らかの目的を実現するために多数使われている。
(2)メタファー写像の機能状況
メタファーの慣習性による分類と少し関連し、メタファー写像の機能状況により「死ん だメタファー(dead metaphor)」と「生きたメタファー(living metaphor)」という区分 がある(Lakoff & Johnson 1980: 54-55,1999: 125、Lakoff 1987b)。ここで言う死んだ メタファーとは、その根底にある写像が機能せず、概念体系の中に存在しなくなったもの を指す。例えば、
A MOUNTAIN IS A PERSON(山は人)という概念メタファーの場合、
“the foot of the mountain
(山の麓)”とは言えるが、 “the head of the mountain
(山の頭)”
や“theshoulder of the mountain
(山の肩)”などとは言えない。そのため、 A MOUNTAIN
IS A PERSON
という概念メタファーは生産性と系統性が欠ける、孤立したものであり、もはや概念体系の一部になっているとは考えられない。それに対して、HAPPY IS UP;
SAD IS DOWN
などの概念メタファーは、新しいメタファー表現を生む生産性があるがゆえに、「生きたメタファー」とみなされる。しかし言語使用の際に、概念レベルの写像は生 きているが、それは機能しない例も存在する。例えば、“comprehend(理解する)
”の意味
は、
UNDERSTANDING IS GRASPING
(理解はつかむこと)という生きたメタファーに由来しており、ラテン語では「固く握る」という意味であったが、現在では、「つかむ」と いう起点領域の意味は既に消失し、「分かる」という目標領域の意味のみを持っている。我々 は“comprehend”という単語を運用する際に、UNDERSTANDING IS GRASPINGという メタファーは生きているが、働いていない。それゆえ、言語使用の際には、概念メタファ
ーが生きていることは、それが機能していることと異なり、起点領域の意味の存在が、メ タファーが機能する必要条件となっている。
(3)メタファーの認知的機能
メタファーの認知的機能から見れば、概念メタファーは「構造のメタファー(structural
metaphor
)」、「存在のメタファー(ontological metaphor)」と「方向性のメタファー(orientational metaphor)」に分けられる(Lakoff & Johnson 1980、Kövecses 2002:
32-36)。
まず構造のメタファーとは、比較的豊富な知識構造を持つ起点領域の経験や概念が目標 領域の経験や概念に構造的な類似性を特徴付けるという機能を持つものを指す。例えば、
TIME IS MONEY
(時は金)というメタファーに基づいて、“You're wasting my time.
(あ なたは私の時間を浪費している。)”、“I’veinvested a lot of time in her.(彼女に多くの時
間を投資した。)”、“The gadget willsave you hours.(この装置を使えば、何時間も節約
できる。)
”などの様々なメタファー表現が運用されている。我々は、起点領域である「金」
に関する様々な知識を用いて「時間」という目標領域に構造を与え、構造的な類似性を特 徴付けている。換言するならば、我々は、「金」の知識構造により「時間」の諸側面を把握 している。
次に、存在のメタファーとは、抽象的なものを「存在物」、「内容物」、「容器」などの実 体のある具象物として捉える役割を担うものである。しかし、その「存在物」、「内容物」、
「容器」の具体的な種類などについてははっきりしない。我々は、一般性を有する「存在 物」、「内容物」、「容器」についての知識は限られているため、存在のメタファーは目標領 域にわずかな認知的構造しか与えられなく、それを通しても目標領域の概念に対する理解 は大きくは深まらない。しかし、存在のメタファーは範囲がすこぶる広範にわたり、非常 に普遍的なものであり、様々な抽象的な経験を理解するのに重要な認知的機能を果たして いる。その典型例としては、次のメタファーがある。
VISUAL FIELDS ARE CONTAINERS(視界は容器)
a. The ship is coming into view .(船はだんだん視界に入ってきている。
)b. I have him in sight .(僕は彼を視界に入れた。)
(Lakoff & Johnson 1980: 30)
我々は、容器に関する知識を用いて視界を理解している。
最後に、方向性のメタファーとは、量、時間、社会的等級、心理状態、感情、支配力、
善悪の価値観など、本来は非空間的な経験に空間的方向性を与え、それを「上下」、「内 外」、「前後」などの位置関係として概念化し我々の概念体系と一貫性を持たせる認知的 機能を担うものを指す。ここでいう「一貫性」とは、目標領域の概念は整然とした方法に よって概念化される傾向があることである。例えば、次のような方向性のメタファーがあ る。
CONSCIOUS IS UP; UNCONSCIOUS IS DOWN(意識は上、無意識は下)
a. Wake up .(起きろ。)
b. He sank into a coma.(彼は昏睡状態に陥った。)
HAPPY IS UP; SAD IS DOWN(楽しい状態は上、悲しい状態は下)
a. I’m feeling up today.(僕は今日気分上々だ。)
b. He’s really low these days.(彼はここ数日本当に落ち込んでいる。)
(Kövecses 2002: 36)
これらのメタファーにおいては、
“UP
(上)”はほとんどプラス価値を持つ概念を、 “DOWN
(下)”はほとんどマイナス価値を持つ概念を概念化している。
(4)メタファーの複雑性
複雑性の観点によれば、先述した
VISUAL FIELDS ARE CONTAINERS
やHAPPY IS
UP; SAD IS DOWN
のような比較的簡単な構造を持つメタファーの他に、「事象構造のメタファー(The Event Structure Metaphor)」と「存在の大連鎖のメタファー(The Great
Chain Metaphor)
」のような複雑なメタファー・システム(metaphor system)もある(Lakoff & Turner 1989: 160-213、Lakoff 1993、Kövecses 2002: 121-139)。その中で、
事象構造のメタファーは更に
2
重の構造になっている場所タイプ(location type)と対象 物タイプ(object type)に分けられる。場所タイプの事象構造のメタファーは主に次のメ タファーから構成される。STATES ARE LOCATIONS(状態は場所)
例: They are
in love.(彼達は恋愛中だ。
)CHANGES ARE MOVEMENTS(変化は移動)
例:He
went crazy.
(彼は熱狂的な状態に至った。)CAUSES ARE FORCES(原因は力)
例:The hit
sent the crowd into a frenzy.(その安打は群衆を熱狂的な状態に至らせ
た。)ACTION IS SELF-PROPELLED MOTION(行動は自力移動)
例:We’ve taken the first
step .(私たちは最初の一歩を踏み出した。)
PURPOSES ARE DESTINATIONS(目的は目的地)
例:He finally
reached his goals.(彼はやっと目的に到達した。
)MEANS ARE PATHS(方法は道)
例:She went from fat to thin
through an intensive exercise program.(彼女は集中
的な運動プログラムを通して太い状態から痩せてきた。)DIFFICULTIES ARE IMPEDIMENTS(困難は障害物)
例:Let’s try
to get around this problem.(この問題を迂回してみよう。
)LONG-TERM, PURPOSEFUL ACTIVITIES ARE JOURNEYS(長期の目的のある活
動は旅)例:You should
move on with your life.(あなたは人生で前に進むべきだよ。)
(Kövecses 2002: 135)
出来事の様々な側面(状態、変化を起こす原因、変化自身、行為、行為の目的、方法など)
は場所、力、移動などの物理的な概念を通してメタファー的に理解されている。これに対 し、対象物タイプの事象構造のメタファーは主に次のメタファーからなる。
ATTRIBUTES ARE POSSESSIONS(属性は所有物)
例:I
have a headache.(私は頭痛がある。)
CHANGES ARE MOVEMENTS OF POSSESSIONS(変化は所有物の移動)
例:My headache
went away .(私の頭痛は立ち去った。)
CAUSES ARE FORCES(原因は力)
例:The aspirin
took away my headache.( アスピリンが私の頭痛を持ち去った。
)ACTIONS ARE SELF-CONTROLLED ACQUISITIONS OR LOSSES(行動は自力的
な獲得、あるいは喪失)
例:
Seize the opportunity.(そのチャンスをつかめ。
)PURPOSES ARE DESIRED OBJECTS(目的は求められている対象物)
例:He is
pursuing a goal.(彼はある目的を追っている。
)(Lakoff 1993)
我々は、属性、変化、原因、目的などの出来事の様々な側面を、所有物、所有物の移動、
力、対象物などの物理的な概念を通してメタファー的に理解している。このように、事象 構造のメタファーは世界の出来事がどのようにメタファー的に理解されるかについて描き、
出来事の構造を理解する上で大きな役割を果たしている。その一方で、存在の大連鎖のメ タファーは、事象構造のメタファーと異なり、主に世界の物体がどのようにメタファー的 に概念化されるかについて語る。世界の全般的な秩序については、次のような基本的な大 連鎖というものが存在する。
基本的な大連鎖
人間:高等な性質とふるまい(思考、人格など)
動物:本能的な性質とふるまい 植物:生物学的な性質とふるまい
複雑な物体:構造的な性質と機能的なふるまい 自然物:自然の物理的性質とふるまい
(Lakoff & Turner 1989、大堀訳 1994: 185)
世界の秩序は事物の性質と行動を上下関係にしたがって分配することで規定され、各レベ ルの事物は下位レベルの事物の性質を兼ね備えている。基本的な大連鎖の中のあるレベル の事物(動物など)を利用して他のレベルの事物(人間など)を理解することにより存在 の大連鎖のメタファーができあがる。このようなメタファー的なプロセスは、上位レベル から下位レベルへも下位レベルから上位レベルへも実現できるため、次の擬人化のメタフ
ァーと
PEOPLE ARE ANIMALS(人間は動物)のメタファーの両方が同時に存在するこ
とになる。
PERSONIFICATION(擬人化のメタファー)
a. The boulder resisted all of our efforts to move it.
(その巨石は私たちが動かそうと することに抵抗した。)b. The fire burned cheerfully .(その火が元気よく燃えた。
)(高尾 2003)
PEOPLE ARE ANIMALS(人間は動物)
a. That man was a brute , he spent the little he earned on drink.(その男は畜生だ。
彼は稼いだわずかなお金をすべて飲みに使ってしまった。)