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博 士 ( 獣 医 学 ) 小 松 智 彦

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Academic year: 2021

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博 士 ( 獣 医 学 ) 小 松 智 彦

Canine Reticulocyte Exosomes: Parallel and Selective    Extrusion of Na,K‑ATPase and Stomatin during       Reticulocyte h/Iaturation in Dogs        with HK and LK Red Cell Phenotypes

(犬網状赤血球エクソゾーム:HK 型ならぴにLK 型犬の網状赤血球成熟過程

    

に お け る

Na

K

ATPase

stomatin

の 選 択 的 同 時 排 出 機 構 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  網状 赤 血球 の成 熟は 、赤 芽球 系細 胞分 化・ 成熟 の最 終段 階で あ り、 成熟 赤血球が必 要とす る 膜の 特 性を 獲得 する ために、 トランスフェリンレセプター(TfR)をはじめとする過剰 /不要 な 細胞 膜 成分 を排 除す る過程で ある。この過程には、タンパク質分解、ならびにエクソ ゾーム (exosome)と 呼ば れる 微小 小胞の放出が関わるとされる。犬 網状赤血球にはNa.K−ATPaseが存 在 する が 、こ れは 成熟 赤血 球に 至る 過程 で消 失し 、結果と して、犬赤血球は一般に高Na+、低 K+ のLK型赤 血球 とな る。 一方で、柴犬や珍道犬には遺伝的 にNa,K―ATPaseを保持したHK型赤 血球 をもつ個体が存在する。本研究の目的は、犬網状赤血球 成熟過程におけるNa K―ATPase消 失 に お け る エ ク ソ ゾ ー ム の 役 割 と 、 そ のHK/LK赤 血 球 表 現 型 と の 関 連 の 解 明 で あ る 。   第1章 で は 、 犬 網状 赤血 球の 成熟 過程 で放 出さ れ る小 胞の 性状 を解 析し た。LK型 犬か ら得 た 網状 赤 血球 を孵 置し 、24、72時間後に上清を分別遠心すると微小小胞が得られた。こ の小胞 は 直径20〜60 nmで、Hsc70、TfRな ど 、既 報エ クソ ゾームの指標となるタンパク質を主 要成分 と して 含 むこ とか ら、 エクソゾ ームと判断した。膜タンパク質の解析から、犬の網状赤 血球膜 に含 まれるが赤血球膜には存在しないNa K―ATPase彊サブユニット、Hsc70、TfR、GLUT1、なら ぴ に脂 質 ラフ トタ ンパ ク質 のひ とつS tomatinは、 いずれもこのエクソゾームに存在し た。一 方 で 、 赤 血 球 膜 の 主 要 タ ン パ ク 質 、 バ ン ド3、 ス ペ ク ト リ ン は 検 出 さ れ なか った 。ま た、

Na,K一ATPase、Hsc70、TfRはTritonX―100可溶性画分に、一方、GLUT1は不溶性画分に、GLUT1 と 相互 作 用す るs toma tinは両 画分に含まれていた。さらに、このエクソゾームをショ 糖密度 勾配 遠心で分画したところ、小胞は比重1. 06 g/ml〜1.14g/ml(画分4〜12)の範囲に 広く分 布 し 、HsC70、TfR、stomatinは 画分5〜8、特 にラ フト マー カー のGM1と同 じ画 分7と8に 多く 含ま れていた。一方、Na,K−ATPaseは、より比重の小さい画分4〜6に主に認められた。 これら の 結果 か ら、 網状 赤血 球エクソ ゾームの組成は均一ではなく、タンパク質構成の異なる ポピュ レ ーシ ョ ンか ら成 るこ とが明ら かになるとともに、Na,K―ATPaseと一部のstomatin、Hsc70が 同一 ポピュレーションに存在することが示唆された。

  そ こ で 第2章 で は、0verhydratedstomatocytosis(0HSt) 患者 にお ける 欠損 を発 端に 見出 さ れ様 々 なト ラン スポ ータ ーと の相 互作 用が 提唱 され てい るstomatinに焦 点をあて、 遺伝子 型 々セ 励 オのHK型 、讎 刀をと他/m由来のLK型各犬の網状赤血球と成熟赤血球におけるstomatin の含 量を検討した。HK型(々卮励闘の赤血球膜に韜けるstomatin含量がヒト赤血球と同程度であ る の に 比 ベ 、LK型( 此/mは その2% 以下 で0HSt患 者 と同 様の 低値 を示 した 。ま た、 遺伝 子型 讎 カ 々 のLK型 赤 血球 のstomatin含量 はHK型の10% 程度 で、 鮒乃 カ型 、な らび に 此/m型 と明 確 な 差 異 を 示 し た 。 上 述 の よ う にLK型 ( 此/m網 状 赤血 球に はstomatinが 存在 し、 これ に対 するHK型の赤血球、網状赤血球のstomatin含量はそれぞれ8倍、12.5倍であった。Na.K―ATPase

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とGLUT1にも類似した量的関係が認められた一方で、TfR含量はHK型、LK型の網状赤血球で 同程度であった。これらの成績から、HK型とLK型は、いずれも網状赤血球の成熟にともなっ たs tomatinとNa,K―ATPaseの減少を同様に生じること、成熟赤血球のHK/LK表現型が両型の 網状赤血球における発現量の差違に基づくことが明らかになった。

  N  以上のように、本研究は、複数のポピュレーションを含む犬網状赤血球工クソゾームが Na|KーATPaseやstomatinをはじめとする膜タンパク質の同時、かっ選択的な除去に寄与するこ と、ならびにs tomatinの膜含量がHK/LK遺伝子型の指標とぬることを明らかにした。加えて、

これらの知見は、HK/LK赤血球表現型を生じる本質的要因がTfRを発現するよりも前の前駆細 胞の段階にあることを示唆するものである。

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主 査    教 授    稲 葉    睦 副 査    教 授    木 村 和 弘 副 査    准 教 授   山 盛    徹 副 査    准 教 授   佐 藤 耕太

Canine Reticulocyte Exosomes: Parallel and Selective    Extrusion of Na,K‑ATPase and Stomatin during        Reticulocyte IVIaturation in Dogs        with HK and LK Red Cell Phenotypes

( 犬 網 状 赤 血 球 エ ク ソ ゾー ム:HK型 ならび にLK型犬 の網 状赤 血球 成熟 過程     に お け る Na,K一 ATPaseとstomatinの 選 択 的 同 時 排 出 機 構 )

    網状赤血球の成熟段階では、成熟赤血球が必要とする膜の特性を獲得するために、トランス フェリンレセプター(TfR)をはじめとする不要な細胞膜成分の排除が生じるが、これにはタンパ ク質分解、ならびにェクソゾーム(exosome)と呼ばれる微小小胞の放出が関わるとされる。犬で は網状赤血球のNa,K‑ATPaseがこの過程で消失し、成熟赤血球は一般に高Na→、低K゛のLK型 赤血球となる。一方で、柴犬等には遺伝的にNa,K‑ATPaseを保持したHK型赤血球をもっ個体 が存在する。本研究は、犬網状赤血球成熟過程におけるNa,K‑ATPase消失におけるエクソゾ―

ム の 役 割 と 、 そ のHK/LK赤 血 球 表 現 型 と の 関 連 の 解 明 を 目 指 し た も の で あ る 。     第1章では、まず犬網状赤血球の成熟過程で放出される直径20〜60 nmの小胞がHsc70、 TfRなど、既報エクソゾームの指標となるタンパク質を主要成分として合むことに基づきこれを エクソゾームと同定した。網状赤血球膜に含まれるが赤血球膜には存在しないNa,K‑ATPasea サブユニット、Hsc70、TfR、GLUT1、ならびに脂質ラフトタンパク質のひとっstomatinがい ずれもこのエクソゾームに含まれるのに対し、赤血球膜の主要夕ンパク質、バンド3、スペクト リンは存在しなかった。ショ糖密度勾配遠心により分画したェクソゾームでは、主にラフトマー カーのGM1と同じ画分に、次いで比重の小さな画分にHsc70、TfR、stomatinが多く含まれて いたのに対し、Na,K‑ATPaseは比重の小さい画分に主に分布していた。したがって、網状赤血 球エクソゾームの組成は均一ではなく、夕ンパク質構成の異なるポピュレーションから成ること が明らかになるとともに、Na,K‑ATPaseと一部のstomatin、Hsc70が同一ポピュレーションに 含まれることが示唆された。

    そこで第2章では、overhydrated stomatocytosis (OHSt)患者における欠損を発端に見出さ れ様々なトランスポーターとの相互作用が提唱されているstomatinに焦点をあてた。HK型 (hk仂問の赤血球膜におけるstomatin含量がヒト赤血球と同程度であるのに比ベ、LK型(炊仰 は その2%以 下でOHSt患者と同様の低値を示した。また、遺伝子型カ彫按のLK型赤血球の stomatin含量はHK型の10%程度で、カ彫カ々型、ならびに|り瓜型と明確な差異を示した。ま

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た、HK型の赤血球、網状赤血球のstomatin含量はLK型(1k/lk)網状赤血球の10倍程度であり、

Na,K‑ATPaseとGLUT1にもこれに 類似した 量的関係が認められたが、HK型、LK型の網状赤 血球のTfR含量は同程度であった。これらの成績は、HK型とLK型はstomatinとNa,K‑ATPase の減少を網状赤血球の成熟過程で同様に生じることを明らかにし、また成熟赤血球のHK/LK表 現型が両型の赤芽球系前駆細胞における発現量の差違に基づくことを示唆するものである。

    以上のように、本研究は、複数のポピュレーションを含む犬網状赤血球エクソゾームが Na,K・ATPaseやstomatinをはじめとする膜夕ンパク質の同時、かつ選択的な除去に寄与するこ と、さらにstomatinの膜含量がHK/LK遺伝子型の指標となることを明らかにしたものであり、

犬をはじめとする哺乳動物種ごとに特有なHK/LK赤血球表現型発現の機序、および関連する溶 血性疾患の易罹患性の解明に資するものである。したがって、審査員一同は、上記博士論文提出 者小松智彦の博士論文が北海道大学大学院獣医学研究科規程第6条の規定による本研究科博士 論文審査等に合格と認めた。

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参照

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