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博士(獣医学)落合謙爾 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(獣医学)落合謙爾    学位論文題名

Pathologic Studies of Lead Poisoning in Birds

(鳥類の鉛中毒症に関する病理学的研究)

学位論文内容の要旨

  鉛倣 弾の摂取に よる水鳥の 鉛中毒症は 、狩猟の臓 んなァメリ カ合衆国で は19世 紀から指摘 され、古く からその調 査・研究が 述められて きた。銃猟 に使 われた鉛散 弾の大半は 、狩猟地で ある湖沼の 底あるいは 周辺に堆積す る。 野生烏類、 特に水禽類 がこの鉛散 弾を食物や 小砂利とと もに摂取する と、1故弾は 筋胃に滞留 し、筋胃の 摩擦迎動と胃酸により徐々に溶解して体 内に 吸収され、 水禽類は鉛 中毒症に陥 る。本症の 病理学的変 化は、主にマ ガモAnas platyrhynchos、ア ヒルAnas domestica、及びシ ジュウカラ ガン Branta canadensisに おいて研究 されている が、ハクチ ョウやマガ ンAnser albifronsの 鉛中毒症の 病理学的記 載は限られている。本論文は、北海道の 一 湖 沼で 発 生し た オオ ハ クチ ョウCYgnus cygnus及 びマガンの 鉛中毒症例 と、 鶏に鉛散Oljiを摂取させて作出した実験的急性鉛脳症の病態について研 究した。

  1989年 春 及 び1990年 春の 二 度に わ た って 、 北海 道 美唄 市 宮島沼でハ ク チョ ウ及びマガ ンの大量死 が発生した 。1989年にはオオ ハクチョウ33羽が 死亡 し、1990年にはマ ガン69羽を合 む87羽の大型 水禽類が死 亡した。病理 学1怐検索に より、これ らの二度に わたる大風死の主な原因は、発砲された 鉛 倣 弾 の 摂 取 に よ る 鉛 中 毒 症 で あ る こ と が 明 ら か に さ れ た 。   1989・Fに 死亡 し たオ オ ハク チョウにつ いては、15羽( 雄8羽 、雌7羽 ) をj肉理学n勺に検索した。主な剖検所見は、肝亅臓全域にわたる胆汁色化、胆 瓏緊R尚、食Wifを伴うJ腺胃の拡張、筋胃粘腆の過プル化及び胆汁色化、大腿骨 骨幹 音15骨髄の水腫性変化または膠様化、及び腺胃または筋胃における鉛散 班itの〃if刪であった。組織学n勺には、クッパ一細I胞のへモジデリン沈着、毛

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嗣Il胆管内胆汁うつ滞及び肝細胞内胆汁色索沈着からなる溶血性肝兆疵、牌 J臟 にね けるヘモジデリン沈着及びりンパ濾胞の萎縮とりンパ球の変性・脱 落、腎 臓尿 細管 変性 症、綜 維化 を伴 う心筋の巣状域死、筋胃ケラチン層の 垂薗眉 紋と 域死 上皮 細胞の 堆積 から なる肥厚、及び,I伽の多染性赤芽球の 増生を 伴う低形成が主な変化として所見された。また、7羽の腎臓の近位尿 細管上 皮細 胞に 願粒 状好酸 性核 内封 入体が認められ、この封入体は、超微 形態学的にほぐれたような輪郭をもった電子密度の商い微細願粒からなり、

鉛中毒 症で 出現 する 封入体 と同 様の 榊造を有していた。フレーム原子吸光 法により組織内鉛濃度を測定したところ、高濃度(5.5〜44.3 mg/kg.湿盈量)

の鉛が 、検 索し た14羽全例 の肝 臓か ら検出された。上記の所見から、これ ら検索 した オオ ハク チョウ 全例 は、 病理学的に鉛倣弾摂取に起囚する亜急 性鉛中 毒症 とみ なさ れた。 本症 の病 理発生として肝臓と骨髄の病変が注目 された 。す なわ ち、 鉛によ り赤 血球 の過剰崩壊が生じ、これに後続して貲 疸と赤芽球増生が生じたことが示唆された。

  1990年に 死亡 した マガン につ いて は、19羽( 雄13羽、 雌6羽) を病 理学 的に検索した。これらの肝臓内鉛濃度は、6.9〜67.7 mg/kg.湿重盈であった。

主な肉 眼変 化は 、肝 臓の萎 縮、 肝臓 実質の褐色調化並びに斑状から網状の 胆汁色化、濃緑色粘稠胆汁を容れた胆嚢緊満、nw JLra:の萎縮及び褐色調化、

副腎の 腫大 、腺 胃の 食滞を 伴う 拡張 、筋胃粘膜の過角化及び胆汁色化、大 腿骨骨 幹部 骨髄 の水 腫性変 化ま たは 脂肪蝕化、及び腺胃または筋胃におけ る鉛Jl孜弓ljjの滞留であった。これらの病変のうち、特に注目された変化は肝 臓に認 めら れた 。緑 変した 肝臓 は、 組織学的にクッパー細胞のへモジデリ ン沈着 、拡 張し た毛 細胆管 内の 胆汁 栓形成、肝細胞内胆汁色索沈着、及び

・肝xlll胞の域死を伴う胆汁滋出からなっていた。この肝兆疽は、赤JfIL球過剰 崩壊に 後続 して 急速 に生じ た胆 汁合 成亢進と、著明な肝内胆汁排泄障害の 結果発生したと解された。また、マガン全例に韜いてni印亅臟のへモジデリン

・沈着、骨髄の多染性赤芽球の増生を伴う低形成または水臓が所見された。

これら 組織 学的 主病 変は、 鉛に よる 赤血球の過剰崩域、胆汁分泌過多とこ れに後 続す る肝 内胆 汁うつ 滞、 及び 骨髄に韜ける赤血球系産生障害から生 じたことが示唆された。

  鶏幼 雛を 用い た実 験的急 性鉛 脳症 にお いて、 飼料 中カ ルシウ ム(Ca)が

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及 ば す 鉛 毒 性 へ の 影 響 を 検 刮 . し た 。 実 験 は2日 齢 の 幼 雛 に 鉛j Jljt (JIS3 mm)0、2、5、 、よ たはlO,tlIT/Iを摂 取さ せた 後、 飼料 中Ca合風が興なる47lff の1噺繊耐f三n司料、よたはTlij販飼料を給与して行った。各尖験群の仆mの:他移、

死 亡 卒 、 脳m慰 、 及 び 脳 の 病 変 に つ い て 検 索 し た 。 そ の 結 果 、Tけ 販 飼 料   (Ca合 風0.7% ) に 比iJ炎 し てCaをわ ず か に 多 く 合 む 飼 料(Ca合風1.0% ) を 与 え た 雛 が 、 最 も 鉛 に 影 響 さ れ に く か っ た 。 こ れ ら の 雛 で は 、頭 藷Kを 下 垂 す る 特 徴 的 な 臨 床 症 状 を 示 し 、 過 ヨ ウ 索 駿 シ ッ フ 反 応 (PAS)陽 性 の 血 1奪J川用性好駿悩::rnlj子様願粒の著I劉な形成を伴うm度の脳浮Jlmを呈して死亡 する もの がみ られた 。こ の弼 !子 様願 粒は 、hyperstriatumに 主に認められた。

一 方 、 低Ca飼 料 は 鉛 毒 性 を 増 強 し 、 こ の 飼 料 で 飼 育 し た 雛 は 、 実 験 観 察 期

‖‖のrJ閉に小‖函に主座する/1:nfJL性変化を里して死亡した。このように爽験 IYJに 作 出 し た 急 性 鉛 脳 症 は 、 病 理 学的 に 出 血 性 と 浮 臓 性 の ニ つ の 型 に 区 別 さ れ 、 鸚幼 雛 の 鉛 脳症 の病 態、さ らにltIL轡周 囲性 好酸 性羽lj子 様順 粒の 出現 頻 度 は 、飼 料 巾 のCa含 量に 大きく 影響 を受 ける こと がIリ,Jらか にさ れた 。免 疫 組 織 学n勺 検 索 を 行 っ た 結 果 、 出 血性 脳 症 に は グ リ ア 線 維 性 酸 性 タ ン パ ク   (GFAI))陽性のアストロサイ卜がみられなかったのに刔.し、浮亅亅m性n畄疵 で は 、 大J亅 畄 のparahippocampalis、hyperstriatum、neostriatum、 paleosLriatum及 び 小 脳 の 全 眉 でGFAPl湯 性 翁Il胞 が 認 め ら れ た 。 抗GFAP 抗 体 を 用 い た 免 疫 染 色 とPAS染 色 の 二 重 染 色 に よ り 、 硝 子 様 願 粒 は 、 GFAPI泌 性 荊 ‖JJ包 の 突 起 の 近 仂 あ るぃ は そ れ に一 致し て形 成さ れて いた 。ま た 、 浮 臓 性 脳 症 を 商 率 に 示 し た 実 験 群 と 同 一 条 件 で 飼 育 し 、 か っ 頭 部 下 垂 を 示 し た芻mに 、 ト リ パ ン ブ ル ー を 腹腔 内 投 与 して24‖ お聞 後、 その 脳を 観察 し た と こ ろ 、 脳 実 質 は 均 質 に 淡 青 色 に 染 色 さ れ た 。 以 上 の 所 見 か ら 、 血 管 周弸 に位 組す るアス トロ サイ トは 、鉛 によ る)jixj内 毛細 血管 の軽度の|嫁害に 反 応 し 、GFAPJ湯 性 と な っ た 後 、 好 酸 性 硝 子 様 顆 粒 を 形 成 す る こと が 示I唆 さ れ た 。 血 管 周 囲 性 硝 子 様 願 粒 は 、 ア ス ト ロ サ イ ト のjI胞 質 内 に 形 成 さ れ る こ と は 知 ら れ て い る が 、 そ の 病 理 学 的 意 義 が 未 だ 不Imで あ る こ と か ら 、 鸚 幼 雛 で 作 出 さ れ た 急 性 鉛j脳 症 は 本症 に お け る ア ス 卜 ロ サ イ ト の 役 剖 の 究 明に有用とみなされる。

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学位論文審査の要旨 主査   教授   板

副査   教授   杉 副査   教授   橋 副査   教授   前

倉 智 敏 村    誠 本    晃 出 吉 光

学位論文題名

    Pathologic Studies of Lead PoisoningmBirds

.  ( 烏 類 の 鉛 中 毒 症 に 関 す る 病 理 学 的研 究 )

  鳥類の鉛中毒症の病理学的変化は、

カラガンに潟いて研究されているが、

理学的変化についての知見は乏しい。

主にマガモ、アヒル、及びシジュウ ハクチョウ並びに、マガンの本症の病 本論文は、オオハクチョウとマガン の鉛中毒症 及びニワトりで作出した実験n勺急性鉛脳症の病態について研究 した。

  オオハクチョウについては、15羽を病Il‑l!学的に検索した。その結果、仝 例が鉛倣ijljijQJIXに起因する亜急性鉛中毒症であった。本症の7丙珂!発生とし て肝臓と骨 髄の病変が注目された。すなわち、鉛により赤血球の過剰苅j域 が生じ、こ れに後続して肝黄疸と赤芽球増生が生じたことが示I竣された。

  マ ガンについ ては、生化 学的に鉛中 毒症と診断された19例を検索した。

特に注目さ れた病変は 肝災痘で、 これは赤血 球過剰崩域に後続して急速に 生じた胆汁 合成亢述と 、著明な肝 内胆汁排泄 障害の結果発生したものと解 された。ま た、本症例 の組織学的 主病変は、 鉛による赤血球の過剰崩域、

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nLi汁分泌過多とこれに後続する肝内胆汁うつW#、及び´岡・髄における赤血球 系x‖胞産生障害から生じたことが示I唆された。

  ニワ トリ 幼雛 を用 いた実 験的急性鉛脳症については、特に飼料に添加し た カル シ ウ ム(Ca)の鉛 毒性 への 影響を 検討 した 。そ の結果 、急 性鉛 脳症 は病理 学的 に出 血性 と浮腫 性の2型 に大 別さ れ、 両型の 病態 と血管周囲性 好酸性 硝子 様願 粒の 出現は 、飼料中のCa含量に影響されることが明らかに された。好酸性硝子様願粒は、鉛によって経度に障害された脳内毛翻Il血管 に 反 応 し た ア ス ト ロ サ イ ト に よ っ て 形 成 さ れ る よ う で あ っ た 。   以上のように、Eい融者は、水鳥の鉛中毒症の病態を|凋らかにし、さらに 本症の 病態 究明 に有 用な実 験系を作出した。この研究成果は、鳥類の鉛中 毒症のみならず、諸疾病の病理形態学に貢献するところが大きい。よって、

霧査員I・一同は、落合謙爾氏が博士(獣医学)の学位を受けるに十分な資格 を有するものと認めた。

参照

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