博 士 ( 獣 医 学 ) 党 瑞 華 学 位 論 文 題 名
The development of animal models fOrHirSChSprungdiSeaSe CarryingmutationS0ftheendothelinreCeptortypeBgene (エンドセリンレセプタータイプB遺伝子に変異を有するヒルシュス プルング病モデル動物の開発)
学位論文内容の要旨
. 神 経 堤 細胞 の 遊 走 及 び増殖 異常 により 先天 性巨大 結腸 症
(Hirschsprung dlsease、HSCR)が 発症することが知られている。
Agangl ionosis (AG)ラットは国内で発見されたHSCRモデル動物で、頭 部 に 一 部 有色 部 位 を 残 す 白 色被 毛 と 腸 管 神 経 節 欠損 に よる巨 大小 腸 及 び 結腸 症 を 呈 し 、生後3週齢 まで に全例 死亡 する。 原因 はエン ドセ リ ン レ セプ タ ― タ イ プB (Ednrb)遺 伝子 のsplice donor siteを 含む 301 bpの 欠失変 異(Ednrb ′)による発現低下異常である。AGラット はク ロ ― ズ ド コ ロ 二― の た め 遺 伝 学 的 解析 に は 不向 きであ った 。そ こ で 第 ― 章 で はま ずAgangllonOSlSラ ッ ト の近 交 系化 を行い 、AGH (AG Hokkaido) ‑Ednrbsノを樹立した。また、同じくクローズドコロニ
―であった丘加′ザ/変異を有するLong―Evans系ラットの近交系化も 行し、、LEH (Long―Evans Hokkaido) ‑Ednrbs'を档オ立した。更にAGラッ
ト よりEdnrb ′遺伝子座をF344ラットに導入したコンジェニック系
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F344‑Ednrbs/も樹 立 した 。こ れ ら3系統 を用い 巨大結腸症と 難聴に対 す る 遺伝 学 的背 景 の影 響を 調 べた 。3系統の ラットは腸管 神経節欠損 程度 に違いが見られ た。AGH‑Ednrbs'が最も重症で、F344‑Ednrb ′は 約60Y0のラット が症状を示さず 最も軽症であ った。この結 果より、遺 伝 学 的 背 景に よ って はEdnrb遺伝 子変 異 のみ で は腸 管 神経 節 の欠 損 を 起 こさ な いこ と が示 唆さ れ た。 更 に、 聴 性脳 幹反 応 によ り 聴カを 計 測し た 結果 、3系統 全 てに おい て 同程 度 の先天 性難聴である ことが 判明 した。これらの 結果からEdnrb ′変 異ラットにおいて、腸管神経 節 と内 耳 の形 成 には 異 なる 背 景遺 伝子 が 作用 し てい る こと が示 唆 さ れ た。 第 二章 では 、AGHとF344系統 に おい て巨大結 腸症の重症度 の系 統 差 が ある こ とか ら、 修 飾遺 伝 子を 同 定す るた め 、両 系 統ラ ッ トの F2ホ モ個 体 を作 出 し、 神 経節 の欠 損 程度 を 量的 形 質と して
quantitative traIt|0CuS(0TL)解析を行 った。0TL解析の結 果、第 2染 色 休 上の マ イク 口 サテ ラ イト マ― カ‑ D2Miめ め近 傍に 有 意なQTL が 検出 さ れた 。こ の 付近 に は同 じ くHSCRの 原因 遺 伝子 のー つ であ る glial celIIine―derived neurotrophic factor.(GDNF)遺伝子座カく
存在していることから、蝕噺‐.との関係が示唆された。第三章では同 じ くEdnr遺 伝 子 変 異 を 有 す るJF1マウ ス のHSCRモ デル 動 物と し ての 有 用性 の 検討 を行 っ た。 日 本産 愛 玩マ ウス か ら近 交 系化 さ れた
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JFl/Ms マウスは同じ くEdnr 遺 伝子に変異(第1 イン卜ロンヘのレト ロポゾンの挿入変異、Ednr ゲ)を有し、Ednrb の発現量が低下するこ とによってpiebald 被毛を呈するものの腸管神経節の異常はないと されていた。しかし、 JF1 の腸管神経節をacetylchol inesterase (AChE) ホ ―ルマウント染色によって調べたところ、大腸で神経線維 の密度が有意に低いことが明らかになった。更に、 NADPH ジアホラー ゼホ―ルマウント染色にて神経細胞体の数(密度)を調べたところ、
JF1 大腸の 近位端と遠位端でコ ントロ―ルマウス よりも有意に減少 していることが明らかとなった。これらの結果から、JF1 マウスでは Ednrb 遺伝子の 発現量の低下により 腸管神経節細胞の 発達障害が起 きていることが示唆され、JF1 マウスもまたHSCR の動物モデルとして 有用であるこ とが示唆された。 以上の結果から本研 究で樹立した3 系統の Ednrbs' 変異 ラット及びJF1 マウスはHSCR に対して新しい知見 を 提 供 で き る 新 規 有 用 動 物 モ デ ル と し て 期 待 さ れ る 。
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学位論文審査の要旨 主査 副査
副査 副査
教 授 教 授 教 授 准教授
安居院 昆 木村 佐々木
学 位 論 文 題 ′ 名
高志 泰寛 和弘 宣哉
The development of animal models forHirSChSprungdiSeaSe CarryingmutationSOftheendothelinreCeptortypeBgene (エンドセリンレセプタータイプB遺伝子に変異を有するヒ´レシュス プルング病モデル動物の開発)
神経 堤細胞の 遊走及 び増殖異 常により 先天性 巨大結腸 症(Hirschsprung disease、HSCR) が発 症するこ とが知られている。Aganglionosis (AG)ラッ卜は国内で発見されたHSCRモデ ル動 物で、頭 部にー部有色部位を残す白色被毛と腸管神経節欠損による巨大小腸及び結腸 症 を 呈 し、 生 後3週齢 ま で に全 例 死 亡す る 。 原因 は エ ンド セ リ ンレ セ プ タ ータ イ プB (Ednrb)遺伝子の 欠失変 異(Ednr bsつに よる発現低下異常である。AGラットはクローズド コロ ニーのた め遺伝 学的解析 には不向 きであ った。そ こで申 請者はま ずAGラットの近交 系化を行い、AGH (AG Hokkaido) ‑Ednrbslを樹立した。また、同じくクローズドコロニーで Ednrbsl変 異 を 有 す るLongーEvans系 ラ ッ ト の 近 交 系 化 も 行 い 、LEH (Long一Evans Hokkaido) ̲Ednrbslを 樹立した 。更にAGラットよりEdnrbsl遺伝子座をF344ラットに導入 した コンジェ ニック 系F344̲Ednrbslも樹 立した。これら3系統を用い巨大結腸症と難聴に 対す る遺伝学 的背景 の影響を 調べた。3系 統のラットは腸管神経節欠損程度に違いが見ら れ た 。AGH̲Ednr6釘が最 も重症で 、続いてLEH〜 勵ぱ6 、そ してF34pm―6が 最も軽 症で あっ た。この 結果より、遺伝学的背景によっては巨ぬめ遺伝子変異のみでは腸管神経節の 欠損 を起こさ ないこ とが示唆 された。 更に、 聴性脳幹反応により聴カを計測した結果、3 系統 全てにお いて同 程度の先 天性難聴 である ことが判 明した 。これら の結果から勵ばゲ 変異 ラットに おいて、腸管神経節と内耳の形成には異なる背景遺伝子が作用していること が示唆された。
次に申 請者は、AGHとF344系統に おいて巨大結腸症の重症度に系統差があることから、
その修 飾遺伝子 を同定 するため 、而系 統ラット のF2個体 を作出し、神経節の欠損程度を 量的形 質としてquantitative trait locus (QTL)解 析を行っ た。QTL解析の結果、第2染 色体上 のマイクロサテライトマーカーD2Mi t5の近傍に有意なQTLが検出された。この付近 には同じくHSCRの原因遺伝子のーっであるglial cell lineーderived neurotrophic factor (Gdnめ 遺 伝 子 座 が 存 在 し て い る こ と か ら 、Gdnfと の 関 係 が 示 唆 さ れ た 。
更 に 申請 者 は 同じ くEdnrb遺伝 子変 異を有す るJF1マウスのHSCRモデル 動物とし ての ―657―
有用性の検討を行った。日本産愛玩マウスから近交系化されたJFl/Msマウスは同じく Ednrb遺伝子に変異を有し、Ednr6の発現量が低下することによってpiebald被毛を呈す るものの腸管神経節の異常はないとされていた。しかし、JF1の腸管神経節をアセチルコ リンエステラーゼホールマウント染色によって調べたところ、大腸で神経線維の密度が有 意に低いことが明らかになった。更に、NADPHジアホラーゼホールマウント染色にて神経 細胞体の数(密度)を調べたところ、JF1大腸の近位端と遠位端でコントロールマウスに比 べ有意に減少していることが明らかとなった。これらの結果から、JF1マウスでは脇カ 遺伝子の発現量の低下により腸管神経節細胞の発達障害が起きていることが示唆され、
JF1マウスもまたHSCRの動物モデルとして有用であることが示唆された。以上の結果から 本研究で樹立した3系統の脇カ釘変異ラット及びJF1マウスはHSCRに対して新しい知見 を提供できる新規有用動物モデルであることが提起された。
以上一連の研究成果は獣医学の分野において新しい知見を与えるものと判断された。
よって、審査員一同は、上記博士論文提出者、党瑞華氏の博士論文|ま、北海道大学大 学院獣医学研究科規程第6条の規定による本研究科の行う博士論文の審査等に合格と認 めた。
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