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環境残留性有機臭素化合物の挙動予測を目的とした物理化学性状値の測定と評価

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(1)

環境残留性有機臭素化合物の挙動予測を目的とした

物理化学性状値の測定と評価

著者

中村 崇

(2)

最深

(3)

環境残留性有機臭素化合物の挙動予測を目的と

した物理化学性状値の測定と評価

1 5206099

平成15年度∼平成17年度科学研究費補助金

(基盤研究(A) )研究成果報告書

成18年5月

研究代表者  中村 崇

東北大学多元物質科学研究所 教授

(4)

はしがき

本研究は、平成15年度から17年度の三年間にわたって行われた「環境残留性有機臭素化合物

の挙動予測を目的とした物理化学性状値の測定と評価」の成果報告者である。

研 究 組 織

研究代表者:中村 崇

研究分担者:葛西栄輝

研究分担者:柴田悦郎

研究分担者:川本克也

研究分担者:倉持秀敏

交付決定額(配分額)

(東北大学多元物質科学研究所 教授)

(東北大学多元物質科学研究所 教授)

(東北大学多元物質科学研究所 助手)

(国立環境研究所・循環型社会形成推進・廃棄物研究センター 室長)

(国立環境研究所・循環型社会形成推進・廃棄物研究センター 研究員)

(金額単位:円)

直接経費 亊I

ィニ

N

合計

平成15年度

rテ

5,loo,000円

"テ

平成16年度

2テc

4,080,000円

rテc

平成17年度 途テS

2,250,000円 湯テsS

総計

とニ

ll,430,000円 鼎津S3

研 究 発 表

(1)学会誌等(発表者名、テーマ名、学会誌名、巻号、年月日)

・ H. Kuramochi, K. Maeda, K・ Kawamoto, uPhysicochemical properties fわr PBDEs and extension orthe

UNIFAC model to brominatedaromatic compounds", Chemosphere, in pressl

・ X.-W. Li, E. Shibata, T. Nakamura, "ThermodynamiC Prediction of Vapor Pressures for

polychlorinated DibenzoIP-dioxins, Polychlorinated Dibenzofurans and Polybrominated

Dibenzo-p-dioxinsn, Environmental Toxicology and Chemistry, Vol・ 24, pp・2 1 67-2 1 77, 2005・

・ H. Kuramochi, K. Maeda, K. Kawamoto, "Measurements of Water Solubilities and ll0ctanolrWater

partition Coefficients,and Estimations of Henry'S Law Constants for Brominated BenzenesM, J・ Chem・

Eng. Data, Ⅵ)1.49, pp・720-724, 2004・

・ H. Kuramochi, K. Maeda, K. Kawamoto, "Water Solubility and Partitioning Behavior of Brominated

(5)

第14回環境化学討論会、大阪、 2004年6月

・柴田悦郎、中村崇、酒井伸一、富田康弘、 "排ガス中における臭素系ダイオキシン類の生成に

関する多成分平衡熱力学計算''、第15回廃棄物学会研究発表会、仙台、 2005年10月

・柴田悦郎、 Mariusz Grabda、中村崇、 ``臭素系難燃剤化合物の物理化学データの測定および計

算"、平成17年度資源・素材学会秋季大会、盛岡、 2005年9月

国際会議      ′

・ E. Shibata, X.-W.Li, M. Grabda, T. Nakamura uThermodynamiC Consideration for the Formation of

polybrominated Dibenzo-p-dioxinsand Furansn, Global Symposium on Recycling, Waste Treatment

and CleanTechnology (REWAS'04), Spain, Madrid (2004・9・26129)

・ E. Shibata, X.-W Li, M・ Grabda, T Nakamura, uThe-Odynamic Behaviors of

polybrominated/chlorinated Dibenzo-p-dioxins in FIue Gasn, 24thIntemational Symposium on

Halogenated EnvironmentalOrganic Pollutants and POPs (DIOXrN 2004), Germany, Berlin

(2004.9.6-1 0)

・ H. Kuramochi, K. Maeda,and K. Kawamoto, uPhysicochemical properties of selected polybrominated

diphenylethers and comparison with some brominated aromatics and PCDDsn・ 24th IntemationaI

symposium on Halogenated Environmental Organic Pollutantsand POPs (D10XIN 2004), Berling,

Gemany, (2004.9.6-1 0)・

・ H. Kuramochi, K. Maeda,and K. Kawamoto, Water Solubilityand Partitioning Behavior of Selected

Brominated Flame Retardants, The 10thAsianPacific Confederation of ChemiCalEngineerlng

Congress (APPCHE 2004), Kitakyushu, Japan(2004, 1 0・ 1 7-2 1 )・

・ H・ Kuramochi, K・ Miyazaki, K・ Nagahama, K・ Maeda, X・-W・ Li, E・ Shibata, T・ Nakamura and K・

Kawamoto, Detemination of physicochemical properties of tetrabromobisphenoI A and its

environmental partitioning characteristics, 4th SETAC World Congress, November, Portland, (2004,

11.12-18)

・ H. Kuram∝hi , K. Kawamoto, "Application of the UNIFAC model to represent aqueous solubilityand

1-octanol/water partition coefficient for POPsM, 25th lntemational Symposium on Halogenated

Environmental Organic Pollutantsand POPs (DIOXrN 2004), Toronto, Canda, (200518・2 1126)

(6)

目次

1.研究目的(総括)

2.クヌッセンセル法による臭素系ダイオキシン類ならびに縁化合物の蒸気圧測定

2.1 日的       ー

2.2 測定方法

2.2.1試料

2.2.2 測定装置および方法

2.2.3 蒸気圧の導出法

2.3 測定結果および考察

2.4結論

参考文献

3.示差走査熱量計(DSC)による融点および融解エンタルピーの測定

3.1 日的

3.2 測定方法

3.2.1試料

3.2.2 測定装置および方法

3.3 測定結果および考察

3.4 結論

参考文献

4.臭素系ダイオキシン類ならびに類縁化合物の熱力学データの計算

4.1 日的

4.2 熱力学データの計算

4.2.1計算方法

4.3 計算結果および考察

4.3.1臭素系ダイオキシン類(pBDD仲SおよびpBCDD/Fs)

4.3.2 臭素系ダイオキシン類の生成に関する熱力学的検討

1     2 2 2 2 3 4 ′0 4 5 p p p p p p p i 」 .

p p

7  7  7  7  7  00  2  2 1  1  1  1  11  1  2  2

p p p p p p p p

p.24

p・24

p.24

p.24

p.26

p.26

p.34

(7)

5.3.3 EBr/HCl比の影響

5.3.4 硫黄の影響

5.4 結論

6.臭素系ダイオキシン類酎ヒ合物の水-の溶解度および1-オククノール/水分配係数の測定p・84

6.1 日的

6.2 物理化学パラメータと活量係数   ′

6.3 水-の溶解度(sy)の測定

6.3.1実鼓試薬

6.3.2 測定方法

6.3.2.1 フラスコ法

6.3.2.2 ジェネレータカラム法

6.3.3 測定結果と考察

6.3.3.1ジェネレータカラム法の信頼性のチェック

6.3.3.2 BPhsおよびTBBP-Aに対する測定結果

6.3.3.3 PBBzsおよびpBDEsに対する測定結果

6.3.3.4 丸の温度依存性

6.4 水中の活皇係数の決定

6.4.1原理

6.4.2 活量係数の計算結果と考察

6.5 -ンリー定数(Hy)の推算

6.5.1計算方法

6.5.2 計算結果と考察

6.6 オククノール/水分配係数(H.Y)の測定

6.伝.1定義と測定手法

6.6.2 実挨試薬

6.6.3 測定方法

6.6.3.I HPLCB

6.6.3.2 フラスコ法

6.6.3.3 ジェネレータカラム法

6.6.4 測定結果と考察

6.6.4.1 HPLC法のH.W測定

6.6.4.2 フラスコ法

6.6.4.3 ジェネレータカラムによるPBDEsのH.,測定

6.7 実測データの健全性の評価(定量的構造物性相関(QSPR))

p.84

p.85

p.87

p.87

p.87

p.87

p.89

p.92

p.92

p.95

p.95

p.99

p.loョ

p.loョ

p.103

p.108

p.108

p.108

p.lH

p.Ill

p.Hl

p.112

p.112

p.113

p.113

p.115

p.115

p.117

p.118

p.120

6.8 SyおよびH.Y測定に関する成果およびPBDDsms -の適用性と今後の課題   p・123

6.9 結論

参考文献

7. tJNIFACモデルの適用とPBDDsIFsのSyおよびKWの推算

7.1 日的

p・124

p.127

p.129

p.129

(8)

7.2 計算方法

7.2.1 tJNIFACモデルの計算

7.2.2 活量係数とSy、 H.YおよびHwの関係

7.2.3 グループ間相互作用パラメータの決定方法

7.3 結果と考察

7.4 結論

参考文献      ′

8.物理化学パラメータ測定値の有機臭素化合物衆境中運命予測-の適用

8.1 日的

8.2 方法

8.2.1対象物質

8.2.2 予測方法

8.3 予測結果と考察

8.3.1環境挙動予測

83.2 パラメータ値の影響

8.4 結論

参考文献

9.結論(総括)

0ノ 0ノ 0  0 1 ′0 7 2  2  3  3 3 3  3 1   1   1   1   1   1   1

p p p p p p p

00 00 00 00 0ノ 0 0 2 4 4     5 3 3 3 3 3 4 4 4 4 4     4 一▲   】・l 1 1 I I  一l 1 I I I

p P p p P p p p p p p

(9)

1.研究目的(総括)

本研究では、臭素系ダイオキシン類およびその類縁化合物の物理化学パラメータの測定を行い、

焼却処理過程や循環廃棄過程からの環境中-の臭素系ダイオキシンおよび類縁化合物の排出防止

対策の科学的基盤とすることを目的としている。

難燃剤含有プラスチックの焼却過程では臭素系ダイオキシン類が分解されずに残存、または新

たに合成されて発生していることが最近の調査で確認されている。廃棄物処理における環境保全

確保のためには、これら臭素系ダイオキシン類の環境中-の排出を防止しなければならない。そ

のためには、臭素系ダイオキシン類の生成・分解機構の解明ならびに環境中での挙動を把握するこ

とが重要であり、基礎的データとなる物理化学パラメータの測定を行う必要がある。例えば、蒸

気圧はその物質の揮発性を表し、土壌、水、大気といった環境における分配を支配する重要な物

理化学的パラメータの一つである。また、ダストや飛灰などの粒子吸着部とガス状部分の割合を

調べるためにも利用することができる。融点および融解エンタルピー(融解熱)はその物質の溶

融物性を表し、例えば、難燃プラスチックに含有され、臭素系ダイオキシン類の前躯体と考えら

れる臭素系難燃剤の燃焼過程を解析する上で非常に重要な物性値となる。難燃プラスチックの資

源化処理で、現在有効なのは焼却による熱回収であるが、それら難難剤の融解物性のデータは不

足しているのが現状である。また、融点および融解エンタルピーは重要な熱力学データの一つで

あり、これらのデータを用いて、例えば、蒸気圧や溶解度などの他の物性値を予測することに利

用することも出来る。水-の溶解度、 1-オクタノール/水分配係数および-ンリー定数は、蒸気圧

と同様に環境中での挙動(水環境、土壌、大気)を推測する上で基礎となるパラメータである。

最近、臭素系ダイオキシン類のみならず臭素系難燃剤化合物の環境中-の排出および残留が問題

視され、それらの環境中の分布調査、特に水環境での調査が盛んに行われている。実際にサンプ

リングして分析を行うだけではなく、環境動態を様々な計算プログラムを用いてシミュレーショ

ンしているが、基礎となる水溶解度などの物性値が不整備であり精密なシミュレーションが難し

い状況である。そのため、水溶解、 1-オクタノール/水分配係数および-ンリー定数の決定は、環

境動態調査の面からも非常に重要である。

そこで、本研究では、臭素系ダイオキシン類ならびに臭素系難燃剤などの類縁化合物に関して、

クヌッセンセル法による蒸気圧測定、示差走査熱量計による融点および融解熱の測定、量子化学

計算によるそれらの熱力学データの決定、ジェネレータカラム法による水-の飽和溶解度測定、

トオクタノール/水分配係数の測定および-ンリー定数の決定を行う。さらに、測定および計算

により決定した各種物性値を用いて、熱力学解析による燃焼排ガス中での臭素系ダイオキシン類

の生成挙動シミュレーションおよび環境動態モデルによる環境中での挙動計算を行い、焼却処理

過程や循環廃棄過程からの環境中-の臭素系ダイオキシンおよび類縁化合物の排出防止対策の科

学的基盤とすることを最終目的としている。

(10)

2.クヌツセンセル法による臭素系ダイオキシン類ならびに縁化合物の蒸気圧測定

2.1 日的

臭素系ダイオキシン類およびその類縁化合物の物理化学パ・ラメータは焼却炉等からの排出抑制

および環境中での挙動推定に重要なパラメータであるが、測定例は非常に少なく、多種に渡る異

性体に対して全く整理確立されていないのが現状である。

蒸気圧はその物質の揮発性を表し、土壌、水,大気といった環境における分配を支配する重要

な物理化学的パラメータの一つである。また、ダストや飛灰などの粒子吸着部とガス状部分の割

合を調べるためにも利用することができる。しかし、ダイオキシン類の蒸気圧は非常に低いこと

(例えば、 2,3,7,8-TCDDで10 7 pa程度, 25℃)とその高い毒性ゆえに、正確な蒸気圧値を測定す

るのは難しいと考えられている。過去にRordo叫1-7】は、数種の塩素系ダイオキシン類異性体の蒸

気圧をガス飽和法により測定している。また、その他の塩素系ダイオキシン類異性体および数種

の臭素系ダイオキシン類異性体の蒸気圧を、融点、比熱、融解エンタルピー、軌点などから熱力

学関係式を使って推算しているが、用いたそれらのパラメータにも多く推算値が含まれており、

現実的には、臭素系ダイオキシン類の信用に足る蒸気圧値は皆無と言って良い。また、臭素系ダ

イオキシン類に限らず、臭素系ダイオキシン類の前駆物質とされる臭素系難燃剤化合物に関して

も蒸気圧の報告は皆無といって良い。

そこで、本研究では、臭素系ダイオキシン類ならびに臭素系難燃剤等の類縁化合物の蒸気圧値

を測定することを目的としている。測定した化合物は以下の通りである。臭素系ダイオキシン類

は、臭素を八つ置換したオクタプロモジベンゾパラダイオキシン(OBDD)、臭素系難燃剤等の類

縁化合物は、 4-モノプロモジフェニルエーテル(4-MoBDE)、 4,4'-ジプロモジフェニルエーテル

(4,4,-DiBDE) 、デカプロモジフェニルエーテル(DeBDE)、 2,4-ジプロモフェノール(2,4-DiBPh) 、

2,4,6-トリブロモフェノール(2,4,6-TrBPh)、ペンタプロモフェノール(PeBPh)、 1,2,4-トリプロモ

ベンゼン(1,2,4-TrBBz)、 1,2,4,5-テトラプロモベンゼン(1,2,4,5-TeBBz)、 -キサブロモベンゼン

(HxBBz)テトラプロモビスフェノールA (TBBIn)であるoまた、臭素および塩素を全く置換

していないジベンゾダイオキシン(DD)の蒸気圧、および塩素を八つ置換したオクタクロロジベ

ンゾダイオキシン(OCDD)の蒸気圧も参考のために測定した。

2.2 測定方法

2.2.1 ##

測定装置の健全性確認のための参照試料として、安息香酸(Aldrich Chem. Co.,純度:0.99+)および

アントラセン(Aldrich Chem, Co.,純度:0.99+)の結晶状純物質を使用した。また、今回の測定に用いた

(11)

1,2,4,5-テトラプロモベンゼン(1,2,4,5-TeBBz) (Aldrich,純度: 0.97)

-キサブロモベンゼン(HxBBz) (Aldrich,純度: 0.98)

テトラプロモビスフェノールA (TBBPA) (Aldrich,純度:0.97)

ジベンゾダイオキシン(DD) (和光純薬,純度: 0.97)

オクタクロロジベンゾダイオキシン(OCDD) (CIL,純度:0.99)

オクタブロモジベンゾダイオキシン(OBDD) (CIL,純度:0.99)

一′

用いた試料は全て結晶状純物質である。

2.2.2 測定装置および方法

蒸気圧測定装置の概略図を図2.1に示す。この測定装置は、ダイオキシン類のような難揮発性

物質用に製作したものであり、パイレックス製真空管、ロータリーポンプ(DUO2.5A,Balzers)、

ターボ分子ポンプ(TCPBalzers)、精密オイルバス(THERMOOH-16, TAITEC Co.)、マイクロ電

子天秤(METTLER TOLEDO MX5 Microbalance)から構成されている。真空管は精密オイルバス

に浸漬することにより恒温に保たれるo真空管内に吊るされたクヌツセンセルの微小な重量変化

が、マイクロ電子天秤で連続的に測定される。

1      2      3

図2.1クヌッセンセル法による蒸気圧測定装置の概略図

1. METTLER TOLEDO MX5 Microbalance

2. High Vacuum Chamber

3. ULVAC Ionisation Vacuum Gauge Control

4. Rotary Pump

5 Turbo Molecular Pump

6. Platinum Resistance Thermometer

7. THERMO OH-16 Oil Bath, TAITEC Co , Ltd.

8. U- Pyrex Tube

9. Knudsen l三飢ISion Cel一

(12)

図2.2 クヌッセンセルの概略図

測定に用いたクヌッセンセルの概略図は、図2.2に示している。材質はアルミニウム製で、セ

ルの内径(D)は4.4mm、セルの高さ(H)は4.6mm、オリフイス部の肉厚(L)は0.1mmである。

測定では、 4種類のオリフイス径(0.05,0.10,0.15,0.20mm)のセルを用いた。あらかじめ、本研

究グループ所有の高真空熱天秤一質量分析装置(高真空下においてセルに装入した試料の蒸発成

分を質量分析計に導入することが可能)を用いて、測定温度においてアルミニウム製セルとダイ

オキシン類が反応しないことを確認している。

測定に用いる試料は、細かな粉末状にすりつぶされ、クヌッセンセルに装入される。良好な熱

伝導性および平滑な揮発界面を得るため、装入された試料は、均一な薄い膜状に圧縮した.試料

装入後、クヌッセンセルを密封し、マイクロ電子天秤に吊るした後、パイレックス製真空管に装

入するo真空管の長さは600mmで、内径は14mmである。マイクロ電子天秤の精度はIi gであ

るo セル装入後、ロータリーポンプとタ-ボ分子ポンプにより、真空管を10-2pa以下まで減圧す

る。試料の重量変化は連続的にマイクロ電子天秤により測定され、真空度はマイクロ電子天秤が

装入してある真空チャンバーに接続されたイオンゲージにより測定される。

真空管およびセルの加熱・恒温に用いた、精密オイルバスは室温から523Kの範囲において制御

可能で、精度は±0.03Kから±0.lKである。蒸気圧測定においては、セルの温度が非常に重要で

あるが、セルの温度は白金抵抗体を真空管に直接装入して測定した。

(13)

は温度(K)であるo式(2・1)のJ.qを重量変化で表すと、 Peqは以下のようになるo

pe. - (Am/(Aot)) ・ (27CRT+M)ln

(2.2)

ここで、 Amは重量変化(kg)、 A。はオリフイスの断面積(m2)、 tは保持時間(S)であるo

理想オリフイスの場合:厚みがゼロの理想的なオリフイスを想定した場合、気体は分子流(気

体の平均自由行程がオリフイス径の10倍以上あること)が必要であるoこの理想的オリフイスの

内部断面にきたセル内部の気体は、その圧力が102pa以下では全てがセルの外に出て、いったん

外に出た気体はセル内部に再び戻らない(測定される蒸気圧が102-10-7paの場合)o理想的オリ

フイス近傍の蒸気圧をpK'(Pa)とすると

pK. - (Am/(Aot)). (27tRT/M)1m

(2.3)

ここで、オリフイスを設けたためにPK+は真の平衡蒸気圧Peqよりも少し′j、さい。したがって次の

式で換算される。

Peg = PK (1+AJLAs)

(2.4)

ここで、 Asは試料面の表面積(m2)であるが、 AsがAo/As≪αの関係にあるときはPeq=PK'となり

式(2.4)の補正は必要ない。

非理想的オリフイスの場合‥実際のオリフイスは半径d、長さLの円柱状であるので、オリフ

ィスの断面に来た気体分子は全部外に出ることができず、気体分子同士の衝突よりはむしろオリ

フイスの内壁に衝突して一部はセル内に戻る。この割合はクラウジング係数と呼ばれ、次の経験

式で表される。

L/d= 0-1.5 Kc- 1/[1+0.5(L/d)]

L/d> 1.5 Kc = [1+0.4(L/d)]/[1.0・95(L/d)+0・15(L/4)2]

非理想的オリフイス近傍の蒸気圧PK (Pa)は、

pK - iAm/(AoKct))・ (27tRm切1′2

となる. PcqとPKの関係は、

Pe. - PKl 1 +KtA./As( 1/α十1 /W-2)]

(2.7)

(2.8)

と表されるoここで肝'Ej:セルのクラウジング係数(W'-D/2H)で、セルの底を離れた分子がセ

ルの頂部に達する確立である.セルの半径と高さが等しい場合、 W'は0・5となり、

Peg - PKl1+KtA./ds】

(2.9)

(14)

と簡略化される.用いられるセルが、 α=1、 AJ(qAs)≪1の場合は、 Pe。=PKと近似することが出

来る。通常、測定誤差はこの近似誤差よりも大きいため、本研究ではこの近似を用い、蒸気圧は

式(2.7)より導出している。蒸気圧と温度の関係より、以下に示すクラウジウスークラペイロンの

式を用いて、昇華のエンタルピーおよびエントロピー変化が導出される。

1n P = -(AHs。JR)/T + ASsuJR

(2. 10)

ここで、 AHsub (J/mol)は昇華のエンタルピー変化、 ASsubは昇華のエントロピー変化を表す0

2.3 測定結果および考察

測定装置の信頼性確認には、 EPAのガイドライン【8]に従い、結晶状の安息香酸およびアントラ

センを用いた。図2.3に本測定結果と推奨文献値との比較、表2.1に蒸気圧と温度の関係式ならび

に昇華のエンタルピーを示す。本測定結果は推奨値と良く一致しており、本測定装置の信頼性が

確認された。

表2.1安息香酸およびアントラセンの蒸気圧ならびに昇華エンタルピー

Temp. range lnp仲a1-a-b・103/T(K) AH叩hm

a b    (kJ.morl) 34.03 l上o.300 10.790土0.093 89.71土0.77 34.038   10.803    89.45j=0. 10 34.23 1  10.867   90.35士0.13 33.601j=0.330 10.669j=0.102 88.70士0.85 34.320土0.302 10.886j=0.100 90.51土0.83 89.700土1.000*

旺生し.

299-323

Compotmd Reference

Benzoic acidThis study

C.a DeKruifandJ.G. Blok, 1982 [9] 316-391

M. Colomina et al, 1982 [10]   2931313

M.A.V. Ribeiro da Silva etal, 1995 [11]307-314

M.A.V. Ribeiro da Silva et al, 1995 [11]3041317

R. Sabbah et al, 1999 [12]     298・15

Anthracene This study       348-368

C.a De Kruif, 1980 [13]     337-361 B.F. Rordorf, 1985 [2]      3 18-373 34.199土0.641 12.332土0.229 102.53土1.90 33.457   12.075   100.4士1 33.002   1 1.877    98.74 12.339   102.60土2.6 12.024土0.337 100.0士2.8 103.360士2.670* P.C. Hansenand C.A. Eckert, 1986 [14] 3131363  34・261

V.OjaandE.M. Suuberg, 1998 [15] 318-363  33・281

RI Sabbah et al, 1999 [12]     298・15

(15)

30   31  32   33   34   35    26

1000/T, K

Anthmcenc

o KJulf. 1980

n Rordorf, 1985

+ rlansen and EckcrH986

'、 0)a and Suube咽, 199R

A lllIS Study 28      3O     32     34

1000/T. K

図2.3 安息香酸およびアントラセンの蒸気圧

次に、表2.2から表2.12に本研究で測定した臭素系ダイオキシン類ならびに類縁化合物の蒸気

圧測定結果を示す。

表2.2 4-モノプロモジフェニルエーテル(4-MoBDE)の蒸気圧測定結果

HoleThickness:0.1mm,HoleArea:0.01998mm2,cellHeight:4.75mm,CellDiameter:4ー40mm,Kc:0.6226

T(oC) 稗┫

MolecularEmlSionRate(mg/h) 蒜

'

&W77W&Rナ

Imp

25.0

R

0.0305

s

-1.771

30.0 2 R 0.0542 R 一一.186

35.0

R

0.0830

紊s

-0.753

40.0 2 ウR 0.1277 縱3 -0.314

45.0

R

0.1960 白

3

0.122

50.0

#2

R

0.2961

縱#

0.543

55.0

#ゅ

R

0.4530

緜S2

0.976

表2.3 4,4'-ジプロモジフェニルエーテル(4,4'-DiBDE)の蒸気圧測定結果

HoleThickneSS:0.1mm,HoleArea:0.02018mm2,cellHeight:4.75mm,CeHDiameter:4.40mm,〟C:0.6240

T(oC)

MolecularEmlSionRate(mg/h) 蒜

'

&W77W&Rナ

lnP

50.0 #2 R 0.0280 C 一一.965 55.0 #ゅ R 0.0450 #r 一一.483

60.0

32

R

0.0710

c

-1.020

65.0

3ゅ

R

0.1107

經cr

-0.568

70.0

C2

R

0.1669

繝c

-0.150

75.0

CよテR

0.2417

Sb

0.空竺」

(16)

表2.4 デカプロモジフェニルエーテル(DeBDE)の蒸気圧測定結果

HoleThickness:0.1mm,HoleArea:0.02028mm2,cellHeight:4.75mm,CellDiameter:4.40mm,Kc:0.6249

TeC) 稗┫

MolecularEffusionRate(mgn1) 蒜

'

&W77W&Rナ

Imp

215.0 鼎モ

R

0.024523161

-2.435

220.0 鼎

R

0.034615385

#B

-2.085

225.0 鼎唐

R

0.047213115

s

-1.769

230.0 鉄 2 R 0.063471074 3 一一.468

235.0 鉄

R

0.089750693

#r

-1.117

240.0 鉄

2

R

0.124$9592

紊S

-0.782

245.0 鉄

R

0.182746186

緜s2

-0.396

249.6 鉄#"縱R

0.2.58969805

纉S

-0.043

表2.5 2,4-ジプロモフェノール(2,4-DiBPh)の蒸気圧測定結果

HoleThickness:0.1mm,HoleArea:0.06789mm2,cellHeight:8.00mm,CellDiameter:8.00mm,Kc:0.7507

r(oC) 稗┫

MolecularE軌sionRate(mg〃1) 蒜

'

&W77W&Rナ

Imp

0.0

s2

R

0.133

s2

-1.756

5.0

sゅ

R

0.242

r

-1.149

10.0

R

0.417

經S

-0.596

15.0

R

0.714

纉S"

-0.050

20.0

R

1.220

緜C

0.495

25.0

R

2.065

縱湯

1.029

30.0

2

R

3.339 釘經c2

1.518

表2.6 2,4,6-トリブロモフェノール(2,4,6-TrBPh)の蒸気圧測定結果

HoleThickness:0.1mm,HoleArea:0.06872mm2,cellHeight:8.00mm,CellDiameter:8.00mm,Kc:0.7518

TぐC) 稗┫

MolecularEffusionRate(mgn1) 蒜

'

&W77W&Rナ

Imp

30.0

2

R

0.06825

sr

-2.564

35.0

R

0.1205

C

-I.969

40.0

2

R

0.207

CB

-1.410

45.0

R

0.350

-0.871

(17)

表2.7 ペンタブロモフェノール(PeBPh)の蒸気圧測定結果

HoleThickness:0.1mm,HoleArea:0.07187mm2,ccllHeight:8.00mm,CellDiameter:8.00mm,Kc:0.7561

r(oC) 稗┫

MolecularEffusionRate(mgh) 蒜

'

&W77W&Rナ

Imp

Ilo.0

R

0.199

b

-1.579

115.0

Cゅ

R

0.309

#"

-1.133

120.0

R

0.526

經S

-0.595

125.0

R

0.849,

繝澱

-0.110

130.0 鼎

2

R

1.339

紊#

0.352

135.0 鼎

R

2.063

2

0.790

140.0 鼎

2

R

3.098

#

1.203

表2.8 , 1,2,4-トリブロモベンゼン(1,2,4-TrBBz)の蒸気圧測定結果

HoleThickness:0.1mm,HoleArea:0.06642mm2,cellHeight:8.00rrm,CellDiameter:8.00mm,Kc:0.7486

TぐC) 稗┫

MolecularEffusionRate(mgn1) 蒜

'

&W77W&Rナ

Imp

25.0

R

0.890 白

b

0.101

30.0

2

R

1.502

0.633

35.0

R

2.420

S

1.118

40.0

2

R

3.930 迭

b

1.611

45.0

R

6.408 唐

#b

2.107

50.0

#2

R

9.621

"紊C

2.522

表2.9 1,2,4,5-テトラプロモベンゼン(1,2,4,5-TeBBz)の蒸気圧測定結果

HoleThickness:0.1mm,HoleArea:0.07354mm2,cellHeight:8.00rrm,CellDiameter:8.00mm,Kc:0.7582

T(oC) 稗┫

MolecularEffusionRate(mgn1) 蒜

'

&W77W&Rナ

Imp

55.0

#ゅ

R

0.097

-2.461

60.0

32

R

0.157

3

-I.972

65.0

3ゅ

R

0.267

3

-1.435

70.0

C2

R

0.440

-0.928

75.0

Cゅ

R

0.705

緜3

-0.449

80.0

S2

R

1.121

#

0.021

85.0

Sゅ

R

1.720

經s

0.456

90.0

c2

R

2.579

0.868

95.0

cゅ

R

3.734

紊sB

I.245

(18)

表2.10 -キサブロモベンゼン(HxBBz)の蒸気圧測定結果

HoleThickness:0.1mm,HoleArea:0.07577zTm2,cellHeight:8.00mm,CellDiameter:8.00mm,Kc:0.7610

TぐC) 稗┫

MolecularEffusionRate(mgn1) 蒜

'

&W77W&Rナ

Imp

lュo.0 鼎 2 R 0.146 3 -1.9$3

135.0 鼎

R

0.204

-1.643

140.0 鼎

2

R

0.295

-1.268

145.0 鼎

R

0.438

紊#

-0.867

150.0 鼎#2

R

0.649

緜#b

-0.468

155.0 鼎#ゅ

R

0.951

纉#2

-0.080

160.0 鼎32

R

1.377 白

CB

0.296

165.0 鼎3ゅ

R

1.97S 白纉C

0.663

170.0 鼎C2

R

2.820

縱ィ

I.024

175.0 鼎Cゅ

R

3.982

纉S2

1.374

表2.11テトラプロモビスフェノールA(TBBPIA)の蒸気圧測定結果

HoleThickness:0.1mm,HoleArea:,0.02057mm2,ceuHeight:4.75mm,CellDiameter:4.40mm,Kc:0.6275

T(Oc) 稗┫

MolecularE軌sionRate(mgn1) 蒜

'

&W77W&Rナ

Imp

145.0 鼎

R

0.0295

#r

-2.061

150.0 鼎#2

R

0.0533

3

-1.464

155.0 鼎#ゅ

R

0.0850

s

-0.992

160.0 鼎32

R

0.1268

經Sr

-0.586

165.0 鼎3ゅ

R

0.2316

#2

0.022

170.0 鼎C2

R

0.3625

0.476

175.0 鼎Cゅ

R

0.5410

b

0.882

180.0 鼎S2

R

0.8250

B

1.310

表2.12 オクタブロモジベンゾダイオキシン(OBDD)の蒸気圧測定結果

HoleThickness:0.1mm,HoleArea:0.02110mm2,ceIIHeight:4.75mm,CellDiameter:4.40rrm,Kc:0.6287

r(OC) 稗┫

MolecularEffusionRate(mgn1) 蒜

'

&W77W&Rナ

InP

270.0 鉄C2

R

0.0889

Cr

-1.058

(19)

表2.13に、各化合物の蒸気圧と温度の関係式および昇華エンタルピーおよびエントロピーをま

とめて示す。表には比較のために、 DDおよびOCDDの結果も示している。 DDおよびOCDDに

関しては、再測定を行い、より正確な値を求めたため、昨年度の報告書の値と若干異なる。蒸気

圧と温度の関係より、式(2.10)に示したクラウジウスークラペイロンの式を用いて、昇華のエ

ンタルピー(AHsub)およびエントロピー変化(ASsub)が導出されるo

表2.13 臭素系ダイオキシン類、類縁化合物および臭素系難燃剤の蒸気圧ならびに昇華エンタル

ピー

C ompound Reference

Temp.range Imp(Pa)-a-b・ 103/T(K) AHsyb(I) ASsub(T)

K a b kJ・morl J・ KII・mo1-I

41MoBDE This study

4,4'-DiBDE This study

DeBDE This study

293-328 27.769±0.3$7 8.794±0.121 73.1±1.0 230.9±3.2

323_348 28.739±0.312 9.917±0.105 82.5±0.9 238.9±2.6

488_523 33.202±0.7$6 17.416±0.397 144.客土3.3 276.0±6.5

2,4-DiBPh This study

2,4,6-TrBPh This study

PeBPh This study

273_303 31.318±0.122 9.034±0.035 75.1±0.3 260.4±1.0

303_338 33.363±0.083 10.891±0.026 90.6±0.2 277.4±0.7

383_412 37.202±0.383 14.864±0.152 123.6±1.3 309.3±3.2

1 ,2,4-nBBz This s仙dy

I ,2,4,51TeBBz This study

HxBBz This study

298_323 31.548±0.239 9.375±0.074 77.9±0.6 262.3±2.0

328-368 32.050±0.265 ll.323±0.092 94.1 ±0.8 266.5±2.2

403_448 31.861±0.301 13.672±0.128 113.7±1.1 264.9±2.5

TBBPA This study

4181453 41.528±0.666 18.210±0.290 151.4±2.4 345.3±5.5

DD     ¶lisstudy    303-333 34・944±0・444 11・259±0・141 93・6±1・2 290・5±3・7

DD Rordorf 1989 【6]  298-398  34・3 1 9  1 1 ・095   92・3  285・29

OCDD This study    463-493 361461 ± 1・02017・529±0・487145・7±4・0 303・1 ±8・5 0CDD Rordorf 1987,1989 [5,6] 298-398  38・156  181207  151・4  317・3

OBDD This study    543-563 39・480± 1・236211997±0・684182・9±5・7328・2± 103

(20)

図2.4にプロモジフェニルエーテル類、図2.5にプロモフェノール類、図2.6にプロモベンゼン

類、図2.7にTBBPAおよびダイオキシン類の蒸気圧の温度依存性を示している。

30 25 20 1.5 10 000-t!J.dtJI 30 2.5 2.0 1.5 10 05 cc ELl

%"0

-0.5

04-MoBDE

△44■D●BDE 一一

DDeBDE

I

.

忘 唏.

1 ち "Ll I 1.5        2.0        2.5        3 0        3.5       4 0

1000/T,K

図2.4 プロモジフェニルエーテル類の蒸気圧

02,4-DiBPh

△ 2,4,6-TrBPh □PeBph

1

*

(21)

3.0 25 20 15 1.0 0,5 也

EL-%"・o

・0.5 -I.0 _1.5 -2.0 ー25 -3.0 30 2.5 2.0 15 10 05 Ed EL.

首olo

-05 _10 -1.5 -20 _2.5 _30

01,2,4-TrBB

△1245TBB -e □HxBB \

もも

与も

v

LILl

▲L \ 1 5       2.0       2.5       30       3.5       40

1000/r,K

図2.6 プロモベンゼン類の蒸気圧

◇TBBP-A ○

DD

△OCDD l □OBDD

\ヤ

I ㌔

'S. 沫B

ち 冰 」 千

、\ て r I 15       2.0       25       30       35       40

1000/T,K

図2.7 TBBPAおよびダイオキシン類の蒸気圧

図2.4から2.7より、臭素置換数が多くなると、化合物の種類のよらず蒸気圧が低下することが

わかる。また、プロモジフェニルエーテル類、プロモフェノール類およびプロモベンゼン類を比

較すると、傾向的に以下のような蒸気圧の関係が見受けられる。

(22)

プロモベンゼン類>プロモフェノール類>プロモジフェニルエーテル

また、 OCDDとOBDDを比較すると、 OBDDの方が大幅に蒸気圧が低く、傾向的に臭素化ダイオ

キシン類は塩素化塩素化ダイオキシン類よりも蒸気圧が低いと考えられる。

図2.8に各臭素化物の昇華エンタルピーを臭素化数に対してプロットした。それぞれ、臭素数

が増えると一様に、昇華エンタルピーが増大サンることがわかる。

0       0       0       0 397

10uJtIqnsHV

∠pBDEs

.△ 辻メリマh耳耳磁 % 一.-.ロー一一一PBBs ロ′ [コ

A

0      2      4      6      8      10     12

Bromine Substitution

図2.8 臭素数による昇華エンタルピーの変化

2.4 結論

本研究では、難拝発性物質に適していると考えられるクヌッセンセル法により、 4-モノプロモ

ジフェニルエーテル(4-MoBDE, 293K∼328K) 、 4,4'-ジプロモジフェニルエーテル(4,4'-DiBDE,

323K∼348K)、デカプロモジフェニルエーテル(DeBDE, 488K∼523K)、 2,4-ジプロモフェノール

(2,4lDiBPh, 273K∼303K) 、 2,4,6-トリブロモフェノール(2,4,6-TrBPh, 303K∼338K) 、ペンタブロ

モフェノール(PeBPh, 383K∼412K) 、 1,2,4-トリプロモベンゼン(1,2,4-TrBBz,298K∼323K) 、

1,2,4,5-テトラプロモベンゼン(I,2,4,5lTeBBz, 328K∼368K) 、 -キサブロモベンゼン(HxBBz, 403K∼448K) 、

(23)

1rp (Pa) = 28.739 - 9917/T(K),

DeBDE

lrp (Pa) ≡ 33.202 - 17416/T(K),

2,4-DiBPh

lrp (Pa) - 31.318 - 9034/T(K),

2,4,6-TrBPh

lrp (Pa) ≡ 33.363 I 10891T(K),

PeBPh

lrp (Pa) - 37.202 - 14864T(K),

1 ,2,4-TrBBz

lrp (Pa) ≡ 31.548 - 9375T(K),

1 ,2,4,5-TeBBz

ITV (Pa) - 32・050 - 111323T(K),

HxBBz

lrp(Pa) ≡ 31.861 I 13672T(K),

TBBP-A:

lrp (Pa) - 41.528 - 18210/T(K),

ダイオキシン類

AHsub(T) - 82.45 (kJ/mol)

AH,ub(T) - 144.8 (kJ/mol)

AHsub(T) - 75. I (kJ/mol)

AHsub(T) - 90.6 (kJ/mol)

AHsub(T) - 123.6 (kJ/mol)

△ガムb(T) - 77.9 (kJ/mol)

AHsub(T) = 94.I (kJ/mol)

AHsub(T) = I 13.7 (kJ/mol)

AHsub(T)- 151.40 (kJ/mol) 418 -453 K

DD:

1rp(Pa)-34.944 - 11259/T(K), △Hsub(T) =93・61 (kJ/mol) 303 -333 K

OCDD:

1rp(Pa)=32.825 I 15773/T(K), AHsub(T)- 131・14 (kJ/mol) 448 -493 K

OBDD:

lrp(Pa)- 39.480 - 21997/T(K), AHsub(T) = 182188 (kJ/mol) 543 - 563 K

プロモジフェニルエーテル類、プロモフェノール類およびプロモベンゼン類を比較すると、傾

向的に以下のような蒸気圧の関係が見られた。

プロモベンゼン類>プロモフェノール類>プロモジフェニルエーテル

ocDDとOBDDを比較すると、 OBDDの方が大幅に蒸気圧が低く、臭素化ダイオキシン類は塩

素化塩素化ダイオキシン類よりも蒸気圧が低いと考えられる。

プロモジフェニルエーテル類、プロモフェノール類およびプロモベンゼン類に関して、昇華エ

ンタルピーは臭素数が増えると一様に昇華エンタルピーが増大した。

参考文献

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2. Rordorf, B.F.:Chemosphere, 14(1985), 885-892・

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(24)

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12.Sabbah, R., An X.W., Chickos, J.S., Leitao, ML.P., Roux, M.V.and Torres, L.A.:Thermochim. Acta,

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13.De Kruif, C.a:J. Chem. Thermodynamics, 12(1980), 243-248・

14.Hansen, P.C. and Eckert, C.A.:J. Chem. Eng. Data, 31(1986), I-3・

1 5.Oja, V.and M. Suuberg, E.:J. Chem. Eng. Data, 43(1998), 48仁一4921

(25)

3.示差走査熱量計(DSC)による融点および融解エンタルピーの測定

3.1 日的

臭素系ダイオキシン類およびその類縁化合物の物理化学パラメータは焼却炉等からの排出抑制

および環境中での挙動推定に重要なパラメータであるが、測定例は非常に少なく、多種に渡る異

性体に対して全く整理確立されていないのが現状である。

融点および融解エンタルピー(融解熱)はその物質の溶融物性を表し、例えば、臭素系難燃剤

の燃焼過程を解析する上で非常に重要な物性値となる。臭素系難燃剤を含有した難燃プラスチッ

クの資源化処理で、現在有効なのは焼却による熱回収であるが、それら難難剤の融解物性のデー

タは不足しているのが現状である。また、融点および融解エンタルピーは重要な熱力学データの

一つであり、これらのデータを用いて、例えば、蒸気圧や溶解度などの他の物性値を予測するこ

とに利用することも出来る。そこで、本研究では、示差走査熱量計(DSC)を用いて、臭素系ダ

イオキシン類縁化合物′である臭素系難燃材化合物の融点および融解エンタルピーを測定した。

3.2 測定方法

3.2.1試料

今回の測定に用いた臭素系難燃剤化合物を以下に示す。

4,4'-ジプロモジフェニルエーテル(4,4'-DiBDE) (和光純薬,純度: 0.99)

デカプロモジフェニルエーテル(DecaBDE) (和光純薬,純度: 0.97+)

2,4-ジプロモフェノール(2,4-DiBPh) (Aldrich,純度: 0.99)

2,4,6-トリプロモフェノール(2,4,6-TrBPh) (Aldrich,純度: 0.99)

ペンタプロモフェノール(PeBPh) (Aldrich,純度: 0.96)

1,2,4-トリプロモベンゼン(1,2,4-TrBBz) (Aldrich,純度: 0.97)

1,2,4,51テトラプロモベンゼン(1,2,4,5-TeBBz) (Aldrich,純度: 0.97)

-キサプロモベンゼン(HxBBz) (Aldrich,純度: 0.98)

テトラプロモビスフェノールA(TBBPA)(Aldrich,純度: 0.97)

-キサプロモシクロドデカン(HBCDD)(Aldrich,純度: 0.97)

用いた試料は全て結晶状純物質である。

3.2.2 測定装置および方法

用いた示差走査熱量計(DSC)はTAInstruments製DSC2920である。温度を変化させることに

より、物質に起こる変化(構造相転移、熱変性、融解、結晶化等)を検出して分析を行う方法を

「熱分析」と総称するが、DSCでは熱の出入りの量を測定することができる。示差走査熱量計は、

試料と熱特性が既知である標準物質または空のサンプルパンを温度可変炉にいれ、その雰囲気温

度を一定速度で上昇もしくは下降させながら、両者の温度を熱電対を用いて測り、温度差が生じ

ないようにヒーター電流を制御する。試料に供給する熱量速度を記録することにより定量性を向

上させ、温度変化域や昇温速度、降温速度を幅広く変化できるようにし、高い熱量感度の分析を

可能としたものである。 DSCの内部構成の概略図を図3.1に示す。

(26)

図3.1示差走査熱量計(DSC)の内部構成概略図

測定では、約10mgの粉末試料を密封したアルミニウム製パンを用いたoこのアルミニウム製

パンの耐圧性は内圧3atmである。参照用には同規格の空のアルミニウム製パンを用いた。測定中

は、ホルダー内に約50ml/minでArを流し、不活性雰囲気に保った。温度制御は、 loC/minで室

温から360oCまで一定加温速度で加熱することにより行った.臭素系難燃剤化合物を測定する前

に、 In、 SnおよびPbの融点により測定計を補正した。また、測定結果の健全性を確羅するため

に、比較的信頼性のおける融点および融解エンタルピーが報告されている1,4-ジクロロベンゼン

(DiCBz)、 -キサクロロベンゼン(HxCBz)、ビフェニル(Biphenyl)、安息香酸(Benzoic acid)、アント

ラセン(Anthracene)、ナフタレンOVaphtalene)を測定し、文献値との比較を行った0

3.3 測定結果および考察

まずは、測定結果の健全性を確認するために、 DiCIiz、 HxCBz、 Biphenyl、 Benzoic acid、 Anthracene、

Naphtaleneの融点および融解エンタルピーを測定し、比較的信頼性のおける文献値との比較を行

った.表3.1にこれらの測定結果および文献値の一覧を示す。表を見てわかるように文献値との

一致は非常に良く、測定結果の健全性が確認された。

(27)

表3.1 DiCBz、 HxCBz、 Biphenyl、 Benzoic acid、 Anthracene、 Naphtaleneの融点(Tm)および融解エ

ンタルピー(AHfuS)

Melting point Ref・ Entahlpy offusion Ref・

Tm, oC No・   AHfuS, kJ/moI No・

This Study Ref.  +   This Study Ref・   __

S ubstance

1,4-DiCBz     52.53 ±0.07 5 . 1 5 9 8 0 3 3 つ一2 3 5 5 5 5 5

4  18.49±0.47

′b 0 0 O ′0 」 7 2 0 」 00 8 00 0ノ 00 1 1  1 1 1 ∠U HxCBz       228.06±0.12 9 3 7 00 lソ一2 2 2 4  25.05 ±0.74 3 1 5  18.33±0.30 4 0 ∠U OO 5 7 4 0ノ l OO 8 2 4 5 3 2 つム つー2 2 4 3    1 Bipheny1     68.56±0. 1 1

71

0 0 00 4 5 5 5 9 0 9 3 00 0ノ 0 00 6 ′0 7 ′0 8 0ノ 00 00 0 ∠U 5 4 5 5 00 ′b 各 7 00 00 00 8 1  1  1  1  1  1 5    3

. 8・。芸慧慧舶

7 5 3 8 2 2 1 2 2 2 1  1  1 4

0

2 2 1

Benzoic acid

Anthracene    215.75j=0.05 216.5     5  28・85士0・07

215.8

218        9 216       5

219

つJ 5    ・- つJ

N aphtalene

つJ QC 5 2 1 0 2 0 0 1 00 00 8 8 8 5 9 0ノ 9 8 8 92 0 0 7 0ノ 09 0 00 9 8 00 1  1  1  1  11- 1 00 ′0 7 I

次に、臭素系難燃剤化合物、 4,4,-ジプロモジフェニルエーテル(4,4'-DiBDE)、デカプロモジフェ

ニルエーテル(DeBDE)、 2,4-ジプロモフェノール(2,4-DiBPh)、 2,4,6-トリブロモフェノール

(2,4,6-TrBPh)、ペンタプロモフェノール(PeBPh)、 I,2,4-トリブロモベンゼン(1,2,4-nBBz)、

1,2,4,5-テトラプロモベンゼン(1,2,4,5-TeBBz)、 -キサブロモベンゼン(HxBBz)、テトラプロモビスフェノ

(28)

-ルA(TBBPA)、 -キサブロモシクロドデカン(HBCDD)の融点および融解エンタルピーの測定結

果を表2.2に示す。

表3.2 臭素系難燃剤化合物の融点(Tm)および融解エンタルピー(AHhs)

S ubstance

Melting polnt Ref.    Entahlpy of fusion Ref. Tm, Oc No・     AHfuS, kJ/moI No・

This Study Reference ,    This Study Reference 4,4'-DiBDE   57.21 ±0.39      20.77 ±0.49 DeBDE     302.88±0.42  290-306  12    43.58 ± 1.18

(295-3 10) 12

300-305  1 2 2,4-DiBPh   36.23 ±0.17   39.85   3    20.26±0.64′ 36.00   14 37   13 1 5.00    3 2,4,6-TrBPh  85.5 I ± 0.09   93,05  1   *(22.67 ± 0.86) 96   14 18.52   1 PeBPh    221.39± 1.20  228.85  1  *(15.72 ±0.58) 225   14 19.14   1 1,2,4-TrBBz  41.06±0.26       1 7.85 ±0.43 I,2,4,5-TeBBz 179.97_+0.09  179.95  1   26.78j=0.67 178   15 27.88   1 HxBBz     324.94 ± 0.32       30.52 ± 0.82 TBBPA     178.91 ±0.14  178-180  13     31.16±0.48

(180-184) 13

HBCDD   1 70.28±0.22 1701180 13   *(16.88±0.97)

185-195  11

* :参考データ

図3.2および3.3に、各臭素系難燃剤化合物、プロモジフェニルエーテル類、プロモフェノール類、

プロモベンゼン類、 TBBPA、 HBCDDの融点および融解エンタルピーを置換臭素数に対してプロット

した図を示す。

(29)

50   00   50   00   5 0   00 33つ▲つ▲ 004u11u!Od地tr!1PVV 0      0      0 4っJ2 TOuJrI.qHVuO!STgJ0Ldt烏ltJa 0       2       4       6       8      10     12 Bromine substitution

図3.2 臭素系難燃剤化合物の融点(㌔)と置換臭素数の関係

0      2       4      6       8      10     12 Bromine substitution

図3.3 臭素系難燃剤化合物の融解エンタルピー(AHfuS)と置換臭素数の関係

まず、図3.2の融点を見ると、 pBDEs、 PBPhs、 PBBzsそれぞれ臭素数の増加とともに融点が上昇

していることがわかる。臭素数が2の4,4'-DiBDEと2,4-DiBPhを比べると4,4'-DiBDEの方が融点が

高い。しかし、臭素数増加による融点の上昇の度合いはPBPhsやpBBzの方が大きいようである。例

(30)

えば、 DeBDEsは臭素数10にもかかわらず、臭素数6のHxBBzよりも融点が低い。 TBBPAの融点

は、同じ臭素数が4の1,2,4,5-TeBBzとほぼ同じである。しかし、 HBCDDは臭素数6であるが、同じ

数素数のHxBBzと比べて相当に融点が低いことがわかる。

図3.3の融解エンタルピーを見ると、PBDEsおよびPBBzsは臭素数の増大とともに融解エンタルピ

ーが上昇しているが、 PeBPhでは減少している。しかし、他の文献値では臭素数とともに上昇してい

る。この原因はわからないが、今後再測定が必要と考えられる。 TBBPAの融解エンタルピーは、同

じ臭素数が4の1,2,4,5-TeBBzよりも大きいが、HBCDDを見ると他の化合物に比べて臭素数の割りに

相当に融解エンタルピーが低いことがわかる。 HBCDDは融点も低かったが、つまり融解性が高いこ

とがこれらの値よりわかる。

3.4 結論

融点および融解エンタルピー(融解熱)はその物質の溶融物性を表し、例えば、臭素系難燃剤

の燃焼過程を解析する上で非常に重要な物性値となる.臭素系難燃剤を含有した難燃プラスチッ

クの資源化処理で、現在有効なのは焼却による熱回収であるが、それら難難剤の融解物性のデー

タは不足しているのが現状である。また、融点および融解エンタルピーは重要な熱力学データの

一つであり、これらのデータを用いて、例えば、蒸気圧や溶解度などの他の物性値を予測するこ

とに利用することも出来る。

そこで、本年度は、臭素系ダイオキシン類の類縁化合物でありかつ焼却過程における前駆体と

考えられる臭素系難燃剤化合物、 4,4'-ジプロモジフェニルエーテル(4,4'-DiBDE)、デカプロモジフ

ェニルエーテル(DecaBDE)、 2,4-ジプロモフェノール(2,4-DiBPh)、 2,4,6-トリブロモフェノール

(2,4,6-TrBPh)、ペンタプロモフェノール(PeBPh)、 1,2,4-トリブロモベンゼン(1,2,4-TrBBz)、

1,2,4,5-テトラプロモベンゼン(1,2,4,5-TeBBz)、 -キサブロモベンゼン(HxBBz)、テトラプロモビスフェノ

ールA(TBBPA)、 -キサプロモシクロドデカン(HBCDD)の融点および融解エンタルピーを示差走

査熱量計(DSC)を用いて測定した。その結果以下のような知見を得た。

PBDEs、 PBPhs、 PBBzsそれぞれ臭素数の増加とともに融点が上昇した。しかし、 DeBDEsは臭素

数10にもかかわらず、臭素数6のHxBBzよりも融点が低く、臭素数増加による融点の上昇の度合い

はPBPhsやpBBzの方がpBDEsよりも大きかった。TBBPAの融点は、同じ臭素数が4の1,2,4,5-TeBBz

とほぼ同じである。 HBCDDは臭素数6であるが、同じ数素数のHxBBzと比べて相当に融点が低か

った。融解エンタルピーに関しては、 PBDEsおよびPBBzsは臭素数の増大とともに融解エンタルピ

ーが上昇しているが、 peBPhでは減少している。しかし、他の文献値では臭素数とともに上昇してお

り、今後再測定が必要と考えられる。 HBCDDは他の化合物に比べて臭素数の割りに相当に融解エン

タルピーが低く、つまり融解性が高いことがこれらの値よりわかった0

(31)

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(32)

4.臭素系ダイオキシン類ならびに類縁化合物の熱力学データの計算

4.1 日的

熱力学データ、特に比熱、標準生成エンタルピーおよび標準生成エントロピーは物質の基本的な情報

であり、物質の安定性を見積もる上で必要な物性値である。難燃剤含有プラスチックの焼却過程では、

臭素系ダイオキシン類(PBDD/Fs)ならびに臭素化塩素化ダイオキシン類(PBCDD/Fs)の生成が確認

されているが、異性体の種類が非常に多数であるため、標準物質の欠如から、 PBCDD/Fsに関しては、

低臭素化のもののみ分析されているのが現状である。排ガス中における、 PBDDnsおよびPBCDD/Fsの

生成挙動を解明する手法の一つとして、熱力学平衡計算が挙げられる。熱力学平衡計算により、温度、

ガス組成がpBDD/FsならびにPXDD/Fsの生成に及ぼす影響、または、すべての異性体が分析可能であ

り生成挙動に関してすでに研究が進められている塩素系ダイオキシン類pcDD/Fsとの生成量割合など

を見積もることが可能であると考えられる。

そこで、本研究では、 ∫臭素化ダイオキシン類(PBDD/Fs)の210種全異性体ならびに全臭素数塩素数

にわたる339種臭素化塩素化ダイオキシン類(PBCDD/Fs)異性体の熱力学データを計算した。さらに

は、臭素系難燃剤化合物類であるポリプロモジフェニルエーテル類(pBDEs)、ポリプロモフェノール

蘇(pBPhs)、ポリプロモベンゼン類(pBBzs)、テトラプロモビスフェノールA (TBBFA)、 -キサブロ

モシクロドデカン(HBCDD)の熱力学データを密度汎関数法により計算した。これにより、難燃剤含

有プラスチックの燃焼過程における、臭素系難燃剤化合物からの臭素系ダイオキシン類の生成反応に関

して熱力学的に検討が可能となる。熱力学データの計算は、 Gaussian98ソフトウェアを用いて密度汎関

数法(B3LYP)により行った。

4.2 熱力学データの計算

4.2.1計算方法

熱力学データの計算は、 Gaussian98を用いて密度汎関数法(DFT)により行った。密度汎関数法は、

Gaussian98中のB3LYP (Becke's three-parameter hybrid functional with the gradient-correlation functional of

Lee,Ⅵmgand Pa灯)を用いた。計算に用いた基底系は6-31G(d)である。計算では、まず、 PBDD/Fs異性体

の分子構造を最適化し、分子の安定ポテンシャルエネルギーを導出する。このポテンシャルエネルギー

から数値解析的手法により分子の振動数が導出される。分子の振動エネルギーは0.9804でスケール化さ

れている. ll】上記した計算手法は、過去にPCDDn=Sの熱力学データの計算に採用された計算方法の中

でも最も精密な計算方法と考えられる。 【2-4】

得られた分子の振動数を用いて、統計熱力学関係式より、比熱ならびに標準生成エントロピーが得ら

(33)

r3         3

S,.I =R

ln互三.lln

訂'iln (h2 /8n2I,k)(h2 /8n2I,k)(h2 /8n2Izk) '盲

hv/kT

exp(h v/kT) - I

-ln(1 -exp(-hv/kT))

ここで、 Rはガス定数(8.3145日.mol 1・K-I)、 Nは分子中の原子の数、 mは分子量、 kはボルツマン定数

(I.380658xl0123 J・K-1)、 hはブランク定数(6・6260755×10-34 JIS)、 Tは温度(K)、pは圧力、 oT,は回転の対称数、

丁は慣性モーメント、 Vは振動数を表す。

定圧比熱は以下の式から導出される。

3N-6

C, -C佃S・C.。t.C,1。 -言R・iR・R∑・

J言1

hv/kT

]2 (4・5)

ここで、 CtranS、 C.。tおよびCvibは、それぞれ並進、回転、振動の比熱-の寄与を表す。

標準生成エンタルピーに関しては、量子化学計算ならびに統計熱力学関係式より直接導出することが

できない。そこで、本研究では以下の方法により標準生成エンタルピーを導出した。 OKおよび任意の

温度(I)における絶対内部エネルギー(U)、絶対エンタルピー(H)、絶対ギプス自由エネルギー(G)の関係式

は以下のように表される。 【5,6】

UoK = Eelec + Ezpe

UT = U.K +(E.mn, + E,.. + Ey.b)T

(E..餌鴨). (言RT ・

HT= UT+RT

GT - HT -TS

RT I R3i6

(hv/k)li I

exp(h v/kT)

-(4.6)

(4.7)

ここで、 Ec.ecは内部エネルギー-の電子運動の寄与、 Ez,CはOKでの分子エネルギーを表す。 Et.ans、 E,。卜

Enbはそれぞれ、任意の温度における分子の並進、回転、振動による内部エネルギーの修正項である0

本研究では、 Eclecは密度汎関数法(B3LYP)により計算されている。統計熱力学の関係式より、 EB肌S、 E,。h

Enbの値は導出されるo Eelec, Ezpe、 UT. HT、 GTの値はすべてHartrees(atomic units, - Hartree=2625・51 kJ・mo1-1)

の単位で導出される。

化学反応によるエンタルピー変化は、反応物と生成物の絶対エンタルピー差より簡単に導出される。

また、反応物と生成物の標準生成エンタルピー差からも、同値の化学反応によるエンタルピー変化が導

出される。ギプス自由エネルギーの変化に関しても同様である。

AH;(298 K) - ∑(H2,8 K)。,.duts -∑(H2,8 K)re弘tmb

AH:(298 K) - ∑(AH,0,2,8 K )p,.ducts - ∑(AH,0,29S K )reac加ts

AG,o(298 K) - ∑(G2,8 K)poducb一∑(G2,8 K ),eactmts

AG;(298 K) - ∑(AGfo,298・K )。.。duc.S - ∑(AGfo,2,8 K ),.actwts

(4.10)

(4.ll)

(4.12)

(4.13)

(34)

ここで、AH,0、AG,oはそれぞれ化学反応によるエンタルピーとギプス自由エネルギーの変化を表すoAHfO、

AGFはそれぞれ標準生成エンタルピーおよび標準生成ギプス自由エネルギーを表す。

DDとBr2からの臭素系ダイオキシン類生成反応を仮定し、 (4.10)から(4.13)の関係式およびH2、 Br2、

DDの絶対および標準生成エンタルピーならびにギプス自由エネルギー【7,8】を用いることにより、下記

のように、臭素系ダイオキシン類の標準生成エンタルピーおよび標準生成ギプス自由エネルギーが導出

される。

〔芸道+ 2Br2 -三文3:氾BB:+2H2 (I,

H'29BK , HaJtree. J12・351714    2X(15143・394682)   1108961791602     2×(-I 162231) J A,Ff-0 025014 Hartree

=657kJ・moL・l

Aげ, kJ・mol-l    -59 2       2×30・9       (AFTBDD)      J 2×0  一AfHoTBDD-68・3 kJ・mo)1'

げ298K, H町廿ce l612 398258    2×(15143・422540)   ・10896 856484     2×(-日77023)十A,(芦の032808 Hartree

=861kJ・moI-I

Af伊, kJ・mo1-11   56 2       2×3. 1       (APDTBDD)       2×0  → AfGoTBDD- 148・5 kJ・mo)-A

例えば、 2,3,7,8-TeBDDの298Kにおける標準生成エンタルピーは68.3 kJ・morl、標準生成ギプス自由エ

ネルギーは148.5 kJ・mol 1となる。

4.3 計算結果および考秦

4.3.1臭素系ダイオキシン類(PBDD/FsおよびPBCDD/Fs)

計算結果の信頼性確認のために、表4.1に示すように16種類の臭素化芳香族炭化水素化合物の標準生

成ギプス自由エネルギーを計算し、文献からの実験結果と比較した。それぞれ298Kでの値である。

2,4,6-Tribromophenolで計算値と文献値の差が-17.3 kJ・molーlと若干大きいが、その他の化合物に関しては

平均して数kJ・morlと比較的良い一致を示していると考えられる。そのため、本計算方法により、十分

に信頼性のある熱力学データが得られると判断した。

(35)

表4.1 298Kにおける熱力学データに関する密度汎関数法による計算結果と文献値の比較

AHfO (kJ/mol) at 298K

This Study Ref. value Reference

Compound

Deviation (kJ/mol) AGfO (kJ/mol)

(This Study)

-(Ref.)

This S山dy

B enzene

Bromobenzene

1 ,2 -Dibromobenzene

1 , 3 -D ibromobenzene

1 ,4-Dibromobenzene

Benzoic acid

2・Bromobenzoic acid

3-Bromobenzoic acid

4-Bromobenzoic acid

Aniline

2 ,4 ,6-Tribromoani line

Phenol

82.93土0.50 105.7  105.4土4.1 138.4  133.9土8.4 132.4  1 33.9土8.4 132.3  126.4士8.4 l 47 69 7 1 l 0 2  2-2      1 -294. 1土2.2 .6  -246.9土2. I .1 -268.3士1.5 .3  -275.9士1.4 87.03土0.88 9  1 59.0士2.6 -96.36土0.59 2,4,6-Tribromopheno1 -18.2  -0・9土2・5 Naphthalene       1 50・6土日 1 -Bromon叩h仙alene 1 74・$ 1 74・3士5 ・6 2-Bromon叩h血alene 1 73.7 1 75 ・6土2 ・3

Prosen et al. (1946) [9]

Pedley et al, (1986) [10]

0Iesik et al. (1986) [11]

′ 01esik etal. (1986) 【11】

Olesik et al. (1986) [11]

Pedley et al. (1986) [10]

Sabbah et aL (1996) [12]

Sabbah et al. (1996) [12]

Sabbah et al. (1996) [12]

Hatton et aL. (1962) [13]

Allot et al. (1987) [14]

Cox elal. (1961) [15]

Allot et al. (1987) [14]

Coleman et a). (1966) [16]

Ribeiro da Silva et al.

(1993) 【171

Ribeiro da Silva et al.

(1993) 【17】

3 5 Lr2 0ノ 0 4  l 1 5 7 eQ 6 0 0 4 t I

962205-9」83. 082

129m_ 6 I_ 541 562 1 1m1 941 97_ 52_ 99.32_ 6.2

l I l l

図4.1から4.5にPBDDsの各異性体間における標準生成ギプス自由エネルギーの比較を、図4.6から

4.10にPBDFsの各異性体間における標準生成ギプス自由エネルギーの比較を示す.自由エネルギーの値

は298.15Kでのものである。

図4.3に示すTeBDDsに関しては、 1,3,6,8-TeBDD、 1,3,7,8lTeBDD、 1,3,7,9-TeBDDおよび最も毒性が

高いと考えられる2,3,7,8-TeBDDの自由エネルギーが低く、これらは他の異性体に比べ安定であり生成

しやすいことがわかる。同様に、 DiBDDs異性体間では、 2,7-DiBDDおよび2,8-DiBDDが、 TrBDDs異

性体間では1,3,7-TrBDD、 1,3,81TrBDDおよび2,3,7-TrBDDの自由エネルギーが低く生成しやすいことが

わかる. PeBDDs異性体間では、 1,2,4,6,8-PeDBB、 1,2,4,7,8-PeDBBおよび1,2,4,7,9-PeDBB、 HxBDDs異

性体間では、 1,2,4,6,7,9lHxBDDおよび1,2,4,6,8,9-HxBDDが安定であり生成しやすいことがわかる。

pBDFsの場合、 pBDDsに比べ、異性体間における標準生成ギプス自由エネルギーのばらつきが大き

い。臭素の置換位置による影響を見ると、 1と9の位置に臭素が置換された場合、自由エネルギーが大

きくなるo これは、 1と9の位置が最も近いため、この位置に臭素は置換しにくく、置換した場合、構

造が不安定になるためである。各異性体間の標準生成ギプス自由エネルギーを比較すると、 I,7-DiBDF、

1,3,7-TrBDF、 1,3,6,8-TeBDF、 1,3,4,6,8-PeBDFおよび1,3,4,6,7,8-HxBDFが、各臭素数のPBDFs間におい

て、自由エネルギーが低く安定であることがわかる。

参照

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