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円弧拘束機構を有する RC 部材の実大試験体による繰返し載荷試験

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Academic year: 2022

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円弧拘束機構を有する RC 部材の実大試験体による繰返し載荷試験

鹿 島 建 設 土 木 管 理 本 部 正会員 ○河野 哲也 鹿 島 建 設 技 術 研 究 所 フェロー 山野辺慎一 鹿 島 建 設 土 木 管 理 本 部 正会員 曽我部直樹 中日本高速道路株式会社 正会員 真田 修

1.はじめに

RC

ラーメン橋脚の耐震補強において,主桁と橋脚の間に制震装置 を設置し,装置のエネルギー吸収により地震時慣性力を低減する工法 と,橋脚脚部のせん断補強としての

RC

巻立て工法を併用した例があ る.そこでは,19 の橋脚において,写真-1 に示すように,円弧拘束 型

RC

製制震装置(以下,円弧ダンパ)が設置されており1)2),制震装置 を併用することで,橋脚横梁部の補強を不要とし,脚部の巻立て補強 についても,既に要領化されている範囲内で最小の補強量とする等の 合理化が図られている.本稿は,円弧ダンパの変形メカニズムと載荷 実験に基づく繰返し変形特性について報告するものである.

2.円弧拘束型 RC ダンパ

円弧ダンパの変形イメージを,図-1に示す.円弧ダンパは,

高密度ポリエチレン管で被覆された円形断面の

RC

製ダンパ 部と,円弧拘束機構を有する

RC

製取付けブロック部で構成さ れる.塑性ヒンジとなるダンパ端部を円弧形状で周囲から拘束 することで,曲げ変形を適切に制御して曲げ損傷の局所化を防 ぎ,拘束がない場合よりも広範囲に塑性ヒンジを形成させ,通 常の

RC

部材よりもはるかに大きな変形性能を得ることがで きる.さらに,埋込み固定部分での鉄筋の伸出しは変形性能を 増加させることから,これを積極的に取り入れるために,伸出 しに相当する角度を円弧拘束部の初期角度として加えている.

この円弧ダンパを上下部に塑性ヒンジが生じる部材として桁と 橋脚天端間に設置し,相対変位によるエネルギーを吸収させて橋軸 方向および橋軸直角方向の制震化を可能にする.

3.実験概要

試験体形状を図-2 に,円弧形状等から算定される変形量を表-1 に示す.道路橋示方書に基づいて算出されるタイプⅠ地震動に対す る終局曲率

0.23 m

-1を参考にして,円弧の曲率を

0.20 m

-1と設定し た.円弧拘束部の初期角度は,RC示方書に基づいて算定される鉄 筋の伸出角度

0.014 rad

と設定した.

載荷は図-3 に示す装置を用い,限界性能を確認するために

150

回まで載荷した.なお,履歴特性の再現性を確認するために,同じ 仕様の試験体を

3

体製作し,同一条件で載荷した.

写真-1 円弧拘束型

RC

ダンパ 設置状況

水平力

円弧拘束管 RC部材曲率の制御 鉄筋およびコンクリートのひ ずみの局所化防止 RCダンパー部

PE管被覆 PEによる

耐塩害耐久性向上 水平力

円弧拘束管 RC部材曲率の制御 鉄筋およびコンクリートのひ ずみの局所化防止 RCダンパー部

PE管被覆 PEによる

耐塩害耐久性向上 円弧拘束管(取付ブロック部)

RCダンパ部を円弧形状で外部拘束

→RC部材の曲率制御

→鉄筋およびコンクリー トのひずみの局所化抑制 R Cダンパ部

PE管被覆

→塩害などに対する耐久性向上

→横拘束効果,かぶり剥落抑制

図-1 円弧拘束型

RC

製制震装置のイメージ

キーワード 耐震補強,制震装置,RC ダンパ,履歴吸収エネルギー,高架橋,繰返し載荷試験 連絡先 〒182-0036 東京都調布市飛田給 2-19-1 鹿島建設技術研究所 TEL 042-489-7062

図-2 試験体寸法 土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

‑1351‑

Ⅵ‑676

(2)

4.実験結果

±140 mm

の載荷における載荷開始から繰返し

6

回終了までの

水平荷重と水平変位の履歴を図-4に示す.繰返し

1

回目と

2

回 目では履歴に若干の差が生じるものの耐力の低下は

9%以下と小

さい.また,

2

回目から

6

回目における耐力低下は繰返し毎に

1%

程度であり,履歴ループ形状の変化はほとんど生じていない.

繰返し載荷による等価剛性および履歴エネルギーの推移を,図 -5 に示す.等価剛性は

1

サイクルの履歴曲線の正負の最大変位 点を結ぶ直線の勾配,履歴吸収エネルギーは

1

サイクルの履歴曲 線で囲まれた面積である.100回目までの繰返し回数に伴い,等 価剛性と履歴吸収エネルギーは徐々に低下しているが,比較的安 定している.等価剛性と履歴吸収エネルギーの繰返し

1

回目に対 する繰返し

6

回目の比は,それぞれ

0.88,0.73

である.

試験体

3

体を各

150

回載荷した結果,1体の

141

回目において 軸方向鉄筋の破断による耐力低下が生じたが,他の

2

体には確認 されなかった.また,3体の耐力,剛性,ループ形状等のばらつ きは十分小さかった.

5.あとがき

円弧拘束型 RC 製制震装置について,耐震補強に用いる制震装 置としての基本特性を実験により確認した.既設橋梁の制震化は,

長周期化と高減衰化に伴う地震時慣性力の軽減や各橋脚への分 担調整により,合理的な耐震補強工法である.本橋での試算でも,

RC 巻立て工法に比べ約

15%のコスト削減が得られている.

本装置は,ポリエチレン管にて覆われていることから,塩分の浸透や中性化に対する抵抗性が大きく,海岸 線などの厳しい塩害環境の橋梁での制震化による耐震補強に適している.また,寸法・配筋等の変更により,

より大きな要求変位にも適用可能であり,変位量・荷重にバリエーションを持たせた規格製品化を行うことに より,さらなるコスト削減・適用の拡大がなされるものと期待される.

参考文献

1)

徳嵩秀晴:既設橋の耐震補強への円弧拘束型

RC

製制震装置の適用に関する検討,国土交通省技術研究会,

2012.10

2)

樋川敦 他:円弧拘束型

RC

製制震装置の適用と施工,土木学会第

69

回年次学術講演会,2014.9

表-1 各試験体の変形性能

初期角度による円弧出口部の変位 δ1= 10.4 mm 円弧による円弧出口部の変位 δ2= 27.4 mm 回転角による円弧出口部の変位 δ3= 88.3 mm

円弧外の塑性ヒンジによる

円弧出口部の変位 δ4= 14.8 mm Σδ1~4=140.9 mm (ドリフト角:8.09%)*

*:相対変位を部材長(固定間長1,740mm)で除した値

lp

larc ld

δ1

θini θarc

θtotal δ2 δ3 δ4

θp δtotal

δtotal/2

中心

円弧

範囲 0≦larc≦larc,max

lp

larc ld

δ1

θini θarc

θtotal δ2 δ3 δ4

θp δtotal

δtotal/2

中心

円弧

範囲 0≦larc≦larc,max

アクチュエータ

(

鉛直力

N=0)

上部スライド装置

(水平・回転:固定,反力測定,

鉛直:自由)

下部スライド装置

(

水平:変位入力,

鉛直・回転:固定

)

水平載荷 アクチュエータ 試験体

図-3 載荷方法と実験状況

-200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200

-200 -100 0 100 200

水平変位 (mm)

平荷重 (kN)

図-4 実験により得られた履歴ループ 載荷開始~±140mm×6回終了

0 500 1000 1500

0 20 40 60 80 100

価剛性(kN/m)

繰返し回数

1-1 2-1 3-1

0 10 20 30 40

0 20 40 60 80 100

゙ー.kN・m

繰返し回数

1-1 2-1 3-1 0

500 1000 1500

0 20 40 60 80 100

繰返し回数

0 10 20 30 40

0 20 40 60 80 100

繰返し回数

図-5 繰返し載荷による等価剛性 と履歴吸収エネルギーの推移 土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

‑1352‑

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参照

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