• 検索結果がありません。

博士(農学)佐山 学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(農学)佐山 学位論文題名"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博士(農学)佐山 学位論文題名

テンサイそう根病および根腐病の生物的防除法に関する研究 学位論文内容の要旨

  北 海道 にお ける 基幹作物のーつであるテンサイのそう根病は,病原ウイルスの媒介菌で あるPolymyxa betaeの休眠胞子が、土壌中で長期間生存するため、輪作等の耕種的防除法は 効果 が低 く, また 、経済的に有効な防除薬剤や十分な抵抗性品種も無いため生物的防除法 の開 発が 求め られ ていた。また,テンサイ根腐病は薬剤の使用にもかかわらず,毎年作付 圃場 の20%程 度に 発生がみられているため,予防的に使用できる生物的防除法が求められ ている。

  本 研究 では ,そ う根病および根腐病の生物的防除法の開発を目的に,拮抗細菌や菌寄生 菌を 探索 し温 室内 および圃場における施用法を検討するとともに発病抑制試験を行った。

さら に、 そう 根病 に関しては,土壌中の菌数を低減させる要因を探索し,その効果を定量 的に 評価 した 。根 腐病に関しては,土壌の発病抑止性を解明して防除に利用するために,

微生物的特性を調査した。

1.テンサイそう根病の生物的防除法

  汚 染土 壌に 栽培 した野生工ンバクやテンサイが土壌中のPolymyxa betaeの休眠胞子数に 与える影響について,定量的な調査を行った結果,最確値法で調査゛した土壌中のウイルス 保毒 菌数 は野 生エ ンパクの90月間の栽培により減少した。また、抵抗性テシサイ品種では ほとんど変化無く,感受性テシサイ品種では約10倍に増加した。.マ方,直接法による調査 では ,抵 抗性 品種 の栽培も感受性品種と同程度に菌数が増加したことから,抵抗性品種は 主に ウイ ルス に対 する抵抗性に関与しているものと考えられた。また,これらの植物の根 浸出 液の 処理 によ り,休眠胞子の空洞化(細胞質の無い状態)が蒸留水処理に比べて促進 されたことから,野生エンパクの栽培によるP. betae菌数の減少効果の原因の一部は,根 浸出 液の 作用 によ る休眠胞子の空洞化によるものと考えられた。さらに,植物の栽培以外 に シ ョ 糖 や ア ミノ 酸 の 添 加 , 高pH, 高 温 に よ っ ても 休眠 胞子 の空 洞化 が促 進さ れた 。   P.   bet aeの休眠胞子は同じ科に属する根こぶ病菌と異なり,これまで各種の螢光色素に よっ て十 分に は染 色されなかった。土壌中の菌数の測定や休眠胞子の観察のための蛍光色 素による染色法を検討した結果、SDSによる前処理により十分な染色が可能になることが明 らか とな った 。さ らに,FITC結合レクチンによっても選択的な染色が可能となった。今後

、 本 法 は 、 土 壌 中 の 休 眠 胞 子 の 観 察 に 有 効 な 手 段 と な る も の と 考 え ら れ た 。   次 に根 圏細 菌を 用いたテンサイそう根病の生物的防除法の開発を目的に、テンサイが長     ―247―

(2)

期間違作されているそう根病発生圃場に栽培したテンサイの細根から428菌株の根圏細菌 を分離し,室内試験によって最も効果の高い1菌株(SB一K88)を選抜した。本菌株は,細 菌の濃度が高いほど,また接種したP. betae遊走子濃度が低いほど発病抑制効果が強かっ た。圃場試験では,育苗時接種により中発生圃場では移植後1.50月,少発生圃場では30 月間葉の黄化程度を指標とした場合に,発病抑制効果が認められた。同時にSB−K88菌株の 定着性を調査した結果,育苗中および移植直後には全細菌数に占めるSBーK88菌株の割合が 高かったがその後は減少した。この菌量の低下が栽培後期における効果の低減の一因にな っていると考えられた。施用法に関しては,種子コーティング,バーミキュライトなどの 担体に付着さ世たものの土壌混合および培養ろ液の潅注処理を比較したところ,担体の土 壌混合で最も効果が高かった。また,抵抗性品種の栽培時におけるSBーK88菌株の利用法と して,SB−K88菌株は初期感染を抑制し,抵抗性品種の効果は栽培後期まで継続したことか ら , 両 者 の 組 み 合 わ せ に よ り 効 果 が 増 強 で き る 可 能 性 が 示 さ れ た 。 2.テンサイ根腐病の生物的防除

  テンサイのRhizoctonia solaniによる根腐病に対する抑止土壌については,その抑止要 因がこれまで明らかにされていない。R. solaniの2群2型および4群菌株の菌体の繰り返し 接種により、苗立枯病を指標に土壌の抑止性を誘導した。抑止性は、テンサイ栽培の有無 に関わらず、菌体接種のみによっても生e、死菌体によっては生じなかった。繰り返し接 種による土壌中の糸状菌、細菌、放線菌、Trichode rma属菌数の麥動はわずかであった。

しかし、同時に測定したソイルペレット法による土壌塊からのRhizoctonia菌糸の出現率 は減少した。繰り返し接種土壌中におけるR. solaniの菌糸生育は耕地土壌中に比べて劣 り、接種5日目で約1/2となり、明らかに、菌糸生育が抑制された。繰り返し接種土壌の抑 止性は、培養することにより高まることから、生物的因子であることが示唆された。抑止 性は、55℃の通気蒸気処理によってほぼ消失したことから、耐熱性の細菌の関与の可能性 は低いものと考えられた。また、抑止性のべノミルに対する感受性は低く、Trichode rma 属菌、Gliocladium属菌、Verticillium属菌などは同剤に感受性が高かった。これらのこ とから、本実験に用いち.a‑Lた繰り返し接種土壌の主な抑止要因は、ペノミルに非感受性、

熱感受性であり、R. solaniに対する抑止土壌の抑止要因としてはこれまでに知られてい ない微生物である可能性が示唆された。

  R. solani AG2−2を繰り返し接種した北海道札幌市および河西郡芽室町の耕地土壌から 菌寄生性Verticillium属菌23菌株を分離した。分離菌株の多くはR.soldrii AG2―2による テンサイ苗立枯病を抑制したがその程度は菌株により異なった。分離菌株の中から最も抑 制効果の高かった2菌株(HV8株,HV10株)を選抜した。これら2菌株は施用量が多いほど テンサイ苗立枯病に対する抑制効果が高く,またテンサイ種子へのR. solaniの寄生を強 く抑制し,特に5%の濃度で処理した場合にはPCNB(40 ppm)処理と同等の抑制効果を示し た。また両菌株はテンサイ根腐病に対しても,株元への1回処理および苗床,植穴,株元 への計3回処理で明瞭な抑制効果を示した。光学顕微鏡観察の結果,分離Verticillium属

‑ 248

(3)

菌はR. soldrii菌糸の生細胞に寄生し,本菌侵入後にR.solaniの菌糸が死に至ることが明 らか と なっ た 。Ve rticillium属菌は ,形態と生 育温度から いずれもVerticillium bigut tatumと同定された。将来テンサイの生産においても薬剤使用量の削減が求められ ることが予想されることから,本菌の利用はテンサイ苗立枯病や根腐病の総合防除におけ る有用な技術のーっとなる可能性がある。

249

(4)

学位 論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

テンサイそう根病および根腐病の生物的防除法に関する研究

  本論 文は 、図35、 表21、弓I用文 献129を 含み、5章からなる総頁数154の和′文論文である。別 に 参考 論文7編 が添 えら れて い る。

  テ ン サ イ の 重 要 病 害 で あ る , そ う 根 病 お よ び 根 腐 病 の 生 物 的 防 除 法 の 開 発 を 目 的 と し て

、 拮 抗 細 菌 や 菌 寄 生 菌 を 探 索 し 温 室 内 お よ び 圃 場 に お け る 施 用 法 を 検 討 し 発 病 抑 制 試 験 を 行 っ た 。 さ ら に そ う 根 病 に 関 し て は , 土 壌 中 の 菌 数 を 低 滅 さ せ る 要 因 を 探 索 し , そ の 効 果 を 定 量 的 に 評 価 し た 。 根 腐 病 に 関 し て は , 土 壌 の 発 病 抑 止 性 を 解 明 し て 防 除 に 利 用 す る た め に, 微生 物的 特性 を調 査し た。

1.テ ンサ イそ う根 病の 生物 的 防除 法

汚 染 土 壌 に 栽 培 し た 野 生 工 ン バ ク や テ ン サ イ が 土 壌 中 のPolymyxa betaeの 休 眠 胞 子 数 に 与 え る 影 響 に つ い て , 最 確 値 法 に よ り 定 量 し た と こ ろ 土 壌 中 の ウ イ ル ス 保 毒 菌 数 は 野 生 工 ン パ ク の90月 間 の 栽 培 に よ り 減 少 し , 抵 抗 性 テ ン サ イ 品 種 で ほ ぽ 変 化 無 く , 感 受 性 テ ン サ イ 品 種 で 約10倍 に 増 加 し た 。 ま た , こ れ ら の 植 物 の 根 浸 出 液 の 処 理 に よ り , 休 眠 胞 子 の 空 洞 化 ( 細 胞 質 の 無 い 状 態 ) が 蒸 留 水 処 理 に 比 べ て 促 進 し た こ と か ら , 野 生 エ ン パ ク の 栽 培 に よ るP betae菌 数 の 減 少 効 果 の 原 因 の 一 部 は , 根 浸 出 液 の 作 用 に よ る 休 眠 胞 子 の 空 洞化 に よ る も の と 考 え ら れ た 。 糖 や ア ミ ノ 酸 の 添 加 , 高pH, 高 温 に よ っ て も 休 眠 胞 子 の 空 洞 化 ぶ 促進 され た。

こ れ ま で 各 種 の 螢 光 色 素 に よ っ て 十 分 に は 染 色 さ れ な か っ た 土 壌 中 のP betae休 眠 胞 子の 染 色 法 を 検 討 し た と こ ろ ,SDSに よ る 前 処 理 に よ り 十 分 な 染 色 が 可 能 に な る こ と が 明 ら か と な っ た 。 さ ら に , FITC結 合 レ ク チ ン に よ っ て も 選 択 的 な 染 色 が 可 能 と な っ た 。 根 圏 細 菌 を 用 い た テ ン サ イ そ う 根 病 の 生 物 的 防 除 法 の 開 発 を 目 的 に , テ ン サ イ の 細 根 か ら 根 圏 細 菌 を 分 離 し , 室 内 試 験 に よ っ て 効 果 の 高 い1菌 株 (SBK88)を 選 抜 し た 。 本 菌 株 は

, 細 菌 の 濃 度 が 高 い ほ ど , ま た 接 種 し たP betae遊 走 子 濃 度 が 低 い ほ ど 発 病 抑 制 効 果 が強 く あ ら わ れ た 。 圃 場 試 験 で は , 育 苗 時 接 種 に よ り 中 発 生 圃 場 で 演 移 植 後150月 , 少 発 生

250

六男 郎夫 喜繁 一則 林藤 田藤 小内 上近 授授 授授       教 教教 教助 査査 査査 主副 副副

(5)

圃 場で は30月間 葉の黄 化程 度を 指標 とし た場 合に ,発 病抑 制効 果が 認め られた 。こ の時

, 育苗中および移植直後には全細菌数に占めるSB―K88菌株の割合が高かったが,その後は 減 少し ,菌 量の 低下が 栽培 後期 における効果の低減の原因のーっになっていると考えられ た 。施 用法 に関 しては ,細 菌を 付着させたパーミキュライトの土壌混合で最も効果が高か っ た。また,抵抗性品種の栽培とSB−K88菌株の組み合わせにより,効果が増強できる可能 性が示された。

2.テンサイ根腐病の生物的防除,

テ ンサ イのRhizoctonia solaniによる根腐病に対する抑止土壌については,その抑止要因 が これまで明らかにされていない。R. solaniの2群2型および4群菌株の菌体の繰り返し接 種 によ り、 苗立 枯病を 指標 に土 壌の抑止性を誘導した。抑止性は,テンサイ栽培の有無に 関 わら ず, 菌体 接種の みに よっ ても生じ、死菌体によっては生じなかった。繰り返し接種 に よる 土壌 中の 糸状菌 、細 菌、 放線 菌、Trichoderma属 菌数 の変動はわずかであった。繰 り 返し 接種 土壌 の抑止 性は 、培 養することにより高まることから、生物的因子であること が 示唆 され た。 抑止性 は、55℃ の通気蒸気処理によってほぽ消失したことから、耐熱性の 細 菌の 関与 の可 能性は 低い もの と考えられた。また、抑止性のベノミルに対する感受性は 低 く、Trichode rma属菌、Gliocladium属菌、Verticillium属菌などは同剤に感受性が高か っ た。 これ らの ことか ら、 本繰 り返し接種土壌の主な抑止要因は、ベノミルに非感受性で 熱 感受 性で あり 、R. solaniに 対する抑止土壌の抑止要因としてはこれまでに知られてい ない微生物である可能性が示唆された。

繰 り返 し接 種土 壌から 菌寄 生性Vertici‖ium属菌23菌株を分離した。我が国においては.

テ ンサ イ苗 立枯 病およ び根 腐病 を抑制するVertic‖lium属菌の報告は無いため,本菌を用 いた生物的防除法の開発のための試験を行った。分離菌株の多くは長. solani AG2ー2によ る テン サイ 苗立 枯病を 抑制 した がその程度は菌株により異なり,最も抑制効果の高かった 2菌株(IIV8株,HV10株).|違,施用量が多いほど苗立枯病に対する抑制効果が高く,5%の 濃度で処理した場合にはPCNB (40 ppLU)処理と同等の抑制効果を示した。また両菌株はテン サ イ根 腐病 に対 しても ,株 元処 理で明瞭な抑制効果を示した。光学顕微鏡観察の結果,分 離Ve rticillium属菌はR.solani菌糸の生細胞に寄生し,本菌侵入後にR.solaniの菌糸が 死 に至 るこ とが 明らか とな った 。分離Verticillium属菌は,形態と生育温度からいずれも V. biguttatumと同定 され た。 本菌の利用はテンサイ苗立枯病や根腐病の総合防除におけ る有用な技術のーつとなる可能性がある。

  以上 の研 究成 果は、 テン サイ そう根病と根腐病の生物的防除法開発に重要な手がかりを 与えるものであり、学術上応用上高く評価される。よって審査員一同は、佐山充が博士(農 学)の学位を受けるに十分な資格を有するものと認めた。

‑ 251

参照

関連したドキュメント

  

2

土壌の酸緩衝が植物の酸緩衝に及ぽす影響:土壌系の△BC

   アルカン資化性菌として、ローヘキサデカン(71‑C16) を資化できる菌株をスクリーニング し、約6 ,

  6 . 本病の防除には田畑輸換,熱水土壌消毒および土壌くん蒸剤を用いた土壌消毒 が有効であった。田畑輸換では2 〜3 年間水稲を導入する必要があり,本病の蔓延速度 を考 慮す ると

   罹病 残渣を地表 に放置ある いは土壌中 に埋没して も,約5 年間4.2X10 4

   本研究 は高 圧流体 をチゼ ル先端 のノズ ルか ら噴出 させて ,流体 の圧 カで土 壌を破壊するサブソ イラを 開発す ること を目 的とす る。こ のサプ ソイ

と 還元 的 水 管 理 を組 合 わ せる ことに よっ て汚染 米の生 産を防 止でき ると の結論 に達し ている 。    以上 のよう に,本 研究は 水稲 のカド ミウム 吸収お