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博 士 ( 獣 医 学) 伊 藤 博 哉

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Academic year: 2021

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博 士 ( 獣 医 学) 伊 藤 博 哉      学位論文題名

Development of New Typing Methods of ActiTzobacillus pleuropneu7noniae Based on the Genetic Diversity of the     Protective Outer Membrane lipoprotein

ほctinobacillus pleuropneumonzae の感染防御抗原である外膜リポタンパク質の      遺伝的多様性を利用した新しい型別法の開発)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

    Actinobacillus pleuropneumoniae は、線維素性出血性肺炎を主徴とする豚の胸膜 肺 炎の 原因 菌で ある 。本 菌の 血清型は、主に莢膜多糖及びりポ多糖の抗原性で規定 さ れて いる と考 えら れて おり 、現在までに15 の血清型が報告されている。豚の胸膜 肺 炎は 世界 各国 で多 発し 、養 豚産業に甚大な被害を与えているが、国、地域及び農 場によって流行しているイ. pleuropneumoniae の血清型は異なる。日本では血清型2 が 高頻 度に 分離 され 、次 いで 血清 型1 が 多く 、そ の他 の血 清型も少数ながら分離さ れ てい るが 、血 清型 4 、 10 や世 界的 にも 分離 報告 例の 少な い血清型13 〜15 の分離報 告はない。

     現 在、 血清 型別 の検 査に は全菌体を免疫して作製したポリクローナルな抗血清 が 主に 使用 され てい る。 しか し、全ての型別用抗血清を所有している検査機関は少 な い。 さら に検 査法 によ って は、いくっかの血清型問で交差反応がしばしば認めら れ 、 正 確 な 型 別 が で き な い 場 合 が あ る 。 そ の 原 因 は , 使 用 す る 免 疫 血 清 が A pleuropneumonzae に 共通 する 様々な抗原に対する抗体を含有するためと考えられ、

さ らに ,こ れら 様々 な抗 原の 菌株ごとの発現量の違いも,型別成績に影響を与える と考えられる。また、本病の予防対策に使用される不活化全菌体ワクチンの効果は、

血 清型 に依 存す ると され るが 、血清型が感染防御抗原型を反映するものではない。

そ のた めに 、共 通抗 原の 影響 を受けない予防対策に有効な新しい型別法の開発が望 ま れる 。従 って 、あ る特 定の 単一の抗原及ぴその遺伝子を利用した抗原型別法を開 発 すれ ば、 共通 抗原 等の 影響 を受けずに従来の血清型別法よりも正確な型別が可能 であると考えられる。

     さ らに 型別 用抗 原が 感染 防御抗原であれば、新しく開発した抗原型別法は、豚

の 胸膜 肺炎 の制 御及 ぴ疫 学解 析を行なう際に直接有効で実用的な方法であると言え

る。そこで、イ. pleuropneumoniae の感染防御抗原である特定の抗原及びその遺伝子

を 利 用 し た 新 し い 抗 原 型 別 法 の 開 発 を 目 的 と し て 、 一 連 の 研 究 を 行 な っ た。

(2)

    い く っ か の 細 菌 種 の 感 染 防 御 抗 原 で あ る 外 膜 タ ン パ ク 質 に は 、 遺 伝 的 多 様 性 が あ る 事 が 報 告 さ れ て い る 。 著 者 は 、 イ . pleuropneumoniaeに存 在す る遺 伝的 多 様性 を 持 っ た 外 膜 タ ン パ ク 質 及 ぴ そ の 遺 伝 子 が 、 本 菌 の 型 別 に 利 用 す る 抗 原 及 び 遺 伝 子 に 適 す る と 考 え 、 ま ず 本 菌 の 野 外 株(NG‑8株 、 血 清 型Sa)実 験 感 染 豚 か ら 得 ら れ た 抗 血 清 を 用 い て 、NG‑8株 の 外 膜 タ ン パ ク 質 遺 伝 子 の 分 子 ク ロ ー ニ ン グ を 試 み た 。 そ の 結 果 、 ク ロ ー ニ ン グ し た 遺 伝 子 は 、 そ の 性 状 解 析 結 果 か ら 、 分 子 量 約43,OOODaの 外 膜 リ ポ タ ン パ ク 質(outer membrane lipoprotein)をコ ード する 事が 判明 し、 そ のタ ン パク質をOmlA、また遺伝子をomIAと名付けた。

    組 換 えOmIAを マ ウ ス に 免 疫 し 、 感 染 防 御 試 験 を 行 っ た 結 果 、 有 意 な 死 亡 阻 止 効 果 が 認 め ら れ た の で 、OmlAを 感 染 防 御 抗 原 と 同 定 し た 。OmlA及 びomIAが 本 菌 の抗原型別法に利用可能な抗原及び遺伝子であるためには、これらがA

pleur opneumoniaeに 広 く 存 在 す る 事 が 必 要 で あ る 。 そ こ で 、 ま ずNG‑8株 のomIAを プ ロ ー ブ に 用 い て 、low stringentな 条 件 下 でSouthem blotting(SB)を実 施し 、NG‑8株 のomIAと 相 同 な 配 列 を 持 つDNAが 、 血 清 型1〜12の 参 考 株 に も 存 在 す る か を 検 討 し た 。 そ の 結 果 、 プ ロ ー ブ は 血 清 型1‑‑12の 参 考 株 全 て と 反 応 し 、 血 清 型1‑12の 参 考 株 全 て がomIAを 保 有 す る と 考 え ら れ た 。 一 方 、high smngentな 条 件 下 でSBを 実 施 し た と こ ろ 、 血 清 型5a,5b及 ぴ10の 参 考 株 と の み 反 応 し , 全 て の 血 清 型 の 参 考 株 のD所 朋 がNG_8株 のD所 以 と 高 い 相 同 性 を 持 っ わ け で は な く 、Dm朋 に は 多 様 性 が ある事が示唆された。

    Dm朋 の 多 様 性 を 明 ら か に す る た め に 血 清 型1〜12の 参 考 株 が 保 有 す るDm朋 の 塩 基 配 列 を 決 定 し た 。 即 ち 、NG‐8株 のo所 以 の 上 流 及 び 下 流 領 域 の 塩 基 配 列 を 参 考 に し て 、Dm以 の 完 全 長 の0penreadingframe(ORF) を 含 むDNAを 増 幅 可 能 な プ ラ イ マ ー を 設 計 し てPCRを 実 施 し 、 増 幅 し たDNAの 塩 基 配 列 の 決 定 及 び 解 析 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 血 清 型1〜12の 参 考 株 全 て か らNG.8株 の DmMと 相 同 な ORFが 検 出 さ れた。イ.pた釘′叩門P甜朋D門洫血清型1〜12の参考株 のD所朋の分子系統樹を作成すると、

血清 型1〜12の参 考株 及ぴNG‐8株( 血清 型5a)は 、(1)血 清型1、9、11、12、(2)2、 8、 (3)3、4、6、7、 (4)5a、5b、10の4グル ープ に分 けら れる 事が 判明 した 。 同一 グ ル ー プ に 属 す るDm朋 の 塩 基 配 列 の 同 一 性 は 、95.4〜100% と 高 か っ た が 、 異 な る グ ル ー プ に 属 す るD肋 ひ の 塩 基 配 列 の 同 一 性 は 、70.7〜82.9% で あ り 、OmlAに は 遺 伝 的多様性が認められる事が明らかとなった。

    上述 の成 績を 基に 、Omnの遺 伝的 多様 性を 利用 した イ,pた飢 ′印 門PHmD門fロ ¢ の新 し い 抗 原 型 別 法 の 開 発 を 試 み た 。 即 ち 、 ま ず 血 清 型1〜12の 参 考 株 のD朋 以 の 塩 基 配 列 を 比 較 し 、 保 存 領 域 を 検 索 し た 。 保 存 領 域 の 塩 基 配 列 を 基 に 、PCR用 プ ラ イ マ ー を 新 た に 設 計 し てPCRを 実 施 し た 結 果 、 約970塩 基 長 の DNAが 血 清 型1〜12の 参 考 株 全 て か ら 増 幅 さ れ た 。 さ ら に 、PCRで 増 幅 し たDNAを 切 断 可 能 な い く っ か の 制 限 酵 素 で 切 断 し 、 ア ガ ロ ー ス ゲ ル 電 気 泳 動 法 で 解 析 し た 。 そ の 結 果 、 制 限 酵 素 聡 ぴ で 切 断 し て 得 ら れ たPCR‐resmction伽 ・gmentlengmpolymorphism(RFLP) 型は 、 血清型1〜12の参考株を、(1)血清型1、9、11、12、(2)2、8、(3)3、6、7、(4)4、(5)5a、

(3)

5b 、 10 の5 っのグループに分ける事ができ、後述のWestem blotting(WB) 法で型別で きなかった血清型3 及び 12 の参考株も区別する事ができた。また日本で分離された 血清型 1 、2 、3 、 5 、 7 の野外株(計41 株)及びカナダで分離された血清型10 の野 外株(1 株)のom lA の PCR‑RFLP 型は、それぞれの血清型参考株の型と同一であり、

本法を野外株の型別にも利用できると考えられた。

     血清 型1 〜 12 の参考株全てが、OmlA を発現しているかを血清型Sa の野外株 (NG‑8 株)、 血清型 1 及び7 の参考株の OmlA に対する特異抗血清を用いたWB 法で 検討した結果、血清型3 及び12 の参考株以外の血清型参考株全てが、OmlA を発現 している事が明らかとなった。また OmlA の抗原性には多様性があり、WB での反 応性の違いに基づき、イ. pleuropneumoniae のOmlA は((1) 血清型1 、2 、8 、9 、11 、 (2)4 、6 、7 、(3)5a 、5b 、10) の3 つのグループに分けられた。このように血清型3 及ぴ 12 の血清型参考株を除き、OmIA の抗原性に基づぃたイ.pleuropneumoniae の抗 原型別が可能であった。

     本研究で開発した型別法は、従来の血清型別法とは異なり、感染防御に関わる

特定のタンパク質及びその遺伝子を利用した新しい抗原型別法である。豚の胸膜肺

炎の予防対策上、感染防御抗原が何型かを調べる事がワクチン選定で重要であると

考えられ、本研究で開発した抗原型別法は本病の予防対策に直接有効な実用的な方

法であると言える。

(4)

学位論文審査の要旨

     学位論文題名

Development of New Typing Methods of . 4c あ沈 D みロ cfZ ん zs ウた勿ガゆ銘¢銘 銘〇髭ぬぞBaSedontheGenetiCDiVerSityofthe     ProteCtiVeouterMembranelipoprotein

(Actinobacillus pleuropneumoniaeの感染防御抗原である外膜リポタンパク質の     遺伝的多様性を利用した新しい型別法の開発)

  本論文 は豚の胸 膜肺炎の 原因菌Actinobacillus pleuropneumoniaeの外膜リポタン パ ク質 遺 伝 子の 多 様性 を 利 用し た 新 規型 別 法の 開発 にっいて 述べたも のである。

  本 論 文 の提 出 者 であ る 伊藤 博 哉 氏は ま ず、 型 別に利 用する抗 原及び遺 伝子の候 補 とし て 、 実験 感 染豚 の 血 清を 用 い て本 菌 の野 外 株 (血 清 型Sa)の 外 膜リ ポ タン パ ク質 お よ びそ の 遺伝 子 の 性状 を 解 析し た 。そ の結 果、外膜 リポタン パク質が感 染防御 抗原であ り、その 遺伝子を プローブ に用いたSouthern blottingにより、血清 型1〜  12の 参 考 株 は 血 清 型Saの外 膜 リ ポタ ン パク 質 遺 伝子 と 相同 性 を 示すDNA を 保有 す る こと が 判明し た。次に 、血清型1〜  12の参考 株全ての 外膜リポ タンパ ク 質 遺 伝 子 の 塩 基 配 列 を 決 定 、 比 較 解 析 し た と こ ろ 、 多 様 性 を 認 め た 。   以上の成績を基に、氏は遺伝子の多様性を利用したPCRrestriction fragment length polymorphismに よる 新 しい 型 別 法を 開 発 した 。 この 方 法 で血 清 型1〜12の 参考 株 は5っ の グ ル ー プ に 型 別 さ れ 、 血 清 型1、2、3、5、7お よ び10の 野 外 株 ( 計42 株 )を す べ て型531jすること ができた 。さらに3種の異な る外膜リ ポタンパ ク質に 対 する 特 異 抗血 清 を作製 し、これ らの抗血 清を用い たWestem blottingにより 、外 膜 リポ タ ン パク 質 の抗 原 性 に多 様 性 があ る こと を明 らかにし た。氏は さらに、外 膜 リポ タ ン パク 質 の抗原 性の違い に基づき 、A. pleuropneumoniaeが大 きく3っの グループに型別できることを示した。

  本 研 究 で氏 が 開 発し た 型別 法 は 、従 来 の血 清 型別と は異なり 、感染防 御に関わ る 特定 の タ ンパ ク 質及 び そ の遺 伝 子 を利 用 した 新し い抗原型 別である 。豚の胸膜

宏 尋

彦 博

   

   

千 定

田 本

木 田

喜 杉

鈴 迫

授 授

授 授

   

   

教 教

教 助

査 査

査 査

主 副

副 副

(5)

肺炎ワクチンの製造株を選定する際に感染防御抗原の型を同定することは極めて 重要である。したがって、氏が開発したActinobacillus pleuropneumoniae 抗原型別 法は本病の予防対策に有効で実用的である。

   よって、審査委員一同は、上記学位論文提出者伊藤博哉氏が博士(獣医学)の

学位を授与されるに十分な資格を有するものと認めた。

参照

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