1. Schanz骨切り術後の殿筋内脱臼に対してTHA を施行した一例
岡山大学病院 整形外科a,岡山大学大学院医歯薬学総合 研究科 運動器医療材料開発b,川崎医科大学 整形外科
(関節)c
井 上 円 加a, 遠 藤 裕 介b, 三 谷 茂c 藤 原 一 夫a, 三 宅 由 晃a, 尾 﨑 敏 文a Schanz 骨切り術は,過去に年長児の未治療高位股関節脱 臼例に対して行われていた手術である.症例は,12歳時に 当科で左先天性股関節脱臼に対して,Schanz 骨切り術を施 行され,65歳時に歩行困難,腰痛,膝痛を主訴に来院され た.殿筋内脱臼股に対して大腿骨転子下骨切り術を併用し た人工股関節置換術を施行したので報告する.
2. 6歳男児の左距骨に生じたdysplasia epiphysealis hemimelicaに対して足関節鏡視下切除術を行っ た一例
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 整形外科学a, 運動器医療材料開発b,運動器知能化システム開発c
小 澤 正 嗣a, 井 谷 智a, 井 上 円 加a 森 本 裕 樹a, 国 定 俊 之b, 阿 部 信 寛c 尾 﨑 敏 文a
Dysplasia epiphysealis hemimelica(以下 DEH)は小児 の骨端部に生じる稀な疾患である.今回我々は距骨に発生 した DEH を経験したので報告する.患児は6歳男児.左 足関節の外反変形を主訴に受診し,単純レ線,CT および MRI より距骨 DEH と診断した.足関節鏡視下に病変部切 除を行い,術後外反変形は改善した.距骨 DEH において 鏡視下手術は低侵襲でよい適応と考えられた.
3. 整形外科の外来診療における超音波検査の実際 川崎医科大学附属川崎病院 スポーツ整形外科センター
森 啓 弥, 島 本 一 紀, 中 村 恭 啓 柚 木 脩
超音波検査は解像度が高く,早く安全なことから,整形
外科医の聴診器とも称されている.我々は1998年,筋損傷 に対する本検査法の有用性を発表し実践を重ねてきた.単 に診断だけでなく,治療の選択(手術的か保存的か;アキ レス腱断裂等),さらに経過に合わせてその画像の変化を患 者様と共に眺め理解してもらいリハビリ処方を実践する為 に有用であった.その結果,患者参加型の安全な医療,確 実なフォローアップが可能になった.
4. 長母指伸筋腱断裂の術中に見つかった固有示指伸 筋腱欠損の一例
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 整形外科学 馬 﨑 哲 朗, 橋 詰 謙 三, 西田圭一郎 中 原 龍 一, 尾 﨑 敏 文
長母指伸筋腱断裂の手術中に見つかった固有示指伸筋腱 欠損の1例を経験したので報告する.29歳,女性.関節リ ウマチの既往あり.仕事中に突然右母指伸展障害が出現.
当科紹介受診し右長母指伸筋腱断裂と診断,後日手術を施 行した.手術は固有示指伸筋腱の腱移行術を予定していた が,術中同腱が欠損していることが判明し,短橈側手根伸 筋腱を移行腱として使用した.術後7ヵ月で伸展制限は改 善し,再断裂は認めず経過良好である.
5. 多発脳神経障害に合併した顔面神経麻痺に対する 動的,静的再建の一例
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 形成再建外科学 山 口 憲 昭, 木矢孝一郎, 山 田 潔 難波祐三郎, 木 股 敬 裕
45歳男性,左傍咽頭間隙から頭蓋底腫瘍拡大切除のため に生じた術後顔面神経麻痺に対して顔面神経機能再建を施 行した.術前の脳神経は患側で第5,7,8,10,12脳神 経の完全麻痺を生じている状態であった.動的再建として 交叉顔面神経移植を施行した.両側の顔面神経頬骨枝,頬 筋枝を同定し,採取した腓腹神経を分割し吻合している.静 的再建として筋膜移植を併用した.Neurocharge 出来ない 状況における動的再建について文献的考察を含め報告する.
第174回 岡山外科会
日 時:平成23年2月19日(土)13:00〜
場 所:岡山シンフォニーホール(イベントホール)
会 長:猶 本 良 夫
(平成23年4月26日受稿)
岡山医学会雑誌 第123巻 August 2011, pp. 165ン170
学会抄録
6. 胸部食道癌食道亜全摘後の胃管壊死に対して遊離 空腸移植を施行した一例
岡山大学病院 形成外科
光 井 俊 人, 小野田 聡, 佐 野 成 一 越宗靖二郎, 難波祐三郎, 木 股 敬 裕 症例は70歳男性,胸部進行食道癌に対して外科にて食道 亜全摘・胃管による皮下経路再建術を施行された.しかし,
術後に胃管の先端約5㎝が壊死に陥った.そのため,壊死 胃管の部分切除,および前胸部に食道瘻の造設を施行され ていた.頭部食道断端と残存胃管の先端の距離は11㎝で,
この食道欠損部位に対して遊離空腸移植による再建を施行 し,良好な結果を得たのでこれを報告する.
7. 頭頚部癌・食道癌におけるPEGを用いた栄養管 理の有用性の検討
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 消化器・腫瘍外科学 田 辺 俊 介, 白 川 靖 博, 野 間 和 広 横 道 直 佑, 森 川 達 也, 近 藤 喜 太 櫻 間 教 文, 岸 本 浩 行, 宇 野 太 永 坂 岳 司, 西 崎 正 彦, 香 川 俊 輔 藤 原 俊 義
当科においては,現在頭頚部領域,食道癌症例における 胃ろう造設症例が増加している.頭頚部悪性腫瘍症例にお いては放射線化学療法症例に対する,栄養ルートの確保の ための積極的胃ろう造設,あるいは術後機能障害,再発例 などにおける胃ろう造設例である.また高度進行食道癌症 例においては,経口摂取不能例が多く,栄養ルート確保の ために胃ろうを造設する症例を数例経験している.当科に おける現況を報告する.
8. 食道癌術中経腸栄養チューブ留置に関する問題点 と当科における工夫
川崎医科大学 総合外科学
高 岡 宗 徳, 木下真一郎, 深 澤 拓 也 林 次 郎, 繁 光 薫, 山 辻 知 樹 吉 田 和 弘, 森 田 一 郎, 猶 本 良 夫 食道癌根治術において空腸瘻を用いた経腸栄養を行うこ とでより効果的に術後の全身状態回復を期待でき有用であ るが,経腸栄養チューブ刺入部空腸を腹壁へ挙上固定する ことが原因となりイレウスを生じるケースも散見される.
より合併症の少ない経腸栄養チューブ留置を目指し,当科 では十二指腸よりチューブ挿入・空腸まで先端留置し,十 二指腸刺入部を腹壁固定する方法を採用している.実際の 手技とその利点について提示・考察する.
9. 悪性リンパ腫合併胸部食道癌症例の治療経験 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 消化器・腫瘍外科学
横 道 直 佑, 白 川 靖 博, 野 間 和 広 田 辺 俊 介, 森 川 達 也, 近 藤 喜 太 櫻 間 教 文, 岸 本 浩 行, 宇 野 太 永 坂 岳 司, 西 崎 正 彦, 香 川 俊 輔 藤 原 俊 義
食道癌と他の悪性腫瘍の重複症例ではしばしば治療方 針・治療疾患順の検討に苦慮する場合がある.今回われわ れは,胸部食道癌と悪性リンパ腫の重複症例を一例経験し た.悪性リンパ腫による,頚部から腹部にわたる広範なリ ンパ節腫脹を認めており,食道癌の術前リンパ節転移診断 が困難であったのと,手術操作において特に縦隔内操作に おいて注意を要した.治療経過と手術手技について報告す る.
10. 食道癌肉腫に肺腺癌を併発した一例 川崎医科大学 消化器外科
長谷川 優, 村 上 陽 昭, 松 本 英 男 甲斐田祐子, 窪 田 寿 子, 東 田 正 陽 平 林 葉 子, 岡 保 夫, 奥 村 英 雄 浦 上 淳, 山 下 和 城, 平 井 敏 弘 79歳男性.健診で胸部異状陰影を指摘され,近医にて右 肺癌を指摘された.術前精査のため,上部消化管内視鏡で 食道癌を認め,当科紹介となった.下部食道癌(扁平上皮 癌)を認め,食道癌に対して経横隔膜的食道亜全摘術を施 行し,1ヵ月後に右下葉切除を施行した.病理検査で食道 病変は癌肉腫,肺病変は気管支肺胞腺癌と診断された.食 道癌肉腫に気管支肺胞腺癌を併発した1例を経験したので 文献的考察を含め報告する.
11. 外科的切除を要した良性食道狭窄の一例 津山中央病院 外科
鳴 坂 徹, 木 村 圭 佑, 合 地 史 明 山 本 堪 介, 青 山 克 幸, 渡邉めぐみ 吉 田 一 博, 水 野 憲 治, 松 村 年 久 野 中 泰 幸, 林 同 輔, 宮 島 孝 直 黒 瀬 通 弘, 徳 田 直 彦
症例は64歳男性,主訴は嘔吐.内視鏡にて下部食道に全 周性潰瘍を伴う高度狭窄を認め,悪性を疑い生検施行.病 理にて悪性所見認められず内視鏡的拡張術を施行するも狭 窄改善なく右開胸開腹胸部食道切除術を施行.切除標本で も線維肉芽性変化が主体で悪性所見は認めず,逆流性食道 炎に伴う潰瘍形成・治癒瘢痕により高度狭窄をきたしたと 考えられた.手術を必要とする良性食道狭窄は稀であり,
若干の文献的考察を加えて報告する.
12. 魚骨による食道穿孔後の難治性食道気管支瘻の一 例
川崎医科大学 消化器外科
遠 迫 孝 昭, 松 本 英 男, 東 田 正 陽 長谷川 優, 甲斐田祐子, 窪 田 寿 子 平 林 葉 子, 岡 保 夫, 浦 上 淳 山 下 和 城, 平 井 敏 弘
60歳代,男性.199x年に魚骨にて食道穿孔を認め,縫合 閉鎖も縫合不全のため,大網充填術を施行.その後食道気 管支瘻を認め,食道ステント挿入術されていた.その後食 道狭窄,食道気管支瘻の残存を認め,当科へ紹介.食道バ イパス術を施行し,食事は良好であったが,食道気管支瘻 の残存を認め,吐血を繰り返した.今回,201x年に遺残食 道切除術施行した.食道穿孔後の難治性食道気管支瘻の一 例を経験したため報告した.
13. 胃小細胞癌の二例
国立病院機構岡山医療センター 外科
長 岡 知 里, 太 田 徹 哉, 猪 俣 知 子 森 秀 暁, 市 原 周 治, 秋 山 一 郎 國 末 浩 範, 藤 原 拓 造, 臼 井 由 行 田中信一郎, 野 村 修 一
①69歳男性.胃前庭部後壁に潰瘍性病変あり胃全摘術,
D2+α,Roux-enY 再建施行.肉眼型は5型 pT2 (MP) pN0M0StageⅠB.②76歳女性.残胃噴門部に潰瘍性病変あ り残胃全摘,脾摘,D2,Roux-enY 再建施行.pT3 (SS) pN2M0StageⅢA.補助化学療法を施行.①術後20ヵ月,
②術後12ヵ月で無再発経過観察中.考察:胃小細胞癌の予 後は極めて悪く厳重な経過観察を要する.
14. 腫瘍破裂にて発見された腹膜由来のGISTの一例 岡山済生会総合病院 外科
小 川 俊 博, 仁 熊 健 文, 岡 田 剛 稲 葉 基 高, 三 村 哲 重
症例は30代女性.下腹部痛にて近医受診.その後腹痛が 増悪し当院受診した.来院時,腹膜刺激症状あり.精査に て下腹部腫瘤と腹水を認め,同部位からの腹腔内出血と診 断した.術中所見では腫瘍は前腹壁の腹膜由来と思われた.
また腫瘍の一部は破裂しておりそこから腹腔内への出血を 認めた.術後病理検査の結果,腹膜由来の GIST と診断さ れた.今回 GIST の破裂の一例を経験したので文献的考察 を含めて報告する.
15. 岡山大学病院における胃癌に対するダビンチS (da Vinci S surgical system) によるロボット支 援腹腔鏡下手術の導入
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 消化器・腫瘍外科学a, 腫瘍・胸部外科学b
香 川 俊 輔a, 西 﨑 正 彦a, 宇 野 太a 岸 本 浩 行a, 白 川 靖 博a, 永 坂 岳 司a 野 間 和 広a, 田 辺 俊 介a, 近 藤 喜 太a 横 道 直 佑a, 森 川 達 也a, 佃 和 憲b 浅 野 博 昭b, 内 藤 稔b, 藤 原 俊 義a 手術支援ロボット ダビンチS は鏡視下手術鉗子の多 関節化により動きの自由度と操作性が向上し,3次元のハ イビジョン画像情報による手術可能となるため,鏡視下手 術をより正確に行うことができると考えられている.現在 岡山大学病院において胃癌に対するロボット支援腹腔鏡下 胃切除術の導入準備を行っているが,その現況と国内外の 文献を紹介するとともに,本会までに手術が施行された場 合にはその症例報告を行う.
16. 葛西手術後のイレウスに対する腹腔鏡下癒着剥離 術
川崎医科大学 小児外科
納 所 洋, 植 村 貞 繁
症例は新生児期に葛西手術を施行した3ヵ月男児.癒着 性イレウスと続発性胆管炎を認め,腹腔鏡下癒着剥離術を 行った.術後,腸蠕動は速やかに回復し,胆管炎も早期に 離脱できた.現在黄疸は消失して順調に経過しているが,
将来的に肝障害が進行し,肝移植が必要となることも考え られる.葛西術後の再開腹は,今後肝移植を行った場合に 障害となるため回避すべきであり,乳児期においても腹腔 鏡を第一選択とするべきであろう.
17. 成人生体肝移植における胆道合併症の傾向とその 対策
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 消化器・腫瘍外科学 菊 地 覚 次, 松 田 浩 明, 貞 森 裕 篠 浦 先, 楳 田 祐 三, 吉 田 龍 一 佐 藤 太 祐, 内 海 方 嗣, 杭 瀬 崇 八 木 孝 仁, 藤 原 俊 義
当院で行った成人生体肝移植手術(209例)における,術 後胆道合併症(胆管吻合部の狭窄,および胆汁漏)につい て検討を行った.その結果,胆道合併症は46.4%に認めた.
胆汁漏の危険因子は右葉グラフトであり,吻合部狭窄の危 険因子は,高齢,再建吻合数1ヵ所(ブタ鼻1穴)であっ た.胆道合併症の治療には,内視鏡的治療や IVR が有用で
あり,吻合部狭窄の予防には,胆管血流を考慮した胆管剥 離が重要と考えられた.
18. 先天性胆道拡張症に合併した胆管癌に対して肝左 三区域切除幽門輪温存 膵頭十二指腸切除術を施 行した一例
岡山済生会総合病院 外科
井 筒 将 斗, 仁 熊 健 文, 安 井 和 也 石 川 亘, 児 島 亨, 三 村 哲 重 【症例】症例は33歳,女性.造影 CT 検査で総胆管拡張,
肝門部胆管〜中部胆管にかけて隆起性病変認め肝門部胆管 癌と診断した.門脈前区域枝及び左枝塞栓後,肝左三区域 切除幽門輪温存膵頭十二指腸切除術施行した.病理診断は T2N2M0 pStsageⅢであった.術後1年3ヵ月を経て無再 発生存中である.【結語】HPD は高侵襲手術であるが慎重 に手術適応を考慮すれば広範囲に浸潤する胆道癌に対して 効果的な治療である.
19. 末梢型と肝門型肝内胆管癌における術式の検討 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 消化器・腫瘍外科学
佐 藤 太 祐, 楳 田 祐 三, 貞 森 裕 松 田 浩 明, 篠 浦 先, 吉 田 龍 一 内 海 方 嗣, 杭 瀬 崇, 菊 池 寛 次 八 木 孝 仁, 藤 原 俊 義
肝門型の左葉症例に対しては肝十二指腸間膜と総肝動脈 周囲リンパ節の郭清のみならず,胃小網・小弯側の郭清を 考慮する必要性がある.末梢型の右葉症例3㎝未満におい てはリンパ節転移は認められず,リンパ節郭清を省略でき る可能性があると考えられた.また,系統的リンパ節郭清 がリンパ節再発の予防に寄与している可能性が示唆され た.しかしリンパ節転移陽性症例では5年生存率は7.1%と 予後は非常に厳しいものであった.
20. 巨大肝嚢胞の一切除例
国立病院機構岡山医療センター 外科
猪 股 知 子, 太 田 徹 哉, 長 岡 知 里 森 秀 暁, 市 原 周 治, 秋 山 一 郎 國 末 浩 範, 藤 原 拓 造, 臼 井 由 行 田中信一郎, 野 村 修 一
症例は82歳女性.1ヵ月前より右上腹部の圧迫感と前屈 時の疼痛を自覚し当院受診.腹部 CT で肝右葉に巨大な嚢 胞性腫瘍があり,腹部造影 CT,MRI では嚢胞内に造影効 果を伴う壁在結節を認め,嚢胞液の CEA,CA19ン9は高値 であった.嚢胞腺癌を疑い肝右葉切除術を施行.病理学的 には出血を伴う肝嚢胞であった.肝嚢胞性病変で壁在結節
がみられた場合,嚢胞内出血による変化も考慮すべきと思 われた.
21. ソケイヘルニアに合併した子宮円索静脈瘤の一例 児島中央病院 外科a,高知大学 第2外科b
宮 本 善 文a, 田 邉 秀 幸a, 岡 崎 泰 長b 症例は35歳女性.2回帝王切開分娩歴あり.約半年前よ りの起立時の右ソケイ部膨隆を認め来院した.右外ソケイ ヘルニアと診断し手術を予定した.右ソケイ管を開放した 所,子宮円索周囲の深ソケイ輪から浅ソケイ輪にかけて約 5㎝大の静脈瘤を認めた.またソケイ管途中までに外ソケ イヘルニアのヘルニア嚢も認めたが,内腔に腸管などは認 めなかった.子宮円索と静脈瘤切除後,mesh plug を用い たヘルニア根治術を施行した.
22. 移動性盲腸が嵌頓した大網裂孔ヘルニアの一例 岡山市立市民病院 外科
酒 井 亮, 羽井佐 実, 寺 本 淳 川 崎 伸 弘, 庄 賀 一 彦, 光岡晋太郎 松 前 大, 濵 田 英 明
症例は25歳女性.腹痛・嘔吐を主訴に当院救急外来を受 診した.腹部 CT にて小腸と盲腸のニボーを伴う拡張を認 め,回盲部の拡張が著明であることから盲腸軸捻転症を疑 い緊急手術を施行した.開腹すると大網に大小多数の異常 裂孔を認め,回盲部が大網裂孔に嵌頓していた.嵌頓腸管 の解除と大網部分切除術を行った.大網裂孔ヘルニアは比 較的稀な内ヘルニアの一つであり,そこに移動性盲腸が嵌 頓した極めて稀な症例であった.
23. 当院における外科緊急手術症例2027例の検討 津山中央病院 外科
渡邉めぐみ, 山 本 堪 介, 木 村 圭 佑 合 地 史 明, 青 山 克 幸, 吉 田 一 博 水 野 憲 治, 松 村 年 久, 野 中 泰 幸 林 同 輔, 宮 島 孝 直, 黒 瀬 通 弘 徳 田 直 彦
2000年からの11年間に当院で経験した外科緊急手術症例 2,027例について臨床的検討を行った.年齢は0歳から98 歳,平均53歳で,男性1,206例,女性821例だった.術後診 断は,虫垂炎(穿孔含む)846例,消化管穿孔(外傷性除 く)414例,イレウス(ヘルニア嵌頓除く)194例,ヘルニ ア嵌頓142例,外傷138例,急性胆嚢炎110例,呼吸器疾患が 20例,であった.在院死亡率は8.2%であった.
24. 閉腹時の真皮縫合は有用か 社会医療法人金田病院 外科
三 村 卓 司, 五 味 慎 也, 金 田 道 弘 外科手術閉腹時の真皮縫合の有用性について検討した.
対象は全例同一術者で,真皮縫合群(N群)14例とスキン スティプラー群(S群)15例に分けた.鎮痛剤平均使用回 数はN群:S群=2.1回:3.3回.廊下歩行までの日数はN 群:S群=1.8日:2.6日.創感染はN群:S群=0例:3 例.術後在院日数はN群:S群=15.6日:15.9日であった.
真皮縫合は術後疼痛・感染管理に有用である可能性が示唆 された.
25. 腹腔鏡下虫垂切除術直後にARDSを発症した一 例
岡山労災病院 外科,麻酔科
佐 藤 博 紀, 鳥越英次郎, 河 合 央 鷲 尾 一 浩, 石 崎 雅 浩, 西 英 行 村 上 史 高, 間 野 正 之, 清 水 信 義 【症例】41歳男性.2日間続く右下腹部痛を主訴に来院.
急性虫垂炎と診断し腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.抜管 直後より急に SpO2の低下あり,胸部 Xp にて両側対称性 に中枢側優位のスリガラス陰影が出現.胸部 CT も施行し ARDS と診断.人工呼吸管理を要したが,術後3日目に抜 管できた.ARDS の原因は,高サイトカイン血症の状態で あったところに長時間の腹腔鏡操作などの侵襲が加わった ためと考えられた.
26. 下大静脈に腫瘍塞栓がおよんだ右腎癌の1手術症 例
岡山赤十字病院 外科a,泌尿器科b
岩 田 健 宏a, 橋 田 真 輔a, 黒 田 雅 利a 奥 谷 大 介a, 吉 富 誠 二a, 山 野 寿 久a 山 本 典 良a, 高 木 章 司a, 池 田 英 二a 平 井 隆 二a, 森 山 重 治a, 辻 尚 志a 佐 古 真 一b, 竹 中 皇b
症例は66歳男性,主訴は血尿.画像上腫瘍塞栓が下大静 脈に及ぶ右腎腫瘍と転移性肺腫瘍を診断され,平成22年6 月右腎臓摘出・腫瘍塞栓摘出・十二指腸合併切除術を施行 した.腫瘍塞栓は右腎静脈から下大静脈の右肝静脈分岐部 末梢2㎝まで達していた.術後十二指腸縫合不全にてドレ ナージ術を必要としたが,2ヵ月後独歩退院した.現在外 来で免疫療法中であるが,局所再発は認めず,肺転移の明 らかな増悪も認めていない.
27. 甲状腺浸潤を認めたランゲルハンス細胞組織球症
(LCH)の一例
岡山大学病院 乳腺・内分泌外科
二 萬 英 斗, 枝 園 忠 彦, 岡 田 真 典 増 田 紘 子, 野 上 智 弘, 池 田 宏 国 平 成 人, 土井原博義
転移を伴う甲状腺癌が疑われた LCH 症例を経験した.
症例は45歳女性.主訴は右前胸部痛.PET で疼痛部位の右 第7肋骨の他,甲状腺両葉,深頚部リンパ節,多発骨病巣 に FDG 異常集積を認めた.甲状腺にはエコー上1㎝以下 の腫瘤が多発し,右葉腫瘤の穿刺細胞診で悪性が疑われた.
診断治療目的に手術施行.肋骨病変巣を生検し術中凍結病 理で LCH が疑われた.甲状腺は右葉切除及びリンパ節郭 清し,術後病理学的検索で甲状腺も LCH の浸潤と診断さ れた.
28. 治療関連血液疾患を発症した再発乳癌の二例 岡山大学病院 乳腺・内分泌外科
岡 田 真 典, 西 山 慶 子, 増 田 紘 子 野 上 智 弘, 池 田 宏 国, 枝 園 忠 彦 平 成 人, 土井原博義
乳癌術後再発に対する加療中に治療関連血液腫瘍疾患を 発症した症例を経験した.【症例1】58歳女性.術後約3年 で胸骨骨転移で再発し内分泌療法開始.術後5年目に肝転 移出現し PTX→Xeloda+CPA を施行.術後7年目に骨髄 穿刺で治療関連骨髄異形成症候群と診断された.【症例2】
43歳女性.術後 ADR+CPA を施行.術後約1年で肺転移を 認め DOC→PTX→VNR+trastuzumab→Xeloda+lapatinib を施行.術後8年目に急性骨髄性白血病と診断,経過より 治療関連白血病と考えられた.
29. 胸腔鏡下切除生検で診断した肺硝子化肉芽腫の一 例
津山中央病院 外科
木 村 圭 佑, 合 地 史 明, 山 本 堪 介 青 山 克 幸, 渡邉めぐみ, 吉 田 一 博 水 野 憲 治, 松 村 年 久, 野 中 泰 幸 林 同 輔, 宮 島 孝 直, 黒 瀬 通 弘 徳 田 直 彦
症例は38歳男.主訴は前胸部痛.胸部 Xp・CT で両肺に 最大径7㎜大の多発結節影を認めた.FDG-PET で集積亢 進なく,胸腔鏡下肺生検を行い結節を採取した.病変は境 界明瞭な結節で中心部では凝固壊死・線維化および硝子化 が認められ,周囲では類上皮細胞の集簇が認められ,硝子 化肉芽腫と診断した.本症は原因不明の非腫瘍性病変で,
免疫が関与すると報告もあり比較的予後良好であり,文献 的考察を加え報告する.
30. 成人期まで無症状で経過した大動脈弓離断症の一 手術例
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 心臓血管外科学 堀 尾 直 裕, 笠 原 真 悟, 石 神 修 大 平 田 昌 敬, 小 林 純 子, 樽 井 俊 桜 井 茂, 藤 井 泰 宏, 鵜 垣 伸 也 川 畑 拓 也, 立 石 篤 史, 藤 田 康 文 高 垣 昌 巳, 新 井 禎 彦, 三 井 秀 也 佐 野 俊 二
心内奇形を伴わない大動脈弓離断症はまれである.さら に成人期まで無治療で経過している症例は非常にまれであ る.今回我々は出生時から無症状で経過し,近年となり頭 痛と上肢高血圧を主訴に来院した19歳女性に対し,人工心
肺下に大動脈弓形成術を行い良好な経過を得た.この症例 に対し,文献的考察を含め報告する.
31. 当院が行っている老健施設のフットケア回診につ いて
川崎医科大学 総合外科学
木下真一郎, 髙 岡 宗 徳, 深 澤 拓 也 林 次 郎, 繁 光 薫, 山 辻 知 樹 吉 田 和 弘, 森 田 一 郎, 猶 本 良 夫 近年,糖尿病・糖尿病予備軍は45歳以上の4人に1人認 められるといわれており,それに伴い足壊疽から切断に陥 る症例も増加傾向にある.当院紹介症例の重症虚血肢のう ち,手遅れで大切断に至った症例の大部分を占めている老 健施設症例をいかに早期発見し,予防を行っていくかを検 討するためフットケア回診を開始し,施設ごとの下肢の状 態の現状などを検証した.