• 検索結果がありません。

博 士 ( 農 学 ) 畠 中 哲 哉

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博 士 ( 農 学 ) 畠 中 哲 哉"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 農 学 ) 畠 中 哲 哉

学 位 論 文 題 名

ランドサットTM データを用いた畑土壌生産力要因の高精度・細密 評価法の開発とそれに基づく土壌管理法に関する研究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  畑 作物 の多 収性 を重 視し た集 約農 業は 、化 学 肥料 や農 薬等 の生 産資 材の 多量 投入を基本 とし てい る。 作物 ごと の均 ーな栽培管理を高度に効 率的に行うために、基盤整備が行われ、

さら に土 壌改 良が 行わ れて きた 。我 が国 では 、5万 分の1の基 本土 壌図 をも とに した土壌改 良対 策図 が作 成さ れて いる 。し かし 、実 際に は 、圃 場ご と、 さら に圃 場内 にも 土壌生産カ の不 均一 性が 存在 して おり 、均 一な 栽培 管理 を 行う と、 収量 にむ らが 生じ 、結 果的に肥料 や農 薬等 の生 産資 材が 過剰 施用 とな り、 硝酸 溶 脱の よう に、 環境 への 負荷 も生 じることも 解っ てき た。 とく に、 養分 保持 カや 保水 能を 決 める 土壌 の腐 植含 量、 有効 土層 を決定する 礫層 の深 さの 土壌 生産 カ要 因は 、立 地条 件に 支 配さ れ不 均一 であ り、 土壌 の水 分条件を規 制し 、作 物生 産を 不均 ―に する 。し かし 、こ の よう な土 壌要 因を 土壌 調査 によ り細かく測 定す るこ とは 、労 力的 、経 済的 に困 難を 伴な う 。一 部の 土壌 要因 の測 定デ ータ から、広域 で 、 し か も 圃 場 一 枚 の 不 均 一 性 も 把 握 で き る 手 法 の 開 発 が 要 求 さ れ て き た 。   ラ ンド サッ ト衛 星に 搭載 され たセ マテ ック  ̄ マッ パセ ンサ (TMセン サ) は、 可視域から 赤外 域の 波長 域に おい て、 地上 を185kmの 幅で 一画 素30mx30mのサ イズ の画 像が 構築できる TM1パン ドか らTM7バン ドの デ― タを 供給 する 。 衛星 は16日に 一度 回帰 し、 時系 列にデ―タ が得 られ る。 これ まで 植物 の生育の分布状態の把握 を中心に、その利用が試みられてきた。

本研 究は 、TMデ― タか ら植 物被 覆の 影響 を取 り 除き 、TMデー タと 土壌 要因 の関 係付けを行 い、 そのTMデ ータ を介 して 土壌 要因 を面 的に 評 価し 、圃 場ご との 営農 サポ ート を可能にす る シ ス テ ム の 構 築 を 北 海 道 十 勝 畑 作 地 帯 に お い て 試 み た も の で あ る 。 1) 畑土 壌の 腐植 含 量の 評価

  裸 地状 態の さま ざま な畑 土壌25cmの腐植含量は、 可視域のTM1,2.3および近 赤外域のTM4 のデ ータ と有 意な 相関 関係 があ った 。そ の中 で も、 腐植含量の対数値はTM3データの対数値 と高い相関関係をもち、3から16%の範囲の腐植含量 を、O.3%の精度で回帰した。しかし、

植生 があ る場 合、TM3デ ータ はそ の影 響を 受け る。 そこ で、 その 画素 のTM3デー タの対数値 とTM4デ ータ の対 数 値の 関係 を取 るこ とに より 、植 生の 影響を取り除〈方法を検討し、その 適 用 を 試 み た と こ ろ 、 十 分 な 精 度 を も っ て 広 域 的 な 推 定 が 可 能 で あ る こ と を 認 め た 。 2)土 壌の 水分 状態 の評 価

  さ まざ まな 裸地 圃場 で時 系列で測定した深さ10cmの土壌水分状態(水分吸弓i圧(kPaおよ

‑ 219―

(2)

びpF、水分率)は、可視域および近赤外域のTMデータ、および腐植含量により有意に回帰 された。乾燥地では、水による光吸収が良い中間赤外域のTM5データが、水分状態の把握に 適していると言われている。しかし下層に水分を多く含む我が国では、下層からの水分供 給が表層の水分状態に強く影響している。本回帰分析結果から、可視域のTMデ―タは下層 土の水分供給能を反映していることを示したものと思われた。先に求めた腐植含量の推定 値と、各項目に関わるTMデータを用いて、面的な土壌水分状態の把握が可能となった。

3)土壌の水分容量の評価

  土壌固有の水分特性値である土壌の有効水分容量は、乾燥時期と湿潤時期の水分状態の 異なる2シーンのTM5データの差により有意に回帰された。このことは中間赤外域のTM5デー タが水による光の吸収を良く反映しているためである。回帰式から広域の有効水分容量の 把握が可能になった。

4)畑土壌の礫層の深さの評価

  さまざまな裸地圃場で実測された礫層の深さは、乾燥した土壌条件における可視域のTM 2、近赤外域のTM4、中間赤外域のTM5とTM7データにより有意に回帰された。可視域、近赤 外域は下層からの水分供給を伴なう表層の水分状態を反映し、中間赤外域は土層の水分量 を反映している。すなわち、礫層の深さは下層からの水分供給を規制するとともに、その 結果その深さまでの土壌に保持されている水分量を良く反映すると考えられる。そして乾 燥時にその土壌間差が大きく現れることが、上記の関係を生み出したものと推察された。

5)農業情報システムの開発と新評価図の総合的利用法

  十勝中部で得られた推定式を用いて、十勝地方全域の畑土壌の腐植含量、土壌水分特性、

礫深度の区分図を作成した。これら要因の現れ方は同じ土壌型でも異なるとともに、一枚 の圃場においても異なっていた。このことは、従来の土壌図では到底確認できなかったこ とである。これまでの十勝の主要作物の収量デ―タに基づき、腐植含量、有効水分容量お よび礫深度に関して、正常な生育・収量を得ることができる土壌要因強度の基準値を設定 し、基幹作物の栽培適地が抽出できることを示した。さらに土壌要因の重ね合わせによっ て、生産性の制限要因を抽出できることを示した。これらを統合し、作物栽培適地と、制 限要因の地理情報を提供する、コンピュータシステム「農業情報システム(AGRIST)」を構 築した。

  以上のように、ランドサットTMデータにより畑土壌の生産力要因としての腐植含量、水 分特性、礫深度は高精度・細密に評価できることが明らかになったと共に、作成した区分 図に基づぃて作物の栽培適地の選定が可能となり、また阻害要因を特定し、営農的サポ―

トが適確に行えることを明らかにした。

(3)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主 査    教 授    波 多 野 隆 介 副 査    教 授    堀 口 郁 夫 副 査    教 授    但 野 利 秋 副 査    教 授    松 田    豊

学 位 論 文 題 名

ランドサットTM データを用いた畑土壌生産力要因の高精度・細密 評価法の開発とそれに基づく土壌管理法に関する研究

  本 論文 は8章 で構 成さ れ、 図41、表28、 弓I用 文献150、 総頁 数114の 和文論文で、他に参 考論 文16編が 添え られ て いる 。

  畑 作物 の多 収性 を重 視 した 集約 農業 は、 化学 肥料 や農 薬等 の生 産資 材の多量投入を基本 とし てい る。 作物 ごとの均一な栽培 管理を高度に効率的に行うために、基盤整備が行われ、

さら に土 壌改 良が 行わ れ てき た。 我が 国で は、5万 分 の1の基 本土 壌図 をもとにした土壌改 良対 策図 が作 成さ れて い る。 しか し、 実際 には 、圃 場ご と、 さら に圃 場内にも土壌生産カ の不 均一 性が 存在 して お り、 均ー な栽 培管 理を 行う と、 収量 にむ らが 生じ、結果的に肥料 や農 薬等 の生 産資 材が 過 剰施 用と なり 、硝 酸溶 脱の よう に、 環境 への 負荷も生じることも 解っ てき た。 とく に、養分保持カや 保水能を決める・土壌の腐植含量、有効土層を決定する 礫層 の深 さの 土壌 生産 力 要因 は、 立地 条件 に支 配さ れ不 均― であ り、 土壌の水分条件を規 制し 、作 物生 産を 不均 一 にす る。 しか し、 この よう な土 壌要 因を 土壌 調査により細かく測 定す るこ とは 、労 力的 、 経済 的に 困難 を伴 なう 。一 部の 土壌 要因 の測 定データから、広域 で 、 し か も 圃 場 一 枚 の 不 均 一 性 も 把 握 で き る 手 法 の 開 発 が 要 求 さ れ て き た 。   ラ ン ド サッ ト衛 星に 搭載 され た セマ テッ ク・ マッ パセ ンサ(TMセ ンサ )は 、可 視域 から 赤外 域の 波長 域に おい て 、地 上を185kmの 幅で ー画 素30mx30mのサ イズ の画像が構築できる TM11くン ドか らTM7パン ドの デ― タを 供給 する 。衛星は16日に一度回帰し、時系列にデ―タ が得 られ る。 これ まで植物の生育の 分布状態の把握を中心に、その利用が試みられてきた。

本研 究は 、TMデー タか ら 植物 被覆 の影 響を 取り 除き 、TMデ― タと 土壌 要因の関係付けを行 い、 そのTMデ ―タ を介 し て土 壌要 因を 面的 に評 価し 、圃 場ご との 営農 サポ―卜を可能にす る シ ス テ ム の 構 築 を 北 海 道 十 勝 畑 作 地 帯 に お い て 試 み た も の で あ る 。 1)畑 土壌 の腐 植含 量の 評価

  裸 地状 態の さま ざま な 畑土 壌25cmの 腐植 含量は、その対数値 が可視域のTM3デ―タの対数 値と 高い 相関 関係 をも ち 、3から16% の範 囲の 腐植含量を、O.3%の精度で回帰した。さら     ―221 ‑―

(4)

にTM3データの対数値とTM4データの対数値の関係に基づぃて植生の影響を取り除く方法を 検討しその適用を試みた結果、十分な精度をもって広域的推定が可能であることを認めた。

2)土壌の水分状態の評価

  さまざまな裸地圃場で時系列で測定した深さ10cmの土壌水分状態は、可視域および近赤 外域のTMデ―タ、および腐植含量により有意に回帰された。一般には、水による光吸収の 良い中間赤外域のTM5データが水分状態を反映すると考えられている。しかし下層からの水 分供給も表層の水分状態に強く影響する。本回帰分析結果から、可視域のTMデータは下層 土の水分供給能を反映したものと思われた。先に求めた広域の腐植含量の推定値を用い、

面的な土壌水分状態の把握を可能にした。

3)土壌の水分容量の評価

  一方、土壌固有の水分特性値である土壌の有効水分容量は、水分量そのものを反映して おり、乾燥時期と湿潤時期の水分状態の異なる2シーンのTM5データの差により有意に回帰 された。

4)畑土壌の礫層の深さの評価

  さまざまな裸地圃場で実測された礫層の深さは、乾燥した土壌条件で得られた可視域の TM2デ―タ、近赤外域のTM4データ、中間赤外域のTM5とTM7データにより有意に回帰された。

礫層の深さは下層からの水分供給を規制するとともに、その結果その深さまでの土壌に保 持されている水分量を良く反映すると考えられる。そして乾燥時にその土壌間差が大きく 現れることが、上記の関係を生み出したものと推察された。

5)農業情報システムの開発と新評価図の総合的利用法

  十勝中部で得られた推定式を用いて、十勝地方全域の畑土壌の腐植含量、土壌水分特性、

礫深度の区分図を作成した。これら要因の現れ方は同じ土壌型でも異なるとともに、一枚 の圃場においても異なっていた。このことは、従来の土壌図では到底確認できなかったこ とである。これまでの十勝の主要作物の収量データに基づき、腐植含量、有効水分容量お よび礫深度に関して、正常な生育・収量を得ることができる土壌要因強度の基準値を設定 し、基幹作物の栽培適地が抽出できることを示した。さらに土壌要因の重ね台わせによっ て、生産性の制限要因を抽出できることを示した。これらを統合し、作物栽培適地と、制 限要因の地理情報を提供する、コンピュータシステム「農業情報システム(AGRJ ST)Jを構 築した。

  以上のように、ランドサットTMデータにより畑土壌の生産カ要因を広域にかっ細密に推 定し、基幹作物の適地と営農サポ一卜を明らかにした本研究は、学術的のみならず、実際 の現場においても高く評価されている。よって審査員一同は、畠中哲哉が博士(農学)の 学位を受けるに十分な資格を有するものと認めた。

参照

関連したドキュメント

  4 段 式心 土混 層プ ラ ウの 牽引 抵抗の合計は38kN であった 。これは実用的な作業を行 うことが充 分 可能

   次に分施について、(1 )直播テンサイの初期生育確保に最適な作条基肥窒素量は40 kg hal 程 度 であり、最適な施肥位置は種子から側方2 .5 〜  5.Ocm

土壌の酸緩衝が植物の酸緩衝に及ぽす影響:土壌系の△BC

テ ンサ イの Rhizoctonia solani による根腐病に対する抑止土壌については,その抑止要因 が これまで明らかにされていない。R . solani の2 群2 型および4

  

  

と 還元 的 水 管 理 を組 合 わ せる ことに よっ て汚染 米の生 産を防 止でき ると の結論 に達し ている 。    以上 のよう に,本 研究は 水稲 のカド ミウム 吸収お

     血清 型1 〜 12 の参考株全てが、OmlA を発現しているかを血清型Sa の野外株 (NG‑8 株)、 血清型 1 及び7 の参考株の OmlA