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見 積 原 価 計 算 の

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Academic year: 2022

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(1)119. じ. め. に. 見積原価計算の 再認識. は. 石. 塚. 博. 司. 外国とくにアメリカの原価計算書を見ると︑大低の書物が見積原価計算の説明に一章をさいている︒ところが︑わ. が国の原価計算関係の書物では・これについて説明のあるものは極めてまれである︒これは︑欧米とわが国の原価計 算発展史の相違を物語る一つの証拠ででもあろうか︒. 欧米においては︑原価計算は工業の発達につれ︑必要にせまられて自律的に生成発展してきた︒そして︑見積原価. 計算は︑今目の精密な実際原価計算制度さらに標準原価計算制度に到達するために︑どうLても通り抜けなけれぽな. らなかった大きな関門の一つであった︒このように︑原価計算発展史上重要た地位を占めていたことの名残りが︑今 目でも見積原価計算をかなり重視する理由になっているものと思う︒. これに対してわが国では︑原価計算もまたみずから生み出したものではなく︑先進国から輸入した文明の一つでし. かたかった︒この輸入は︑欧米の原価計算制度がすでに見積原価計算の域を脱した後に行なわれた︒そしてこの段階. においては︑実際原価計算制度と標準原価計算制度について論ずれぱ十分であり︑もはや遇去のものとなった見積原 価計算については︑特にとりあげる必要はなかったのである︒. 見積原価計算は︑後述するように︑たしかに多くの欠点と矛盾を内包している︒しかし︑そうだからと云って︑そ.

(2) れは時代遅れの今目では全く利用価値のない遇去の遺物として︑本当に棄て去ってしまウてよいものであろうか︒. 大企業はいざ知らず︑中小企業では正規の原価計算はほとんど行たわれてい恋いというのが︑わが国の現状であ. る︒その理由としては︑中小企業一般に見られる経営者の計数管理に対する無理解︑原価計算担当考の不足︑原価計. 算知識の欠除等があげられるであろう︒しかしそのほかに︑原価計算の教育普及につとめる人々が︑完全性を追求す. るに急なあまり︑かなりの手数と費用のかかる精密な原価計算制度を論ずることにのみ熱心であったために︑かえっ. て中小企業者に原価計算の実施を高嶺の花としてあきらめさせてしまったというようた傾向はなかったであろうか︒. 本稿では︑現在わが国ではほとんど顧みられることのない見積原価計算にもう一度光をあてることで︑要員不足の. ために︑組織制度の未整傭のために︑原価計算実施により生ずると考えられる費用負担のために︑あるいは製品種類. が多すぎたり生産工程が複雑であるために︑まだ正式の原価計算を実施していない企業でも︑比較的容易に採用でき. る原価計算方法があることを明らかにしてみたい︒あわせて︑見積原価計算は実際原価計算および標準原価計算とど. 原価見積から見積原価計算へ. の点が異なるのか︑それは何故に今目では衰退してしまったのか︑といった間題についても論及してみよう︒. 二. 私は先年︑中小企業振輿法の指定を受けたある業種について︑その経営の現状を調査したことがある︒その際の各. 企業に対する書面調査項目の一つに︑原価計算実施の有無を調べる質問があった︒これに対する回答の集計は︑大部. これを見て︑私は大いに意を強くし︑現地調査に向ったのであるが︑実状は︑闘くと見るでは大違い︑であった︒. の方法を探用し て い る と 答 え た ︒. 分の企業が原価計算を実施しているソ﹂とを示していた︒そしてそのうちの相当数が︑その方式としては見積原価計算. 120. 2%.

(3) 見積原価計算を実施していると答えた企業にその方法をたずねたところ︑各種の製品に対して注文を受げると︑その. 製品を製造する以前に︑その一単位を製造するのに発生すると考えられる製造原価をあらかじめ見籏り︑これをもと. にして発注元との価格交渉を行なう︑というのがその人々のいう見積原価計算の全貌であった︒他の企業を廼って. も︑全く同様の回答がなされた︒しかし︑これは原価見積ではあっても︑決して見積原価計算ではないのである︒. 原価見積とは︑製品の製造に先立って︑あらかじめその単位原価を見積ることをいい︑販売価格を決定するとか︑. 一定の受注価格で引合うかどうかを検討するなどの目的をもって︑その必要が生じたとき随時に行なわれるものであ. る︒これは見積原価計算の出発点にはなりえても︑原価計算制度と呼ぶわげにはいかたい︒そのこと自体は︑原価に. 関する特別の調査でしかない︒その見積がいかに精密に行なわれようと同じことである︒. 原価計算の歴史は︑たしかに︑このような臨時計算としての原価見積から出発したに違いない︒﹁正式の原価計算 1︵ ︺ が始まる以前においては︑売価決定や棚卸資産評価を行なうためには︑原価の見積が行なわれていた﹂のである︒ それは結局次のようであったであろう︒. 製品の注文を受ける︒すると製作老は︑その製品の生産に必要な各種の材料の消費量を歩減り分も含めて見積る︒. これに各々の材料の購入価格を乗じて︑その製品の材料費を見積る︒同様にして︑その製品の生産に関して各々の作. 業者に麦払う賃金を見積り︑さらに間接的な諸経費の負担額をなんらかの方法で割掛げる︒こうして算定されたこの. しかし︑この段階では︑原価見積は会計と少しもつながりをもっていない︒したがって︑これを原価計算と呼ぶこ. ガーナー︵ω・勺・Ω彗■實︶によると︑アメリカでは一八八五年頃までは︑会計学および簿記に関する書物には︑工. とはできない︒それでは︑原価計算はどのようにしてはじまったのであろうか︒. 29フ. 製品の原価見籏に応分の利益を付加して販売価格を決定し︑注文主と交渉する︒. 121.

(4) 122. (2〕 年末の製品棚卸高 売上戻り高. (評価方法についての説明なL). (評価方法についての説明なし). 筒 上 冗 (1〕 年初の製品棚卸高. 疋. 勘 造. (評価方法についての説明なし). 年度中に製造のために消費した棚御 資産額. 見積減損額その他の価値減少分とし二. て機械勘定から振替えられた額. 賃金勘定から振替えられた額. 運賃勘定から振替えられた額. 到. 業会計に関する論述は全く見られなかったとい㍉その著書に製造勘. ⑫. 定をはじ虐て導入したのは︑グヅドウィン︵−pOoo︵一三目︶の簿一記. 書であるが︑そこでは︑通常の商業会計炉﹂用いられるのと全く同じ計. 勾 ︵. 算原理が工業会計にもち込まれていた︒その製造勘定をガーナーは上 のようにまとめている︒. そして︑この製造勘定に残高があれば︑それは損益勘定に振替えら れた︒. この計算法は︑売上原価の算定に棚卸計算法を用いる商企業の計算. 法をそのまま工企業に適用した︑いわぼ商業簿記的工業会計である︒. しかも︑製造に要したと認識された一切の費用︑が製造勘定の借方に記. 入され︑あらゆる製品の売上高と年末棚卸高がその貸方に計上される. のであってみれぼ︑これはまさしく井︵どんぶり︶勘定の名に値する ものである︒. この場合には︑製品別の原価を組織的な方法で計算しないのである. から︑年初および年末の製品棚卸高もなんらかの方法で見穣計上する. よりほかはないであろう︒ここにはじめて︑原価見積と会計とのつた がりが発生する︒. しかし︑製品の原価に関する計算のすべてが︑このような原価見稜. 298.

(5) の段階で完了し︑あとは丼勘定としての製造勘定において一括処理される以上︑これもまた原価計算とぱ認めがた 5︺ い︒実際﹁このようた技術を原価計算と呼ぶには︑想像力をたくましくする必要がある︒﹂. この場合には︑原価見積を行なったにしても︑それがはたして正確であったかどうかは︑永久に確かめることはで. きない︒なんとなれば︑原価見積は﹁製造勘定﹂たる丼勘定のなかに吸収されてしまい︑それが実際に発生した原価. とどんな関係にあるかを検証することは全く不可能であるからである︒つまり︑この場含の貸借差額は︑一応期問損. 益とされたが︑実はそれには見積の間違いによる原価差異部分も含まれているわけである︒. このようにして︑一応算定された期間損益も︑適正と云えるかどうかの保証は全く存在しない︒この計算の正確性 は︑ひとえに原価見積の正確性に依存するのである︒. このような計算機構にあっては︑原価見積に問違いがあったとしても︑これを訂正することはできないし︑将来も. 同じ聞違いを気づかぬままに繰返すかもしれない︒それが製品販売価格の決定の資料に︑そして損益算定の賢料に使. われる以上︑ことは重大である︒こうして︑時代の進展とともに︑原価見積の正確性を検証し︑あわせて︑将来の見. ψ勺頸冒HO凹 ﹃ 目 ①. 向くo−目まo冒o︷OOωけ>ooO昌目ご目血q吋oH㊤〜9一﹁=①〜與﹃国①自o昌勺﹃o靱9−㊤蜆介PN9. 注ω 署戸ρ>︒由Oミ架彗ま三〇富冨>冨︸9昌胴dω&O⁝篶葦ぎ−8ゲO・〜.山辺六郎訳︑標準原価計算の実際︑一四頁︒ ②. ⑧−甲Ωoaまpooa乏目.吻ぎ肩oく&雰o奏竃口目閑一ト亭&j崖o︒ド ω ω.〜1①彗目實二宣3PべOO・. 299. 穣を一層適確たものにするための計算制度が工夫されるに至った︒これが見積原価計算である︒ ⑤ ガーナーによると︑イギリスでは十九世紀の末頃︑このような見積原価計算が工夫されていたし︑岡本済助教授の の 考証によると︑アメリカでは見積原価計算の成立は実際原価計算の成立よりも先んじていたという︒. 123.

(6) 1︶. ω一勺一Ω彗箏胃︑寄竃j〇一ベベ一. ω一勺一〇賢目竃︸亭己ニラNべΦ一. 見積原価計算の計算機構. 岡本清稿︑米團に菊げる前駆駒見積原価許算︑−その生成︑発展および衰退・. 三. 発生した実際原価を仕撞品勘定に借記する︒. 各製品につき︑その見積単位原価を示す原価票を作成する︒. ビジネス. レビュー第九巻第二号o. それでは︑見積原価計算とはどのようた計算制度であろうか︒ヴアソス︵F﹇く彗8︶は−﹂れを次のように要約す. (つ(6〕(5〕. 実際原価と見積原価との差異を処理する︒. 原価見積は︑この手続の第一段階を意味する︒しかしこれだけでは見積原価計算とは云わない︒その原価見籏にも. ω. ③製品の生産量に原価票の見積単位原価を乗じて製品の原価を計算し︑これを仕掛品勘定に貸記する︒. ②. ω. 暫. なると︑それは実際原価計算よりもかえって複雑ではないかとか︑標準原価計算と変わらないではないか︑といった. 見贋原価と実際原価の丙方を計算し︑その差異を計算し︑これを処理するのが見積原価計算である︑ということに. うのである︒. 理する︒そLて︑事後に使用する原価見積の改訂の資料とする︒見積原価計算とは︑このようた計算手続の全体をい. 対照して差異を算出する︒この差異は原価見積の誤りによって生じたものと考えられる︒そこでこれを適当に会計処. とづいて期中における原価の見棲発生額を計算し︑一方︑期中における原価の実際発生額を記録計算L︑両老を比較. ㎜. 300.

(7) 疑聞が生ずるかもLれない︒実は︑見積原価計算は︑前に示した丼勘定方式を上手に利用することで︑実際原価計算. よりも計算手続を簡単にし︑また標準原価計算と異たった計算機構をもつのである︒. 先に例示したグヅドウィソの製造勘定の貸方には︑売上高が計上されていた︒そのために︑その貸借差額は︑期聞. 仕蟄品勘定 費(配賦額)1. (実際額)1仕掛品棚卸勘定へ(見積原価). 接. \/. 差額は,材料費,労務費,問接費. の差異を意味する。. 上されている︒したがって︑事前に行なった原価見積が正確で︑実際にも. 帳され︑貸方には原価見積にもとづいて計算された見積原価の合計額が計. この図の仕掛品勘定の借方には︑期中に発生した実際原価の合計額が記. ρ考・軍竃斤︶は上のような仕嶽品勘定で実際に示している︒. このような方法を︑マッツ・カリー・フラソク︵戸雲筆ぶρ−O膏ξ 到. れば︑その貸借差額は見稜実際原価差異を示すはずである︒. /. \. その通りの原価が発生したとすれぽ︑この勘足の貸借は合致する︒もし差. 異が出るとすれぼ︑それは︑事前の見稜が実際の原価よりも高すぎたか︑ 低すぎたことを意味する︒. このようにして︑正式の会計帳簿の上で︑常時実際原価と昆積原価を計. 算し︑両者を突合わせてその差異を明らかにし︑これを遠当に処理する︒. これが見積原価計算の基本的な計算機構である︒. しかし︑この例におげる見積実際比較は製造原価合計の形で行なわれて. いることに注意する必要がある︒期申における原価の実際発生額および原. 30I. 損益に見積実際原価差異の混入したものであった︒この勘定の貸方に︑売上高の代りに完成品の見積原価をもってく. 125. 材. 費(実際額)1製品勘定へ(見積原価) 労. 費.

(8) 126. 価の見積発生額は︑なにもかも全部︑仕掛品勘定につめ込まれている︒その意味で︑これはやはり一つの井勘定であ. る︒この場合には一実際原価は︑その期間中における発生総額を知りさえすればよいのであるから︑その計算手続は. たしかに非常に簡単である︒しかしそのために︑原価差異があれぱ︑原価見積が実際とは一致しなかったことはわか. っても一その見棲違いは材料費について生じたのか︑労務費について生じたのか︑それとも間接費について生じたの. か︑さっぽりわからないということにたる︒仮に貸借が一致しても︑たとえぱ材料費の吉岡すぎる見積が労務費の低す. ぎる見積を相殺してしまったのかもしれない︒童た数種の製晶を生産しているときも︑全製品について発生した期閏 原価総額に関して︑ただ一つの差異が計算されるだげである︒. ﹁実際原価と見稜原価を比較する主な目的は︑原価見積を経営着が将来利用できるようなものに改訂することにあ. 訓. る︒したがって︑比較の目的は︑遇去にどんなことが起ったかを説明することにあるというより︑見積を改訂するト﹂. とにより将来の活動に合理的に接近することにあ到︒﹂ところが︑製造原価合計において一括的に差異を把握しただ けでは︑あまりに概括的で︑原価見積改訂の資料としてはほとんど役立たない︒. マヅツ・カリー・フラソクはこの点について︑﹁見積原価計算の有効性は︑基本的には実際原価を見積数値と比較. する方法によってきまる︒その比較は全部原価について︑費目別原価の形で︑部門別原価の段階で︑またはそれらの. 4 ︵. 組合わされた形で行なわれる﹂と説明するが︑結局︑﹁普通一般に行たわれている見穣原価計算の形態は︑要素別に 細分された実際原価と同じ分類の見積原価を比較するものである﹂と結論する︒. 注ωH二三く彗員寡8ξ彗匹↓9事6蕎9009>8⁝目葦堕目彗ξ箏o岸画邑O昌一七彗さ轟竺︒&ぎし蓄㊤;・蟹④・. ③>.菱頁◎こーO⁝曇Ω.奉㌧§戸9撃ぎ8葦一曇蟹暮・寿箒;勺夢一窪奏ξ一︑;邑多一蓄二・・萱〜一. ③豪⁝筆≠毒§塞一冒箒O易亘界−睾ぎ㌣るξぎ8暮§一︑㎝O邑麦姜8ダ自一︒ぎ︑︑閨三勺︑血血血ε. 3〜2.

(9) 127. −89りー−やト. 見積原棚計算の手続. ④>.峯葭頁9−O睾量ρ事 穿彗ぎ婁︷二や亀9. 四. 最も典型的た見積原価計算の形態は︑費目別に見積原価と実際原価の比較を行たうものである︒この計算穣構をブ. ロッカーおよびウェルトマi︵−ρ里O艮ヌ峯︒肉︒幸隼旨①H︶にしたがって︑勘定連絡図の形で図示すれぽ︑次頁 D のようにたる︒. 製造原価要素の分類. その計算手続は︑次の諸項目から成っている︒. ω. 実際製造原価の費目別計算. ② 単位製造原価の見積. ③. ω 製品の出入記録と見積製造原価の計算. ⑥. 原価差異の処理と原価見積の改訂. 原価差異の計算. ⑤ 仕掛品棚卸高の計算. ω. 製造原価要素の分類. この各々の計算手続について︑主として実際原価計算の場合と比較しながら︑その概要を説明し︑.一う︒︑. ω. 303.

(10) 茸箪. ︶. 糠 頚 淘 ︵. さ尋. 睡購茸挙鳩. 謹酔ヰ寧争甘蕩羽. −11−十養鳩酔養耕ヰ寧一印. 雛妹ザ賄︑葺耕簑. 酔購球諜鴎. 糾貴屈晋謡排黄群 帳盗排貴酔養鳩璽. 煙康瑠購鴎. 謡吋芹寧臣甘蕩型 ﹂虻潮除 芸諜藷. 業聾概. 域給. 薄蝸資︑渦. 128. (含覇滋帥. 簑珊. ヰ寧聖菖婁. 酔藩茸章蜷脇粕. 濫康塞熊黛脇漫. 風蟻*潔罵搬畑. む簑. ヨロ. 獣ト詞禽.

(11) ユ一. 29. 製造原価の計算を行なうためには︑まず︑その原価要素分類を確立しなげればならない︒見籏原価計算において︑. 製造原価要素の分類は︑一方においては︑製品単位原価の要素別見積の基礎を提供し︑他方においては︑実際原価の. 具体的な計算の場を提供するものであるから︑これをどのように分類するかは非常に重要である︒. 見穫原価計算に必要な費目は︑実際原価計算の場合と異ならない︒ただ重要な点は︑直擦費︑聞緩費の分類基準を. 異にするということである︒すなわち︑直接費・間接費の分類について︑実際原価計算は︑原価の実際発生額が︑一. 定単位の製品の生成に関して直接的に認識されるかどうかを間題にするのに対して︑見積原価計算は︑原価の見積発. 生額が︑一定単位の製品の生成に関して直接的に認識されるかどうかを間題にする︒. たとえぱ︑ある種類の材料については︑それの製品単位当りの消費量を直接に見稜ることが可能であり︑これに見. 積単価を乗ずることにより︑見積消費額を直接に算定することができるとすれぼ︑その種類の材料費は︑見積原価計. 算においては直接材料費に分類される︒たとえ︑その材料の実際の消費量が︑出庫票等によって特定の製品に直接関. 達させて認識されておらず︑棚却計算法等によって一定期間の消費量を一括して把握しているような場合でも︑その. とおりである︒このような場合に︑もしも実際原価計算を採用するとすれば︑この材料の消費額は問接材料費とされ るであろう︒. 単位製造原価の見積. また︑製造原価要素分類がきまったら︑少たくともその会計期間中は︑これを変更してはならない︒そうし液い 到 ︵ と︑見穣原個と実際原価の対照比較が意味のないものにたってしまうからである︒ ②. ここに単位製造原価の見積とは︑会計年度の始めにまたは必要に応じて随時︑各種製品の一定単位を製造するのに. 必要な原価をあらかじめ見積ることをいう︒この原価の見積を行なう目的は︑おおむね次のとおりである︒. 305.

(12) 130. イ 設定された原価見積を会計の主要帳簿に組入れて製品原価の計算をすることによって︑記帳を簡略化し︑迅速. 仕掛品︑製品等の棚御資産価額および売上原価の算定の基礎を提供する︒. 化する︒. 口. 二. 見積の過程で価値分析の手法を適用することによって︑原価引下に役立たしめる︒. 予算の編成にあたって必要な原価資料を提供する︒. ハ 製品価格の決定に必要な原価資料を提供する︒. ホ. このような目的をもった製品単位原価の見積は︑一般に︑直接材料費︑直接労務費︑直接経費および製造問接費の. 別に行なわれる︒原価見積設定の具体的な方法は︑原価標準の設定方法と変わらたいので︑その詳細は省略する︒ 3︺ もっとも︑原価見積は非科学的な方法で行なわれるために原価標準の設定とは区別される︑という説もある︒しか. 勾 ︵. しこの間題については﹁見籏原価と標準原価とば︑その予定をする際の方法や態度や厳格度によって区別されるので. はない﹂ことを︑私はすでに別の機会に述べたので︑ここでは単にベリー︵声名.雰Hξ︶の次の表現を引用してお. くにとどめよう︒ ﹁原価の見積は︑以前は︑真の原価はいくらになるかを大ざっぱに見積ったものであると考えられ. 実際製造原価の費目別計算. ていた︒しかし最近では︑数量的た経営資料を作成し利用するさいに︑数学的統計的た概念を参照することで︑真の 到 原価を見出すことも不可能ではないと結論されるようになった︒﹂ ③. 見積原価計算といっても︑製品の見積原価を計算すれぱそれでよいというものではたい︒これに対応する原価の実. 際発生額を計算しなげればならない︒ただし︑その方法は実際原価計算の場合よりも著しく簡単である︒. まず直接材料費の計算については︑実際原価計算を採用する場合には︑その消費額を指図書別または製品別に把握. 306.

(13) 131. する必要があるから︑材料払出のたびに出庫票を発行して︑どの製品のためにどの材料をどれだげ出庫したかを明ら. かにしなげればならたい︒したがって︑この場合には少たくとも直接材料については︑継続記録法を探用する必要が あるo. 見積原価計算の場合には︑製品別の直接材料費はすでに原価見積の段階で予定されているので︑その実際発生額. は︑一定期聞を総括して計算すればよい︒その意味では︑補助材料はもちろん︑直接材料についても︑出庫記録をと ⑤ らたくても︑したがって棚卸計算法を適用しても︑計算上はなんらさしつかえなN︒︵しかし材料管理のために艦続 記録法を適用することをさまたげるものではたい︶. 直接労務費の計算についても同じことがいえる︒実際原価計算を採用する場合には︑普通は︑作業時間または作業. 量を作業時間報告書または出来一目同報告書によって明細に記録し︑これを捲図書別または製品別に分類集計し︑これに. 個別または平均の消費賃率を乗じて︑その実際消費額を計算する必要がある︒. しかし︑見積原価計算の場合には︑直接労務費といえども︑実際額はその期閥発生総額が明らかにされれぱよいの. であるから︑作業時間または作業量の測定は特に必要としない︵もちろん作業管理のためにト﹂れを行なう−﹂とをさま. たげるものではない︶︒また︑消費賃率の計算も特に必要とせず︑賃金の支払額︵または賃金計算期間と原価計算期 間の間のズレを調整した要支払額︶から︑その消費額を直接に求めることができる︒. 最後に︑製造間接費の計算はどうなるか︒実際原価計算を採用する場合には︑適当な配賦基準を定め一その一単位. 当りの間接費負担額︵すたわち間接費配賦率︶を計算し︑一方︑指図書別または製品別の実際の配賦基準数値を渕定. し︑丙者を乗じて︑指図書別または製品別の問接費配賦額を計算しなけれぱたらない︒ところが・見積原価計算にお いては︑単に期間の実際発生総額を把握すれぱそれでよいのである︒. 30フ.

(14) 132. ④ 製品の出入記録と見稜製造原価の計算. 見猿原価計算においては︑各種製品の単位製造原価はすでに見稜原価票で与えられているので︑製品製造原価の計. 算はきわめて簡単である︒すなわち︑当月の製品別の完成数量にその原価見穣を乗ずれぽ︑各々の製品の製造原価が 計算される︒. 製品の出入記録については︑材料の出入記録と同様︑継続記録法によってもよいし︑棚卸計算法によってもよい︒. 製品の在庫管理のためには︑もちろん︑継続記録法によった方がよい︒しかも︑見積原価計算の場合︑製品の出入記. 録は︑単位原価が一定であるから︑常時金額計算をする必要はたく︑製品元帳には数量のみを記録すれぼよい︒そL て︑月末にのみ︑原価見積を乗じて︑金額計算すればよいのである︒. ト﹂れに反して︑実際原価計算において︑正規の出入記録をしようとすると︑なかなかやっかいなことになる︒実際. 原価計算においては︑同一製品であっても︑指図書ごとにまたは原価計算期間ごとに単位原価が異なるのが普通であ. る︒とすれぼ︑その払出原価すなわち売上原価と期末棚卸高を計算するためには︑個別法︑先入先出法︑後入先出. 法︑移動平均法︑総平均法等のうちから︑いずれかの方法を選択適用しなげれぼならない︒そして原則として︑その. 受入払出のたびごとに︑掛けたり割ったり平均したりの金額計算をしなけれぼたらないのである︒ の こうして︑製品の製造原価の計算屯その出入一記録も︑見積原価計算においては︑記帳事務は大いに軽減され匁. ただし︑讐叩完成数量に製品別の原価見積合計を乗じただけでは︑見積原価は製造原価合計についてしか算出され. 狂いので︑見積原価と実際原価との差異も︑同様に製造原価合計についてしか計算されない︒少なくとも︑大別され. た費員別に原価差異を計算しようとするとぎは︑製品完戎数量に製品別・費冒洲の原廠見賛を乗ずることが必要であ るo. 308.

(15) 133. ⑤. 仕擦品棚卸高の計算. 実際製造原価の費目別計算により︑当月におげる費目別の実際原価の発生総額が明らかにされ︑製品の昆積製造原. 価の計算により︑当月における費目別の見積原価合計が明らかにされた︒仕掛品が存在しないか︑存在してもその数. 量が毎月ほf等しい場合には︑仕掛品原価の計算を省略し︑前述の実際原価と見積原価を対照比較して︑原価養異を. 計算することができる︒しかL︑毎月末の仕掛品棚卸数量に変動がある場合には︑その原価を計算し︑これを原価差 異の計算に関係させなけれぼならない︒. そのためにはまず︑月末に実地棚卸を行なって︑品名別の仕掛品数量を確定する︒次いで︑各々の仕掛品の進捗度 を費目別に測定する︒ここまでは実際総合原価計算の手続と全く同じである︒. 次に︑見積原価計算では︑仕掛品数量に完成品一単位当りの原価見積と進捗度とを乗じて︑仕掛﹈叩の見積原価を算 8︵ ︺ 定し︑これを各費用勘定の貸方と仕掛品棚卸勘定の借方に記入する︒実際原価計算の場合には︑仕掛品原価は︑正式. には平均法︑先入先出法︑後入先出法のいずれかを適周することで算定される︒この適でも︑見積原価計算の芋統は. 原価差異の詳算. ずっと簡単である︒. ⑥. 費目別に分解された完成品の見積原価と月末仕掛品の見積原価とを合計すれぱ︑当月における費冒別の見積原価総. 額が計算される︒これは各々の費用勘定の貸方に計上される︒一方︑借方には︑すでに前月末のしたがって月初の仕. 掛品原価が繰越されており︑これに実際製造原価の費目別計算により︑当月に発生した実際原価が加算される︒この 貸借差額が見積実際原価差異である︒そこで︑この金額を原価差異勘定に転記する︒. ただし厳密に解すれば︑これを見籏実際原価差異とするわけにはいかない︒というのは︑借方に計上されている月. 3C9.

(16) 134. 初仕掛品原価は見積原価であって実際原価でぽないからである︒通常︑会計年度末には原価見積の改訂を行たうか. ら︑会計期間を通してみれぱ︑期首仕掛品原価は実際原価に修正されたと考えることができるが︑原価計算期末には. このようた手続をとらたいところから︑このようた間題が生ずるのである︒しかし︑現実には︑製品完成高にくらべ. れぱ︑期末仕掛品在高はきわめて小さいのが普通であるし︑しかもこの狂いは︑月初と月末の仕掛品棚卸高の差につ. 原価差異の 処 理 と 原 価 見 積 の 改 訂. いてのみ生ずるのであるから︑なおさら︑このことを特に間題とする必要はない︒. ㈹. 実際原価と見積原価の差異は︑毎月末に計算されて︑原価差異勘定に記録される︒これは会計年度末までそのまま. 繰延べてゆく︒差異は︑ある月には借方に︑ある月には貸方にあらわれて︑会計年度末に純差異が残る︒ト﹂の純差異. ㈹. ㈹. ㈹. 次年度に繰 延 べ る ︒. 当年度の売上原価と年度末の製品棚卸高および仕掛品棚卸高に配賦する︒. 当年度の売上原価と年度末の製品棚卸高に配賦する︒. 当年度の売上原価に賦課する︒. を会計年度末にまとめて処理する︒ 9︵ ︺ その処理方法としては︑次のような方法がある︒. ⇔. 見積原価計算は元来︑実際原価こそ真実の原価であり︑見積原価は計算事務の簡素化︑迅遼化をはかるための手段. である︑という思想の上に成立している︒その意味からすれぱ︑理論的には︑ωが最も筋が通っている︒. しかし︑その差異が比較的少額のとぎは︑ωの方法によってもよい︵わが国の税湊ば︑菱異が総製造費用の百分の 一に相当する金額以内のときは︑この処理を認める︶︒. 310.

(17) 135. また︑仕掛品が少ないとき︑または毎期あまり変動したいときは︑⑭の方法によることも認められる︒その差異は. 主として季節変動にもとづいて発生したものであり︑翌期には反対の差異が発生して相殺される可能性が強いという のであれば︑⇔の方法も認められる︒. 原則的には︑㈹の方法によらたげれぱならない︒この場合には︑原価差異の発生した原因を調査する︒その結果︑. 差異が予期せざる異常な原因︵たとえばストライキによる損失︑火災風水害損失など︶によって生じたことが判明す. れぽ︑これは非原価項目として︑損益計算書の特別損失の部に計上するか︑または繰越利益剰余金で処理する︒. もし︑原価見積が見積の誤りによって生じたと考えられるならば︑これは︑当年度の売上原価︑期末におげる製品. u鷲滞業. 棚卸高および仕掛品棚卸高に配賦する︒この場合の計算式を示せぼ次のとおりである︒. 迦薄糠醸珂葦瞭瀬 譜﹂︺詞︷目十菖洪糖旧討蟄甫口亟十﹂鍔洪芹撃主婁喜劃. 装耕灌宙蟄壇理醇H麓. 削ト詞貢︵H片灘嚇撰︶11副ト詞盲繭目菌. 蟄糸潜事蟄壇亟︵H1+灘嚇掛︶. 話卦芹寧罰蟄婁蚕︵H1+灘瞭栂︶ 醤洪芹華罰蟄連酎瞭目麓. 会計年度末に原価差異を会計処理する場合には︑右の公式を一括して適用するのが最も簡便である︒. しかし︑誤差の計算は︑同時に︑次期に使用する原価見積を改一訂し︑−﹂れをより正確なものにするための資料とし. て役に立?. この場合には︑まず費目別に誤差率の計算を行ない︑次いで各製品にこの誤差率を適用して︑製品別・費目別にそ ⑩ の原価見積を改訂する︒誤差率の算定公式は次のとおりである︒. 3〕.

(18) 136. X×鳩hO担一躍璃べ冒ヰ理慧. −1−−−−−−−. XX踏θ担溝粉頚璽冒融梱. −■一−−︐. −. ×X躍勺︶弘仙辮機. なお︑製品仕様や生産条件が変化するときは︑その変化の製品原価に及ぼす影響を調査して︑ 原価見籏を改訂する 必要があり︑必らずしも︑常に公式的な改訂が妥当するわげではない︒. 3. 到 ︵. 肉聾;o葦峯一弔睾ξ二げa二室8p崖−ω1. 拙稿︑見積原価計算と標準原価計算︑会計第八五巻第五号︒. 考.−<與津o5向肋巨−口顯片①﹄OO蜆片9↓.−閏目Oq︵oO.︶uOo蜆け>ooo自目け螢目片ω.目印目庄げoo斤︑. ↓.胃.−顯昌胸︵①O.︶︑Oo硯け>ooO昌昌↓国自a.葭與冒Oげoo珂↓旨o肉o目巴〇七﹃o血90o・−Ho藺ポ や8べ.. Ho伽介 や轟ド. ︶ 4 ︹. ﹄.Ω.︸−Oo汗①♪考−界−峯o斥ヨ①50oω一>ooo島目巨旨脆︑﹈≦oΩ﹃顯峯−葭自H︸oo斥OO. 5. ↑幸.之窒毒50o黒>o8⁝庄一釦窒〇一崖邑U﹂;貝−目ρき−o︹一−岩9一句・蟹〜・. 注ω. 6 ﹈!雪.−串目喫竃.ω一竃o勾與ご5目﹂. 界幸o−F自−實二巨o1一−旨戸勺.轟N.. 竃.ωoブミ一〇〇伽F>ooo自目=自匝q一二嵩勾o目竺O︑﹃o伽ω OoH㊤望一. 一︺.轟oo.. ↓−嵩カo目凹巨肩o錫Oo二H竃ガP2ド. ︶ 7 −ρ里o o ぎ 5 幸. 冒鼻︷︵&−︶二一︺一創二H89や崖−き.. 見積原価計算・実際原価計算・標準原価計算. ︺1ρ望8汀①5幸−声峯而岸旨雪二巨3老寒一やM違.. 肉.H. 8 9 ︵ Φ 虫. 五. 見積原価計算は︑製品単位当りの製造原価をあらかじめ見積ることで︑価格計算その他の資料を入手することがで. き︑これを原価計算襯度に組入れることで︑計算事務の簡素化と迅速化をはかり孜がら︑同時に原価見積の正確性を. 312.

(19) たしかめることのできる計算制度である︒したがってそれは︑実際原価を詳綱に計算せずに︑しかも実際原価に近似 の原価を簡便に得ることを目的とLた計算制度であるということができる︒. そして︑通常の見積原価計算は︑前述のように大別された費目別に見積原価と実際原価とを対照比較することで︑. 原価見積の正確性をたしかめるものである︒この場合には︑どの費目について原価見積が不当であったかわかる︒し. かし製品の製造に︑種々の材料が使用され︑種々の部門の種々の作業者の手がかかるという場合にも︑直接材料費︑ 直接労務費︑製造間接費の全体についてしか︑見猿の間違いを発見できない︒. そこで︑より精密な見積原価計算が成立する︒直接材料費については材料種類別に︑直接労務費については作業職. 額を記録計算し︑両者を比較する方法である︒. しかし︑この段階に至っても不満は残る︒その企業が数種の製品を製造しているときは︑どの製品の原価見積に聞. 違いがあったのかわからないからである︒この欠点を除こうとすれぱ︑実際原価の製品別計算を行なわたけれぼなら ない︒. この場合には︑出庫票を用いて︑桐料種類ごとに製品別の実際消費量を把握し︑作業時聞記録を明細に行汰って︑. 作業種類ごとに製品別の実際作業時問を測定し︑部門別に適当た配賦率を算定して︑製品別の実際配賦基準数値を把. 握しなげれぱならない︒原価の実際発生額は︑費目別に︑部門別に︑そして製品別に計算されることにたる︒これは. 実際原価計算制度におげる実際原価の計算と全く同一の手続を実施することを意味する︒ということは︑実際原価の. 計算を簡素化するという見稜原価計算の長所は︑完全に失なわれるト﹂とを意味する︒. 見積原価計算は︑実際原価計算を行なうすべを知らなかったために︑あるいはそれを行なうことは余りに手数と時. 313. 種別に︑製造問接費については部門別に︑製品単位当りの原価見積を行ない︑同じ区分にしたがって原価の実際発生. 137.

(20) 1鎚. 間がかかりすぎるために︑正式の実際原価計算を行なわずに︑しかも実際原価にできるだげ近い数値を得ようとして. 考案されたものである︒この段階にまで進んでしまえぱ︑製晶別の実際原価が計算されるのであるから︑計算欄度の. なかにこときら原価見積を組入れる必要はない︒そうするくらいなら︑最初から正式の実際原価計算を採用した方が よほどましである︒. こうして︑見積原価計算はその計算を古同度化すれぼするほど︑その本来の目的から離れて︑実際原価計算に近づい てゆくのである︒. 一方︑見棲原価計算の高度化は︑実際原価計算への道程であると同時に︑標準原価計算への遣程にもたった︒. 実際原価こそ真実の原価であり︑見積原価計算はこれに近似の原価を簡便に得る一つの手喫であると考えて︑この. 計算を発展させていった人々は︑やがて実際原価計算に到達した︒一方︑所定の生産条件を前提にして最初に合理的. に予定された原価こそ︑真実の原価であり︑実際原価は︑原価要素の価構︑生産能率︑操業度などの変化によって変. 動する偶然的な性質をもつ原価であると認識する人々が現われた︒見積原価計算は︑この人々によって︑やがて標準 原価計算の域にまで高められた︒. この場合には︑原価の予定と実際とを比較するといっても︑それは予定がどれだけ狂ったかを確かめるためではな. い︒反対に︑原価の実際発生額を標準に相当する部分と︑それからの差異部分とに分解して︑生産活動の管理がいか ほどうまく運用されたかを明示するためである︒. そしてそのためには︑実際原価計算におけると同様に︑あるいはそれ以上に明綱に︑実際原価の発生と転化の遇程. を追跡する必要がある︒しかしこの場合︑実際原価を細かく記録計算するのは︑製品の原価がいくらであったかを知. りたいためではない︒いつ︑どこで︑どんな作業をしたときに︑いかなる原因で︑護の責任において︑標準からの離. 314.

(21) 脱が生じたかを明らかにすることで︑原価標準が実際にどれだけ達成されたかを原価責任と関連させて測定するため. である︒この点において︑見積原価計算と標準原価計算は︑同じように予定された原価を組入れた計算制度である が︑全く異なる計算目的と計算機構をもっている︒. 要するに︑見積原価計算は簡便法であることが長所になっていると同時に︑短所にもなっている原価計算の方法で. ある︒見積原価計算にあっては︑実際原価計算や標準原価計算のように︑明細な原価記録によって裏づげされていな. いから︑算定された製品原価も真に信頼するわげにはいかないL︑作業のコント肩−ルにも直接には役立た匁い︒し. かもこれらの欠点を除こうとして︑その計算を高度化してゆげぼ︑それはもはや見稜原価計算ではなくなるのであ. る︒したがってそれは︑自己完成型の原価計算方法ではなく︑発展への遺がみずからの消減へと通ずる矛盾を内包し た原価計算方法である︒. 以上によって︑見積原価計算の遁渡的性質が明らかにされるであろう︒それは︑現に原価計算を実施していない企. なくなった企業にとっては︑実際原価計算や標準原価計算へ進むための準備段階となるのである︒. 原価計算の必要なことを認識しながらも︑それを︑人手を要するもの︑費用のかかるもの︑難しいものと︑頭から. きめてかかっている経営老がいかに大勢いることか︒原価計算の歴史がそうであったように︑これらの人々も︑まず. 見積原価計算から出発して︑原価意識を身につけ︑原価資料が経営管理にいかに有益であるかを認識するようになっ. たら︑さらに進んだ計算制度の採用にふみ切るようにするのが最も自然である︒こうした原価計算の制度化と潜用へ. の出発点として︑見積原価計算は今目でもその現代的な意義を失なっていないと考える︒. 315. 業が︑あまり手数と費用をかげずに︑容易にとり入れることのできる原価計算制度であるが︑やがてこれにあきたら. 139.

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参照

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