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(1)

数理基礎

数理重点化用副読本

(

基礎編

) –

∼ 「数理的な探求活動」の強化を目指して ∼

2018

東京工業大学附属科学技術高等学校

成果普及委員会

(2)

数理基礎

数理重点化用副読本

(

基礎編

) –

∼ 「数理的な探求活動」の強化を目指して ∼

± ×

∽ ∞

÷

=

2018

東京工業大学附属科学技術高等学校

成果普及委員会

(3)

「練習の問題番号, (章末の)問題の問題番号, (問題集の)問題の問題番号を クリックすると,そのページから本書内にあるそれぞれの略解のページに飛 ぶことができる」等のリンクを貼ってある箇所がありますが, 相互リンクに はなっていないため, 元のページに戻りたい場合には, お手数ですがお使い の閲覧ソフトの「前の画面に戻る」等の機能でお戻りください. なお, 本書 のPDF版作成の都合上, リンク先のページの位置が多少ずれる場合があり ますが,そのような場合には前後のページをお探しくださいますようお願い 申し上げます.

(4)

はじめに

数理基礎は, 最初は平成7年度の文部省の研究開発という事業の中での新科 目の一つとして設定されました. そして,平成14年度の文部科学省のスーパー サイエンスハイスクール(SSH)という事業の中でも科目の一つとして設定しま した. その理由は,科学や技術の法則は数式で表現することがとても多いのです が,それらの数式を取り扱うには,中学校までの学習だけでは十分ではありませ ん. そこで,今後学ぶ理科や専門科目で取り扱う数式に慣れ,そして親しむため の科目として,この数理基礎を設けました. いわば,理科および専門科目をわか りやすく学ぶための「架け橋」の役目をする科目であったと考えてください. 少し具体的に言うと, 1. 数式の取り扱いに慣れる. 2. 基礎的な計算処理方法を身につけ,事象を文章化し,方程式を組み立 てる能力および計算力を養う. 3. 基礎的な計算,理科や工業の応用的な問題を通じて,理科および専門 科目への導入を図る. 4. 一般法則を数式的に処理する能力を養う. などです. 本校は,その後,平成14∼16, 17∼21, 22∼26, 27(経過措置)年度を経て, 28∼ 32年度にSSHの指定を受けるとともに,成果普及の観点から,「数理基礎」を副 読本として活用することとし,編集についても,これまでの数理基礎研究会(平 成7∼9年度の文部省研究開発当時), 数理研究会(平成14∼16年度のSSH研究 開発当時), 数理基礎担当者会(平成17∼21, 22∼26, 27年度の各SSH研究開発 当時)から,成果普及委員会が引き継ぎ,アーカイブズとしてのデジタル教材を 伴いながら,活動を継続しているところです. 2年生になると,各分野に分かれて学習することになりますが, このテキスト の練習問題には,各分野の特徴ある問題がたくさん出ています. この副読本を学 びながら,「2年生でどの分野を選ぶか」の参考にもしてください. このテキストは,みなさんが学びやすいように本校の教員が創意・工夫して, 作製しました. この副読本を1年間楽しく学習して, 2年生になったときに,理 科や専門科目がより深く理解できるようにがんばりましょう. 平成30年4月 東京工業大学附属科学技術高等学校成果普及委員会

(5)

1 「数理基礎」と他の教科・科目との主な関連を図式化すると次のように なります. ᩘ⌮ᇶ♏ ᘧࡢィ⟬ࠊኚᙧࠉࠉ࣋ࢡࢺࣝ ᣦᩘࠉࠉࠉࠉࠉࠉࠉᖖ⏝ᑐᩘ ࢠࣜࢩࣕᩥᏐࠉࠉࠉ᭷ຠᩘᏐ ༢఩㸦᥮⟬㸧ࠉࠉࠉᘧ࡜ࢢࣛࣇ ࠉࠉ୕ゅẚࠊ୕ゅ㛵ᩘ  ᖺࠉ๪ㄞᮏ ⌮⛉➨୍ศ㔝 ୰Ꮫᰯ ᩘᏛ ᩘᏛ  ᖺ͐ᩘᏛ $ᩘᏛ ,  ᖺ͐ᩘᏛ %ᩘᏛ ,,  ᖺ͐ᩘᏛ ,,, ⛉Ꮫᢏ⾡ᇶ♏ᐇ㦂 ࠉᐇ㦂࣭ᐇ⩦ ࠉ ᖺ 67(0 ㄢ㢟◊✲  ᖺ ᛂ⏝໬Ꮫศ㔝 ᝟ሗࢩࢫࢸ࣒ศ㔝 ᶵᲔࢩࢫࢸ࣒ศ㔝 㟁Ẽ㟁Ꮚศ㔝 ᘓ⠏ࢹࢨ࢖ࣥศ㔝 ⛉Ꮫ࣭ᢏ⾡⛉ ᩍ⛉┠  ᖺ ໬Ꮫ ,, ⌮⛉  ᖺ͐͐≀⌮ᇶ♏ ࠉࠉࠉࠉ  ᖺ͐͐≀⌮ ໬Ꮫᇶ♏ ໬Ꮫ ᮏࠉᰯ 2 「数理基礎」と専門科目の内容との具体的な関連を図式化すると次のよ うになります. ໬Ꮫ⣔ 㟁Ẽ࣭㟁Ꮚ⣔ ᶵᲔ⣔ ᘓ⠏⣔ ࣋ࢡࢺࣝ ᑐࠉᩘ ୕ゅ㛵ᩘ ᐇ㦂࣭ᐇ⩦ ⌮⛉ ᩘᏛ ⛉Ꮫᢏ⾡ᇶ♏ᐇ㦂 ࣋ࢡࢺࣝ ᘧ࡜ࢢࣛࣇ ᭷ຠᩘᏐ ࢠࣜࢩࣕᩥᏐ࣭6, ᣦᩘࡢィ⟬ ᘧ࡜ィ⟬ ࡍ࠺ࡾࡁࡑ ⌮ㄽ ࢩࢫࢸ࣒ 㟁☢Ẽ ஺ὶ ไᚚ ཎືᶵ タィ ຊᏛ ᵓ㐀  㔞 ᝟ሗ⣔

(6)

i

目 次

1章 式の計算 1 1.1 変数を用いた分数式の計算 . . . . 1 1.1.1 分数式の乗除算 . . . . 1 1.1.2 分数式の加減算 . . . . 3 1.2 分数式の変形 . . . . 4 1.3 平方根を含む式の計算 . . . . 7 1.4 変数を少なくしてわかりやすい式にする変形 . . . . 9 1.5 分数式の計算の応用例 . . . . 11 第2章 指数の計算 15 2.1 指数とは . . . . 15 2.2 指数法則 . . . . 15 2.3 指数計算 . . . . 19 2.4 累乗根(るいじょうこん) . . . . 22 2.5 分数の指数 . . . . 23 第3章 有効数字 27 3.1 測定値と誤差 . . . . 27 3.2 有効数字と数値の丸め方 . . . . 27 3.2.1 有効数字. . . . 27 3.2.2 計器の目盛と読み取り . . . . 28 3.2.3 数字の丸め方 . . . . 30 3.3 測定値を用いた計算 . . . . 31 3.3.1 加減算 . . . . 31 3.3.2 乗除算 . . . . 32 3.3.3 加減算と乗除算の混合の場合 . . . . 34 第4章 ギリシャ文字と単位 39 4.1 ギリシャ文字と英文字 . . . . 39

(7)

4.2 ギリシャ文字とその発音 . . . . 39 4.3 主な物理量と単位の記号について . . . . 41 4.4 単位の分量と倍量を表す接頭語 . . . . 41 4.5 SI (国際単位系)について. . . . 44 4.5.1 単位系のおはなし. . . . 44 4.5.2 SI (国際単位系)とは . . . . 45 4.6 量の名称と単位の換算 . . . . 47 4.6.1 質量と密度 . . . . 47 4.6.2 速度と加速度 . . . . 49 4.6.3 質量と力. . . . 51 4.6.4 圧力 . . . . 52 4.6.5 仕事と仕事率 . . . . 53 第5章 三角比 61 5.1 三角比 . . . . 61 5.2 三角定規の三角比 . . . . 63 5.3 sinとcos の関係 . . . . 65 5.4 0, 90 の三角比 . . . . 66 5.5 三平方の定理の新しい表現法. . . . 68 5.6 三角関数表 . . . . 69 第6章 ベクトル 73 6.1 大きさと向きをもつ量 . . . . 73 6.2 ベクトルの基本 . . . . 75 6.2.1 「−→a =−→b 」の意味 . . . . 75 6.2.2 逆ベクトル . . . . 75 6.2.3 ベクトルのスカラー倍 . . . . 75 6.3 ベクトルの加法 . . . . 76 6.4 ベクトルの減法 . . . . 77 6.5 零ベクトル . . . . 77 6.6 ベクトル計算の基本 . . . . 79 6.7 ベクトルの合成と分解 . . . . 80 6.8 ベクトルの成分 . . . . 80 6.9 ベクトルと三角比 . . . . 84 6.10 力のつりあい . . . . 85

(8)

iii 6.11 速度 . . . . 87 6.11.1 速度ベクトルの和. . . . 87 6.11.2 速度ベクトルの差. . . . 88 第7章 常用対数の計算 93 7.1 指数から対数へ . . . . 94 7.2 常用対数 . . . . 97 7.2.1 常用対数の性質 . . . . 97 7.2.2 常用対数の計算 . . . . 98 7.2.3 常用対数と方程式. . . . 99 7.2.4 常用対数とグラフ. . . 100 7.3 対数の応用 . . . 102 7.3.1 星のお話. . . 102 7.3.2 水素イオン濃度の計算 . . . 106 7.3.3 音の強弱(音圧) . . . 1098章 三角関数 115 8.1 一般角 . . . 115 8.2 象限 . . . 116 8.3 一般角の三角関数 . . . 116 8.4 三角関数のグラフ . . . 118 8.5 弧度法 . . . 120 8.5.1 定義 . . . 120 8.5.2 弧度法による表現例 . . . 1219章 式とグラフ 125 9.1 実験式とグラフ化 . . . 125 9.1.1 グラフはなぜ必要で,どこが便利か? . . . 125 9.1.2 グラフをかいてみよう . . . 126 9.1.3 1次関数 . . . 128 9.1.4 グラフはわかりやすい . . . 128 9.1.5 誤差の原因 . . . 129 9.2 いろいろな直線のグラフ . . . 130 9.2.1 フックの法則 . . . 130 9.2.2 金属の線膨張 (線膨張率) . . . 132

(9)

9.3 2次式で表わされる事象 . . . 136 発展 対数で表される事象 . . . 139 物理量と記号 143 ギリシャ文字, 英文字と物理量 146 三角関数表 149 練習と問題の略解 150 索引 180 問題集の目次 186

(10)

1

1

章 式の計算

1.1

変数を用いた分数式の計算

みなさんは,分数の計算を小中学校で学んできました. この章では,変数をた くさん含む分数式の計算を練習し,そして慣れてください. ここで学んだことは, きっと今後の学習の中で, 数学だけでなく, 物理・化学や専門科目など, いろい ろな教科で非常に役に立つことでしょう.

1.1.1

分数式の乗除算

次の計算をしてみてください. 1 2 × 5 3 = もちろん答は 5 6 となります. 分数どうしのかけ算は,分母は分母どうしのか け算,分子は分子どうしのかけ算でした. このことはすでに学んでいますね. これを変数を用いて,たとえば, 2をa , 1b , 3c , 5dと置き換えて みると, b a × d c = b× d a× c = b d a c となります. このように,分母に文字を含む分数の式を分数式 と言います. 参考 文字式と分数式   一般に, a+3 b2 x2などのように,文字を含む式を 文字式 と言います. 文字式はabなどの記号(変数)に,いろいろな数を入れることのできる, とても便利な一般式なのです. 分数式は,分母に文字式を含む場合の呼び名 です. 分数式の例 · · · 3 2 a , y 5 x 分数式ではない例 · · · 3 x 2 , y 5  

(11)

次にこの計算をしてください. 1 5 ÷ 5 2 = 答は 2 25 となります. このことは,次のような計算を行っていました. 1 5 ÷ 5 2 = 1 5 × 2 5 = 2 25 これは,割る方の分数を 逆数 にしてかけています. このことを, 文字式で表 すと, b a ÷ d c = b a × c d = b c a d となります. また,計算のテクニックとして,次のようにしても求めることができます. b a ÷ d c = b a d c = b c a d と表すことができるので,この式計算では, 外側のかけ算(b c) 内側のかけ算(a d) としてよい ことがわかりますね. このテクニックは非常に便利で,これから学ぶ専門科目に 出てくる式の変形や,理科の分数式などの変形に,大いに役立ちます. しっかり と身につけましょう. まとめ 分数式の乗除算   b a × d c = b× d a× c = b d a c b a ÷ d c = b a × c d = b c a d あるいは, b a ÷ d c = b a d c = b c a d   練習 1. 次の計算をしなさい. (もちろん,約分できるときは,なるべく早い段階 で行っておくと,計算がより簡単になります.) (1) 2 5 × 3 4 (2) 3 6 ÷ 1 2 (3) 1 a × 1 b (4) y x ÷ w z (5) 1 a b2 × b c a (6) b a x2 ÷ a c y b (7) x a2b c ÷ y a c

(12)

1.1. 変数を用いた分数式の計算 3

1.1.2

分数式の加減算

次の計算をしてください. 1 5 + 3 5 = 答は 4 5 となります. この計算では「 分母の等しい分数の足し算は, 分母は そのままにしておき, 分子のみの足し算を行う. 」ということをしています. ま た, このことは, 引き算でも同じことがいえます. ですから,これらを文字式で 表すと b a + c a = b + c a b a c a = b− c a ということになりますね. では,次に分母の違う分数どうしの計算を行ってみましょう. 1 2 + 2 3 = 答は 7 6 となりました. これは,次のような計算が行われているからです. 1 2 + 2 3 = 1 2 × 3 3 + 2 3 × 2 2 = 3 6 + 4 6 = 7 6 分数に適当な数をかけて分母を等しくすることを 通分と言うのでしたね. 普 通,通分をするには,分母が「両方の分数の分母の最小公倍数」になるような数 を,それぞれの分母と分子にかければよいわけです. 上記の計算の場合,分母は 2 と3ですから,「2 と3の最小公倍数は 6」ですので, 1 2 の分母を6 にす るには,分母と分子にそれぞれ 3 をかければよいのです. 同様に 2 3 の分母を 6 にするには,分母と分子にそれぞれ2をかければよいのです. このことは,引 き算で通分が必要なときについても,同じことがいえます. 分母が等しくなったら,前に学んだ「分母が等しいときの足し算」をすればよ いのです. また,このような通分を必要とする足し算,引き算を文字式で表すと, b a + d c = b a × c c + d c × a a = b c a c + a d a c = b c + a d a c b a d c = b a × c c d c × a a = b c a c a d a c = b c− a d a c となります. 記号 aと記号 c では最小公倍数がわからないので,お互いの分母 をかけることで解決しています.

(13)

まとめ 分数式の加減算   (1) 分母が等しいときの加減算 b a + c a = b + c a b a c a = b− c a (2) 分母が等しくないときの加減算· · · · 通分をして分母を等しくする b a + d c = b a × c c + d c × a a = b c a c + a d a c = b c + a d a c b a d c = b a × c c d c × a a = b c a c a d a c = b c− a d a c   練習 2. 次の計算をしなさい. (1) 1 4 + 2 5 (2) 1 10 9 2 (3) q p + s r (4) h g j i (5) 1 x x + 1 (6) 1 a + 1 1 a− 1 (7) 2 a b c x2 3 b c a x2 (8) 1 3 a b2 1 4 a2b

1.2

分数式の変形

分数式が与えられたとき, その中の 1 つの文字について解きたい場合がよく あります. たとえば, x w = z y という分数式で, xについて解く場合,この分数式を「x =」の形に変形します. この例の場合, xに関わる分数式でw が邪魔者ですから, w を両辺にかければ, x w × w = z y × w となり,左辺の wが約分されて消え,その結果 x が残り,「x = 」の形に変形 できるのです. x = z y × w = wz y

(14)

1.2. 分数式の変形 5 では,次の分数式で「a =」の式に変形するには,どうすればいいのでしょう か. 考えてみましょう. b a = d c これは,先程のように両辺に a をただ単にかけただけではダメですね. では どのようにするのでしょうか. この例の場合, aに関わる分数式で,邪魔者はb です. 方法はいろいろあるの ですが,その例を2 つ挙げてみましょう.

《方法 1》

まず,両辺にaをかけて一度「 b = 」の形に変形します. b a × a = d c × a b = a d c 次に aに関わる式で邪魔者は d c です. そこで,今度は d c を右辺から消去 するために,両辺に d c の逆数である c d をかけます. c d = a d c × c d すると,右辺は約分されて aが残ります. b c d = aa = b c d となります.

《方法 2》

もうひとつの方法として,まず,両辺をb で割ります. b a ÷ b = d c ÷ b b a × 1 b = d c × 1 b 1 a = d b c となります. ここで,両辺を同時に逆数にすることができるので, a = b c d となり,変形ができました.

(15)

ただしこのテクニックは,両辺のどちらかに分母の違う加減算を含んでいる場 合には,少し複雑になるので注意してください. たとえば, 1 a = 1 b + 1 c なら,右辺を通分して,分母が同じ分数式の足し算を行ってから,両辺を同時に 逆数にするのです. すなわち, 1 a = 1 b + 1 c = c b c + b b c = b + c b c より ∴ a = b c b + c

コーヒー・ブレーク

これって間違いなの? ( その1 ) 次の計算例は, 計算の途中や式の変形の際に,よくありがちなミスです. ど こがどう違うか,自分で考えてみてくださいね. 1 2 S− 10 = 0 −→ S = 5 ??? x a + x b = 1 c −→ a x + b x = c ??? 3 b x + 5 = 2 b x + c −→ 3 b x + 3 5 = 2 b x + 2 c ??? x = a + x b + 1 −→ x (b + 1) = a + x ??? 1 a = 1 b + 1 c + 1 d −→ a = b c d b + c + d ??? 練習 3. 次の問に答えなさい. (1) オームの法則I = V R (I : 電流 [A], V : 電圧 [V], R : 抵抗[Ω]) の式を 「R = 」の形に変形しなさい. またI = 0.3 [A] , V = 3 [V] とするとき, 抵抗値 R を求めなさい. (2) b x− 3 = 4− x c を「 x =」の形に変形しなさい. ( ただし b c6= −1 ) (3) b x + 3 = c x− b を「 x =」の形に変形しなさい. ( ただし b6= c )

(16)

1.3. 平方根を含む式の計算 7 (4) b x− 3 = 4− c x c を「 x =」の形に変形しなさい. ( ただし b6= −1 ) (5) 3 x a (3 x + c) = 4 b 4 a b− c を「x =」の形に変形しなさい. (ただしc6= 0) (6) b− c = 1 x + 1 を「 x =」の形に変形しなさい. (ただし b6= c ) (7) a− x = x 2 a− x を「 x =」の形に変形しなさい. ( ただしa6= 0 )

1.3

平方根を含む式の計算

次の式を,「x =」の形に変形してみてください. x2 = 1 3 (x > 0) 答えは, x = r 1 3 となります. この計算は, xについている2乗が邪魔者な ので,「両辺の平方根をとる」ということをしています. ですから, これらを文 字式で表すと, a2= c b (a > 0 , b > 0 , c > 0) 両辺の平方根をとると a2 = r c ba = r c b ということになりますね. では今度は,次の式を「x =」の形に変形してみてください. 2 = r x 3 答えは, x = 12 となります. この計算は,根号 ( ルート: ) が邪魔者です から,「両辺を 2 乗する」ということをしています. ですから,これらを文字式 に置き換えて考えると, a = 2 , b = 3 , c = xですから a = r c b (a > 0 , b > 0 , c > 0)

(17)

となりますね. この式をc について解いてみましょう. まず,両辺を 2乗して a2 = c b 次に,両辺にb をかけると a2× b = c b × b a2b = cc = a2b となります. a , b , c を元に戻して確かめるとx = 22× 3 = 12となりますね. まとめ 平方根を含む分数式の変形   2 乗を取り払いたい場合は,両辺の平方根をとる. a2 = c b −→ a = r c b (ただしa > 0 , b > 0 , c > 0) 根号を取り払いたい場合は,両辺を 2乗する. a = r c b −→ a 2 = c b (ただしa > 0 , b > 0 , c > 0)  

コーヒー・ブレーク

これって間違いなの? ( その2 ) 次の計算例も, 計算の途中や式の変形の際に,よくありがちなミスです. ど こで,どんな間違いをしているのでしょうか. p x2+ 9 = 4 −→ x + 3 = 2 ??? v2= 2 g h + v02 −→ v = p 2 g h + v0 ??? 練習 4. 次の計算をしなさい. (1) x2 = 1 4 から x を求めなさい. ( x > 0 ) (2) 10 = 5√x からx を求めなさい.

(18)

1.4. 変数を少なくしてわかりやすい式にする変形 9 (3) 3 =√x− 5 から x を求めなさい. (4) y− 2 =√x + 3 を,「x =」の形に変形しなさい. (5) y = c√x を,「x =」の形に変形しなさい. ( c6= 0 ) (6) y = r z x を,「x =」の形に変形しなさい. ( y6= 0 ) (7) 1 x− 1 = 2 から xを求めなさい. (8) x2 = 1 z2 y を, 「x =」の形に変形しなさい. ( x > 0 , y > 0 , z > 0 ) (9) f = 1 2π√LC を,「C = 」の形に変形しなさい. ( f 6= 0 )

1.4

変数を少なくしてわかりやすい式にする変形

次の 2 つの式からy を求めてください.    x = 2 · · · 1 y = x + 3 · · · 2 y = 5 となりますね. どのような計算が行われていたかというと, 1 式の x = 2 2 式 の xに代入して y = 2 + 3y = 5 となります. これらを文字式で表すと,    x = t y = t + a (aは定数) ∴ y = x + a となります. これらを見ると, ytを通して計算が行われていることに気がつ きますね. 2つの式には変数が, x , y , tの3個あることがわかります. しかし, 最後の式は, x , y のみとなり, 2つの式から変数t を消去した式を作ることが できましたね.

(19)

例題 1. xy が,次のようにt についての式で表されるとき, tを消去して yxについての式で表しなさい.    x = t− 1 · · · 1 y = 2 t + 3 · · · 2 まず, 1 式を t = の形に変形します. t = x + 1 · · · 1 0 次に, 10 式を 2 式の t に代入します. y = 2 (x + 1) + 3 y = 2x + 2 + 3y = 2x + 5 となります. 練習 5. (1) 次の2 つの式からt を消去して, y, xについての式で表しな さい.    x = 2 t y = 4 t (2) 次の 2 つの式から tを消去して, y, x を含む式で表しなさい. ( a , b は定数, a6= 0 )    x = a t y = b t (3) 次の 2つの式からtを消去して, y, v を含む式で表しなさい. ( g は定 数, g6= 0 )    v = g t y = 1 2 g t 2 (4) 次の 2 つの式からtを消去して, y, xについての式で表しなさい.    x = 2 t− 1 y = 4 t2+ 6 t + 3 (5) 次の 2 つの式から tを消去して, y, x を含む式で表しなさい. ( a , b は定数 )    x =√t− a y = 3 t + b

(20)

1.5. 分数式の計算の応用例 11

1.5

分数式の計算の応用例

各専門教科では,文字式や分数式などを使った説明が非常に多くなります. こ こでは合成抵抗の計算を例に,式の計算に慣れましょう. 図1–1は,抵抗R1 [Ω]とR2 [Ω]を並列に接続し,その両端に直流電源 E [V] をつないだものです. 複数個の抵抗がある場合,これらをまとめて 1 つの抵抗 として考えることがあります. これを 合成抵抗 と言います. 図 1–1並列抵抗の合成 図1–1の左側の図では,抵抗 R1 [Ω]とR2 [Ω]は並列に接続されていますが, 図 1–1の右側の図のように抵抗 R1 [Ω]と R2 [Ω]を 1つの抵抗 (合成抵抗) R [Ω] と考えると, R [Ω]R1 [Ω] , R2 [Ω] の間には, 1 R = 1 R1 + 1 R2 の関係式が成り立ちます. このことを,オームの法則を利用して証明してみましょう. 図1–1の左側の図において,各抵抗に流れる電流はオームの法則により I1 = E R1 · · · 1 , I2 = E R2 · · · 2 となります. 電流 I [A] は,並列の分岐点に来ると分流(電流が分かれて流れる ことです) しますから, I = I1+ I2 · · · 3

(21)

となり, 3 式に ,1 2 式を代入すると, I = E R1 + E R2 = E  1 R1 + 1 R2  · · · 4 となります. また,図 1–1の右側の図において,オームの法則により, I = E R · · · 5 となります. 4 式の電流 I [A] 5 式の電流 I [A] は同じものですから, 4 式に 5 式 を代入すると E R = E  1 R1 + 1 R2  · · · 6 となり, 6 式の両辺を E で割る ( 1 E をかける ) と E R × 1 E = E  1 R1 + 1 R2  × 1 E 約分して, 1 R = 1 R1 + 1 R2 · · · 7 となります. また, 7 式を「 R =」に変形すると,合成抵抗は R = R1· R2 R1+ R2 · · · 8 になります. 練習 6. (1) 図1–1の左側の図において, R1 = 20 [Ω] , R2 = 30 [Ω]とすると, 合成抵抗 R の値はいくらですか. (2) 7 式を自分で変形して, 8 式を求めなさい. また (1) と同じ抵抗値を代 入してみて,同じ答が出てくるか確かめてください. (3) 図1–1において, R1 = a [Ω] , R2 = 2 a [Ω]とすると,合成抵抗R の値は いくらですか.

(22)

1.5. 分数式の計算の応用例 13 練習 7. 下の図は, 3つの抵抗R1 , R2 , R3 が並列に接続され,その両端に直流 電源 E [V]を加えたものである. 「1.5分数式の計算の応用例」に従って,次の 問に答えなさい. (1) 抵抗 R1 に流れる電流I1 を,オームの法則を利用してE , R1 で表しなさ い. 同じようにして, I2 をE , R2 で,また, I3 をE , R3 で,それぞれ表 しなさい. (2) 電流 I, I1 , I2 , I3 で表しなさい. (3) 合成抵抗を R として, 電流I を,オームの法則を利用して E , R で表し なさい. (4) (2) で求めた式に, (1)で求めた式を代入して得られる式を求めなさい. (5) (3) と(4)から,この図の合成抵抗 R [Ω]R1 [Ω] , R2 [Ω] , R3 [Ω] ,の 関係式を求めなさい. ( 「 1 R =」の形で表しなさい. ) (6) R1= 10 [Ω] , R2= 15 [Ω] , R3= 30 [Ω]としたとき,合成抵抗Rはいくら ですか. (7) R1= a [Ω] , R2= b [Ω] , R3= 3 b [Ω]としたとき,合成抵抗Rはいくらで すか.

(23)

問題

問題 1. (1) 1 a = 1 b + 1 c + 1 d を「 a = 」の形に変形しなさい. (2) P × V = w M × R × T を「 M =」の形に変形しなさい. ( P 6= 0 , V 6= 0 ) (3) 1 a + 1 b = 1 f を「 b = 」の形に変形しなさい. (4) 4 b x + c = 2 − b x + c を「 x =」の形に変形しなさい. ( b6= 0 ) (5) a + 2 = x b + x を「 x =」の形に変形しなさい. ( a6= −1 ) 問題 2. T = 2π r l g を「 g =」の形に変形しなさい. ( T 6= 0 ) 問題 3. v > 0 のとき, F x = 1 2 m v 2 を「 v =」の形に変形しなさい. ( F > 0 , x > 0 , m > 0 ) 問題 4. 2つの式 W = 1 2 Q V · · · 1 Q = C V · · · 2 があるとき,次の問に答えなさい. (1) WC , V で表しなさい. (2) WC , Q で表しなさい. ( C 6= 0 ) 問題 5. 2つの式 M a = M g− T · · · 1 m a = T − m g · · · 2 ( M > m > 0 ) があるとき,次の問に答えなさい. (1) aM , m , g で表しなさい. (2) TM , m , gで表しなさい.

(24)

15

2

章 指数の計算

はじめに

非常に大きな数や, 逆に非常に小さい数を表すとき, これから学習する指数 を用いることがしばしば行われます(例 : 345000 = 3.45× 105, 0.000678 = 6.78× 10−4). また, このような数値を用いた四則演算では, 指数法則が役立つ ことも学びます.

2.1

指数とは

ある数 an個かけ合わせたものを an 乗 といい, an と書きます. a× a = a2 , 2× 2 × 2 = 23 , X× X × X × X = X4 となります. また, a1, a2, a3, a4,· · · · をまとめて a の累乗(るいじょう) といい, a を累乗の底(てい), aの右肩の 1 , 2 , 3 , 4 , · · · · を指数 といいます. ここで 2 , 3 , 10の累乗の一部を示しておきます. 21 = 2 31 = 3 101 = 10 22 = 4 32 = 9 102 = 100 23 = 8 33 = 27 103 = 1000 24 = 16 34 = 81 104 = 10000 25 = 32 35 = 243 105 = 100000

2.2

指数法則

指数計算では次の法則が成り立っています.

(25)

指数法則   m , nを自然数とするとき (1) am× an= am+n (2) am÷ an=          am−n (m > n) 1 (m = n) ただしa6= 0 1 an−m (m < n) (3) (am)n= am×n (4) (a b)n= an× bn (5)  b a n = b n an ただし a6= 0   上の (1)から (5) は大切なものですから,順次確認して行きましょう. (1) am× an = m個 z }| { a× a × · · · × a × n個 z }| { a× · · · × a | {z } m + n= am+n1. 32× 34 = 32+4= 36= 729 44× 4 = 44× 41 = 44+1= 45 = 1024 (2) m > n1 のとき am÷ an = a m an = m個 z }| { a× a × · · · × a a× · · · × a | {z } n個 = n個 z }| { a× · · · × a × m−n 個 z }| { a× · · · × a a× · · · × a | {z } n個 = m−n 個 z }| { a× · · · × a = am−n 2 m = n のとき am÷ an = m個 z }| { a× a × · · · × a a× a × · · · × a | {z } m個 = 1

(26)

2.2. 指数法則 17 注意 m = nのとき, 1 の考え方をすると, am−n= am−m= a0 = 1 ∴ a0 = 1 となります. 例 2. 53÷ 53 = 53−3= 50= 1 , 104÷ 104 = 104−4= 100= 1 3 m < n のとき am÷ an= m個 z }| { a× a × · · · × a a× a × · · · × a | {z } m× a × · · · × a| {z } n−m 個 = 1 an−m 注意 1 の考え方を用いるとam−n= 1 an−m , さらにこの 式で m = 0 のとき, a0−n = 1 an−0 となり, a−n= 1 an になります. たとえば a−1 = 1 a , a −3 = 1 a3 です. このよう に決めると,実は指数法則はm, nを整数としても成り立つこと が証明できます. 例 3. 23÷ 25 = 1 25−3 = 1 22 = 1 4 (別解) 23÷ 25= 23−5 = 2−2= 1 22 = 1 4 104÷ 107 = 1 107−4 = 1 103 = 1 1000 (別解) 104÷ 107 = 104−7= 10−3= 1 103 = 1 1000 a÷ a4 = 1 a4−1 = 1 a3 (別解) a÷ a4 = a1−4 = a−3= 1 a3 (3) (am)n = ( m個 z }| { a× · · · × a) × ( m個 z }| { a× · · · × a) × · · · × ( m個 z }| { a× · · · × a) | {z } m×n 個 (m 個の固まりが n 組) = am×n4. (a3)2 = a3×2 = a6 (102)2 = 102×2 = 104 = 10000 (24)2 = 24×2= 28= 256

(27)

(4) (a b)n = n個 z }| { (a b)× (a b) × · · · × (a b) = (a| × a × · · · × a{z } n個 )× (b × b × · · · × b| {z } n) = anbn5. (2× 3)3 = 23× 33 = 8× 27 = 216 (4 x2)2 = 42× (x2)2= 42× x2×2= 16 x4 (5)  b a n = n個 z }| {  b a  ×  b a  × · · · ×  b a  = n個 z }| { b× b × · · · × b a× a × · · · × a | {z } n個 = b n an6.  x 3 3 = x 3 33 = x3 27  3 a 4 2 = (3 a) 2 42 = 9 a2 16 練習 1. 次の計算をしなさい. (1) 53× 52 (2) (62)3 (3) 74÷ 72 (4) 93÷ 95 (5)  3 4 4 (6) 103÷ 104 (7) 105× 10−2 (8) 103÷ 10−2 練習 2. a , b , x , yはすべて0 でない数とするとき,次の式を簡単にしなさい. (1) a3× a (2) a4÷ a3× a−2 (3) a2÷ a5 (4) (a b2)3÷ (a2b)2 (5) 4 x2× (2 x y3)2 (6) 5 a3× 3 a−4 (7) 28 a2÷ (7 a−3) (8) (a4)3 (9) (a−2)3 (10) a5× a0 練習3. a , b , c , x , yはすべて0でない数とするとき,次の式を簡単にしなさい. (1) a 3× a−3 a (2) (a −3)2× (a−4)−3 (3) (a2b−1)−2 (4) (6 x 2y)2 9 x3y3 (5) 15 a2b3c (−5 a b c2)2

(28)

2.3. 指数計算 19 練習4. a , b , c , x , yはすべて0でない数とするとき,次の式を簡単にしなさい. (1) 3 a3b2× (2 a b−2)3÷ 6 a3b2 (2) (2 x y2)3÷ 6 x4y2 (3) 60 a 2 7 b c ÷ 48 a3c3 35 b3 ×  2 a c2 5 b2 2 (4) (7 a 2b)2 21 x3y3 × 3 x2y 35 (a b2)2 練習 5. 半径 r ,高さh の円柱がある. この円柱の半径が b 2 a 倍,高さが a b 倍 になったとすると,その体積 V0 は,もとの体積V の何倍になるでしょうか.

2.3

指数計算

桁数の非常に大きい数や,非常に小さい数は,指数を用いて, 63800 = 6.38× 104, 0.00000638 = 6.38× 10−6 のように表すことができます. 一般に,任意の正の数 xx = a× 10n ( 1 5 a < 10 , nは整数) の形に表す事ができます. このとき,指数 nxの小数点の位置を示していま す. すなわち, (1) n0 または自然数であるとき, xの整数部分は n+1桁です. (2) n が負の整数であるとき, xの小数第|n| 位に初めて 0 でない数 が現れます. ( |n|n の絶対値を意味します ) 非常に大きい数や小さい数の乗法・除法・累乗などの計算には,次の練習や例 のように,指数表示による計算がしばしば用いられます. 練習 6. 次の数をa× 10n ( 15 a < 10 , nは整数) の形で表しなさい. (1) 4470 (2) 0.023 (3) 857600 (4) 0.00038 (5) 76358 練習 7. 次の数を,普通の数の形 ( 指数をなくした形) で表しなさい. (1) 3.59× 104 (2) 2.93× 10−5 (3) 4.2× 103 (4) 2.738× 103 (5) 5.14× 10−2

(29)

例題 1. 次の計算をa× 10n ( 15 a < 10 , nは整数)の形で表しなさい. ただ し, (2), (3), (4) については, aの値が小数第2位までの数値になるように答え を示しなさい. (1) 204 = (2× 10)4 = 24× 104= 16× 104 = 1.6× 10 × 104 = 1.6× 105 (2) 328100× 0.0004892 × 5062 = (3.281× 105)× (4.892 × 10−4)× (5.062 × 103) = (3.281× 4.892 × 5.062) × 105−4+3 = 81.2× 104 = 8.12× 105 注意 小数部分のかけ算を行い,一方, 指数部分には指数法則 を用いればよいのです. (3) 541300÷ 7583 = (5.413 × 105)÷ (7.583 × 103) = 5.413 7.583 × 10 5−3 = 0.714× 102 = 7.14× 10 (4) 0.064253 = (6.425× 10−2)3 = 6.4253× 10−6 = 265× 10−6 = 2.65× 10−4 練習 8. 次の計算を,例題1にならって行いなさい. (1) 4.8× 3500 ÷ 0.0024 (2) 0.000113 (3) 0.108÷ 540000 (4) 0.0035÷ 0.0353 (5) (8× 10−3)2÷ (2 × 10−3)2 (6) (8.1× 10−2)3÷ (9.0 × 102)6 練習 9. 金 200 [g] の中には,金の原子が 6.1× 1023 個含まれています. では,1.00 [g]の中には,何個の原子が含まれているでしょうか. 注意 もう少し正確に表すと,金197.0 [g]中に6.02× 1023個の原 子が含まれています.

(30)

2.3. 指数計算 21

コーヒー・ブレーク

103 と 104 (数字の表記について) 次の数を,即座に大きな声で読み上げてください. A = 3234589124 円 何秒かかりましたか. それより,まずどう考えましたか. 多分,みなさんは位取りのために「 ,」(カンマ) をうち,それから最初の数 3 がどんな単位(位) なのかを確認したはずです. カンマは何桁ずつ打ちまし たか. 最近は, 3桁が主流のようです. 3桁ずつですと, A = 3, 234, 589, 124 円 となります. では,この形で,直感的にこの数を読めますか? 実は 3桁ずつ区切るのは西欧の習慣なのです. 英語なら,

100(one) , 101(ten) , 102(hundred) , 103(thousand : 千) ,

その次は 106(= 103× 103 , million : 百万 ) さらにその上は, 109(= 106× 103 , billion : 十億 ) つまり, 103 ずつまとめて数え, 3桁ごとにカンマをつけます. 一方,日本では, 100(一) , 101(十) , 102(百) , 103(千) , 104(万) 次は 108(= 104× 104 : 億) , さらに 1012(= 108× 104 : 兆) となっていきます. つまり日本では, 104 ずつまとめて数をかぞえ, 4桁ごとに カンマを打っていきます. A = 32, 3458, 9124 円 右から数えて最初のカンマの左の数は「万」, 2 番目のカンマの左の数は 「億」の位を示します. 従って, A = 32億3458万9124 円 西欧式 (3 桁ずつカンマ) と日本式 (4桁ずつカンマ), どちらが日本人の数 の数え方に適しているでしょうか.

(31)

2.4

累乗根

(

るいじょうこん

)

累乗の逆,たとえば 2 乗して aになる数, 3乗して aになる数を,それぞれ a2 乗根 (平方根), a3 乗根 (立方根) といいます. 一般に nを自然数とするとき, n 乗してaになる数をan乗根 といいま す. 2乗根, 3乗根, 4 乗根,· · · を,まとめて 累乗根 といいます. たとえば, 22 = 4 , (−2)2 = 4 なので 2 と −2 は 4 の 2 乗根です. また, 23 = 8 , (−2)3 =−8なので 2は 8 の3 乗根(のうちの 1つ), −2−8 の3 乗根 (のうちの1つ) です. さらに, x2=−2となるような実数は存在しないの で, −2の2 乗根で実数のものはありません. 一般に,実数an 乗根のうち実数であるものについては,次のことが成り 立ちます. a > 0のとき 正の n 乗根はただ一つ定まる. a < 0のとき 実数の n乗根は nが奇数のときに限りただ一つ定まる. そこで,上のようにただひとつ定まる実数のn乗根を na と表します. この とき,もちろん(√na )n= a が成り立ちます. 注意 n = 2のとき 2a は 単にa と表します.7. 29 =9 =32 = 3 3 125 = 353 = 5 3 −8 = p3 (−2)3 =−2 4 16 =424 = 2 練習 10. 次の値を求めなさい. (1) 2 49 (2) 364 (3) 481 (4) 5 32 (5) 3−64 (6) 5−1

(32)

2.5. 分数の指数 23

2.5

分数の指数

ここで, √naについて,もう少し別の表し方を考えてみましょう. (√na )n= a = a1 であることから,指数法則の(3) (am)n= am×n が成り立つように考えると, n a = an1 と定めればよいことがわかります. なぜなら,このように定めれば (√na )n=an1n= an1×n= a1 = a となるからです. また,上の公式でaamに置き換えると n am= (am)n1 = a1n = amn となるように定めるべきことも納得できるのではないでしょうか. 分数の指数   a > 0, m, n を自然数とするとき, an1 = √na amn = √nam   注意 このようにすると,指数が分数のときでも,指数法則がすべ て成り立つことが証明できます. 例 8. 310 = 1013 5 102= 1025 練習 11. 次の数を, amn の形に表しなさい. (1) 4 10 (2) 7 15 (3) 534 (4) 3 16 (5) 334×3 35 (6) 3 2×√6 2 練習 12. 体積が125 [cm3]の立方体があります. 一辺の長さaは何[cm]ですか.

(33)

コーヒー・ブレーク

n a の読み方 n aはどのように読むのでしょうか. 英語では「 nth root of a」と読むよ うです. 直訳すると, 「 an 乗根 」となります. しかし, 累乗根のところ で学んだように, √na , a n 乗根 のうちで実数のものを表す記号ですか ら,「an乗根 」と読むのは,誤りです. では,どのように読んだら良いの でしょうか. 実は,他に適当な読み方がないので,習慣的に「n乗根 a」と読んでいるよ うです.

専門科目へのステップ・アップ

「電気・電子系」 電気・電子系の専門学科では,指数を使った数値計算をよく行います. たと えば, 電子の質量や電荷, 電圧, 電流, 抵抗などを求めるとき,トランジスタや 集積回路を用いて信号増幅の値を求めるときなどです. 実用的には, ナノ,マ イクロ,ミリ,キロ,メガなどの接頭語を使って表現しますが,計算は基本単位 にもどり,指数で表現して計算します. 「化学系」 指数計算は, 章末の問題3.や問題6.のような形で頻繁に出てきます. 大学 や会社の研究所でも必ず出てきますので,指数や数値の扱いには慣れておきま しょう.

(34)

2.5. 分数の指数 25

問題

問題 1. 直径2.00 [mm]の銅線の長さ1.00 [km]の電気抵抗の大きさはどのくら いの値になるか,計算しなさい. ただし,銅線の抵抗率は, ρ = 1.7× 10−8 [Ω·m] とします. (一般に,金属の電気抵抗R [Ω]は,長さl [m]に比例し,断面積S [m2]に反比 例します. 長い程, 細い程, 大きな電気抵抗になるということで, R = ρ· l S [Ω] の式で与えられます. S = πr2 [m2] , π = 3.14とします. もちろん半径は,直径の 1 2 倍です.) 解説 普通の銅線は,直径1.0 [mm] もあると,太い線の内に入りま す. この線が22 [Ω/km] 程度と思えば良いわけですが,よく目にす るのは,直径0.40.5 [mm]のエナメル銅線で,電話線などによく使 われます. これは 100 [Ω/km] 程度です. 問題2. 太陽から光が地球に達するまでの時間は何秒かかるか計算しなさい. ただ し,光の速度をc = 3.0×108[m/s]とし,太陽と地球の間の距離は l = 1.50× 1011 [m]とします. 問題3. 63.5 [g]の銅の中には, 6.02×1023個の原子があります. 密度は, ρ = 8.93 [g/cm3]です. 原子1 個あたりの体積は何cm3 ですか. 3桁まで求めなさい. ( 注: ρ はギリシャ文字で「ロー」と発音します ) 解説 水の密度は 4 [C] , 1 [気圧]において,およそ 1.00 [g/cm3] です. これより密度の小さい木は水に浮かび, これより密度の大き い金属や石は水に沈みます. 代表的な金属の密度をいくつかあげて みます. 金属名 金 鉄 銀 アルミニウム 銅 密度 [g/cm3] 19.3 7.87 10.5 2.69 8.93 問題 4. 地球の赤道半径は, 6378136 [m]です. これをa× 10n ( 15 a < 10 , nは整数) の形で [km] 単位で表しなさい.

(35)

問題 5. 1990年の世界の全人口は5292000 (単位千人), 日本の全人口は123611 (単位千人)です. 日本の全人口は,世界の全人口の何%にあたりますか. これを P.20 の例題1にならって示しなさい. ( 注: 単位千人とは,上記の数に 103 をかけることです. ) 問題 6. 電子の質量は9.11× 10−31[kg], 陽子の質量は1.67× 10−27[kg]です. 陽 子の質量は,電子の質量の何倍になりますか. P.20 の例題1にならって示しな さい. ( 注: 原子は,陽子,中性子,電子で構成されています. )

(36)

27

3

章 有効数字

はじめに

物理, 化学などの自然科学, 機械, 電気, 建築などの工学では, 長さ, 質量, 電 流などを測定します. それにともない計測機器も多種多様に発達してきました. 測定器に応じて,測定結果を正しく表現しなくてはなりません. この章では,測 定した値の精度,書き方,位取り, さらにはそれらの値から計算した結果の表し 方などについて学習します.

3.1

測定値と誤差

ノートの横の長さを測ってみたとしましょう. 読み取った値は測定値 といい ます.測定値は,器具や目盛の読み取り方により, 2桁, 3桁, 4桁と桁数が変わ ります. 先ほどのノートの横の長さも, 人により, また, 器具により, 179 [mm] あるいは179.0 [mm]と読み取ったりします. 物差しや天秤を使って物の長さや 質量を測定するとき, どんなに丁寧に測定したとしても, 必ず限度があります. 従って,測定値はすべて近似値 として取り扱います. 使用した計器の目盛の正 確さに限界があることや,あるいは目盛を読み誤ったりするために,測定値と真 の値 との間には差が生じます. この差を 誤差 といいます. 誤差が小さいほど, 測定値は真の値に近いといえます. 目盛を読み誤ったために起こる誤差は,注意することによりある程度は小さく できます. しかし,計器の構造や材質などの原因で生じる誤差は避けられません.

3.2

有効数字と数値の丸め方

3.2.1

有効数字

測定値の桁数は, 使用した測定器の最小目盛によって決まります. ふつう,最 小目盛の 1 10 まで 目分量 で読み取ります. たとえば, ノートの横の長さ(L)

(37)

を 1 [mm] 目盛のスケール (定規) で測り, 179.3 [mm] と読み取ったとすると, 真の値は, 179.25 [mm] 5 L < 179.35 [mm] に存在することになります. それ は,目盛がない1 [mm] 以下を測定する人の目分量で,四捨五入により判断して いるのです. ここでは,ノートの横の長さが目盛のうちで 179.3 [mm]に一番近 いと読み取った · · · ということです. 一般に,測定値の中には,単に位取りを表わすだけの 0 (ゼロ) が含まれてい ますが,このような0を除き,意味のある数字で最下位の数字だけに誤差を含ん でいる ような数字を 有効数字 といいます. 上記の例では,ノートの横の長さは4桁で表されて179.3 [mm]と書きますが, これは有効数字が 4桁です. もし,これを 179.30 [mm]と書くと,有効数字が 5 桁になってしまいます. 従って, 4桁しか読み取れないものを5 桁で表現するの は誤りであり,大きな違いがあります. また, 1 円硬貨の直径(d) をある測定器で測定した結果が 3 桁で表されてい る場合は有効数字 3 桁といい,さらに高精度の測定器で測定した結果が5 桁で 表わされている場合は有効数字 5 桁といいます.

3.2.2

計器の目盛と読み取り

次に長さを測るもので,学校にもあるいくつかの計器の目盛と読み取りを示し ます. 図3–1測定器具のいろいろ

(38)

3.2. 有効数字と数値の丸め方 29 計器 表示例 最小目盛 読み取り 巻尺 (30 [m] の巻尺) 23.568 [m] 1 [cm] 1 10 [cm]まで読み取る 定規 176.3 [mm] 1 [mm] 1 10 [mm]まで読み取る ノギス (1 級) 20.25 [mm] 1 [mm] 1 20 [mm]まで読み取る (副尺で読み取る ) マイクロメータ (1 級) 19.992 [mm] 1 100 [mm] 1 1000 [mm] まで読み取る 注意 (1)伸び縮みがある布製の巻尺では, 1 10 [cm]まで示しても意 味がありません. (2) 定規は,プラスチック製,金属製などは伸び縮みがあるの で, 0.1 [mm]まで読んでも意味がありませんが,正の刻印 のある伸び縮みのしない竹製などの材料で作製されている 定規は, 0.1 [mm]まで読まなくてはなりません. また,質量の場合は,測定器により大きく異なります. 10円硬貨を例に取ると, • 0.1 [g]まで測れる上皿天秤では · · · 4.5 [g] • 0.01 [g] まで測れる物理天秤では· · · 4.52 [g] • 0.0001 [g]まで測れる直示天秤では · · · 4.5230 [g] 有効数字はそれぞれ 2 桁, 3桁, 5桁といいます. この場合, 有効数字が5 桁 である直示天秤の測定結果を4.523 [g] と書くのは誤りです. 有効桁数を数えるときの約束をまとめてみましょう. (1) 小数点の位置には関係しない. 例: 4.5230 [g] , 15.290 [m] · · · 有効数字 5桁 (この 2 例では,数値の最後の「0」も測定によって得られた意味のある値, すなわち有効数字として考えています.) (2) 冒頭の 0 は有効桁数に入れない. 例: 0.0179 [m] (17.9 [mm] の意味),2.15 [mV] (0.00215 [V] の意味) · · · 有効数字 3桁 ([mm]単位で読み取った測定値17.9 [mm]を[m]単位に換算したと考えれ ば, 1位および小数第1位の「0」が有効数字でないことに気づくでしょう.)

(39)

(3) 最初の0でない数字より右側の 0 は有効桁数に入れる. 例: 1.01 [g], 101 [m] · · · 有効数字 3桁 (位取りの 0 は,有効数字に入れません. ) 注意 測定値1.01 [g]を[mg]単位に変換するとき, 1010 [mg]と書 くことになります. このままだと,最後の「0」も有効数字と取り扱 われてしまいます. それを防ぐためには, 1.01× 103 [mg] の表現を 用いて,位取りの「0」か有効数字の「0」かをはっきりさせます. 練習 1. 次の測定値の有効数字の桁数は何桁ですか. (1) 0.6 (2) 8.7 (3) 3.07 (4) 0.028 (5) 2.050 (6) 0.009070 (7) 4.30× 10−6 (8) 7020

3.2.3

数字の丸め方

「数字を丸める」とは, 測定値を基本にして必要な桁数に直すことを言いま す. たとえば, 24.37を3桁の数字に丸めるという場合は,小数第2 位の7 を四 捨五入して 24.4と表します. さて, 一般に「桁」というのは, 45 は 2 桁, 126 は 3 桁といいます. また, 24.65 の有効数字といいますと,先に示したように小数点を入れて 4 桁です. 有効数字を表す場合, 「桁」で表す以外に小数第 n位まで有効であるという 表現があります. 例 1. 26.86573 この例の場合,小数第 3 位まで有効,というとき, 5 桁が有効数字ということ になります. つまり,この値を 26.866 とします. また,小数第 5 位まで有効, というときは, 7 桁が有効数字ということになり ます. ある数値を有効数字n桁の数値に丸める場合, (n+1)桁目以下の数値を次の ように整理します. (1) (n+1)桁目の数値が, n桁目の1単位の 1 2 未満の場合には切り捨てる. 例: 1.444 を有効数字3 桁に丸める· · · 1.44 (2) (n+1)桁目の数値が, n桁目の 1単位の 1 2 以上の場合には n桁目を 1単位だけ増す. 例: 144.6 を有効数字3 桁に丸める· · · 145

(40)

3.3. 測定値を用いた計算 31

コーヒー・ブレーク

有効数字の JIS 規格

有効数字にもJIS 規格(Japanese Industrial Standard) があり,正式には,

上記の (1), (2)に加えてさらに次の項目が入ります. (3) (n+1)桁目以降の数値が, n 桁目の1単位のちょうど 1/2で ある場合には,次の(i), (ii) のようにします. (i) n桁目の数値が偶数なら切り捨てる. 例: 14.45 を有効数字3 桁に丸める· · · 14.4 (ii) n桁目の数値が奇数なら切り上げる. 例: 14.55 を有効数字3 桁に丸める· · · 14.6 このように扱う理由は,上記のようにしないと,多くの数を扱う場合に統計 上から,正しくないからです. ただし,複雑になりますので,本校では機械的な 四捨五入で処理することにします.

3.3

測定値を用いた計算

3.3.1

加減算

有効数字の加算または減算の場合には, 計算はその最小の位より 1 桁下の位 まで採用して行えばよいのです. 結果を示すときには,計算する値のうちで精度 のいちばん悪いものの位に合わせて示します. つまり, 測定値のうちいちばん 粗っぽく示されている数値の最小の位 (末位) に合わせて結果を示します. すな わち,位取り がポイントになります. その手順を整理すると,次のようになります. (1) 「測定値のうち最も精度の粗い数値の最小の位(末位が大きな測定値)」を 探し,他の測定値はその最小の位より,もう一桁下の数字まで示す. (2) 加減算を行う. (3) 計算値が出たら,さきほどの「測定値のうち最も精度の粗い数値の最小の 位」のさらに一桁下の数字を四捨五入し,「測定値のうち最も精度の粗い 数値の最小の位」に合わせる.

(41)

例題 1. 金の塊が3個あり, A , B , C の3つの天秤で計りました. Aの天秤で 計った金塊は 0.5005 [g] , Bでは3.01 [g] , Cでは2.055 [g]でした. 合計何gに なりますか. 解答 上記に示した整理のしかたに沿って計算します. (1) 測定値のうち最も精度の粗い数値の最小の位がBの小数第 2 位ですから,他の測定値は小数第3 位まで示します. 測定値 整理後の数字 A 0.5005 0.501 (小数第 4位を四捨五入) B 3.01 3.01 C 2.055 + 2.055 (2) 5.566 (3) 合計 5.57 [g] (小数第3 位を四捨五入) 例題 2. A君と B 君は10 円硬貨を 1 枚ずつ持っていました. 2人は, その硬 貨の質量を計りました. A君が 10 円硬貨を小数第2 位までの天秤で計ったと ころ, 4.41 [g] でした. B君が 10 円硬貨を小数第3 位までの天秤で計ったとこ ろ, 4.416 [g]でした. 2個の 10円硬貨の合計の質量はいくらになりますか. 解答 この場合の加算では, A君のは小数第 2位, B 君のは小数第 3位まで示されていますので,そのまま4.41 + 4.416 = 8.826 [g]と なります. 次に,いちばん精度の悪い位 (この場合, A 君の小数第2 位) に合わせて,小数第3 位を四捨五入し 8.83 [g]となります. 練習 2. 有効数字に注意して次の計算をしなさい. (1) 10.50 [kg] + 2555 [g] (2) 1.253 [m] + 0.5246 [m] + 3.12 [m] (3) 0.2025 [m] + 1.237 [cm] + 0.3225 [cm]

3.3.2

乗除算

(1) 2 つ以上の数を乗除する場合には,有効数字のいちばん少ない桁数を基準 にし,他の数字はそれより1 桁多くして計算を行ないます. 計算結果は,有効数 字で 最も桁数の少ない値 に合わせて示します. すなわち,桁数 がポイントにな ります.

(42)

3.3. 測定値を用いた計算 33 例題 3. 125× 31125.1× 31.1 の場合 1 2 5 × 3 1 1 2 5 + 3 7 5 3 8 7 5 1 2 5 . 1 × 3 1 . 1 1 2 5 1 1 2 5 1 + 3 7 5 3 3 8 9 0 6 13.9× 103 (有効数字 2桁) 答 3.89× 103 (有効数字3 桁) (太字は誤差を含みません. 答は有効数字の桁数の小さい方に合わせます.) 例題 4. 縦,横がそれぞれ 10.17 [m], 5.11 [m]の長方形の面積を求めよう. 解答 10.17× 5.11 = 51.96 答 52.0 [m2] (誤答 10.2× 5.11 = 52.12 答 52.1 [m2] ) 注意 誤答の方は, 計算前に 10.17 を四捨五入しているからです. 計算時点では3桁(5.11)より一つ多い4桁(10.17)で計算し,結果 は3 桁で示すのです. (2) 倍数は,有効数字には関係しません. 5 倍ということは, 5.000000· · · と必 要な桁数だけあるものと考えてよいわけです. 従って, たとえば 5 倍の場合に は,桁数が1 桁でも有効数字は先の測定値の有効数字と同じです. 例題 5. 125 [cm] の3倍は何 [cm] か. 解答 125× 3 = 375と考えて, 375 [cm] になります. (3) 定数は,測定値の桁数より 1 桁多く用います. 計算の結果は測定値より 1 桁下の数字を四捨五入し,測定値と同じ桁にします. 例題 6. 半径10.2 [m]の円の面積S を求めよう. ただしπ = 3.141592· · · です. 解答 定数は, 測定値の有効数字の桁数(3桁) より 1 桁多く用い て計算します. 従って,ここではπ = 3.1415の最後の5を四捨五入 し, π = 3.142という 4 桁の数にして S = π r2= 3.142× (10.2)2= 326.89368 −→ S = 327 [m2] とします.

(43)

練習 3. (1) 鉄板の大きさを計ったところ,縦,横,厚みがそれぞれ, 2.00 [m] , 1.00 [m] , 5.2 [mm]であった. この体積 V は何 [m3]ですか. (2) 半径10.00 [cm]の球の体積V は何[cm3]ですか. ただしπ = 3.141592· · · です. まとめ 加減算と乗除算の違い   加減算は 位取り,乗除算の場合は 桁数 で処理します. 1111 [m] と11 [m]の加算とかけ算の場合 加算 1111 [m] + 11 [m] = 1122 [m] = 1.122× 103[m] 答 1.122× 103[m] かけ算 1110 [m]× 11 [m] = 12210 [m2] −→ 1.2 × 104[m2] 答 1.2× 104[m2]  

3.3.3

加減算と乗除算の混合の場合

計算の順序 (1) 乗除算を行う. (2) 有効数字を整える. (3) 加算する. (4) 末位の粗い方の位取りに合わせて表示する. 例題 7. 縦,横それぞれ0.50 [m] , 2.08 [m]の長方形の面積と半径1.05 [m]の円 の面積の合計を求めなさい. ただし π = 3.141592· · · とします. 解答 (1) 乗除算を行う 0.50× 2.08 + (1.05)2× 3.142 = 1.04 + 3.464055 (半径の有効数字が3 桁だから, π の値は 4桁で行う)

(44)

3.3. 測定値を用いた計算 35 (2) 有効数字を整える (乗除算のルール) −→ 1.0 + 3.46 (それぞれ 2 桁, 3 桁に合わせる) (3) 加算する = 4.46 (4) 精度の悪い方の位に合わせて表示する(加減算のルール) −→ 4.5 ∴ 合計面積4.5 [m2] 練習 4. (1) 縦,横それぞれ 1.011 [m] , 2.02 [m] の長方形の面積と半径 0.50 [m]の円の面積の合計を求めなさい. ただしπ = 3.141592· · · とします. (2) 縦,横それぞれ20.0 [cm] , 11.11 [cm] の紙1 枚と 56 [cm2] の紙10 枚の 面積の合計を求めなさい. (3) 縦,横それぞれ 10.20 [cm] , 11.010 [cm]の紙の面積と半径 10.00 [cm]の 円形の紙の面積の合計を求めなさい. ただし π = 3.1415926です.

専門科目へのステップ・アップ

ここでは工業で使用される有効数字について,一般的な話をします. まず計器の種類には,アナログメータとデジタルメータがあります. (針を持 つ計器がアナログメータで,数字を示す計器がデジタルメータです. ) アナロ グメータの有効数字は3桁読み取り,計算結果も3桁で示します. それに対し てデジタルメータの有効数字は,それぞれの計器により異なります. 多いもの では8∼10桁もあります. 桁数が多いほど精度はよくなります. 「機械系」 機械系では,一般の計測においてノギスやマイクロメータが使われることが 多く,使用される有効数字のレベルも本文中に紹介された通りです. 私たちの身近にあるコンパクトディスク(CD)の裏面を見ると,あなたの顔 が映るほどの鏡面状態になっていますね. このような鏡面状態でも小さなで こぼこがあるのです. CD では, このでこぼこが最大で 0.1 [µm] , すなわち

(45)

1 10000 [mm] あるのです. 最近の加工技術はさらに進んでいて,このでこぼこを0.04 [µm] にまででき るほどになっています. ということは,このような製品を加工する機械の精度 もそれ以上に要求されている,ということになります. 現在の工業生産では,非常に精度の高い良品を安価に生産することが要求さ れています. 従来は勘によるところも多かったのですが,測定の自動化への進 歩は顕著であり, 生産過程における工程を円滑に行うために,「計測」という ことが特に重要視されています. 「電気・電子系」 電気・電子系では,電圧,電流を測定することが多く,各電圧計,電流計には 精度を表す5段階の等級があります. 特別精密級の0.2級,精密級の0.5級,準 精密級の 1.0 級, 普通級の1.5 級,さらに準普通級の 2.5級に区分されていま す. (なお,「精密級」とは,正確さを表す等級の名前です. ) これらの各計器の正確さ, すなわち許容誤差は,たとえば 0.5級の計器であ れば,定格値(フルスケール値) の±0.5 % 以下(今,定格値10 [mA] の電流計 の場合には,誤差は ±50 [µA]以下となります) で,およそ3桁で測定します. 「化学系」 化学系では,質量を測定する場合が多いのですが,直示天秤 ( 物理実験室や 化学実験室にある精密な天秤 ) で測定した場合には,小数点以下4桁まで計れ ます. たとえば, 1円硬貨は, 1.0110 [g] と計れます. また,容量測定でビュウ レットの場合には,小数点以下2桁まで計れます. たとえば, 20.15 [mL]と計 ります. 「建築系」 建築系では, [mm]が一般に用いられている製作上の精度です. ただし,これ は設計図作成上の話で,実際に建設する現場では [cm] が製作精度の限界であ ると思われます. これ以上の精度を建築構造物に要求することは不経済ですし, 現実的ではありません.

(46)

3.3. 測定値を用いた計算 37

問題

問題 1. 次の値はすべて有効数字です. 計算してください. (1) 127− 9.7 (2) 145.6 + 2.0× 10 (3) 22.4× 765.3 (4) 14 273 (5) 121.5× 10.0 + 21.0 × 100 問題 2. 蒸気機関車 D51の動輪の直径は 1.400 [m]です. 滑らずに一回転する と何 m進みますか. ただし, π = 3.141592· · · です. 問題 3. 6.00 [Ω] の固定抵抗(R) に,流れる電流 (I) が, 10.1 [mA]でした. こ の抵抗の両端電圧 (V ) と消費電力 (P ) を有効数字を考えて答えなさい. ただ し,オームの法則よりV = R I , 電力はP = R I2 とします. 解説 電力 P の単位は[W] (ワット)で示されます. 電気アイロン が600 [W], 電気コタツが 400 [W] という表示はこのことです. 問題 4. 電流 1 [A] とは, 導体の断面を 1 秒間に流れる電気量 (電荷) (Q) が, ちょうど 1 [C] (クーロンと読む) の場合にあたります. このとき電流が電子の 流れだけであったとして, 電子が 1 秒間に断面を通過する数 N はいくらです か. ただし, 電子1 個が持つ電気量を 1.6 × 101 −19 [C] , 1.602 × 102 −19 [C] とし,両方で計算しなさい. 解説 Q = I t で示されます. つまり, Q [C] = I [A] × t [ s ] ([ s ] : 秒) で示されます. また, Q = N × e (電気量 =電子数 ×電子1個 の電気量) です. 問題 5. 水銀の密度は 20 [C] で 13.5462 [g/cm3] です. この温度での水銀 1.000 [L] の質量を求めなさい. ただし, 1 [L] = 1000 [cm3]です.

(47)

問題 6. 木の根元から 10.0 [m] の所で, トランシットを使って木の頂上を測 定したところ, 仰角が 29.00 であった. 木の高さはいくらですか. ただし, tan 29.00◦ = 0.5543とし,また,トランシットの高さは地面から 1.500 [m] とし ます. 解説 トランシットは,建築や土木で測量に使用する測定器で,角 度を測るものです. たとえば,水平において右の建物と左の建物の角 度を測ったり,木の高さを測るときの上向の角度(仰角 [ぎょうかく] といいます),または崖の上から下の向きの角度(俯角[ふかく]とい います)を測るものです.

参照

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