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博 士 ( 獣 医 学 ) 檜 垣 彰 吾

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Academic year: 2021

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博 士 ( 獣 医 学 ) 檜 垣 彰 吾

    学 位 論 文 題 名

Cryopreservation of zebrafish  (Da7zio reTio)   primordialgermCellSbyembryOVitrifiCation

( 胚 の ガ ラ ス 化 に よ る ゼ ブ ラ フ イ ッ シ ュ 始 原 生 殖 細 胞 の 低 温 保 存 )

学 位 論 文 内 容 の 要旨

  ゼ ブラフ イッシュ は多数 の変異体 を有す る重要な 実験動物であり、その配偶子および胚 の 低温保 存が必要 とされ ているが 、卵子お よぴ胚 の低温保存技術は開発されていない。ゼ ブ ラ フ イッ シ ュ で は、 体 節 期の 胚 ( ドナ ー ) から 回収し た始原生 殖細胞(PGC)を不 妊化 処 理した 胚(レシ ピェン ト)に移 植するこ とで、 移植PGC由来の 精子およ び卵子 を生産す る 成魚を 作出する 技術( 借腹生産 技術)が 開発さ れている 。した がってPGCの低 温保存は 配 偶子お よび胚の 低温保 存の代替 となるだ けでは なく、借腹生産技術の実用化にも必須の 技 術であ る。しか し、ゼ ブラフイッシュの体節期胚から回収されるPGCは少数(10〜20個)

で ある。 そこで本 研究で は、PGCの生存率 が高く 、回収率 も高い 低温保存 技術を 開発する た め、胚 のガラス 化によ るPGCの 低温保存 法にっ いて検討 した。

  第1章では、 まず、5種類 の凍害防 止剤に ついて、 それぞれ のガラス化能と胚への毒性を 検討し た。その 結果から 、6Mの凍 害防止剤 を含む ガラス化 液を用 いた2段階暴露 による 胚

(体 節 期 )の ガ ラ ス 化実 験を 行った。 その結 果、エチ レング リコール(EG)を添加 したガ ラス 化 液 では 、 ほ ぼ 全て の胚 から生存PGCが 回収され 、PGCの生存率 は約20% であった 。 他の 凍 害 防止 剤 を 添 加し たガ ラス化液 では、PGCの生 存率は4%以 下であっ た。ま た、EG とプ ロ ピ レン グ リ コ ール(PG)を 添 加し た ガ ラス 化 液 では、 全ての胚 から生存PGCが 回収 され、PGCの生 存率は約25%であ った。以 上のこ とから、 体節期胚のガラス化により、PGC の低温 保存が可 能である ことが 示唆され た。

  第2章で は、まず 、6種 類の各 凍害防止剤にスクロース(0.5M)を添加することにより、

溶液 のガラ ス化能が 高くな ることを 確認した 。その 結果から 、SMの凍害防止剤とスクロー スを含む・ガラス化液を用いて胚のガラス化実験を行った。その結果、メタノール、PG、1,3― ブチ レング リコール およぴ グリセリ ンを用い た場合 、生存PGCはほ とんど回 収され なかっ た 。EGあ る いは ジ メ チ ルス ル フ ォキ シ ド(DMSO)を 用 いて ガ ラ ス化 し た 場 合、 ほ とんど     ―767―

(2)

の胚から生存PGCが回収され、PGCの生存率はそれぞれ約40%およぴ約20%であった。また、

EGを用いてガラス化した胚から回収された生存PGCの約30%に偽足運動が見られた。以上 のことから、ガラス化液ヘスクロースを添加することにより、ガラス化保存胚のPGCの生 存性が改善されることが明らかとなった。

  第3章では、まず、卵黄を一部除去した胚(卵黄除去胚)と無処理の胚をSMの凍害防止 剤(EG、DMSOあるい はPG)と0.5Mスク ロースを 添加した ガラス化液 を用い、PGCの生 存性を比較した。その結果、卵黄を除去することによルガラス化保存胚のPGCの生存性が 改善された。次に、2種類の凍害防止剤とスクロースを添加したガラス化液を用いて卵黄除 去 胚のガラ ス化実験 を行った。その結果、3M EG、2MDMS0韜よび0.5Mスクロースを添 加したガラス化液を用いてガラス化した卵黄除去胚で約80%のPGC生存率が得られ、約60% の生存PGCに偽足運動が見られた。そこで、この条件でガラス化保存した卵黄除去胚のPGC を不妊化処理レシピェント胚ヘ1個ずつ移植した。移植後2日目には、形態的に正常な胚の 11.8%(18/152)で生殖隆起にPGCが観察された。そのうち成魚ー発育したものほ移植PGC に由来する精子あるいは卵子を有していた(雄6匹、雌1匹)。すなわち、交配によりPGC のドナーの特徴を備えた子孫が得られた。以上のことから、EG、DMSOおよびスクロース を添加したガラス化液を用いて卵黄除去胚をガラス化低温保存することでPGCの生存性が 改善されることが明らかになった。また、ガラス化した胚から回収されたPGCは、機能的 な配偶子に発生・分化することが示された。

  第4章では、前章のEG、DMSOおよびスクロースを添加したガラス化液と類似組成のヒ ト卵 巣 組織 ガ ラ ス化 保 存 液(3.59MEG、2.82MDMSOお よび0.5Mスクロー スを含む ) を用いてガラス化保存した胚のPGCの発生・分化能を確認した。卵黄除去胚と無処理胚の ガラス化実験を行った結果、卵黄除去胚のPGCの生存性が高いことが確認された。卵黄除 去胚で約90%のPGC生存率が得られ、約50%の生存PGCに偽足運動が見られた。そこで、こ の条件でガラス化保存した卵黄除去胚のPGCを不妊化レシピェント胚へ1個ずつ移植した。

移植後2日目には、形態的に正常た胚の7.5%(14/187)で生殖隆起にPGCが観察された。そ のうち成魚ヘ発育したものは移植PGCに由来する精子あるいは卵子を有していた(雄5匹、

雌1匹)。以上のことから、EG、DMSOおよびスクロースを添加したガラス化液を用いた 卵 黄 除 去 胚 の ガ ラ ス 化 がPGCの 低 温 保 存 に 有 効 で あ る こ と が 確 認 さ れ た 。

  本研究により開発された卵黄除去体節期胚のガラス化によるPGCの低温保存技術は、ゼ ブラフイッシュの配偶子および胚の低温保存の代替となるだけではなく、小型硬骨魚類の 借腹生産技術にも有用であると考えられる。

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(3)

学位論文 審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 准教授 准教授

高橋 昆 佐々木 永野

芳幸 泰寛 宣哉 昌志

    学 位 論 文 題 名

Cryopreservation of zebrafish  (Danio rerio)   primordial germ cells by embryo vitrification

( 胚 の ガ ラ ス 化 に よ る ゼ ブ ラ フ イ ッ シ ュ 始 原 生 殖 細 胞 の 低 温 保 存 )

  論 文 提 出 者 は 、 ゼ ブ ラ フ ィ ッ シ ュ の 借 腹 生 産 技 術 の 実 用 化 に 必 要 な 始 原 生 殖 細 胞(PGC)の 低 温 保 存 、 と く に 、 体 節 期 胚 を ガ ラ ス 化 す る こ と に よ りPGCを 低 温 ( 液 体 窒 素 ) 保 存 す る 簡 便 な 方 法 に っ い て 検 討 し た 。

  ま ず 、 各 種 の 凍 害 防 止 剤 の 毒 性 と ガ ラ ス 化 能 を 調 べ 、 ガ ラ ス 化 が 可 能 と 推 定 さ れ る 濃 度 の 凍 害 防 止 剤 を 添 加 し た 溶 液 を 用 い て 急 速 冷 却 し た 胚 のPGCの 生 存 性 を 検 討 し た 。 そ の 結 果 、 エ チ レ ン グ リ コ ー ル(EG)と ス ク ロ ー ス を 添 加 し た 溶 液 を 用 い て 急 速 冷 却 し た 場 合 、 胚 が ガ ラ ス 化 さ れ 、PGCの 生 存 率 が 高 い ( 約40% ) こ と を 突 き 止 め た 。

  次 に 、 卵 黄 の 一 部 を 除 去 し た 胚 ( 卵 黄 除 去 胚 ) を ガ ラ ス 化 保 存 す る とPGCの 生 存 率 が 改 善 さ れ る こ と を 見 い だ し 、 と く に 、EGと ジ メ チ ル ス ル ホ キ シ ド (DMSO)と ス ク ロ ー ス を 添 加 し た 溶 液 を 用 い て 卵 黄 除 去 胚 を ガ ラ ス 化 す る と 、 PGCの 生 存 率 は80% 以 上 に な り 、 生 存PGCの50% 以 上 が 活 発 な 偽 足 運 動 を 示 す こ と を 明 ら か に し た 。 さ ら に 、EGとDMSOと ス ク ロ ー ス を 添 加 し た 溶 液 を 用 い て ガ ラ ス 化 し た 卵 黄 除 去 胚 か ら 回 収 さ れ たPGCを 異 系 統 の レ シ ピ エ ン ト 胚 ヘ 移 植 し た 。 そ の 結 果 、 移 植PGCの 約10% が レ シ ピ ェ ン ト 胚 の 生 殖 隆 起 に 移 動 す る こ と と 、 生 殖 隆 起 に 生 存PGCを 有 す る レ シ ピ ェ ン ト 胚 を 成 魚 に 発 育 さ せ る と 、 そ の85% が 妊 性 を 有 し 、 移 植PGC由 来 の 精 子 あ る い は 卵 子 を 生 産 し て い る こ と を 実 証 し た 。

  以 上 の よ う に 、 論 文 提 出 者 は 独 創 的 な .PGCの 低 温 保 存 法 を 開 発 し 、 世 界 で 初 め て ゼ ブ ラ フ イ ッ シ ュPGCの 低 温 保 存 に 成 功 し た 。 本 研 究 で 開 発 さ れ たPGCの 低 温 保 存 法 は 改 善 の 必 要 が あ る も の の 、 ゼ ブ ラ フ ィ ッ シ ュ を 含 む 小 型 硬 骨 魚 類 の 借 腹 生 産 技 術 で の 利 活 用 が 期 待 さ れ る 。 よ っ て 、 審 査 委 員 一 同 は 、 上 記 博 士 論 文

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提出者檜垣彰吾氏の博士論文は、北海道大学大学院獣医学研究科規程第6 条の規

定 に よ る 本 研 究 科 の 行 う 博 士 論 文 の 審 査 等 に 合 格 と 認 め た 。

参照

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