第 7 章 常用対数の計算 93
7.2 常用対数
logaA=c とする. これを,指数の形に戻すと ac =A
となる.
ac =A の両辺の bを底とする対数をとると logbac = logbA clogba = logbA logaA· logba = logbA logba6= 0 なので
logaA = logbA logba が成り立つ.
練習 6. 等式 logba·logab = 1 を証明しなさい.
7.2 常用対数
10 を底とする対数を 常用対数 といいます. このような名前がついているの は, 数値計算にとても良く使われるからです. そこで, 正の数 N の常用対数を 書くときは,普通底の10を省略して, log10N = logN と書きます. ここでは真 数から常用対数の値を求めることと,常用対数の値から真数の値を求めることを 学びましょう.
7.2.1 常用対数の性質
真数Nが大きくなるにつれてlogNの値も大きくなります. また, log101 = 0, log1010 = 1なので
log 1 とlog 10
log 1 = 0, log 10 = 1
ですから, 1 から 10 までの真数(N)の常用対数(m)の値は, 0 から 1 までの 数になります.
常用対数は底が 10 ですから
am =N ⇐⇒ m= logaN
(指数型) (対数型)
において a= 10として(このとき対数の底 10 は省略して),
10m=N ⇐⇒ m= logN ( m : 常用対数,N : 真数 ) でした. たとえば,
10m = 2.00 ⇐⇒ m= log 2.00
において,関数電卓などを利用して,真数2.00の常用対数の値を求めると0.3010 となりますから,
100.3010 = 2.00 ⇐⇒ 0.3010 = log 2.00 となるわけです.
真数(N)と常用対数(m)の性質
10m=N ⇐⇒ m= logN
(指数型) (対数型)
真数(N)の値が1.005N <10.00 のとき,
常用対数(m)の値は 0.00005m <1.0000 の範囲になります. 常用対数では底の 10を省略します.
7.2.2 常用対数の計算
対数の計算の法則を利用すると計算が簡単にできます.
たとえば電卓などを利用してlog 3 = 0.4771 がわかると, 30 , 300 , 0.3 など の常用対数の値も簡単に求められます.
例 3. log 3 = 0.4771から log 30 を求めなさい. log 30 = log( 3×10 )
= log 3 + log 10
= 0.4771 + 1.0 = 1.4771
( logA·B = logA+ logB を思い出してください ) 例 4. log 3 = 0.4771から log 0.3を求めなさい.
log 0.3 = log(3×10−1)
= log 3 + log 10−1
= 0.4771 + (−1) =−0.5229
7.2. 常用対数 99 練習 7. 次の計算を行いなさい.
ただし, log 2 = 0.30, log 3 = 0.48, log 7 = 0.85とする. (1) log93 (2) log514 (3) log29·log34
練習8. log 2 = 0.3010,log 3 = 0.4771の値から次の常用対数の値を求めなさい. (1) log 200 (2) log 0.0003 (3) log 6 (4) log 5
コーヒー・ブレーク log と ln
log と表記されると, 底が 10 の常用対数ですが, 底に自然対数の底 e (2.718· · ·) をとると, loge の代わりに ln と表記されます. 関数電卓のキー にこの表示があることを確認しましょう. 自然界の現象では,自然対数の底e がよく表れます. e が何であるかは数学で今後習います. お楽しみに.
7.2.3 常用対数と方程式
図7–1のサーミスターの温度–抵抗曲線の一般式は, 温度を t [◦C], 抵抗を R [kΩ] とするとR= b10at ( ただし a,b は定数 ) で示されますが,このよ うな指数を使った関係式を対数を用いた表現にすると,図7–2のような直線的な グラフを示す一般式を得ることができます.
それは次のような手順で行います. まず, R= b10at
の左右各辺の対数をとります(「log をとる」といいます).
logR = log b10at となるので,右辺を簡単にすると,
logR = logb + log 10at logR = logb +a t log 10 logR = logb +a t
となり, y=a x+b の一次方程式に対応するような式になります.
このように, 指数を含んだ方程式では「 logをとる 」ということをすること で,方程式をより単純な形に表すことができます.
練習 9. 次に示す指数の方程式を,対数の方程式にしなさい. (1) 5y = 2x (2) N = b
1 2
at
7.2.4 常用対数とグラフ
次に,一連の測定データを用いてグラフをかくことにより,指数関数的なもの を対数表記することから得られる意味を体感してみましょう.
私たちの感覚におよぼす刺激の強さは,指数関数的な数値で表記されることが 多く,ここでは音階の周波数 f を取り上げます.
右のページの表をもとにして, 次の3つの方法で音階のグラフをかいてみま しょう. 横軸には音階を等間隔に並べます. 縦軸にはその周波数をとります. そ れではそれぞれの用紙に,グラフをかいてみましょう.
(1) 周波数のそのままのデータを方眼紙にプロットします.
(2) 周波数の値の logをとって,その値を方眼紙にプロットします. (3) 片対数のグラフ用紙に周波数の値をプロットします.
7.2. 常用対数 101 音階 ド レ ミ ファ ソ ラ シ
周波数 f[Hz] 262 294 330 349 392 440 494 logf 2.42 2.47 2.52 2.54 2.59 2.64 2.69 音階 ド レ ミ ファ ソ ラ シ 周波数 f[Hz] 523 587 659 698 784 880 988
logf 2.72 2.77 2.82 2.84 2.89 2.94 2.99 音階 ド レ ミ ファ ソ ラ シ 周波数 f[Hz] 1047 1175 1319 1397 1568 1760 1976
logf 3.02 3.07 3.12 3.15 3.20 3.25 3.30
対数表記することの意味を体感できましたか. 3つのグラフを比較してくだ さい. 特に片対数のグラフ用紙の便利さはいかがでしょうか. グラフ用紙には, この他に,両軸とも対数表示されたものもあります.