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博 士 ( 獣 医 学 ) 小 西 正 人

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Academic year: 2021

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博 士 ( 獣 医 学 ) 小 西 正 人      学 位 論 文 題 名

ウ シ の 超 音 波 ガ イ ド ・ 経 膣 法 に よ る 卵 胞 卵 子 の 採 取 と      体 外 培 養 方 法 の 検 討

     学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  近年,超音波ガイド・経膣法によるウシ生体からの卵胞卵子採取および体外受精(I VF)により,胚を作出することが可能になった。そこで,本技術の胚生産効率を向上 させることにより,胚生産の困難なウシに対して臨床応用し得る技術にすることを目的 として,1)ウシにおけるインヒビン能動免疫が卵胞の発育ならびに超音波ガイド・経 膣法 によ る卵 胞卵 子採 取に 及ぼ す影 響,2)体 外成 熟(IVM)培地に添加した顆粒層 細胞が超音波ガイド・経膣法により採取したウシ卵子の胚盤胞への発育に及ぼす影響,

3)胚生産の困難なウシに対する超音波ガイド・経膣法による卵胞卵子採取および体外 受精由来胚作出の臨床応用にっいての検討を行った。

  1)卵胞の顆粒層細胞から産生されるインヒビンは下垂体の卵胞刺激ホルモンの分泌 を抑制する。そこで,インヒビンを能動免疫によって中和した場合の卵巣における卵胞 の発育および超音波ガイド・経膣法による卵胞卵子の採取成績へ及ぼす影響について検 討 し た 。6頭 の 黒 毛 和 種 経 産 牛 に 対し て, ブタイ ンヒ ビン (ロ 鎖Nl‑26)の合 成ペ プチ ドに 家兎 血清 アル ブミ ン(RSA) を接 合レ たも のを 抗原として合計4回投与し能 動免 疫を 行っ た。 また ,対 照区 とレ て6頭 の黒 毛和 種経 産牛にRSAだけを同時期に投 与 し た 。 卵 巣 に お け る 卵胞 数 ( 小 卵 胞 ;2〜3 mm, 中卵 胞 ;4〜9mm, 大卵胞 ;≧

1 0mm) お よ び 採 取 卵 子 数 の 推 移は , 初 期 投 与 後10〜17週 の 間 , 毎 週1回 ( 合 計 8回)の超音波診断装置を用いた卵巣観察および経膣法による卵胞卵子採取により行っ た。 その 結果 ,免 疫区6頭の 全てのウシにおいて2回目の抗原投与(6週日)後,抗体 価の上昇が認められ,かっ実験終了時まで高い抗体価が持続した。インヒビン免疫区に おける小卵胞,中卵胞および大卵胞の数は対照区に比べ,それぞれ有意に多い値(Pく 0.05) で あ っ た 。 ま た ,超 音 波 ガ イ ド ・ 経 膣 法 に よ り 採 取 し たIVFに 適用可 能な

( 変 性 し て い な い ) 卵 子数 ( 平 均 土SEM) に お い て も免 疫 区 (8.4士1.4)は 対照 区(3.3土0.4)に比ベ,有意に多い値(Pく0.05)であった。

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  2) 卵 子 に 付 着 レ て い る 卵 丘 細 胞 は ,I VM‑IVF後 の胚 発育 に重 要な 役割 を果 た しているっ一方,超音波ガイド・経膣法により採取した卵胞卵子には卵丘細胞の付着が 少ないかまたは全く付着していないものが少なくなしヽ。そこで,ウシ卵子のIVM培地 へ の 顆 粒 層 細 胞 添 加 がIVF後 の 胚 発 育 率 へ 及 ぼ す 影 響 に つL、 て 検 討 し た 。   と場のウシ卵巣由来および超音波ガイド・経膣法により採取した卵胞卵子を卵丘細胞 の 付 着 形 態 に よ りl〜5の 品 質 ( 品 質1:>5層 , 品 質2:3〜4層 , 品 質3:1〜2 層,品質4:裸化卵子および品質5:卵丘細胞または卵細胞質が変性した卵子)に分類 した 。と 場由 来の 品質l〜4の卵 子をそれぞれ各品質毎に,顆粒層細胞(1x 106個/

mm) 添加区および無添加区に分けて計8区とし,経膣法由来の卵子は各品質が等しく なる よう に2区 に分 けて それ ぞれ ,顆 粒層 細胞 添加 区お よび 無添加区としてIVM―I VFを 行っ た。 その 結果 ,と 場由 来の卵胞卵子の品質1および4の卵子の胚盤胞への発 育率におしヽて,顆粒層細胞添加の影響は認められなかったが,品質2および3の卵子の 胚盤 胞への発育率は顆粒層細胞添加区が無添加区に比べ,有意に高い値(Pく0.05) であった。また,経膣法由来の卵胞卵子の胚盤胞への発育率は顆粒層細胞添加区(24

% ) が 無 添 加 区 (12% ) に 比 ベ , 有 意 に 高い 値(Pく0.05) であ った 。3)過 剰 排卵処置による胚生産の困難なウシを供試牛とし,超音波ガイド・経膣法による卵胞卵 子採 取を行った場合の供卵牛別の採卵成績,IVF後の胚発育率ならびに胚移植後の受 胎率について検討した。胚生産の困難な黒毛和種経産牛5頭に対してインヒビン能動免 疫お よび11〜12回 の超 音波 ガイ ド・経膣法による卵胞卵子採取を実施し,供卵牛別 に 顆 粒 層 細 胞 を 添 加 し たIVM, 凍 結 精 液 に よ るIVFお よ び168時 間 の発 生 培 養 を 行っ た。その結果,採取した卵子数およびIVF後の胚発育率において憾供卵牛間で有 意 な 差 が 認 め ら れ た が ,lVFを 行 っ た536個 . ( 供 卵 牛1頭 あ た り54〜2 30個 , 平 均107個 / 頭 ) の 卵 子 か ら89個 (16.6% , 供 卵 牛1頭 あ た り7〜29個 , 平 均 18個 /頭 )の 桑実 胚ま たは 胚盤 胞が 得られ た。 これ らの 胚の うち33個を1個ずつ受 卵 牛 に 移 植 し た 結 果,18頭 (5 4.5% , 供 卵 牛1頭 あ た り2〜5頭 ) が 受胎 した 。 受 胎 し た18頭 の う ち15頭 は 平 均 在 胎 日 数287日 で正 常 に 分 娩 し た が ,3頭 は受 胎 を 確 認 し た後l〜6ケ月 の間 に流産 した 。15頭の 産子 (雄7頭お よび 雌8頭) の生 時 体 重 は 2 7.5 ‑1.2kg( 平 均 土 SEM) で あ り , 全 て 健 康 で あ っ た 。   本研究によって,超音波ガイド・経膣法による胚の生産効率が向上することが明らか となり,胚および産子生産の困難なウシに対して臨床応用し得る技術であることが実証 された。

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学位論文審査の要旨 主 査    教授    金川 弘 司 副 査    教授    板倉 智 敏 副 査    教授    橋本    晃 副査   助教授   高橋芳幸

学 位 論 文 題 名

ウシの超音波ガイド・経膣法による卵胞卵子の採取と      体外培養方法に関する研究

  本研究では,超音波ガイド・経膣法によるウシからの卵胞卵子採取および体外受精(I VF)技 術 を , 胚 生産 の 困 難 な ウ シ に 対 し て 臨 床 応 用 す る こと を目 的と して ,1) イン ヒビン能動免疫が卵胞の発育ならびに超音波ガイド・経J亅窒法による卵胞卵子採取に及ぼ す 影 響 ,2) 体 外威 熟 (I VM)培 地に 添加 した 顆粒 層細 胞が 採取し たウ シ卵 子の 胚盤 胞 への 発育 に及 ばす 影響 ,3)胚生産 の困 難な ウシ に対 する 超音 波ガ イド ・経 膣法 およ びIVFによる胚作出の臨床応用について検討を行った。

  1) 黒 毛 和 種 経 産 牛 に 対 し て , ブ タ イ ン ヒ ビ ン(a鎖Nl‑26) の 合 成 ペ プ チ ド を 抗 原 と し て 能 動 免 疫 を 行 っ た 。 初 期 投 与 後10‑17週 の 間 , ( 毎 週1回 , 合 計8回 ) 超 音 波診 断装 置を 用い た卵 巣観察および経膣法による卵胞卵子採取を行った。その結果,

免 疫区 にお ける 卵胞 数お よび採取した卵子数は対照区に比べ,それぞれ有意に増加する ことが明らかとなった。

  2)超 音波 ガイ ド・ 経膣 法に より採 取し た卵 胞卵 子を ,顆 粒層 細胞 添加 区お よび 無添 加 区 に 分 け てIVMお よ びIVFを 行 っ た 。 そ の 結 果 , 顆 粒 層細 胞 添 加 に よ り 胚 盤 胞 へ の発育率の改善されることが明らかとなった。

  3) 胚 生 産 の 困難 な 黒 毛 和 種 経 産 牛 に イ ン ヒ ビ ン 能 動 免疫 およ び11 ‑vl2回の 超音 波 ガイ ド・ 経膣 法に よる 卵胞 卵子採 取を 実施 しI個体 別に 顆粒層 細胞 を添 加し たIVM, IVFお よ び168時 間 の 発 生 培 養 を 行 っ た 。 そ の 結 果 ,IVFを 行 っ た 536個 の 卵 子 か ら89個 (16.6% ) の 桑 実 胚 ま た は 胚 盤 胞 が 得 ら れ , そ の う ち33個 を1個 ず つ 受 卵 牛 に 移 植 し た 結 果 ,18頭 (5 4.5% ) が 受 胎 し た 。 受 胎 レ た18頭 の う ち15頭 は 平 均 在 胎 日 数287日 で 正 常 に 分 娩 し た 。15頭 の 産 子 ( 雄7頭 お よ び 雌8頭 ) の 生

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時 体 重 は 2 7.5土 1.2 kg( 平 均 土 SEM)で あ り , 全 て 健 康 で あ っ た 。   これらの成果は,ウシにおける超音波ガイド・経膣法による胚および産子の生産効率 を向上させ,畜産の発展に貢献するところが大きい。よって,審査員一同は,小西正人 氏 が 博 士 ( 獣 医 学 ) の 学 位 を 受 け る 資 格 を 有 す る も の と 認 め た 。

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