• 検索結果がありません。

振動を活用したトンネル覆工の変状進展性評価に関する研究 利用統計を見る

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "振動を活用したトンネル覆工の変状進展性評価に関する研究 利用統計を見る"

Copied!
185
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

振動を活用したトンネル覆工の変状進展性評価に関する研究

山梨大学大学院

医学工学総合教育部

博士課程学位論文

(2)
(3)

― 目 次 ―

第 1 章 序論 ... 1 1.1 研究の背景... 1 1.2 研究の目的... 4 1.3 論文の構成... 6 第 2 章 コンクリートの変状進展性評価に関する既往の研究... 8 2.1 トンネル覆工の変状監視方法... 8 2.2 振動を活用した構造物の欠陥検出方法 ... 14 2.2.1 変状の振動特性に着目した方法 ... 14 2.2.2 構造系の固有振動数等に着目した方法 ... 22 2.2.3 変状による振動波形の乱れに着目した方法 ... 25 2.3 まとめ... 29 第 3 章 鉄道トンネルにおける振動計測と覆工の振動特性... 34 3.1 振動計測の目的と概要... 34 3.1.1 既往の振動計測事例 ... 34 3.1.2 本論文における振動計測の目的と概要 ... 34 3.2 計測対象箇所の概要... 35 3.2.1 計測対象トンネルの諸元 ... 35 3.2.2 振動計測箇所 ... 37 3.3 振動計測方法... 40 3.3.1 振動計測システムの概要 ... 40 3.3.2 振動測定方法の概要 ... 45 3.4 振動計測結果及び考察... 47 3.4.1 測定した振動の時刻歴波形 ... 47 3.4.2 計測した波形の周波数特性 ... 51 3.5 列車通過時の振動のトンネル覆工変状進展評価への活用策 ... 61 3.5.1 トンネル覆工の振動特性を評価する指標 ... 61 3.5.2 実トンネルにおける覆工表面加速度のフーリエスペクトル比... 63 3.6 まとめ... 70 第 4 章 梁試験体を用いた振動実験... 72 4.1 実験の目的と概要... 72

(4)

4.5.1 定量化の方法 ... 100 4.5.2 定量化した指標の適用性検討 ... 101 4.6 まとめ... 106 第 5 章 トンネル覆工大型模型を用いた振動実験... 108 5.1 実験の目的と概要... 108 5.2 トンネル覆工大型模型載荷試験装置の概要 ... 109 5.2.1 試験装置の概要 ... 109 5.2.2 実験に用いた試験体の概要 ... 111 5.3 実験方法... 112 5.3.1 載荷試験方法 ... 112 5.3.2 振動実験方法 ... 114 5.4 実験結果及び考察... 120 5.4.1 載荷に伴う変状の進展 ... 120 5.4.2 変状進展に伴う振動特性の変化 ... 139 5.4.3 トンネル覆工模型載荷実験における進行性指標 ... 148 5.5 まとめ... 163 第 6 章 振動を活用したトンネル覆工変状監視方法の提案... 166 6.1 はじめに... 166 6.2 本論文で提案した変状監視方法の位置づけ ... 167 6.3 変状進展監視方法... 169 6.3.1 進行性指標を活用した変状監視の流れ ... 169 6.3.2 進行性指標の算定方法 ... 170 6.3.3 変状進行性の判定 ... 172 6.4 まとめ... 173 第 7 章 結論 ... 175

(5)

第1章 序論

1.1 研究の背景 土木構造物は,長い年月の間,厳しい自然環境の下であっても,要求されている機 能を保持することが求められているが,長い年月の間には,様々な劣化要因が作用し て,構造物の本来の機能が低下する場合もある。ここで特にコンクリート構造物に着 目すると,高経年化したコンクリート構造物の増加に伴い,土木学会コンクリート標 準示方書においては 2001 年に維持管理編1)が制定され,コンクリート構造物の維持管 理に関する基本的な考え方やコンクリートの機能低下を生じさせる劣化機構と具体的 な維持管理の方法が示されている。なお,このコンクリート標準示方書は 2007 年に改 定2)が行われている。 トンネル構造物については,1999 年に発生した覆工コンクリートのはく落事故を契 機に,はく落に対する安全性が重要視されるようになった。土木学会では,トンネル 工学委員会技術小委員会に「山岳トンネル覆工の現状と対策」の検討部会が設置され, 山岳トンネルの覆工コンクリートを対象として,その役割,必要な品質,そしてそれ を満足させる施工法,さらに既設トンネルをも含めた点検,調査,変状の実情の調査, 変状が生じたトンネルの補強・補修について技術的な集約がなされている 3)。また, 鉄道分野では,鉄道構造物の標準的な維持管理の手法をまとめた「鉄道構造物等維持 管理標準・同解説」が 2007 年に刊行されている4)。そして,鉄道トンネルについては, 構造物の健全性の確認を行うとともに,はく落に対する安全性についても健全度の判 定を行うこととしている。 上記のように,トンネル覆工のはく落を防止するための技術的な取り組みが多くな されてきてはいるものの,土圧の作用による継続的な変形,トンネル近くで行われる 別工事の影響,材料そのものの寿命など,覆工コンクリートのはく落の要因となる事 象が存在しており,はく落事故が継続して発生しているのが現状である。トンネル覆 工コンクリートのはく落は,たとえ小規模なものであっても,社会生活・経済活動へ の悪影響や,設備の安全性・信頼性が問題視されるなど社会的反響が大きいことから,

(6)

2 か,はく落が発生する恐れはないのかを,リアルタイムで精度良く監視することが必 要である。また,覆工コンクリートのはく落は,図 1.1.1 に示すように,覆工内部で ひびわれ等の変状が潜在的に進行して突発的に生じることから,状態監視箇所として 抽出した変状箇所を精度良く,常に監視することが必要となっている。 しかし,営業使用中のトンネルでは,夜間などの列車が走行しない合間でしか調査 ができないという時間的な制約があり,リアルタイムの状態監視とはなっていないこ とが課題である。また,人手による調査では,調査できる回数や範囲に限界があるこ と,熟練した技術者の判断が必要なこと,熟練した技術者でも変状の進展に気付かな い場合があることも課題となっている。大型の検査機械を導入することも考えられる が,調査時間の制限や費用の面から頻繁に導入することは困難であり,離散的な状態 監視にならざるを得ないのが実状である。このような課題が残されており,トンネル 覆工コンクリートのはく落事故が十分に防止できていないことから,トンネル覆工コ ンクリートはく落のリスクを低減させる技術開発は必要不可欠であるとの認識が高ま ってきている。 鉄道トンネルにおいて,覆工コンクリートのはく落リスクを低減させるためには, 「検査時にはく落が発生する可能性のある箇所を精度良く合理的に抽出する技術」と 「状態監視箇所として抽出した変状箇所の監視を充実させる技術」の 2 つが必要にな る。前者については,近年,電磁波レーダーやレーザ超音波などを活用した検査装置 が開発され5,6,7),検査精度や効率の向上が図られている。しかしながら,後者の監視 技術については,予防保全の観点からも必要不可欠であるにもかかわらず,これまで 合理的かつ実用的な手法や解決策が提案されていないのが実状である。 「状態監視箇所として抽出した変状箇所の監視を充実させる技術」としては,亀裂 変位計や光ファイバを用いた方法等がある。しかし,亀裂変位計の場合,覆工表面に 生じているひびわれの検出箇所にセンサを設置し,そのセンサ位置でのひびわれの動 きを監視することから,センサから離れた位置やセンサを設置しているひびわれ以外 の進行性を監視できない。光ファイバはある程度広範囲の監視は可能であるが,覆工 表面でのひずみや変位の動きを監視することから,覆工コンクリート深部での変状の 動きを直接的に監視することができない。また,両手法ともひびわれの延長距離が長 くなったり,複数のひびわれが生じたりしている場合には,多数のセンサの設置が必 要となり,コストの増大が生じてしまう問題がある。 変状箇所の状態を監視する技術には,変状箇所の動きを直接的に監視する方法の他 に,ハンマー等でコンクリート表面を打撃し,得られた応答波形から間接的に特定の 局所的な変状を検知する技術がある。特定された箇所に対しては変状が進展したとき を検知する精度が比較的高いと考えられるものの,変状箇所の狭い範囲を特定する必 要がある。また,ハンマー等の打撃エネルギーが小さいことから,変状の検知はコン

(7)

クリート表面付近に限定されてしまう。このことから,状態監視をしている特定の変 状箇所以外に変状の進展があった場合や,コンクリート覆工の深部で変状の進展があ った場合は,これらの変状進展の検知が困難であり,はく落監視としては十分ではな い。また,主に橋梁構造物を対象として,構造系の振動モードの変化で変状を検知す ることが行われている。この方法は,変状箇所の狭い範囲を特定せずに構造物の健全 性を評価することが可能であるという利点があるが,変状がかなり進行しないと検知 できない課題があり,細かなひびわれの進展等を検知できない。このことから,構造 系の振動モードの変化で変状を検知する方法も覆工のはく落監視には適していない。 以上のように,既存の状態監視技術は,覆工表面に現れた変状に着目した状態監視 が主であり,比較的広範囲での変形や連続したひびわれであっても,現実的には,そ のうち代表的な数点での計測が行われるだけの状態監視である。既存技術による計測 では,計測する箇所やひびわれを限定する必要があり,さらに,新たなひびわれや材 料劣化等が生じた場合には,変状の進展を監視できなくなるという問題点もある。す なわち,現状のトンネル覆工コンクリートのはく落事故防止に対しては,「状態監視箇 所として抽出した変状箇所の監視を充実させる技術」が十分に確立されていない。 そこで,本論文では,日常の検査で変状が顕在化している箇所を対象に,トンネル の覆工コンクリートのはく落事故防止のために,変状箇所周辺の変状進展状況を精度 良く監視する方法について検討を行うこととした。

変状進行

ひび割れ

「検査時」

進行の

可能性

(8)

4 1.2 研究の目的 トンネル覆工コンクリート内で生じている変状に何らかの進展があった場合は,覆 工内を伝播する振動の特性に変化が生じるものと想定される。そこで,本論文では, トンネル覆工に生じている変状の進行性の有無を,潜在的な進行であっても検知でき るようにするために,変状が進展したときの覆工の振動特性の変化を定量的に評価す る方法を構築することを目的とする。具体的には,以下のことを行う。 まず,実際の鉄道トンネルでの計測結果に基づいて,トンネル内を通過する列車の 種類や速度に依存しない,覆工の振動特性を評価するための指標について検討する。 周辺環境への振動の影響を調べるために実施されている列車走行時の振動計測では, 対象とする周波数を 1,000Hz 以下としている場合が多いが,変状の微細な進展を検知 するためには,振動の波長を考慮すると,数千 Hz までを対象とする必要がある。そこ で,実際のトンネルにおいて計測した高周波数帯までの振動レベルの安定性等につい て,フーリエスペクトルや測定点間でのフーリエスペクトルの比等に着目しながら検 討し,列車の種類や速度に依存しない,覆工の振動特性を評価するための指標につい て検討する。 次に,覆工の振動特性を評価するための指標は,変状進展時に有意な変化を示すこ と,および,変状の違いを定量的に表示できることが必要であることから,ひびわれ 長さを部材深部で変化させたコンクリートの梁試験体や浮きを模擬した梁試験体を作 製して,振動を加えた実験を実施する。そして,この実験結果に基づいて,ひびわれ の潜在的な進展や浮きの存在が指標の変化にどのような影響を及ぼすかを検討すると ともに,この変化の定量的な評価法についても考察を加える。 さらに,上記で対象とした覆工の振動特性を評価するための指標が,さまざまな変 状の進展に対して適用可能か否かを確認するために,トンネル覆工の大型模型を作製 し,段階的に載荷することによりひびわれ等の変状を進展させながら振動実験を行う。 そして,あらたなひびわれの発生,ひびわれ幅や長さの進展,はく離やはく落の発生 等の変状が連続的に進展したときの指標の変化のしかたや,変状進展性の検知の精度 について検討する。 最後に,これまでの検討結果を踏まえ,トンネル覆工に生じている変状の進行性の 有無を,潜在的な進行であっても検知できる変状監視方法について提案する。なお, 本研究が目指す状態監視方法の概念図を示したのが図 1.2.1 である。

(9)

図 1.2.1 列車振動を活用した変状監視の概念

列車振動 入力源

振動伝播

変状進展監視

センサ

(10)

6 1.3 論文の構成 この序論では,研究の背景と目的を示すとともに,本論文で対象とする列車振動を 活用した変状監視方法が既存技術と大きく異なる特徴を有しており,潜在的な変状の 進展も検知できる可能性のある実用的な方法であることを述べている。 第 2 章では,現状のトンネルのコンクリート覆工の変状監視方法や既往の研究につ いてとりまとめを行い,現状の技術の課題点について述べている。また,振動を活用 して健全度を評価する既往の代表的な手法の内容を整理し,現状の適用上の課題を抽 出している。その上で,本論文で着目している変状監視方法が特徴的であることを明 らかにしている。 第 3 章では,実際の鉄道トンネルを対象として,列車が走行する際にトンネル覆工 表面で生じている振動の計測結果と分析結果についてまとめている。この振動の計測 では,数千 Hz までの高い周波数帯までの振動の計測結果が得られている。これらの計 測結果に基づいて,フーリエスペクトルや,測定点間でフーリエスペクトルの比を求 めたものに基づいて,トンネル覆工の振動特性を評価するための指標について検討し ている。 第 4 章では,ひびわれや浮きを模擬したコンクリート製の梁試験体を作成し,振動 を加えた実験結果についてまとめている。ひびわれ長さを部材深部で変えたコンクリ ートの梁試験体を作製し,ひびわれの潜在的な進展を模擬したときやコンクリートの 浮きの有無による変状監視のための指標の違いについて検討を行っている。また,変 状監視に適用することを想定して,振動特性の変化の定量的な評価法についても提案 している。 第 5 章では,トンネル覆工の大型模型に載荷を行うことでひびわれやはく落を進行 させたときに振動を加えた実験結果についてまとめている。第 4 章で提案した変状監 視の評価指標について,様々な変状の進展性に対する適用性について検討した結果を まとめている。 第 6 章では,第 3 章~5 章で得られた知見に基づいて,トンネル覆工の変状監視方 法の提案を行っている。 最後に第 7 章では,第 2 章~6 章で得られた結論を総括し,今後の課題についてま とめている。

(11)

第 1 章の参考文献 1)土木学会:コンクリート標準示方書[維持管理編],2001.1 2)土木学会:コンクリート標準示方書[維持管理編],2007.12 3)土木学会:山岳トンネル覆工の現状と対策,2002.9 4)鉄道総合技術研究所:鉄道構造物等維持管理標準・同解説,2007.1 5)前川聡,斉藤秀樹,向井一弘,松原重行,北阪純一:電磁波を使用したコンクリー ト内部欠陥の検出と種別判定の試み(1),シンポジウム「コンクリート構造物の非 破壊検査への期待論文集、vol.1」,pp.191-198,(社)日本非破壊検査協会,2003.7 6)田村隆志,森島弘吉:電磁波を利用したトンネル覆工内部検査車の開発,pp.259-260, 土木学会第 59 回年次学術講演会,2004.9 7) 大村寛和,篠田昌弘,島田義則,内田成明,御崎哲一:レーザ超音波法を用いたコ ンクリート欠陥検出システムの開発,第 44 回 地盤工学研究発表会,2009.7

(12)

8

第2章 コンクリートの変状進展性評価に関する既往の研究

2.1 トンネル覆工の変状監視方法 トンネルには,完成後においても経年的に作用する土圧の作用,トンネル近くで行 われる別工事の影響による荷重変化等,さまざまな要因で変形やひびわれの発生等が 覆工コンクリートに生じている。このように,トンネル覆工にひびわれや変形等の変 状が生じている場合,これらの変状の進行性を監視するために様々なモニタリングが 行われている。このモニタリングでは,ひびわれ幅の変化を監視するための亀裂変位 計の設置や,覆工の壁面へのひずみ計の設置,変形量を監視するための内空変位等の 計測が行われている。 これらのひずみ計や内空変位計による計測では,煩雑で多大な労力を要しているこ とから,光ファイバをトンネルの変状監視に用いることが試みられている 1)。この方 法は,BOTDR 法を利用して,トンネル覆工のひずみ分布を求めるものである。BOTDR 法は,図 2.1.1 に示すように,光ファイバに発生したひずみに比例してブリルアン散 乱光の周波数特性がシフトする特性を利用して,光ファイバに沿ったひずみ分布を評 価するものである。ブリルアン散乱光が戻ってくるまでの時間を計測することで,ブ リルアン散乱光の発生地した位置が特定でき,光ファイバに沿ったひずみ分布が得ら れる。伊藤ら 1)は,繊維シートで補強したトンネルを模擬した覆工模型で押し抜き実 験を行い,繊維シートのはく落検知に光ファイバによる監視方法が適用できることを 確認するとともに,実トンネルで図 2.1.2 に示すように光ファイバを設置して,光フ ァイバの耐久性を確認している。また,紀ら2)は,実トンネルにおいて,図 2.1.3 に 示すように光ファイバを設置して,従来型の変位計との計測値の比較を行っている。 この計測で用いた光ファイバの測定精度は,測定ひずみ範囲±3%,ひずみ測定精度 0.01%程度となっている。1 年間の計測を行っており,1 年間で温度変化と思われる周 期的な変動を計測しており,1 年度には設置時と同じ計測値となっている。この計測 による光ファイバと変位計の計測値の比較を図 2.1.4 に示す。光ファイバによる変位 計測値は,変位計によるものと概ね一致しており,トンネル内面のひずみ監視に有効 であるとしている。 国土交通省東北地方整備局酒田工事事務所では,光ファイバのひずみ計を活用して, より高度な道路維持管理体制の構築に取り組んでいる3)。トンネル変状監視のために, 図 2.1.5 に示すように,トンネル覆工内面に光ファイバを設置して,経年的な変化状 況を観察している。 光ファイバと同様に,線・面的な変状監視を目指しているものに,導電塗料を用い たひびわれ検知システムがある 4,5)。このひびわれ検知方法は,コンクリート表面に

(13)

導電性を有する塗料を帯状に塗布し,その両端間に電圧を作用させたときの抵抗値の 変化でひびわれの発生を検知するものである。図 2.1.6 に示すように,ひびわれがな い場合は,塗料の塗装厚や塗装幅に応じた抵抗値をもって電流が流れるが,コンクリ ートにひびわれが発生すると導電塗料の帯もひびわれ箇所で破断されて導通が損なわ れる。これが,導電塗料の抵抗値の変化にあらわれるものである。コンクリートのひ びわれ幅が 0.3mm 程度以上でひびわれの検知が可能である。 光ファイバによる変状監視の特徴は,①リアルタイムで連続計測,②線・面的な計 測が可能,③耐久性があるといわれており,測定箇所から離れた事務所等でもトンネ ルのひずみや変形の状態がわかる利点がある。導電塗料を用いたひびわれ検知システ ムも,ひびわれを検知する観点からは,光ファイバと同様の利点がある。しかし,こ れらの監視方法は,明らかに変状が進展する箇所を特定できる場合は,有効な方法で あるが,経過観察を行っている箇所周辺にあらたなひびわれの発生や潜在的なひびわ れの進行が生じた場合は,進行性の検知は困難であると想定される。測線を設置して いる箇所以外のところであらたな変状が生じた場合は,光ファイバや導電塗料を敷設 し直す必要があること,あらたな変状が生じてもひずみやひびわれの変化を捉えるた めには,密に光ファイバや導電塗料の敷設が必要であり,設置費用が増大になる等の 課題があると考えられる。

(14)

10

図 2.1.1 BOTDR 法のひずみ計測原理1)

(15)
(16)

12

図 2.1.5 国土交通省による光ファイバを用いた変状監視の例3)

(17)
(18)

14 2.2 振動を活用した構造物の欠陥検出方法 2.2.1 変状の振動特性に着目した方法 振動を利用して内部欠陥等を検出する方法は,これまでも様々な観点から検討がな されてきている。振動を利用してコンクリートの内部欠陥を検出する方法については, 衝撃弾性波を利用する検討が多く実施されている。貝戸ら 6)は,鋼球打撃を与えて振 動計測を行い空隙の検出について検討を行っている。この検討では,非接触で,かつ 多点の振動計測を実現することにより計測器の設置の手間や接触条件によるばらつき の従来の問題を解決するために,計測器としてレーザードップラ速度計を用いている。 この計測では,35kHz までが計測可能である。この方法は,図 2.2.1 に示すように, 鋼球による打撃加振によって表面振動を励起し,その時の振動計測結果から,固有振 動数を同定するものであり,パワースペクトル密度のエネルギー比から空隙部固有の 振動数を把握することで,空隙部を定量的に判断することが可能となる。さらに,そ のときの固有振動数における振動モード形,すなわち空隙部固有の局所的な振動モー ド形から空隙部を視覚的に検出するものである。図 2.2.2 に示すように,空隙を模擬 した供試体を用いて鋼球打撃加振による空隙の検出を行い,図 2.2.3 に示すように, モード振幅の卓越した部分と空隙の部分が一致している結果が得られている。このよ うに,内部欠陥を可視化する方法は,衝撃弾性波法によって得られる周波数スペクト ルから弾性波の反射,回折の影響を画像化して欠陥部を評価する方法を提案している 事例7)もある。 また,衝撃弾性波を作用させたときの加速度フーリエスペクトルの変化を実験的求 めている事例もある。渡海ら8)は,図 2.2.4 に示すように,直径 4cm,深さ 5cm の穴 を 4 箇所設けたコンクリート供試体を用意し,穴の中に静的破砕剤を充填させて時間 経過とともに充填剤の膨張によるひびわれを発生させ,このときの加速度フーリエス ペクトルの変化について分析している。この実験では,Pencil-lead break を使用し て,一つの穴の隣接箇所の No.10 位置で加振を行っている。計測のサンプリング周波 数は,50kHzである。加振点での周波数スペクトルの変化を図 2.2.5 に示す。この 図に示すように,ひびわれ発生前の周波数スベクトルと比較して,ひびわれ幅 0.15mm, 0.30mm,0.45mm のフーリエスペクトルが 25kHz までの広い周波数の範囲で変化して いることを示している。 衝撃弾性波を生じさせる方法については,レーザ超音波を利用するもの 9)や,低周 波の発振子をトンネル壁面に設置するもの10)が提案されている。この低周波の発振子 をトンネル壁面に設置する方法では,内部欠陥がある場合には,健全な場合に比べて 特定モードの振動が卓越し,振動のエネルギーも大きくなることに着目して,応答波 形のエネルギー量に基づいて欠陥の有無を判定している。このエネルギー量について は,次式のように定義している。

(19)

 

L

f

df

f f 2 2 1

E

(2-1) ここに,E は,1,000~10,000Hz の周波数を対象とし,すべての周波数で同じ振幅で入 力する加振を発振子で与えたときの応答波形のエネルギーであり,周波数 f での信号 レベルの応答値L(f )に基づいて,周波数の上限値 f 1 と下限値 f2 間の積分値である。 実際の鉄道トンネルでコアサンプルによる内部欠陥の確認と,発振子の応答波形から 求めたエネルギーを比較し,図 2.2.6 に示すように,応答波形のエネルギーを評価す る周波数帯を 1,000~1,500Hz とすることで,健全箇所と変状がある箇所を区分できる ことを確認しており,図 2.2.7 に示す内部欠陥判定フローを提案している。この内部 欠陥判定フローの妥当性については,変状を模擬したブロック供試体や二次元有限要 素法による解析で検証している。また,欠陥深さが深くなるにつれ,おおむね応答の 信号レベルが小さくなる傾向を利用して,応答波形のエネルギー算出で考慮する周波 数帯を 1,000~5,000Hz とすることで,図 2.2.8 の関係を利用して欠陥深さも評価で きるとしている。 上記に示すような衝撃弾性波を利用する方法の多くは,変状箇所周辺の振動を卓越 させるために変状箇所近傍で加振する必要がある。そのため,列車が走行していない 夜間に調査することになり,調査も離散的となってしまうという課題がある。また, 自動計測が可能となったとしても,衝撃弾性波の振動のエネルギーが小さいことから, 変状監視対象箇所が加振点近傍の狭い範囲に限定されてしまうことも課題である。

(20)

16

(21)

図 2.2.2 貝戸らによる鋼球打撃加振による振動計測の概要6)

(22)

18

図 2.2.4 渡海らによるコンクリート供試体におけるひびわれの発生8)

ひびわれ発生時の コンクリート表面

(23)
(24)

20

図 2.2.6 松井らによる欠陥部と健全部のエネルギー量の比較10)

(25)
(26)

22 2.2.2 構造系の固有振動数等に着目した方法 構造系の固有振動数等に着目した健全度評価は,橋梁を対象に行われているものが 多い11-15)。これらの検討では,変状等によって部材の剛性が低下し,構造物の振動モ ードが変化することに着目し,詳細な解析を行うことで構造物の健全性を評価するこ とが行われている。衝撃振動試験方法16)は,高架橋躯体あるいは基礎に何らかの変状 が発生した場合には固有振動数の低下が生じることに着目し,その低下度合により健 全度を評価するものである。衝撃振動試験では,衝撃力を与えた時の速度応答を高架 橋に設置した速度計センサにて測定する。吉田ら17)は,鉄道高架橋を対象として,構 造物の健全性が何らかの要因によって損なわれた場合,ひびわれ,列車通過時の桁や 梁のたわみの増加の他にも,構造物の振動や沿線での地盤振動の増幅等,他の健全な 構造物と異なる特異な現象が現れることに着目している。一般的な箇所に比べて列車 通過時の沿線での地盤振動が 5~8dB 大きい箇所の RC ラーメン高架橋を対象として, 図 2.2.9 に示すような衝撃振動試験を実施し,固有振動数の測定結果を用いた健全度 評価を実施している。高架橋の健全度評価は,衝撃振動試験で得られた全体系 1 次モ ード,柱部分系 2 次モードの固有振動数を用いて評価している。この結果,A 高架橋 の健全度は,柱の剛性が 30%以下に低下していることを示している。また,曲げひび われ等の変状が確認され,衝撃振動試験でも 60%程度の部材剛性の低下が確認されて いる D 高架橋と,この高架橋と隣接しており,同一の構造形式,同一の柱断面形状で 健全であることを確認している E 高架橋を対象に,図 2.2.10 に示すように,列車通 過時の地盤振動を計測している。その結果,図 2.2.11 に示すように,振動成分が鉛 直方向(Z 方向)の振動レベルは,損傷を確認している D 高架橋の方が E 高架橋より も大きな振動レベルを示している。このように,変状等により構造物の剛性が低下し た高架橋では,健全な高架橋に比べて振動レベルが大きくなると考えられることから, 振動レベル増大の要因の一つに構造物の健全性が影響するのであれば,振動レベルが 他に比べて大きい高架橋には何らかの変状が発生していると推定して,詳細な検査を 実施するための一次抽出指標として活用できる可能があると述べている。 なお,衝撃振動試験に用いる振動計測については,吉田ら18)は,レーザードップラ 速度計を用いて振動計測を行い,測定結果が従来実施している衝撃振動試験によるも のと良い一致を示すことを確認している。レーザードップラ速度計を用いても,固有 振動数やモード形状の把握が可能であることを示している。 構造系の固有振動数等に着目した健全度評価は,着目している周波数は 100Hz 以下 であり,部材剛性が低下し,周辺地盤の振動特性にも影響を与えるような比較的規模 の大きな損傷を対象としている。また,このような振動特性に着目した方法では,疲 労亀裂や局部的な腐食など,局所的な微小欠陥の検出が困難である課題がある 19-23) このことから,構造系の固有振動数等に着目した健全度評価は,わずかな変状の進行

(27)

性を検知するような状態監視方法には適していない。この方法は,橋梁のように健全 度の低下で振動モードの変化が生じやすい場合は有効な方法であるが,トンネルのよ うな地中構造物の振動モードは,周辺地盤の振動モードに大きく依存することから, 覆工の損傷による固有周波数の変化は生じにくいものと思われる。

(28)

24

図 2.2.10 吉田らによる列車走行時の地盤振動計測の概要17)

(29)

2.2.3 変状による振動波形の乱れに着目した方法 振動計測による健全度評価では,前節で示したように,損傷を構造物部材の剛性低 下でモデル化し,構造物の固有周波数等のモード特性の変化を計測で捉えることで健 全度を評価する場合が多い。しかし,この方法では,比較的大きな損傷は評価できる ものの,局所的な微小欠陥については構造物部材の剛性低下までには至らないことか ら,これらの局所的な微少欠陥を検知することは困難であるものと考えられる。宮森 ら24)は,圧電アクチュエータによる構造物の局部振動加振と,その構造物の振動応答 を加速度計のアレー配置によって計測し,構造物の微小な損傷を評価する手法につい て検討を行っている。この方法では,梁を構成する各質点における損傷前後の伝達関 数の振幅の差 D を次式のように定義して,この D に基づいて統計的な処理を行い, Damage Indicator と呼ばれる指標 DI0 や DI2 を定義している。

(2-2) ここに,Ri は健全状態の加振点に対する各質点の伝達関数であり,R* i は損傷後の伝 達関数である。添え字の i は各質点の番号である。図 2.2.12 に示すような梁モデル に対して,Damage Indicator を解析的に求めた例を図 2.2.13 と図 2.2.14 に示す。 解析では,図 2.2.15 に示すように,低周波から高周波にかけて連続的に周波数が増 加する Sweep 波形を用いて加振しており,加振周波数は,500Hz までを考慮している。 図 2.2.13 と図 2.2.14 は,全質点で加振した解析結果を平均した結果を用いており, 支点近傍の梁要素 No.1 の剛性係数を 5%,10%,20%変化させている。これらの検討 結果から,欠陥の検出は,ある程度精度よくできるとともに,損傷程度が大きくなる につれて Damage Indicator の DI0 または DI2 値が大きくなることから,損傷位置お よび損傷の大きさをある程度定量的に評価できると述べている。このように,局部加 振法による振動応答を広範囲の周波数領域で解析することにより,局部的な欠陥を精 度よく検出できる状況を数値的に示すことができている。この検討は数値解析に基づ くものであるが,実際の計測では,計測センサは想定される損傷位置や振動応答の敏 感な位置にアレー配置することを想定している。加振の際の加振点位置や加振方向も

(30)

26 に振動応答モデルの予測値を求めておき,この予測振動値と計測した実測値の関係を xy 平面上にプロットし,その回帰係数を用いて損傷の有無の検討を行うものとしてい る。予測の精度が十分であれば実測値と予測値はほぼ等しいことから,その関係は, 原点を通る傾き 1 の直線にて近似することが可能であるが,損傷がある場合には,そ の振動特性が変化するために,予測値と実測値は異なり,誤差が発生する。ニューラ ルネットワークには計測した速度・変位波形に対して,次式を用いて正規化を行ってい る特徴がある。 (2-3) ここに,zは正規化した時刻歴波形データであり,max と min は,時刻歴波形データ xの最大値と最小値である。図 2.2.16 に示す橋梁模型に対して,ボルトの除去やガ セットプレートの除去等で変状を模擬して加振を行い,損傷検知可能性の有無につい て検討を実施している。加振は橋梁模型にハンマーによって行い,得られたサンプリ ング周波数 400Hz の波形を用いて,時刻 t の速度および変位の変化量 2 つの値から, 出力値として時刻 t+1 の速度の変化量を予測する応答モデルを作成している。損傷ノ ード以外での誤検出があるものの,損傷部ならびにその隣接ノードにおいて,服部ら による手法で損傷検出が可能であることを示している。この方法は,予測誤差を評価 する従来手法26)よりその精度が大きく改善されており,これは,予測誤差に比べてノ イズ等の影響を受けにくいこと,予測値と実測値の相関をとることで,適切に橋梁の 状態を評価できることが原因と考えられるとしている。 上記に示すように,振動を用いた変状検知は,伝達特性の変化や時刻歴波形の変化 に着目したもの等があり,様々な観点から変状検知の方法について検討されている段 階である。変状検知の対象とする構造物は,橋梁が多い。また,構造物の一部に加振 をすることで検討を行っており,車両や鉄道の振動を活用するまでには至っていない。

(31)

図 2.2.12 宮森らが検討に用いた梁モデル14)

(32)

28

図 2.2.15 宮森らによる数値解析モデルの検討で用いた加振波形14)

(33)

2.3 まとめ 研究に先立ち,トンネル覆工の変状監視方法と,振動を活用した構造物の内部欠陥 等の検出方法等について,既往の研究についてとりまとめを行った。 トンネル覆工の変状監視にあたっては,光ファイバによるひずみや変形の変化量の 監視や導電塗料によるひびわれ検知システムを用いる場合がある。これらの変状監視 方法の利点は,リアルタイムで連続計測が可能であること,線・面的な計測が可能で 有ることがあげられる。しかし,これらの監視方法は,明らかに変状が進展する箇所 を特定できる場合は有効な方法であるが,経過観察を行っている箇所周辺にあらたな ひびわれの発生や潜在的なひびわれの進行が生じた場合は,進行性の検知は困難であ る。測線を設置している箇所以外のところであらたな変状が生じた場合は,光ファイ バや導電塗料を敷設し直す必要があること,あらたな変状が生じてもひずみやひびわ れの変化を捉えるためには,密に光ファイバや導電塗料の敷設が必要であり,設置費 用が増大になる等の課題があると考えられる。 振動を活用した構造物の欠陥検出方法については,衝撃弾性波で加振を行い,変状 箇所の振動特性に基づいて,内部欠陥等を検出するための検討が多く行われている。 これらの衝撃弾性波を利用する方法の多くは,変状箇所周辺の振動を卓越させるため に変状箇所近傍の狭い範囲で加振する必要がある。そのため,欠陥の検出にあたって は,列車が走行していない夜間に調査することになり,調査結果も離散的となってし まうという課題がある。また,自動計測が可能となったとしても,衝撃弾性波の振動 のエネルギーが小さいことから,変状監視対象箇所が加振点近傍の狭い範囲に限定さ れてしまうことも課題である。 構造系の固有振動数等に着目した健全度評価は,橋梁を対象に行われているものが 多い。これらの方法は,部材剛性が低下し,周辺地盤の振動特性にも影響を与えるよ うな比較的規模の大きな損傷を対象としている。このことから,わずかな変状の進行 性を検知するような状態監視方法には適していない。この方法は,橋梁のように健全 度の低下で振動モードの変化が生じやすい場合は有効な方法であるが,トンネルのよ うな地中構造物の振動モードは,周辺地盤の振動モードに大きく依存することから, 覆工の損傷による固有周波数の変化は生じにくいものと思われる。

(34)

30 変状検知技術とは異なっている。また,列車が変状箇所を通過する際の振動を活用し ていることから,列車が通過する毎のリアルタイムの変状監視となっている。さらに, 振動エネルギーが大きな列車走行時の振動を活用し,数千 Hz の高い周波数帯までも対 象としていることから,微細な変状の進展もとらえることが出来るものと考えられる。 これらのことから,本論文で検討する変状監視方法は,実用的で有用な監視方法であ ると考えている。

(35)

第 2 章の参考文献 1)伊藤裕昌,小島芳之,六車崇司,佐野力,山浦剛俊:トンネル覆工変状監視への 光ファイバ計装システムの適用性研究,トンネル工学研究論文報告集 第 10 巻, 2000.11 2)紀博徳, 井上好章, 山浦剛俊,塚野 正純,村里喜久己:実トンネルにおける光 ファイバによるひずみ監視,土木学会第 55 回年次学術講演会,2000.9 3)国土交通省のホームページ: http://www.mlit.go.jp/road/ITS/j-html/2002HBook/section4/4-4j.html 4)岡田岳彰,小西真治,毛利豊重,建山和由:導電塗料を用いたひびわれ検知シス テムの研究,土木学会第 56 回年次学術講演会,2001.10 5)横尾正幸,田辺将樹,仲山貴司,小島芳之,渡邉博明,皆川昶夫,西村司:導電 塗料等を用いたひびわれ検知の研究,土木学会第 60 回年次学術講演会,2005.9 6)貝戸清之,阿部雅人,藤野陽三,熊坂和宏:局所的な振動特性に着目したコンク リート構造物の空隙検出,土木学会論文集 No.690,Ⅴ-53,pp121-132,2001.11 7)下薗晋一郎,松山公年,大津政康:SIBIE 法を用いた橋脚の損傷検出に関する研 究,土木学会第 65 回年次学術講演会講演概要集,Ⅴ-230,pp.459-460,2005.9 8)渡海雅信,竹村紗織:衝撃弾性波法を用いたコンクリートのひびわれ進展評価の 検討,土木学会第 65 回年次学術講演会講演概要集,Ⅴ-229,pp.457-458,2010.9 9)島田義則,Oleg Kotiaev,内田成明,藤原申次:レーザー超音波リモートセンシ ング装置を用いたコンクリート内部欠陥探傷-(2)欠陥検出の基本原理と基礎 試験-,土木学会第 62 回年次学術講演会講演概要集,6-328,pp.655-656,2007.9 10)松井精一,山田裕一,長田文博:低周波弾性波を用いたトンネル覆工コンクリ ート内部の劣化診断手法,土木学会論文集 No.746,Ⅴ-61,pp.13-24,2003.11 11)Doebling S. W., C. R. Farrar, M. B. Prime, and D. W.Shevitz: Damage

Identification and Health Monitoring of Structural and Mechanical Systems from Changes in their Vibration Characteristics, A Literature Review, Los Alamos National Laboratory Report, LA-13070- MS, 1996.

(36)

32 Vibration, 226(5),pp.1029-1042, 1999.

15)Peeters B., Maeck J. and De Roeck G.: Vibration-based damage detection in civil engineering: excitation sources and temperature effects, Smart Materials and Structures, 10, pp.518-527, 2001.

16)西村昭彦:ラーメン高架橋の健全度評価手法の研究,鉄道総研報告,Vol.3,No.9, 1990.9. 17)吉田幸司,関雅樹:固有振動特性に着目した鉄道高架橋の健全度評価に関する 研究,コンクリート工学年次論文集,Vol.26,No.1,pp.1935-1940,2004 18)吉田幸司,関雅樹,田川謙一,八代和幸:LDV を用いた鉄道高架橋の振動特性 評価に関する一考察,コンクリート工学年次論文集,Vol.28,No.1,pp.1949-1954, 2006

19)Xue S. T. , N. Fujitani, Z.B. Wei and H.S. Tang, :Comparison of variations of natural frequencies for wooden structural models with and without damages part2, shaking table based results, Proceedings of the international conference on Structural Health Monitoring and Intelligent Infrastructure, China, pp.1101-1104 , 2006.

20)Yang J. C. S. , J. Chen and N. G. Dagalakis, :Damage detection in offshore structures by the random decrement technique, Journal of Energy Resources Technology,American Society of Mechanical Engineers 106, pp.38-42,1984 . 21)Flesch R. G. and K. Kernichler, : Bridge inspection by dynamic tests and calculations dynamic investigations of Lavent bridge, workshop on Structural Safety Evaluation Based on System Identification Approaches (H. G. Natke and J. T. P. Yao, editors), pp.433-459, Lambrecht/ Pfalz, Germany: Vieweg & Sons , 1988.

22)Masri S. F. , R. K. Miller, A. F. Saud and T. K. Caughey, :Identification of nonlinear vibrating structures, Journal of Applied Mechanics 54, pp.923-929: Part I-formulation,1987 .

23)Natke H. G. and J. T. P. Yao,: System identification methods for fault detection and diagnosis, International Conference on Structural Safety and Reliability, American Society of Civil Engineers, New York, pp.1387-1393 , 1990.

24)宮森保紀,大島俊之,三上修一, 山崎智之, 高橋徹:局部加振法による梁部材 の微小欠陥検出に関する数値解析,構造工学論文集 Vol.59A,pp.311-319,2013.3 25)服部洋,松山卓真,白土博通,八木知己,岡野雅:振動応答予測モデルを用い

(37)

26)服部洋,古田均,野村泰稔,中津功一朗,石橋健:AdaBoost による振動予測を 用いた橋梁ヘルスモニタリングシステムの構築に関する実験的研究,土木学会論 文集 A2(応用力学), Vol. 67, No. 2 (応用力学論文集 Vol. 14), I_825-I_832, 2011

(38)

34

第3章

鉄道トンネルにおける振動計測と覆工の振動特性

3.1 振動計測の目的と概要 3.1.1 既往の振動計測事例 鉄道の列車走行時の振動特性については,これまでは環境振動の分野で多くの検討 がなされてきた。鉄道振動は,周辺住民への振動による不快感,建具の揺れや,精密 機器への振動の影響で問題にされている場合が多い。そのため,対象としている周波 数帯も低い。一般に体感振動に対して評価するのは 1/3 オクターブバンド中心周波数 で 80Hz 以下の周波数帯域であり,地表部には数千 Hz といった高周波成分が伝わらな いため,固体音に対して評価する場合も概ね 250Hz 以下を対象としている1) 環境振動分野において,地下鉄道トンネルから周辺地盤や建物に伝播する振動を予 測・評価することを目的に,トンネル内で列車走行時の振動を測定した事例はいくつ か見られる2)~ 8)。これらの既往の振動計測では,1,000Hz 以下の周波数帯域を対象と して振動計測が行われている。 3.1.2 本論文における振動計測の目的と概要 鉄道トンネルでは,車両の重量や速度が異なる列車が通過する。このように,トン ネル内を通過する列車の種類や速度に依存しない,覆工の振動特性について検討する ために,実際の鉄道トンネルで振動計測を実施した。 本論文では,1~2m程度以上の長さを有するひびわれや浮きを対象としている。こ れらの変状の進展を評価するためには,最低でも 20cm 程度のひびわれや浮きの長さの 進展を検知する必要があると考えている。これを振動特性の変化で検知しようとした 場合,振動の波長が変状の進展長さより大きすぎると変状の進展を評価できない。そ こで,本論文では,1/4 波長以上に変状の進展長さがあれば,変状箇所を通過した振 動が散乱する事象を捉えられると考えた。長さ 20cm が振動の 1/4 波長に相当すると考 えると,コンクリート覆工の弾性波速度を 3,000~4,000m/s とした場合,考慮すべき 周波数の上限は 3,750~5,000Hz となる。この 5,000Hz は,環境振動の分野で対象とし ている周波数よりも高い。また,変状の進展のひろがり程度によっては,この周波数 よりも低い周波数も対象とする必要があることから,着目する周波数の範囲は広い。 環境振動分野で列車の走行による振動を測定した事例はあるものの,このように高い 周波数帯までを対象とした計測事例は,きわめて少ない。そこで,本論文では,高い 周波数帯までを考慮した振動計測を実施した。

(39)

3.2 計測対象箇所の概要 3.2.1 計測対象トンネルの諸元 振動計測を行ったトンネルは,表 3.2.1 に示すように,昭和 40 年代に在来工法(矢 板工法)で施工された単線山岳鉄道トンネルである。トンネルの断面形状を図 3.2.1 に示す。トンネルの内空高さは 6m 程度であり,覆工の設計厚さは 30cm である。 表 3.2.1 トンネル諸元 延 長 655m 竣 工 1966 年(昭和 41 年) 工 法 在来(矢板)工法 断面形状 単線・電化断面 覆工材料 無筋コンクリート 列車進行方向 下りのみ 軌道構造 バラスト軌道 インバート なし 覆工巻厚 30cm

(40)

36

(41)

3.2.2 振動計測箇所 振動を測定した場所は,トンネル坑口から 200m 程度入った場所である。測定断面 は,機材設置,および待避の関係から,待避所近くでの測定とした。そのため,図 3.2.2 や図 3.2.3 に示すように,坑口から 205m 程度入った中型待避所の近くで実施するこ ととした。測定断面は,トンネル軸方向に 5.4m 間隔で設置されている施工目地の脇を 避け,計測断面周辺には覆工コンクリートのひびわれや浮き等の変状がないことを壁 面清掃と目視,打音検査で確認して設定した。 振動計測は,トンネル壁面において同一断面で高さの異なる 4 箇所(以下,「上部」, 「中部」,「下部」,「脚部」と表記)で同時に行った。測定箇所の状況を図 3.2.4 に示 す。

(42)

38 図 3.2.2 測定箇所全体図 図 3.2.3 測定箇所全体の状況 上部 中部 下部 脚部

(43)

図 3.2.4 測定箇所拡大状況 上部

中部

下部

(44)

40 3.3 振動計測方法 3.3.1 振動計測システムの概要 列車走行時にトンネル覆工壁面で生じている振動を計測するために,多点アレーの 振動計測システムをトンネル内に一時的に設置した。振動計測のサンプリング は, 24kHz,すなわち 4.167×10-4秒間隔の計測とした。このようなサンプリングとするこ とで,12kHz までの周波数帯に対して,高速フーリエ変換による周波数の分析が可能 となる。センサは,市販されている圧電型加速度計を用いた。加速度計は1箇所で3 成分の計測をすることとした。X 方向が線路方向,Y 方向が覆工面外方向,Z 方向が覆 工周方向である。設置した加速度計の状況を図 3.3.1 に,計測した成分の一覧を表 3.3.1 に示す。 振動測定システムの全体構成を図 3.3.2 に,測定機器の仕様を表 3.3.2 に示す。

(45)
(46)

42 表 3.3.1 加速度計測定成分一覧 位置名 レール上面からの高さ (mm) 記号 測定方向 ※ CH 名 加速度計 機器名 1X X 1 1Y Y 2 側壁上部 +1980 1Z Z 3 2X X 7 2Y Y 8 側壁中部 +1600 2Z Z 9 3X X 4 3Y Y 5 側壁下部 +980 3Z Z 6 4X X 10 4Y Y 11 側壁脚部 +60 4Z Z 12 PV-85 ※測定方向については,X:線路方向,Y:面外(半径中心)方向,Z:周方向

(47)

図 3.3.2 測定システム全体構成 マイクロドット20m マイクロドット20m 振動計UV-06 4 台 (2CH/台) 振動計UV-05 7台 振動計用シール電池1 台 データレコーダ TEAC LX-20 (MO) パソコン Thinkpad レコーダ用シール電池 2 台 直列結線 D-A インバータ パソコン、照明用 シール電池1 台 振動ピックPV-85 3 台/箇所×4 箇所 側壁 側壁

(48)

44 表 3.3.2 測定機器仕様 品名 型式 仕様 メ-カ- 圧電型加速度 ピックアップ PV-85 周波数範囲:1~約 7kHz 感度:約 5.0~7.0pc/m/s2 重量:約 30g、形状φ17×18.5 リオン 振動計 (チャージアンプ) UV-06 周波数範囲:0.5~30kHz 測定範囲:0.001~1000G 最大入力:105pc/±10Vp-p リオン デジタル データレコーダ LX-20 16chDC 入出力モデル 周波数特性:DC~10kHz インタフェイス IEEE1394、1.3GBMO AD 変換精度:16 ビット ティアック レベルレコーダ LR-06 周波数範囲:1~100kHz レンジ幅:10/25/50dB 紙送り速度:0.01~100mm/sec(8 段) リオン デ-タ解析器 (デ-タステ-ション) DS9100

DSP16ch 搭載(Digital Signal Processor 解析周波数範囲 DC~40kHZ

AD 変換精度:16Bit RAM265MB 内蔵 I/F:光リンク 転送速度:1.6MB/sec

(49)

3.3.2 振動測定方法の概要 列車が通常に運行している時間帯で振動を測定した。振動測定は,列車が測定断面 を通過する 15 秒程度前から測定を開始し,対象列車が完全にトンネルを抜けたことを 確認して測定を終了とした。 振動を測定した列車の一覧を表 3.3.3 に示す。この表に示すように,No.8 の列車 については,欠測となっている。振動計測中は,列車の車両編成を確認するともに, 測定断面位置を列車が通過する時間も計測し,この通過時間と 1 両の車両長さを 20m とした車両全長から列車の通過速度を算定した。 表 3.3.3 に示すように,車両の重量や長さ,通過速度が異なる複数の列車振動のデ ータを得ることができた。 振動測定の状況を図 3.3.3 に示す。 表 3.3.3 振動計測を行った列車の一覧 番号 列車種別 両数 通過時間(秒) 列車速度※(km/h) 備考 1 貨物 21 不明 - 2 特急 7 5.2 98 3 貨物 21 37.7 40 4 特急 5 5.3 68 5 普通 1 1.9 39 6 貨物 21 35.2 43 7 特急 7 4.9 103 8 貨物 21 29.4 51 欠測 9 特急 5 4.2 85 10 貨物 21 42.3 36 11 貨物 21 26.8 56

(50)

46

(51)

3.4 振動計測結果及び考察 3.4.1 測定した振動の時刻歴波形 振動計測結果の一例として,振動加速度の時刻歴波形を図 3.4.1 に示す。この図に 示す波形は,軌道に近い「脚部」での覆工の周方向の振動成分の計測結果である。こ れらの振動計測結果は,計測した時刻歴データに対して,1Hz 以下のノイズを除くロ ーカットフィルターを周波数領域で行っている。図 3.4.1 中に示すように,最大加速 度は 0.3~0.9m/s2程度であり,列車の走行速度が速い特急列車の最大加速度が最も大 きく 0.8~0.9m/s2程度となっている。列車が計測箇所に近づくにしたがって,加速度 波形の振幅が徐々に大きくなり,各車両の車輪が軌道上を通過するごとに波形の振幅 が大きくなっていることがわかる。 通過列車の No.1 の「貨物」と No.2 の「特急」について,「脚部」の振動方向成分 の違いを比較して,図 3.4.2 と図 3.4.3 に示す。どちらの列車通過時においても,周 方向成分(図中のz成分)の最大加速度は,他の振動成分と比較して大きい。また, 振幅が大きくなる時刻はいずれの成分も同様であり,振動成分による波形の違いは見 られない。周方向成分を例として,計測位置による波形の違いを比較して,図 3.4.4 と図 3.4.5 に示す。今回設置した約 2m間では,波形の違いは認められない。 列車が計測箇所に近づくにしたがって加速度波形の振幅が徐々に大きくなり,各車 両の車輪が軌道上を通過するごとに波形の振幅が大きくなっていること,周方向成分 の最大加速度が他の振動成分と比較して大きいことから,トンネル覆工表面の振動は, 列車車両の車輪が軌道と接触することによって生じている振動が伝搬しているものと 考えられる。この覆工表面で伝播している振動は,振動方向によらず同様の波形とな っている。

(52)

48 図 3.4.1 測定した加速度時刻歴の計測例(「脚部」のトンネル覆工周方向成分) m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 No.1:貨物 No.2:特急 No.3:貨物 No.4:特急 No.5:普通 No.6:貨物 No.7:特急 No.9:特急 No.10:貨物 No.11:貨物

(53)

図 3.4.2 No.1「貨物」の「脚部」の加速度時刻歴波形の振動方向の比較 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/ s 2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 X:線路方向 Y:覆工面外方向 Z:覆工周方向 X:線路方向 Y:覆工面外方向 Z:覆工周方向

(54)

50 図 3.4.4 No.1「貨物」の覆工周方向の加速度時刻歴波形の計測位置の比較 図 3.4.5 No.2「特急」の覆工周方向の加速度時刻歴波形の計測位置の比較 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 m/s2 上部 中部 下部 脚部 上部 中部 下部 脚部

(55)

3.4.2 計測した波形の周波数特性 (1) 加速度フーリエスペクトル 加速度フーリエスペクトルの例として,表 3.3.3 に示すデータのうち,No.1 の「貨 物」,No.2 の「特急」,No.5 の「普通」について,「脚部」で計測した周方向成分の加 速度フーリエスペクトルを図 3.4.6 と図 3.4.7 に示す。図 3.4.7 は,図 3.4.6 の横 軸を拡大したものである。また,図 3.4.8 と図 3.4.9 には,覆工面外方向と線路方向 のフーリエスペクトルを示す。これらのフーリエスペクトルは,図 3.4.1 に示す範囲 の時間帯,つまり,測定位置を列車が通過する前から,通過後の振動が収束するまで を対象として高速フーリエ変換を行っている。そのため,対象とする時刻歴データ数 は通過時間の長い貨物で 1,546,948 個であり,高速フーリエ変換に用いるデータ数は 2,097,152 個となる。フーリエスペクトルの平滑化については,バンド幅を 1Hz とし て Parzen の周波数領域の平滑化9)を行っている。 図 3.4.6~図 3.4.9 に示すように,列車が振動測定箇所を通過するときの加速度フ ーリエスペクトルは,列車種別によって異なっている。トンネル覆工壁面に生じてい る振動は,軌道と列車の車輪との接触により生じており,列車種別によって車両の重 量や走行速度が異なることから,振動のエネルギーの大きさが異なり,フーリエスペ クトルの大きさも異なっているものと考えられる。一方,トンネルの覆工や覆工背面 の地盤の剛性および質量は,計測期間中は変化しないことから,トンネル覆工と背面 地盤からなる振動系は変化しない。したがって,覆工表面で計測している振動の卓越 周波数は列車種別で大きく異なっていないものと考えられる。

(56)

52 図 3.4.6 列車通過時の「脚部」の加速度フーリエスペクトル(覆工周方向) 図 3.4.7 列車通過時の加速度フーリエスペクトル(図 3.4.6 の横軸を拡大)

1.E-05

1.E-04

1.E-03

1.E-02

1.E-01

1.E+00

0

500

1000

1500

2000

フー

リエ

スペクトル(

m/

s

2

)

周波数(Hz)

脚部位置

普通 特急 貨物

(57)
(58)

54 (2) 非定常パワースペクトル 覆工表面で計測された振動加速度に分散性があるかを確認するために,非定常パワ ースペクトルを図化した。No.1「貨物」と No.2「特急」を対象に,計測点のうち軌道 からもっとも離れた「上部」位置の非定常パワースペクトルを図 3.4.10~図 3.4.15 に示す。非定常パワースペクトルの算定は,亀田の方法10)によるものとし,減衰定数 は 5%とした。これらの図から,振動成分によらずに,計測された振動波形には,顕 著な分散性がないことがわかる。 「貨物」については,先頭車両の重量が大きいために,加速度波形の振幅が他の時 刻と比較して大きく,概ね 100~500Hz の周波数帯の振動がこの時刻で大きくなってい る。一方,「特急」については,加速度波形の振幅は,通過時間全般にわたって大きく なっており,この時間帯で概ね 100~1,000Hz の周波数帯が卓越している。ここには示 していないが,同一の列車種別では,同様の非定常パワースペクトルとなっており, 「普通」についても,「特急」と同様のスペクトル形状となっている。 非定常パワースペクトルには顕著な分散性が認められないことから,列車通過時に 覆工表面で計測された加速度は,実体波が卓越しているものと考えられる。前項の時 刻歴波形で示したように,トンネル覆工表面の振動は,列車車両の車輪が軌道と接触 することによって生じている振動による強制振動によって生じているものと考えられ る。

(59)

m/s

2 ( × 10 0 0 Hz)

(60)

56 図 3.4.11 No.1「貨物」の非定常パワースペクトル(y:覆工面外方向)

m/s

2 ( × 10 0 0 Hz)

(61)

m/s

2 ( × 10 0 0 Hz)

(62)

58 図 3.4.13 No.2「特急」の非定常パワースペクトル(x:線路方向)

m/s

2 ( × 10 0 0 Hz)

(63)

m/s

2 ( × 10 0 0 Hz)

(64)

60 図 3.4.15 No.2「特急」の非定常パワースペクトル(z:覆工周方向)

m/s

2 ( × 10 0 0 Hz)

(65)

3.5 列車通過時の振動のトンネル覆工変状進展評価への活用策 3.5.1 トンネル覆工の振動特性を評価する指標 列車が振動測定箇所を通過するときのトンネル覆工表面の振動加速度は,前項まで に示したように,加速度時刻歴波形やフーリエスペクトルが列車種別,走行速度によ って形状が異なっている。そのため,これらをトンネル覆工の振動特性として直接用 いることは困難である。変状監視を行うための振動特性として用いるためには,変状 が進展しない状態では,一定の関係を有する指標を考える必要がある。 一般的に,地盤や構造物の地震等による振動モードを評価するために,得られた波 形に対して,二点間のフーリエスペクトル比を求めて振動の増幅特性を評価すること が,地震観測記録の分析においても頻繁に用いられている。本検討では,振動の増幅 特性を評価することを目的としているわけではないが,フーリエスペクトル比が地震 波形によらず一定の関係を示すことに着目して,フーリエスペクトル比を用いて,覆 工の振動特性を評価することとした。地震観測記録の分析では,一般的に 20Hz 程度ま での低い周波数帯に着目してフーリエスペクトル比を評価することが多い。本検討で は,測定精度等の観点から,数千 Hz までの高い周波数帯までの範囲において,安定し たフーリエスペクトル比が得られるかを確かめることとした。 フーリエスペクトル比は,高速フーリエ変換を行って得られた周波数ごとの振幅に ついて,測定点間の比を求めたものである。本論文では,フーリエスペクトルは,測 定位置を列車が通過する前から,通過後の振動が収束するまでを対象として高速フー リエ変換を行って求めることとした。フーリエスペクトル比は,対象とする波形の時 間の長さによって,周波数の計算点の間隔が異なる。このように列車種別によって波 形の長さが異なるが,列車種別が異なっても同一の周波数間隔で評価するために,次 式に示す周波数の区間平均の値を直線で結んでフーリエスペクトル比を表示すること とした。 n n is is j j i

F

x

   1 (3-1)

(66)

62 のフーリエスペクトル比の比較を行った。比較結果を図 3.5.1 に示す.この図は,表 3.3.3 に示す No.1 貨物の「上部」に対する「下部」の覆工周方向の振動成分のフーリ エスペクトル比である。区間平均を求める周波数を 1Hz や 10Hz とした場合は細かい周 波数のピークが顕著となってしまうが,50Hz とすれば,細かい周波数のピークが目立 たなくなり,フーリエスペクトル比の主要なピークが表現できていることがわかる。 本論文では,数千 Hz までの広い周波数帯に着目しており,仮に 5,000Hz までの周波数 帯の分析を対象とした場合,50Hz はこの周波数の 1/100 に相当する。一般的な地震記 録の分析では,ウィンドウ・クロージング 9)によってフーリエスペクトルの平滑化の バンド幅を決める場合があるが,経験的には,着目する周波数範囲の 1/100 程度の周 波数で平滑化を行うことが多い。これらのことを踏まえて,本論文では,区間平均を 求める周波数を 50Hz としてフーリエスペクトル比を求め,これをトンネル覆工の振動 特性を評価する指標として用いることを考えた。 図 3.5.1 区間平均を求める周波数を変えた場合のフーリエスペクトル比 の比較(No.1「貨物」の覆工周方向の成分) 1.E-02 1.E-01 1.E+00 1.E+01 1.E+02 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 フーリ エ ス ペ ク ト ル 比 周波数(Hz) 区間平均を求める周波数:1Hz 区間平均を求める周波数:10Hz 区間平均を求める周波数:50Hz 下部/上部

図 2.1.1  BOTDR 法のひずみ計測原理 1)
図 2.1.6  導電塗料によるひびわれ検知の概要 5)
図 2.1.7  導電塗料を用いたひびわれ検知システムの概要 5)
図 2.2.1  貝戸らによる振動特性の同定手順 6)
+7

参照

関連したドキュメント

 仮定2.癌の進行が信頼を持ってモニターできる

18 で示すように,進行が遅く黄変度の増加やグロス値の低下も緩 やかで衝撃試験では延性破壊を示す ductile fracture

たRCTにおいても,コントロールと比較してク

および皮膚性状の変化がみられる患者においては,コ.. 動性クリーゼ補助診断に利用できると述べている。本 症 例 に お け る ChE/Alb 比 は 入 院 時 に 2.4 と 低 値

これはつまり十進法ではなく、一進法を用いて自然数を表記するということである。とは いえ数が大きくなると見にくくなるので、.. 0, 1,

まとめ資料変更箇所リスト 資料名 :設計基準対象施設について 章/項番号:第14条 全交流動力電源喪失対策設備

食品 品循 循環 環資 資源 源の の再 再生 生利 利用 用等 等の の促 促進 進に に関 関す する る法 法律 律施 施行 行令 令( (抜 抜す

分だけ自動車の安全設計についても厳格性︑確実性の追究と実用化が進んでいる︒車対人の事故では︑衝突すれば当