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学位授与番号 13301甲第4924号

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Academic year: 2022

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非破壊劣化診断技術の開発−ポリエチレンの需要構 造の変革を目指して−

著者 五十嵐 敏郎

著者別表示 Igarashi Toshio

雑誌名 博士論文要旨Abstract

学位授与番号 13301甲第4924号

学位名 博士(工学)

学位授与年月日 2019‑03‑22

URL http://hdl.handle.net/2297/00054622

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

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学 位 論 文 要 旨

非破壊劣化診断技術の開発

-ポリエチレンの需要構造の変革を目指して-

Development of non-destructive deterioration diagnosis technique

- Aiming to change the demand structure of polyethylene-

金沢大学大学院自然科学研究科物質科学専攻

五十嵐 敏郎

(3)

Dissertation Summary

This paper consists of three parts. The first part is the development of

nondestructive deterioration diagnostic technology. It is an

indispensable study to transform the demand structure of polyethylene

from short-term use to long-term use. We discovered that Raman

spectroscopy is effective as a means to fundamentally study the process

of UV degradation of polyethylene was found and the degradation

initiation mechanism in ductile fracture stage was clarified. In the

subsequent brittle fracture stage, it was clarified that the occurrence of

fine cracks due to the increase in crystallinity rapidly progresses

deterioration. In the measurement of the surface friction coefficient, we

found that the final degradation stage appears following the brittle

fracture stage. The second part describes FSC: Foam Sandwich

Construction with foamed layer as intermediate layer and medium

foaming technology that is the basis for it. The difference in the

polyethylene resin does not significantly influence the foaming property,

the difference in the foaming agent greatly affects, and when OBSH is

used, it is possible to obtain FSC with a wide window and excellent

foaming property were found. In the third part, dissemination activity

in Japan is described about rotational molding which plays an

important role in molding of FSC.

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【要旨本文】

本研究は,真理探究を目指して研究を深めると同時に,研究を通して社会に影響を及ぼ すことで研究の幅を広げることを目的に行った.

第 1 章では,研究の背景と目的について述べる.

近未来に予想される石油文明の終焉期に際して,石油を主原料とするプラスチック産業 も影響を受ける.汎用プラスチックの中でポリエチレンは唯一石油に替わる原料(石炭,

ガス,バイオ)から合成が可能で,影響が最も小さいと予想される.

しかしポリエチレンは剛性が 低く耐熱性が低いという理由で 構造材への使用が制限され,

Fig. 1 に示すようにフィルム・

シート用途が多くバランスを 欠いている.そこで,需要構造 の変革が必要なポリエチレンを 取り上げて研究を行った.実験では は,回転成形用グレードである 低密度ポリエチレン(以下,

LDPE)を用いた.

ポリエチレンの資源循環図を Fig. 2 に示す.新規な樹脂グレ

115 万 トン

Fig. 1 ポリエチレンの需要構造

フィルム・シート

用途が 65%で,

このうち半分が One-way

ード,新規なコンパウンドや 新規な製品開発などの動脈側 の研究開発は人,物,金を 使って活発に行われてきたが,

製品を出来るだけ長期に使用するために必要な非破壊劣化診断に基ずく寿命予測や,リサ イクルペレット・フレークを付加価値の高い用途に用いる製品開発などの静脈側の研究開 発は手薄であった.マイクロプラスチックが社会問題化しているが,静脈側の研究開発を 怠ってきたことも原因の一員になっている.

本研究では,静脈側の研究の中心課題である非破壊劣化診断技術の開発を目的とした.

製品の長寿命化を可能にし,分離分別して得たリサイクルペレット・フレークの分級にも 利用できる.また,リサイクルペレット・フレークを用いた製品開発として,発泡層を中 間層とする三層構造体(FSC:Foam Sandwich Construction)の開発も目的とした.

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Fig. 2 ポリエチレンの資源循環図 第 2 章では非破壊劣化診断技術の開発の開発について述べる.

紫外線劣化した LDPE を用いて研究を行った.最初に「劣化を総合的に科学する」プロ ジェクトの名称で研究を行うための体制作りを行った.Fig. 3 に示す体制は研究成果の社 会還元でも活用する.

Fig. 3 コンソーシアム型研究開発体制

従来の劣化評価では,黄変度の変化,グロス値の変化および実体顕微鏡観察が行われ てきた.試験に用いた紫外線劣化 LDPE の結果を Fig. 4~Fig. 6 に示す.

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Fig. 4 黄変度(YI)の結果 Fig. 5 グロス値の結果

Fig. 6 劣化 LDPE の顕微鏡観察結果

LDPE の紫外線劣化は,延性破壊領域(ductile fracture stage)から劣化が急速に進む脆性破壊 領域(brittle fracture stage)へと進行し,「ガックリ現象」として材料開発者が嫌った.

しかし,従来の評価法では,ductile fracture stage や brittle fracture stage での構造変化が不 明であり,何が原因で転移点に至るのかが不明であった.そこで,構造変化を明らかにす る目的で,ラマン分光法,FT/IR による赤外吸収スペクトルの測定や高温 GPC による分子 量分布の測定などで劣化過程の基礎研究を行った.

C-C 伸縮モードでのピーク強度,ピーク位置の変化を Fig. 7 と Fig. 8 に示す.ductile

Fig. 7 ピーク強度の変化 Fig. 8 ピーク位置の変化

fracture stage でトランス鎖の増加が起こり,brittle fracture stage で非晶鎖の減少とポリマー 鎖に伸張応力が加わることが示された.

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CH2 曲げモードでのピーク強度,ピーク位置の変化を Fig. 9 と Fig. 10 に示す.ductile fracture stage で非晶相においてトランス鎖が形成され,分子量分布の測定結晶格子の収縮 が起こっているが示された.

Fig. 9 ピーク強度の変化 Fig. 10 ピーク位置の変化

赤外吸収スペクトルの測定によるカルボニルインデックスの結果を Fig. 11 に,分子量 分布の測定結果を Fig. 12 に示す.全劣化過程を通してサンプル表面では 0 次反応でカルボ ニル基が生成すること,分子量分布の測定から brittle fracture stage で分子鎖切断が起こり 共役二重結合の生成による黄色度(YI)の上昇が起こっていることが示された.

Fig. 11 カルボニルインデックスの結果 Fig. 12 分子量分布の結果

これら一連の研究で,ductile fracture stage では非晶領域でトランス鎖長が長くなり,こ れに引張力が作用することで非晶領域中にある非晶鎖(ゴーシュ鎖)の運動性が拘束され ること,brittle fracture stage では結晶の急激な増加と非晶鎖の減少および拘束化が進展によ りミクロクラックが発生し,これが系全体に伝播することが示され,LDPE の紫外線劣化 過程が明らかになった.

分光学的な手法を用いた基礎研究は劣化のメカニズムを解明するのには有力な手段であ るが,非破壊劣化診断を行う製品は様々なプラスチックから構成され様々な種類の顔料や 添加物を含んでいることから実用的な測定法としては限界があると予想される.そこで,

実用的な非破壊劣化診断技術として,皮膚科学で開発された皮膚表面の微小な変化を検知

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するための手法を応用した.

先端形状が直径 8mm の半球状プローブを用い,静・動摩擦試験機(株式会社トリニテ ィーラボ製 TL-201Ts)で表面摩擦係数の測定を行った.摩擦力から,アモントン-クー ロンの摩擦法則に則って摩擦係数 xi を算出し,上述した測定範囲での平均値と平均偏差を 測定値とした.

Fig. 13 摩擦試験装置の測定原理 Fig. 14 実験に供したプローブ

劣化の進行に伴う摩擦係数の平均値(左座標)と平均偏差(右座標)の結果を Fig.15 に示 す. 劣化の進行による摩擦係数の平均値 は三段階で進むことが分かった. 初期の induction period を経て照射 360 時間まで増加する過程が ductile fracture stage であり,その後一旦平 衡状態を経て照射 600 時間以後再度増加する過程が劣化の brittle fracture stage である. 照射 1080 時間以後に摩擦係数が低下するのが final degradation stage で,サンプルに明確な亀裂 が生じた結果,表面がかなり劣化して脆い状態になっており,摩擦の挙動が異なることが 示唆される.摩擦係数の平均偏差も摩擦係数と同様に三段階で進むことが示される.

Fig. 15 摩擦係数の平均値(左座標)と平均偏差(右座標)

表面摩擦係数の変化が何に起因しているかを調べる目的で,紫外線劣化した LDPE の表 面凹凸を白色干渉顕微鏡で測定した.画像から得られた直線状の高さプロファイル f(x)か ら算術平均粗さ Ra を算出した. 結果を Fig. 16 に示す.劣化の進行に伴う算術平均粗さの 増加は二段階で進むことが示される.照射 360 時間まで増加するのが ductile fracture stage であり,その後一旦平衡状態を経て照射 600 時間以後再度増加するのが brittle fracture stage

(9)

である.ただ,brittle fracture stage から final degradation stage に変化する時点は 表面粗さ測定では明確に示されなかった.

劣化の進行に伴う摩擦係数の平均値 と算術平均粗さ Ra は良く似た傾向に あることから縦軸に摩擦係数の平均値 を,横軸に算術平均粗さ Ra を取り,

両者の相関関係を Fig. 17 に示す.

図中の数字は照射時間を示す.240 hr から 960 hr は一つの直線で示され良い

相関関係にあることを示す.中間の Fig. 16 劣化の進展に伴う算術平均粗さ Ra の結果 360 hr,480 hr,600 hr は重なり合い,

この時点で ductile fracture stage から brittle fracture stage に移行することが示される.1080 h

と 1200 h が直線から大きく外れるのは,サンプルに明確な亀裂が生じ脆性破壊が急激に進

行する final degradation stage に移行したことを示している.良い相関を示すことから,摩

擦係数の平均値の変化は劣化によるサンプル表面の凹凸の変化を反映している.

Fig. 17 摩擦係数の平均値と Fig. 18 LDPE の劣化の三段階進行

算術平均粗さの相関関係

LDPE の劣化は,Fig. 18 で示すように,進行が遅く黄変度の増加やグロス値の低下も緩 やかで衝撃試験では延性破壊を示す ductile fracture stage,進行が速くなり黄変度の急激な 増加やグロス値の急激な低下が見られ衝撃試験では脆性破壊を示す brittle fracture stage,脆 性破壊が急激に進行し材料が細片まで破断する final degradation stage の三段階で進む.摩 擦係数の平均値を測定することで,劣化の全過程をフォローでき,ductile fracture stage か ら brittle fracture stage へ移行する点(Point 1)と brittle fracture stage から final degradation stage に移行する点(Point 2)を決定することが可能である.brittle fracture stage から final

degradation stage へ移行する点(Point 2)が決定可能であり,海洋に流出したプラスチックご み(レジ袋等)が海洋中で 5 ㎜以下のマイクロプラスチックとなる劣化機構の研究や,マ

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イクロプラスチックまで劣化しないプラスチック材料の開発の可能性が広がる.

第 3 章では発泡層を中間層とする FSC と,その基礎になる中程度の倍率の発泡技術につ いて述べる.

多層成形の基礎研究として成形時間が長いという回転成形の特徴を利用し,紛体の付着 過程の観察を行うとともに,紛体の流動性や付着性の差を利用して,他の成形法では得る ことが困難な厚み方向に構造が異なる成形体を得た.その力学挙動を明らかにし,力学特 性は,層構造に基づいた高柳モデルを構築することで予測できることを明らかにした.

化学発泡剤を用いた PE の常圧発泡成形では,回転成形の特徴を生かした簡易な発泡試 験法を確立すると伴に,各種のポリエチレン系樹脂や発泡剤が発泡性に及ぼす影響を検討 した.樹脂の種類の影響は小さく,HDPE,LDPE,EMMA のいずれもほぼ同等の発泡挙動 を示す.発泡剤では,OBSH が低温発泡可能で,細かいセルの発泡体が得られる点で優れ ることを見出した.樹脂の種類の影響が小さいことは,ポリエチレンを HDPE,LDPE,

LLDPE とさらに分別するのには過大なコストとエネルギーが必要で実際上不可能であるこ

とからリサイクルペレット・フレークを発泡層に利用するに際して非常に重要である.

Table. 1 LDPE の発泡試験結果

Ideal expansion ratio:1.92

Fig. 19 発泡体の断面写真

幅広い成形 Window を持つ発泡剤系の検討では,高倍率発泡試験で成形 Window の広さ を検討した結果と尿素系分解促進剤を添加して低温発泡が可能か検討した.OBSH は 5 倍 発泡でも高温まで発泡セルが細かく安定であり成形 Window が広いこと,尿素系分解促進 剤を添加すると 160℃での低温発泡が可能だが,発泡セルは粗大化することが分かった.

多機能多層成形体(FSC)の研究では,発泡剤を中間層とする FSC について回転成形を 想定した成形性試験を行い,得られた FSC を用いて自作した曲げ試験による剛性の評価を 行った.中間発泡層の発泡倍率の温度依存性の結果を Fig. 20 に示す.得られた FSC の曲 げ試験の結果を Fig. 21 に示す.FSC の成形条件は,PIAT が 180~200℃,発泡倍率は4倍 が限度である.中間層を発泡することで FSC が厚くなり(比重が低下),同一重量で比較 すると成形体の曲げ強度が大きくなる.発泡倍率 5 倍で曲げ強度が低下するのは発泡セル が潰れてセル強度が低下するためと考えられる.

ポリエチレンの樹脂の差が発泡性にあまり影響せず,発泡剤の差が発泡性に大きく影響 すること,発泡剤として OBSH を用いると,成形 Window が広く,発泡性に優れた FSC が

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得られることが分かった段階で,一連の研究は一旦中断し,FSC が成形可能な全自動回転 成形機の完成を待ってから FSC の研究を再開することにした.

Fig. 20 発泡倍率の温度依存性 Fog. 21 曲げ試験の結果

発泡の研究では,FSC の実用化を目指す上で非常に大切であるにも関わらず理論研究が 進んでいない中程度の倍率の発泡技術に焦点を当てて行った.

倍率 1.5 倍程度までの微発泡領域は充填剤の理論の応用として研究され,倍率 8 倍程度 以上の高倍率発泡領域では発泡構造を格子状の構造体として取り扱う Gibson-Ashby の法則 を用いて理論研究が行われてきた.中程度の倍率の発泡では,発泡セルの分布が影響する と予想される.最初に,発泡倍率の発泡セル分布に対する影響を検討した.得られた発泡 セルの径とアスペクト比を Fig. 22 に示す.発泡倍率が

高くなると発泡セル径は少し大きくなり,アスペクト 比も大きくなって異方性も少し大きくなるが,その差は 小さい.そこで,OBSH 粉末をメタノール中で再結晶 化させて大きな OBSH 結晶を作成し,元の OBSH 粉末 と混合することで発泡セルの大きさと分布の異なる 発泡体を得て,一軸圧縮試験を行った.OBSH 粉末と OBSH 結晶の顕微鏡写真を Fig. 23 に示す.混合発泡剤 からはセルサイズの分布が広い発泡体が得られる.顕微 鏡写真から読み取った発泡セルの分布を Fig. 24 に示す.

一軸圧縮試験の結果を Fig. 25 に示す.発泡体のセル サイズの分布が広いと,発泡セルの崩壊領域での圧縮

応力‐圧縮歪曲線の傾きが大きくなることが分かる. Fig. 22 平均セル径(a)とアスペクト比(b)

Fig. 23 Fig. 60 OBSH 粉末 (a) と OBSH 結晶 (b) の顕微鏡写真

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Fig. 24 発泡セルの分布 Fig. 25 混合発泡剤を用た発泡体の一軸圧縮試験

第 4 章では,多品種の製品群を小さなロットサイズで製造することやデザイン製品の開 発に適した回転成形法の普及活動と究極の多品種小ロット製品の製造法であるアディティ ブマニュファクチャリングについて述べる.この章の最後にプラスチックの様々な利点を 社会に PR する活動について触れる.

ワンウェイの多いフィルム・シート用途に偏ったポリエチレンの需要構造を変革して,

大型の中空成形体用途を開拓するために,2016 年に世界全体で年間約 200 万トンのポリエ チレンが使用されている回転成形を日本で普及させる活動を 2005 年から始めた.

海外で開催される回転成形の Conference に 19 回参加することで 21 世紀になってから活 発化した技術開発や製品開発の情報を,取り残された感がある日本のプラスチックワール ドに様々な手段で発信し,国内だけでなく海外でも日本の回転成形の第一人者の地位を築 いた.また,最近は情報収集だけでなく,非破壊劣化診断技術などの研究成果を積極的に 口頭発表し,参加者との交流の質を深めて構築した多彩なチャンネルを強固にした.この チャンネルは,リサイクルペレット・フレークを中間発泡層に用いる FSC 製品の開発でこ れから活用される.

Fig. 26 RotoFlex Project の推進者 Mark Kearns ( Queen’s University of Belfast) の来学 2008 年 11 月に「回転成形 -古くて新しい成形技術」(全 254 ページ,表 38,図 148, 写真 78,参考文献 230)を出版した.この書は日本の回転成形のバイブルになっている.

また,最先端プラスチック成形加工シリーズ第 4 巻,先端成形加工技術Ⅰの第 6 章「粉末 成形」(全 19 ページ,表 4 ,図 12 ,参考文献 30)や 2012 年に出版された “Structure and Properties of Polyolefin Materials” でも chapter 7 Polymer processing and molding(全 34 ページ,表 6 ,図 26 ,参考文献 106)でも分担執筆した.

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2014 年 11 月 14 日に始まった「いい樹脂の日」のイベントでは,第 1 回で講師を務め,

2018 年に開催されたマイクロプラスチック座談会でコメンテーターを務めた.

第 5 章では,博士後期課程で研究を行ってきた研究成果が実を結ぶ時に達したことを述 べ将来の夢を語る.

ARMO 2018 Hamburg では Rotoflex Project(推進者:Mark Kearns)が開発した全自動で FSC が成形できる回転成形機が製品として完成して展示されていた.この成形機と第 3 章 で述べた FSC に関する研究結果を結び付けると,Fig. 27 に示すようにリサイクルペレッ ト・フレークを中間発泡層とする様々なポリエチレンの製品開発が可能である.

Fig. 27 FSC 研究成果の応用

ソフトな感触を持った EMMA 層/ポリエチレン発泡層(リサイクルペレット・フレーク)

/ポリエチレン層で構成される FSC は,ソフトボディカーの外装材や人と接触する介護用ロ ボットの躯体への応用が期待される.断熱性と衝撃吸収性のある地下貯水タンクとそれを 循環させる壁面構造体も開発も興味深い.将来のエネルギー危機では暖房用のエネルギー 確保が大きな課題になる.地下 50 ㎝以下に貯留する水は年間を通して 16℃ ~20℃ に保た れる.これを熱源,冷源を利用する工夫が必要であり,断熱性と耐衝撃性という付加価値を 持つ FSC の活用が必要である.近い将来に発生することが確実視される南海トラフを震源 域とする巨大地震は非常に広範囲な人口密集地に被害を及ぼす.非難を強いられる人の数 は阪神淡路大震災や東日本巨大地震の一時避難者の数十倍の 1000 万人にもなり,避難期間 も長期になると予想される.長期の避難生活では,生活用水の確保が最大の問題である.地 下タンクに生活用水を貯水し,雨水で定期的に補給することも必要と思われる.常時は快適 な地下室として利用し,津波来襲時には地下シェルターの役目を果たす断熱性,衝撃吸収性 と吸音性を備えた地下室の躯体への応用も興味深い.

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