博 士 ( 獣 医 学 ) 小 倉 亜 希
学 位 論 文 題 名
放 射 線 誘 導 ア ポ ト ー シ ス に お け る サ バ イ ビ ン の 役 割 と レ ド ッ ク ス 制 御
学 位 論 文 内 容 の 要 旨
放射線治療は現在多くの癌治療の臨床現場で用いられている。放射線の生体 に 対す る標 的は DNA で あり 、DNA 損傷 によ ルミ トコ ンド リア から シト ク口ムc が遊離して下流のカスパーゼが活性化し、細胞の自殺であるアポトーシスが誘 導されると考えられている。しかしながら、末梢リンバ球や自血病などの一部 の造血系由,来の腫瘍細胞を除き、多くの固形腫瘍細胞では放射線を照射してち 数十時間以内の細胞周期の間朔にはアポトーシスをほとんど起さ顔い。この放 射線抵抗性の一因として、腫瘍細胞内で倣アポ卜ーシスを回避するための機構 が亢進していることが知られている。本研究の第一章では、腫瘍細胞特異的に 過剰発現してアポトーシス抑制に寄与しているサバイピンに着目し、放射線抵 抗 性の 固形 腫瘍細胞におけるサパイピンの役害q と放射線増感の標的としての 可能性を検討した。
まず、放射線単独によルアポトーシス経路が活性化するか調ぺたとサしろ、ミ トコンドリアからのシトクロム。の放出は起きてk ゝたがカスパーゼ3 の活性化 お よび アポ トー シス は観 察さ れ顔か った 。サパイピンを機能的に阻害するた め、リン酸化部位である34 番目のスレオニン残基をアラこン残基に変異さ甘た T34A ぬ らび にSmac/DIABLO 結合 部位 であ る53 番目 のア スパ ラギン 酸残 基をア ラ ニン 残基 に変 異さ せた D53A をコー ドす るアデノウイルスベクターを作製し た 。こ れら をヒ ト肺 腺窟 由来 A549 細 胞趣 らびにヒト子宮頭部癌由来HeLa 細胞 に 過剰 発現 させ て放 射線 を照 射する と、 48 時間後に生じるアポトーシスはWT を 過剰 発現 ぎ甘 た細 胞に 比較 して有 意に 増加 した 。さ らに 、Smac/DIABLO 抗 体 を用 いゝ た免 疫沈 降に より 、ルン 酸化 を受けぬいT34A はWT に比べて顕著に Smac/DIABLO との 結合 活性 が減 弱し てい るこ とが 観察 され た。以 上の 結杲か ら 、サ パイ ピン は腫 瘍細 胞に おいて Smac/DIABLO と直 接結 合して その 機能を 阻害することにより放射線誘導アポトーシスを抑鋼しており、変異サパイピン の 導入 によ りそ の機 能を 阻害 するこ とで 放射線誘導アポトーシスを有意に増 加できることが明らかに趣った。
一方、放射線照射後数分から数時間後に細胞内の酸化還元システムの関与に よ り二 次的 なROS が生じ、これらがシグナル伝達物質としてアポトーシス誘導 を制御していることが近年明らかになってきた。よって第二章で値、固形腫瘍 細 胞に おい てX 線 照射 後二 次的 にミ トコ ンドリアからのROS 産生が上昇するの
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か 、 ま た そ れ ら が 放 射 練 誘 導 ア ポ 卜 ー シ ス 経 路 に お け る ミ ト コン ドリ アか らの シトクロムc 遊離に関与しているのか検討を行った。
X 綜 照 射 に よ り 誘 導 さ れ た ミ ト コ ン ド リ ア か ら の シ ト ク ロ ム c 遊 離 は 、 抗 酸 化 剤 NAC 、 Trolox 、 S ー PBN な ら び に フ ラ ピ ン タ ン パ ク 質 阻 害 剤 DPI の 照 射 後 処 理により強く抑制された 。細胞内のROS を検出する螢 光試薬
2 |,7 .‑dichlorofluorescein diacetate (DCFDA) を用いたフローサイトメトリーおよ び ミ ト コ ン ド リ ア 由 来 の ROS を 検 出 す る 新 規 螢 光 プ ロ ー プ MitoAR を 用 い た 生 細 胞 の 観 察 に よ り 、 照 射 か ら 6 時 間 後 に は 細 胞 内 、 特 に ミ ト コシ ドリ アで のROS 産 生 が 増 加 す る こ と が 明 ら か に な っ た 。 さ ら に 、 細 胞 か ら 単 離し たミ トコ ンド リ ア を 用 い て ス ピ ン ト ラ ッ プ 剤 CYPMPO に よ る ESR‑ ス ピ ン ト ラ ッ プ 法 を 行 っ た と こ る 、 照 射 に よ ル ミ ト コ ン ド リ ア 呼 吸 鎖 基 質 NADH/succinate 依存 性ス ーパ ー オ キ シ ド 生 成 が 増 加 し た 。 ま た 、 照 射 に よ ル ミ ト コ ン ド リ アの 膜電 位差 の増 大 、 BSR オ キ シ メ ト リ ー に よ る 酸 素 消 費 量 の 増 加 韜 よ び Bax の 発 現 増 加 と ミ ト コ ン ド ル ア ヘ の 集 積 が 観 察 さ れ た 。 以 上 の 結 果 か ら 、 X 線 照 射 に よ ル ミ ト コ ン ド リ ア ヘ 集 積 し た Bax が ミ ト コ ン ド リ ア 呼 吸 鎖 を 活 性 化 し 、 そ れ に よ っ て 産 生 が 増 加 し た ス ー パ ー オ キ シ ド が 増 放 射 線 誘 導 ア ポ 卜 ー シ ス に 重 要 な ミ ト コ ン ド リ ア か ら の シ ト ク ロ ム c 遊 離 を 弓 I き 起 こ し て い る こ と が 明 ら か に な っ た 。 以 上 の よ う に 放 射 線 抵 抗 性 の 固 形 腫 瘍 細 胞 に お け る 放 射 線 誘 導 ア ポ ト ー シ ス 経 路 と そ の 抵 抗 性 を 明 ら か に す る こ と は 、 新 た な 分 子 標 的 を見 っけ 効果 的な 癌治療を行う上で重要で あると考えられる。
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学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主 査 教 授 稲 波 修 副 査 教 授 木 村 和 弘 副査 准 教授 太 田利 男 副査 名誉教授 桑原幹典
学 位 論 文 題 名
放 射 線誘 導ア ポト ー シスにおけるサノヾイ ビンの 役 割と レド ック ス 制御
固 形 彊 嚇 範 ) 苟 券 捕 瓣 飼 鰍 こ おb、 て 、 そ の 雖 瀕 驂 甥 醐 萄 お げ る1っ の 要 因 と1て 矚躪 細胞 内 の薮 弼 こ対 す る抵 抗 惟 三 を 与 え る タ ンパ ク 質が 高 発現 して い るこ と カ鴇 竃 げら れ る。 あ鴫 寸 線に よ る翻 囎 頭蜘 宙ワ 重 要ぬ メ ヵニ ズ ムと し て 、DNA損 壞 :rカ 濁 | き 金 と な っ て ミト コ ンド リ アか ら シト クロ ムc (cyt‑c)なら てRこSmac/DIAJヨLOを遊 離 させ て
― 阿 缶 の カ ス ′ も ー ゼ を 活 性f匕 し 丶 ア ポ ト ー シ ス を 誘 導 す る 経 路 が 報 告 さ れ て い る。 しか し 、実 際 、多 く の固 形 腫 瘍 細 お 岔 ぐ は 放 射 線 単 独 弼 書 ア ポ ト ー シ ス を 起 こuこ く い こ と が 知 ら れ て 潟 り 、 こ の ミ ト コ ン ド リ ア を 介 す る ア ポ ト ー シ ス シ4f冖Hこ 対 し で 抵 お 搬 を 示 すInhibitor of Apoptosi*s Proein(IAP) フ ァ ミ リ ー に 属 す る 幾 っ か の タ ン ゾ く ク 質 ゐ 鞍nら れ て い る 。 第 噺 は こ の 中 で 固 形 腫 瘍 細 咆 に お いH瀧 溌 現L′ く い る サ パ イ ピ ン に 着 目 し 、 こ れ を 梼 § 抱 と し た 放 射 綜 増 感 謝 屎 と そ の ア ポ ト ー シ ス 搦 鼎 黼 こ ´ 苅 、 て 検 討 し た 。 申 請 都 燗 形 睡 鰯 硼 包 と し て 主 に ヒ ト 肺 腺 が ん 由 来 A5曲 細 晦 を 用 い で 隣 鳶 を 行 っ たlOGyの 高 線 量 の X線 を 腫 瘍 細 胞 に 照 射 し て も ア ポ ト ー シ ス 誘 導 に 瑙 ぬ く と も 照 射 後48時 間 以 内 に ほ 殆 ど 見 ら れ 顔 か っ た カ 廴 ミ ト コ ン ド リ ア か ら の ゼyやcの 逝 商 餓 翊 融 舜 後2唾 時 間 に は 明 確 | 司 黥 さ れ 屯 し か し 、 サ ゾWビ ン の り ン 酸 イ 讎 制 立 な らU蒋 こSnおc伯I趨 【0結 合 商 粒 に そ れ ぞ 期 変 異 を導 入し たT34Aな らぴ にD53.Aサ ッ くイ ビ ンを ア デノ ベ ク タ ー に よ り 腫 嚇 卿 包 に ′ う 圃 蛍 翻 轍 さ せ る と 、X線 照 射 に よ ル ア ポ ト ー シ ス が 誘 導 さ れ る こ と が 明 ら か と 詮 っ た ま た 、 闇 按 ら 翻 こD53Aサ ′Vビ ン | 蛭 常 サ ′ ソ ビ ン と 髄 乏 し てSロ1aめ ェABL0と 嚇 給 溌 勘 ミ 鏐 港に 傴ゴFし て いる こ とカ 琴 蝕蠍 紹蜂 法 によ っ て明 ら カ斗 こな っ た。 以 との 結 課: は 、→ ,レ もfピンは固形 纏痛細蚫 に お い て 騒 瓜 溯 )I臓0の 阻 害 を 介 し てX線 誘 導 ア ポ ト 丶 一 シ スを 強 く搦 荊 しIで韜 り 、そ の機 能 をEg碧 :す , るこ と で放射線 によるアポトー シス誘導でき ることを示す ものである。
第 ニ 二 牽X弛 ミ ト コ ン ド リ ア カ ゝ ら のcyt―cの 逝 勦メ カ ニズ .ム を 明ら か そご 尹 る目 的で 翻 陟囀 ヨ 進め た 。申 請 者 は 淵 & 損 壌 訪 潟Iき 金 と な づ て 細 胞 内 活 陛 鬱 赧 (ROS) が 上ニ 昇し 、 そ 訊 ′カ 晝 アポ トー シ ス誘 溝 に護 陶 する と い う 以 前 の 報 餌 滞 日 し 、 聡 生 成 と そ の ミ ト コ ン ド リ ア か ら のcyやDの 遊 離 へ の 関 与 に っ い て 検 討 し た 。 A549細 胞 にX線 照 鰯 こ よ っ て 誘 導 さ れ る ミ ト コ ン ド リ ア か ら のcサcの 趨 鞭 ま 丶 照 射 蓮 後 にR0sを 消 去 す る抗霞鮮 出物質を培地に :加えると、 強く挧制され ることめ鑄覿 察され庶ふさら1こ、蓑螻& ゑらび斗こD53;Aヴ,′弋イビ レ の 導 入 細 胞 で 晃 ら れ るX綜 誘 導 ア ポ ト ← シ ス に つ い て も 競 霞 糾 瑚 朔 葡 の 照 射 後 処 竃 聾 こ よ り 強 く 搦 剥 さ れ 才 己 ま た 、 めS検 出 の た め の 螢 光 プ ロ ー ブ を 用 い た 実 験 に よ り 、 照 射 後 、6時 鷽 以 降 か ら ミ ト コ ン ド リ ア で のROS 産 生カ 靴曽 カ ロす る こと が 明ら カ斗 こ なっ た 。こ の よう に ミト コン ド リア がROSの 産謹誼粛であ ることゐミ明ら カ斗こな っ た の ー ふ 次 に 単 離 し た ミ ト コ ン ド リ ア で の スwも 司 一 争 シ ド ぱ め 生 成 能 を 評 艢 す る た め に 電 子 ス ピ ン 共 鳴 缶 め . ー ス ピ ン ト ラ ッ ブ 法 を 用 い た 実 鹸 を 行 っ た と こ ろ 、 ミ ト コ ン ド リ ア の 呼 吸 鎖 基 質 依 存 牲 嘶 生 成 能
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がX線 照 射 に よ り tloす る こ と カ 沫 さ れt以 ヒ の 結 果 は 纏 鴎 細 喞 こx線 照 射 す る と 、 照 射 後 に 遅 れ て ミ ト ユ ン ド リ ア を 発 生 源 と す る0避 撒 の 増 お 肋 鑞 量 こ り 、 こ の 〔 卿 ミ ミ ト コ ン ド リ ア か ら の c t‑cの 遊 離 の 引 き 金 と な っ て い る 可 禽 を 睦 を 強 く7鹸 し て い る 。
; 莓 研 舞X憾 、 サ 〆Vビ ン を 分 子 黼 に す る こ と に よ り 、 固 溌 疆 豸 譲 瞬 捲 も ア ポ ト ー シ ヌ 増 強Iこ よ り 樹 寸 線 致 死 勘 課 を 高 め ら れ る こ と を 示 し た も の で あ り 、 さ ら に そ の ア ポ ト ー シ ス 誘 導 に 重 要 で あ るcyt‑cの ミ ト コ ン ド サ ア か らの 弼 藷 駐 蟹 轍 こ .レ ド ッ ク スf黼 関 与 し てbゝ る こ とをl弭 らぬ 斗 こ し た も の であ る 。 こ れ ら の 舞l見 は 固 形 腫 瘍 の 蝕 講 綿 治 療 の た め に 重 要 で あ り 、 今 後 の 制 が ん#l瞎 敬 輔 鏑 噌 感 剤 な ど の 開 発 に お い て も そ の 意 義 は 太 き い も の で あ る ・ 。よ っ て 、 審 査 罠 一同 は 、 ヒ 記 障 士 論史 罷 出 者 ア1噸r亜 希 氏 の 博 士 論 :効i北 海遭 大 学 大 学 院 靜 雰 漑 驂 鬧 競 定 第6条 が 蘭 誣 こ よ り 本 縮 欝 勅 暫 〒 う 博 士 鏑 文 織 冶 絡 と 誌 め た
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