博 士 ( 獣 医 学 )鄭 培 東
学 位 論 文 題 名
Sympathetic regulat10nofhepatiCinterleukin ●
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eXpreSS10nduringnon− lnVaSlVeStreSS
(非炎症性ストレスによる肝インターロイキン産生とその交感神経性調節)
学 位 論 文 内 容 の 要 旨
人や 動 物は環 境や心理的 なストレス に対し、自 律神経系、 内分泌系、 免疫系 と ぃ った 調節 系を変化さ せてストレ スに適応し ようとする 。これらの 調節系は 独 立 し た も の で は な < 、 互 い に 連 関 し て い る 。 例 え ば 炎 症 に よっ て 生じ た Interleukin (IL)‑1は血行性に脳に達し、発熱や食欲抑制、下垂体ー副腎皮質系の 活 性 化な どを 誘発する。 一方、非炎 症性のスト レスによっ て交感神経 ー副腎髄 質 系 の活 動が 亢進し、リ ンパ球の幼 若化反応や ナチュラル キラー細胞 活性の低 下をもたらすことが知られている。
炎症 のメデイエ ーターであ るILー1やIL‑6の血中レベ ルは、拘束や運動など炎 症 を 伴わ ない ストレス負 荷時にも増 加すること が知られて いる。さら に拘束ス トレ スによる血 中IL一6レベルの上 昇は肝部分 切除術や肝 に分布する交感神経の 切 断 によ っ て抑 制 され る こと 、 これ は 主 に肝実質 細胞でのIL−6産生に よるこ と 、 をど が明 らかにされ ている。し かし、その 詳細な機構 については 不明なま まである。一方、ストレスによる血中II一−i上昇の機序やその分泌臓器について は全 <明らかに されていな い。そこで 本研究では 、第1章で非炎症性ストレスで あ る 振動 スト レスをラッ トに負荷し 、肝臓でのIL―lBmRNAの発現とそ の交感神 経性 調節機構に ついて、脾 臓と比較し ながら検討 した。第1章の結果をふまえ、
第2章で は 初代培養 肝実質細胞 におけるIL‑6 mRNA発現につい て、交感神 経系の 直接作用と非実質細胞を介する間接作用について調べた。
第1章で得 られた結果 は次のとお りである。 ラットに30分 の振動ストレスを負荷 すると肝臓およぴ脾臓でのII一‑1[3 mRNA発現が増加した。この反応は肝臓および 脾臓のマクロファージを除去するGadolinium chjorideの投与によって消失し、化
学的交 感神経遮断 薬の投与と 副腎摘出術 の両処置に よって完全に抑制された。さ らにp ‑Adrenergic blockerの投与によっても抑制された。これらの結果から、振動 ストレ スによって 交感神経終 末と副腎髄 質よルカテ コールアミンが放出され、肝 臓 と脾 臓 でのIL‑1[3 mRNA発現を 増加させる こと、また その発現は マクロファ ー ジのB−アドレナリン受容体を介することが示された。
第2章で 得 ら れた 結 果は 以 下の と おり で ある。 肝臓におけ るIL―6mRNAの発 現 も振動 ストレスに よってILーipと同 様に増大し た。ラット の肝臓をコラゲナーゼ で処理し、肝実質細胞と非実質細胞を分離し、in vitroで48時間培養した。培養し た 肝実 質 細胞 では弱い ながらもIL−6mRNAの発現 を認め、こ の細胞をノ ルエピネ フ リ ン(NE)で 刺 激 す る と さ ら にIL―6mRNAの 発 現 が 濃 度 依 存 性 に 増加 し た。
Adrenergic blockerはNEに よるIL―6mRNAの誘導を抑 制した。非 実質細胞をNEで 刺激す ると、上清 中のILーlp濃度は 増加した。 この非実質 細胞培養上清を肝実質 細胞に加えるとILー6mRNAの発現が増大した。この効果はIL‑1 receptor antagonist によって抑制された。また、IL−ip,IL―6,およびtumor necrosis factorで肝実質細胞 を刺激 すると、IL‑1[3で刺 激した時のみIL―6mRNAの発現増大が認められた。こ,
れ らの 結 果か ら 、NEは 直接 肝 実質 細 胞に 作 用し てIL‑6 mRNAの 発 現を 増 加さ せ ること 、さらに肝 非実質細胞 にも作用してIL一1産生を増大させることによって肝 実質細胞のIL‑6の発現を誘導することが、示された。
以上の ように、本 研究では非 炎症性の振 動ストレス によって交感神経ー副腎髄 質 系が 活 性化 し、そこ から放出さ れたカテコ ールアミン のp作用 によって、 肝臓 マクロファージのIL‑1[3と肝実質細胞でのIL‑6の遺伝子発現が誘導されることが明 らかにされた。さらに、産生されたIL‑1[3は肝実質細胞でのIL‑6の発現を誘導する ことも 示された。 今後、肝臓 でのサイト カインがス トレス反応において果たす役 割の解明が望まれる。
学位論文審査の要旨
主 査 教 授 斉 藤 昌 之 副 査 教 授 渡 辺 智 正
副査 助教授 木村和弘
副査 支場長 加藤憲夫(家畜衛生試験場)
学 位論 文題名
Sympathetic regulation of hepatic interleukin I
expresslonduringnon‐lnVaSlVeStreSS
( 非炎 症性 ストレ スに よる 肝イ ンタ ーロ イキン産生とその交感神経性調節)
炎症のメディヱ一夕ーであるInterleukin (IL)−1やIL―6の血中レペルは、拘束や運動など炎症を伴 わないストレス負荷時にも増加することが知られている。さらに拘束ストレスによる血中IL―6レベル の上昇は肝部分切除術や肝に分布する交感神経の切断によって抑制されること、これは主に肝実質細 胞でのIL‑6産生によること、などが明らかにされている。しかし、その詳細な機構については不明な ままである。一方、ストレスによる血中IL‑1上昇の機序やその分泌臓器については全く明らかにされ ていない。そこで本研究では、最初に、非炎症性ストレスである振動ストレスをラットに負荷し、肝 臓でのIL‑1B mRNAの発現とその交感神経性調節機構について、脾臓と比較しながら検討した。それ らをふまえて次に、初代培養肝実質細胞におけるIL6mRNA発現について、交感神経系の直接作用 と 非実 質 細 胞を 介 する間 接作用に ついて 調べた。 得られた 主な結 果は以下 の通り である。
1、 ラット に30分の振 動スト レスを負荷すると肝臓および脾臓でのIL‑1B mRNA発現が増加し た。この反応は肝臓および脾臓のマクロファージを除去するGadoliniumchlorideの投与によって消 失し、化学的交感神経遮断薬の投与と副腎摘出術の両処置によって完全に抑制された。更にB― Adrenergic blockerの投与によっても抑制された。これらの事実から、振動ストレスによって交感 神経終末と副腎髄質よりカテコールアミンが放出され、肝臓と脾臓でのIL―lBmRNA発現を増加さ せること、またその発現はマク口ファージのローアドレナリン受容体を介することが示された。
2、肝臓におけるIL―6mRNAの発現も振動ストレスによってIL‑1ロと同様に増大した。ラットの 肝臓をコラゲナーゼで処理し、肝実質細胞と非実質細胞を分離し、invitroで48時間培養した。培養 した肝実質細胞では弱いながらもIL一6mRNAの発現を認め、この細胞をNorepineph.rine(NE)で刺激 するとさらにIL−6mRNAの発現が濃度依存性に増加した。Adrenergic blockerはNEによるIL→6 mRNA誘導を抑制した。非実質細胞をNEで刺激すると、上清中のIL―1ロ濃度は増加した。この非実 質細胞培養上清を肝実質細胞に加えるとIL―6mRNAの発現が増大した。この効果はIL−lreceptor antagonistによって抑制された。また、IL―1B、IL―6、およぴTumor necrosis factorで肝実質細胞 を刺激すると、IL−1ロで刺激した時のみILー6mRNAの発現増大が認められた。これらの結果から、
NEは直接肝実質細胞に作用してIL−6mRNAの発現を増加させること、さらに肝非実質細胞にも作用 してIL―1産生を増大させることによって肝実質細胞のIL―6の発現を誘導することが示された。
以上のように本論文では、非炎症性の振動ストレスによって交感神経ー副腎髄質系が活性化し、放 出されたカテコールアミンのロ作用によって、肝臓マク口ファージのIL‑1ロと肝実質細胞でのIL‑6の 遺伝子発現が誘導されることが明らかにされた。さらに、産生されたIL−1ロは肝実質細胞でのILー6の
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発現を誘導することも示された。これらの成果は、哺乳動物の生理学、とりわけ脳・免疫相関という 新しい学問分野への貢献が大である。よって審査員一同はBae Dong Jung氏が博士(獣医学)の学 位を受ける資格が十分あると認めた。
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