博 士 ( 獣医 学 ) 自 貴 蓉
学位論文題名
Development of kits for rapid diagnosis of influenza (インフルエンザの迅速診断のためのキットの開発)
学 位 論 文 内 容 の 要 旨
A 型 お よび B 型 イ ン フル エ ンザ ウ イ ルス を 特異 的 に 検出 す る迅 速診断キッ トの 感 度 を 向 上 さ せ る た め 、 A 型 ウ イ ル ス NP 蛋 白 の 59‑130 番 ア ミノ 酸 領 域お よ びB 型ウ イ ルス NP 蛋白 の 72‑191 番 ア ミノ 酸 領 域を 認 識す る モ ノク ローン 抗体を用い た エ ス プ ラ イ ン @ イ ン フ ル エ ン ザ A&B‑N を 開 発 し た 。 本 キ ッ ト の 検 出 限 界 は 10210 ‐i0217 pfl.17 テストであり、従来キットに比ベ、4 〜1000 倍感度が改善された。
また 本 キッ ト は 近年 ア ジア 地 域 でヒ ト や 家禽 か ら分 離 さ れた 高病原性 H5Nl ウイ ル ス を 含 む す べ て の HA 亜 型 の A 型 ウ イ ル ス な ら び に 調 べ た 15 株 す べ て の B 型 ウイルス 株と反応し た。以上の成績から、今回開発したエスプラィン@インフルエ ン ザ A & B‑N は A 型 お よ び B 型 ウ イ ル ス を 迅 速 か つ 高 感度 に 検出 す る こと が 判明 した。
エ スプ ラ イ ン@ イ ン フル エ ンザ A & B‑N 診 断キ ッ トが 鶏 お よび豚 インフルエ ン
ザを 迅速に診断 できるか 否かを評 価した。 このキッ トにより 高病原性鳥 インフル
エン ザウイルス A/chicken/Yamaguchi/7/04(H5Nl) 株に実験 感染48 時間 後の鶏の 気
管ス ワブ、気管 乳剤、肝 臓、脾臓 、結腸か ら特異的 にウイル ス抗原を検 出し、ま
た斃 死鶏からも 気管スワ ブ、クロ アカスワ ブと臓器 乳剤から ウイルス抗 原を検出
する ことができ た。また 、ニワト りに対し て病原性 が低いイ ンフルエン ザウイル
スA/chicken/aq‑Y‑55/01 (H9N2) の実験感染鶏では、感染早期に気管スワブと気管乳
剤か らウイルス 抗原を検 出するこ とができ た。同様 に豚イン フルエンザ および鳥
インフルエンザウイルスに感染したミニ豚の鼻腔内スワブからもウイルス抗原を 検出した。以上の結果から、このキットを鶏および豚インフルエンザの高感度、
特異的診断に活用できるものと結論した。
―1423―
学 位論文審査の要旨 主 査 教 授 喜 田 宏 副査 助教授 迫田義博 副 査 教 授 小 沼 操 副査 助教授 前田秋彦
学位論文題名
Development of kits for rapid diagnosis of influenza
(インフルエンザの迅速診断のためのキットの開発)
イン フ ルエ ンザ は地 球上 に 広く 分布 する人 獣共通感染症である。ヒト の新型ウイルスは、自然界 の 烏の 間 に存 続す るウ イル ス から 遺伝 子を獲 得して出現する。ヒトに出 現したウイルスはインフル エ ンザ の 世界 流行 (パ ンデ ミ ック )を 起こし 、ヒ卜集団に定着する。新 型インフルエンザウイルス は 、そ の 後ヒ トか らヒ 卜に 伝 播す る間 に抗体 の圧カに曝され、抗原変異 を起こす。抗原変異株は、
年 々イ ン フル エン ザの 流行 を 引き 起こ す。し たがって、ヒトおよび家禽 ・家畜のインフルエンザの 的確な 予防・治療には、迅速かつ 精度に優れた、型と亜型の診 断法の確立が必須である。 本研究は、
ヒ トお よ び家 禽、 家畜 さら に は野 鳥の インフ ルエンザを臨床および疫学 調査に活用し得る迅速診断 キット を開発し、これを実用化す るために実施されたものであ る。
先ず 、A型お よ びB型 イン フ ルエ ンザ ウイ ル スを 特異 的に 検出 す る迅 速診 断キ ット の 感度を向上 さ せ る た め 、A型 ウ イ ル スNP蛋 白 の59ー130番ア ミ ノ酸 領域 およ びB型ウ イル スNP蛋 白の72―191 番アミ ノ酸領域を認識するモノク ローン抗体を用いたエスプラ イン@インフルエンザA&B一Nを開発し た。本 キットの検出限界は1ぴ.。 ーl02.7 pfu/テストであり、従来キッ卜に比べ、4〜1000倍感度が改 善 され た 。ま た本 キッ 卜は 近 年ア ジア 地域で ヒトや家寓から分離された 高病原性H5N1ウイルスを含 む す べ て のHA亜 型 のA型 ウ イ ル ス な ら び に 調べ た15株す べて のB型ウ イ ルス 株と 反応 した 。 以上 の 成績 か ら、 今回 開発 した エ スプ ライ ン@イ ンフルエンザA&BーNはA型お よびB型ウイルスを迅速か つ高感 度に検出することが判明し た。
次 に 、エ スプ ライ ン@ イ ンフ ルエ ンザA&B−N診断キットが鶏および 豚インフルエンザを迅速に 診 断 で き る か 否 か を 評 価 し た 。 こ の キ ッ ト に よ り 高 病 原 性 鳥 イ ン フ ル エ ン ザ ウ イ ル ス A/chicken/Yamaguchi/7/04 (H5N1)株に実験感染48時間後の鶏の気管スワブ、気管乳剤、肝臓、脾臓、
結 腸か ら 特異 的に ウイ ルス 抗 原を 検出 し、ま た斃死鶏からも気管スワブ 、クロアカスワブと臓器乳 剤 から ウ イル ス抗 原を 検出 す るこ とが できた 。また、ニワトりに対して 病原性が低いインフルエン ザウイ ルス,A/chi cken/aq−Y一55/01 (H9N2)の実験感染鶏では、感染早期に気管スワブと気管乳剤か ら ウイ ル ス抗 原を 検出 する こ とが でき た。同 様に豚インフルエンザおよ び烏インフルエンザウイル
−1424―
スに 感染 したミ二豚の鼻腔内スワブ からもウイルス抗原を検出 した。以上の結果から、
を 鶏 お よ び 豚 イ ン フ ル エン ザの 高感 度、 特 異的 診断 に活 用で き るも のと 結諭 し た。
本 研究 成果がインフルエンザの予 防・治療と疫学調査に資す るところが大きいので、
は白 責蓉 氏が博士(獣医学)の学位 を授与されるに十分な資格 を有するものと認めた。
ー1425―
このキット
審査員ー同