設備の最適使用年数について
井 上 康 男 Ⅰいほじめに。ⅠⅠり新旧両設備の取替時点の問題。ⅠⅠⅠ新設備のみの 最適使用年数の決定の問題。ⅠⅤ.飴語。 Ⅰ 設備の最適使用年数は,経済的使用年数とも言われているものである。そ・れ は,企兼の或る−・定の目標の達成のため紅最も有利な使用年数を意味する。こ 」で−・定の目標とは利益の最大化であるときもあり,また原価の最小化である ときもあり,また投下資本利益率の最大化であるとき等もあって−・定していな い。それではこのような最適使用年数ほ何の役に.立つかというと,設備取替え の最有利な時点の決定,減価償却費を計算する基礎となる耐用年数の決定等の ために.役に.立.つのである。それではこのような経済的耐用年数は如何紅して決 定すべきであろうか。こゝで注意しなけれほならないことは修繕費の注入の高 さに.よって:設備の寿命が変化するということである。それゆえ.,設備の経済寿命 を決めるためにほ,どのくらいの修繕費をかけることが経済的かを決定しなけ ればならない。ところが修繕費の経済的な高さは,設備の経済的な使用年数紅 依存する。この循環論法を解くために,後に.述べる如く原価の最小化,利益の 最大化,または投下資本利益率の最大化による最適寿命の測定において,原価 (支出)の申に.(耐用年数の変化とともに・変化する)修繕費を含めて計辞する のである。さらにまた経済寿命の測定に必要な設備から生ずる利益または原価 の予測に.おいては,設備の陳腐化(Obsolescence)を考慮すべきか否かの問題 が生ずる。この問題に関してもさらに後に.述べることとする。 さて本稿においてほ,この設備の最適使用年数は如何にして決定すべきであ るかという問題を研究したいと思う。ところで設備の最適使用年数の決定にあ たっては種々の場合が区別して考察されなければならない。たとえばまだ使用香川大学経済学部 研究年報 4 Jp(トノ − 2 − 可能な現存旧設備がすでに.存在するとき紅,新設備が出現したとする。このとき 旧設備と新設備の取巻を何時行なうべきかを決定サーる(換言すれば現在すでに. 存在している旧設備の最適残存使用年数を決定する)問題がある。さらにこれ とは別個に全く新しい新製品を生産するために.,全く新しい新設備を建設する とき,この新設備の最適使用年数を決定するという問題がある。この2つの問 題に.おいては.考察の対象となる諸条件が異なるから,両者は区別して考察しな ければならないのである。 この鵬例からも分かるように.設備の最適使用年数の計算は諸条件を異にする 具体的問題の性質によって異なってくるものである。それ故以下に・おいては次 の2つの問題を考察してごみたいと考える。 1まだ使用可能な旧設備がすでに.存在する場合新旧両設備の取替えほ何時 行なうべきか。すなわち旧設備の最適残存使用年数は後何年かの問題 2 旧設備が存在しないで,全く新しい新設備を建設する場合,この新設備 の最適使用年数を決定する問題 ⅠⅠ 算iに.考察する新旧両設備の取替え時点の問題についてほ,すでに・古く・エ・− リッヒ・も′ユナ・イダーーの研究がある。彼は・この問題に・ついて’次のような主張を なしている。1) いま或る会社が現存の旧設備を購入して−からすでに/現在までに」年が経過し た。会社はこ.の旧設備を時点rにおいて取巻えるものとする(たゞしr≧り。 そして将来も,現在の旧設備と同一一・種類の設備を無限に・繰返えして使用するも のと仮定する。こ.の新しい同一・設備の経済的耐用年数は現存設備の時点0に・ おいて計算した経済的使用年数と同・一・である。この耐用年数において,新設備 は年当り最小の平均純支出を生ぜしめる。この支出をび晋れで表わすこととし ょぅ。この純支出∽㌍は将来も不変で繰返えされる。次紅旧設備の才時点で の売却価値を点(才)とする。また旧設備の運転費用をβ(才)とする。さらに収 1)Erich Schneider,Wirtscha.filichkeitsrechnung,TheoriederZnvestirtion,3lA− ufl.,1961.
設備の最適使用年数紅ついて 一冊 3 −− 益βは常紅コンスタγトで一定であるとする。そうするとこの場合総支出の 資本価値C才古(ア)は次の公式で表わされる。 r c持(r)=ノーβ胸一〆佃d卜抑)β一冊十誓β一冊 1(1) J この(1)式を最小ならしめるため,この式をrで微分して0とおけば
一r=β抑)・
(叩)・−叩)+坤rトび欝g循〕ニ0小(2) ゆえに. β(r)・肌丘′(T)十β点(r)=ぴ㌘豆ね ・・(3) この(3)式が総支出の資本価値を最小ならしめる条件式であり,この式を満足 させるrが旧設備の取替えの時点である。 このエ・一一リッヒ・シーユ.ナイダ一に続いて,旧設備の最適残存使用年数につい て特異な主.張をなしているものにアメ.リカのジョ、エル・ディーンがある。2) 彼は旧設備を取替え.る時点に.関して,たとえばトラックを例にとって説明す ると,従来次のような諸方法があったとしている。 削.先年またほ.γマイル毎に取番える。 (2)恐が完全に償却された時紅取替える。 (3)古い車の修繕費が新車の減価償却費と修繕費の合計を超える時に取替 える。 (4)古い皐の単位コストが最低の時に取巻える。 (5)車が修繕に耐えない程に傷んだ時に.取替える。 しかしこれらの方法にほいろいろな欠点がある。第1の方法は時間または物 遠:的尺度を重視して,経済性計算の経済的金額的結果を考慮してこいない欠点が ある。第2の方法においては減価償却は税法や会社の会計政策によって歪めら れているから,呉実の減価を表わさない。またこの方法は設備取番え紅よる利 益性計算を考慮していない。第3の方法に應いてこは運転費用が新旧両皐で同一・ であることが仮定されているが,このことが正しいかどうか分らない。また新 2)JoelDean,CapiialBudgeting,6th Printing,1962.香川大学経済学部 研究年敵 4 ーIJ 一一 J964 車の真実の減価がその取得原価の減価償却紅よっで正確檻.表現されるという仮 定もなされているが,この点も正しいかどうか疑問である。第4法は旧車の年 当りコストを新車の年当りコストと比較することを忘れている。第5怯は物理 的耐用年数の測定方法であって二,経済的使用年数の静定方法では.ない。 ディ−ンは以上のように上述の諸方法を批判した後,彼自身は次のような新 旧両設備取替えの判定方式を主張するのである。 いま売上収入ほ新旧両設備(トラック)とも紅同一・であると仮定して話を進 めてみよう。 トラックの費用ほ資本減耗費(売却価値の下落),運転費用,修繕維持費, 臨時損失などよりなる。これらを合成したものが総費用である。トラックの使 用年と費用との関係は次の第1図の如くなる。 そこで新旧両設備の取替え.に関しては,旧設備でほ次の1ケ年の限界費用を, また新設備では,その最適使用年数間にわたっての年当り平均費用(最適平均 費用)を採用して両者を比較するのである。たゞし両費用ともに利子費用を含 まない。設備の取替え.を考える時点に.おいてこは,通常旧設備を現在取巻えるかま たほ取巻えをもう1年後に.延ばすかゞ考察されているときであるから,旧設備紅 ついてほ次の1ケ年の総費用のみを考えるのである。これに対して新設備ほ将 第1図 0 1 2 3 4 5 6 7 8 年 数
設碍の最適使用年数について ・−−5一 来の長い期間に.わたって使用するものであるから,費用最小の最適使用年数間 における年当り平均総費用で考えるのである。そしてこの旧設備の次の1ケ年 の総費用と新設備の最適の年当り平均総費用とを比較して費用の節約額を算出 する。この費用の節約額の状態を図匿.表わすと次の第2図の如くなるのである。 年当り総費用 0 1 2 3 4 5 6 7 8 年 赦 そして次のような投資利益率を考える。 乙クの次の1ク年の総費用 一新トラック 讐慧聖慧璧費用裏切拾率 …・(4) 旧トラ 新トラックの取得原価一旧トラックの現在の処分価額 くLツJJ何丁 lt/ この左∴辺の投資利益率が切拾率より大であるか,または少くとも等しいとき 紅のみこ.の設備取替えは採用されるのである。ディ−ンは以上のような投資利 益率法を新旧両設備の取巻えにおける判定尺度として使用することを主張して いる。 さてそれではこのようなディ叫ンの見解に.よる公式(4)を次のように変更して みよう。 すなわちいま利子費用を算定するための資本コストを切拾率として採用する ならば(4)式より次の式を得るのである。 旧トラックの次咋皮総数用一新トラックの年平均総費用≦ (新トラックの収得価格一一旧トラックの処分価額)・資本コスト これより次の(5)式が得られる。 旧トラックの次年度総数用(利子費用を含む)室 新トラックの年平均総費用(利子費用を含む) (5)
香川大学経済学部 研究年報 4 ーーー 6 −・ ヱ964 こゐ(5)式の左辺が右辺よりも大であるかまたほ少くとも等しい限り紅おいてご 新設備えの取番えが有利となるのである。 −一・番最初に.述べた・ユ∵−.リッヒ・シ,ユ.ナイダーー・の主張においては旧設備の次年 度の総費用(利子費用を含む)が丁度新設備の最適年平均総費用(利子費用を 含む)紅等しいときが新旧両設備の最適の取替え時点であった。したがってジ ョエル・ディーンの投資利益率法による設備取替えの判定基準に・おいて,利子 費用を算定する基礎となる資本コストを切拾率として使用するならば,ディ・− ンの主張とシーユ.ナイダーの主張とは実質的にほ同じ考え方となることが分るの である。 次に新設備の将来の平均総費用の算定において設備の技術的進歩に・基く陳腐 化による損失を算入すべきかどうかの問題が生ずる。しかしながらこの陳腐化 に.よる損失はその測定が困難であるから,多くの場合これを考慮外におくのが 適当であると考えられるのである。 ⅠⅠⅠ 新設備のみの最適使用年数の決定の問題については従来から色々の主張が行 なわれてこきている。以下こ.れらの主張の中主なものをとりあげて検討してみた いと考える。 まず第1に経済性計算の泰斗エ−リッヒ・シ.ユ.ナ・イダ−の主張から考察を始 めて行くこととしよう。さ) 披は経済的耐用年数を計算するにあたって,その計算の目標を資本価値(利 益の現在価値)の最大化紅おいている。彼はまず1匝‖覗りの新設備えの投資の 場合を考える。 いま次のような記号を定めてみよう。 β =毎年コンスタントな年収益 A =新設備の取得原価 β(〝)=各年の運転費用 虎(〝)=欝〝年末における設備の売却価値
3)Erich Schneider,mrischajilichkeiisrechnung,Theorie der・I7WeStition,3‖A− ufl.,1961.
ーー小 7・・叫− 設備の最適使用年数について 〝=各年度 オ=非連続的利子率 β霊勿(1・十よ■)=連続的利子率 いま次のような新設備の資本価値∬を考える。 (β一都))(1十査)−‘・−・A クる ∬こ=ご 右=1 この式ほ非連続な関数であるから,これを連続的な関数に・変換するために
(1・わー√=(1十ぶ ̄駒− とおく。
 ̄た〆 ゐ=告とすれば(1+わー=(1・・・÷) 烏→∞にすると禦(1・÷)た=♂であるから (1+去) ̄√=β ̄〆 または β〒J(1+・わ 連続的なβ一〆は,非連続的な(1+・∠ト) ̄才に等価な割引を意味している。した がって上の式は次の式で表わすことができる。 クa 茸=J〔且−β(≠))β一〆d卜A O そして彼ほ次のような資本価値の公式を考える。 殉 g=J〔β−β呵β一〆射鋤)β仇・A O この方を最大にするため紅,〝で微分して0とおけば (6) =(β−・餉)+屈′(乃トβR(乃))¢−〆㌔=0 (7) ゆえに β=β(〝)・+P屈(〝)・一点′(搾) (8) この(8)式が(6)式の∬を最大ならしめる条件式である。そしてここの(8)式を満 足させる〝が,経済的耐用年数(資本価値を最大ならしめる)である。次に,同一・設備が無限に繰返して投資されて行く設備投資の場合の,各設備
香川大学経済学部 研究年報 4 ・一一 β −−・・ J964 の経済的耐用年数を決定する問題を考察してみよう。この場合の資本価値」私。 は次の公式で表わされる。 ひ この式より次の式を得る。
殉 あ。=(J〔β−・坤)〕♂・一朝十月(乃)β−P循一斗(1+β坤+β卑+…)(9)
乃 ・(J坤)♂一触一点(〝)β−ク循十月) (1α d 1 Å∴.“.・... ‘) 1−g ̄〝Jl (1α式を最大ならしめるために.は,次の(11)式を最小ならしめればよい。 乃 Goニー「長一・(J帥β一触−・点(〝)β−β循+A) …(川 0 これを最小ならしめるため紅,〝で微分して0とおけば次の式を得る。 β(乃)+β皮(〝卜・点′(〝)=C。。・β …(12) こ.れは瓜0を最大ならしめる条件であって,この(12一式を満足させる〝が経済 的使用年数である。 最後に彼は経済的使用年数ほ上述の如く理論的紅は計算可能であるが,′実務 的に.ほ将来の長年にわたって−の設備の収入や支出および設備の売却価値などの 資料の予測が困難であるため,実務上経済的使用年数を計算することは必ずし も可能でほないと述べている。 さて次に西ドイツのディーデル・レーユナ・イダーの主張に移りたいと思う。4) 彼は会訊学に.おいて減価偵却費鈴定の基礎となる耐用年数は,設備投資計界の 経済的使用年数を採用すべきであると主張する。すなわち彼は1つの企業内に. おいて,管理会討と財務会計をでき得る限り一徹し協同させようとしたのであ る。彼は新しく調達される設備の経済的耐用年数について以下の如く述べてい る。そしてこの場合の計算螢料として,設備の陳腐化その他種々な将来の予想 を考慮潔.入れ,次の第l表のように見積った資料を基礎として請を進めてい る。4)Dieter Schneider,Die wirischaftliche Nutzungsdauer von Anlagegiltern als
B(Sti11L111ZLJtgSgl・tL)LdかJ.4bs(hr(jbtL17g(1t、T:I’(Std(TL(sch(JP t/’{1−[ag,Kiiln undOpト aden1961.
設備の最適使用年数紅ついで 第】表
− 9 −−
′ A/点 エβ Aぴ り払A ¢ ぴ
0123 456789iO 1000 750 550 400 300 30 100 300 0∩909 30 100 320 0.826 430 450 450 400 70 110 270 0。.751 4小02 30 140 230 0.683 3い15 40 140 190 0り621 2.64 70 150 130 0小565 2.30 40 160 100 0,513 2い05 50 170 80 0.467 1.87 90 190 20 0.424 1744 100 230 −30 0384 1り63 250 370 200 350 150 300 100 300 70 300 50 300 ≠=時点,A=調速原価,忍=売却価値,エβ=売上収入,AU=修繕費,蛸A=運転資 用および陳腐化を考慮に.入れた損失,Q=各期間の粗利益,ぴ=割引係数=(。1+g) ̄£, ま■=10%,才=年数,紺:去■=資本回数係数÷引算利子率 彼はエノーリソヒ・シユナイダ・−紅準じて,計静の日原を資本価値の最大化に おいて:いる。 まず1匝!限りの設備投資軋おける経済的使用年数の計算であるが,この場合 の資本価値Glは次の式で表わされる。 ケa Gl=ズQ(f)(1+g) ̄亡+点(〝)(1+∠) ̄循・−A r=1 こ.れを連続的な形で表わせほ 殉 Gl芯J●Q(才)β一〆糾餉)β−岬−A (ノ (14)式を計算してみると次の如くなる。
Gl芯・一旦塑旦ヱ十畢+点(〝)β−P乃・−・A .O
Glを最大ならしめるために〝で微分して二0とおけば dGI Q(〝)(−ββ ̄〝乃).n′.▲、′ ′、▲_乃勿、.n′′ L (13) 11心 過鼠 ・+点(〝)(】Pβ ̄β柁)+点′(紹)β ̄〆㍉=0 (16J d符 β ゆえ㌣こ香川大学経済学部 研究年報 4 J964 ・−Jクー− Q(乃)=β屈(乃)一−点′(乃) は竹 よ■=0.1に.対してP=0..09531であるから近似的に∠=βとおけばし用式は次の 如くなる。 Q(紹)=∠’忍(〝)十ト一点′(乃)〕 (18) したがってニ,これに償1表の数値をあてはめると第8年末に‥おいて 80>0.10・100+50 また第9年末において 20く0.10・70+30 となる。したがっで正確な最適使用年数は第8年と第9年との間にあるが, 計算を簡単に.するために.経済的使用年数はおおよそ・8年であると見槙れはよ い。 上述の説明においてニ1回限りの設備投資における資本価値Glは ケさ Gl;=ズQ(才)〆+属(乃)び和一−A 古=1 で表わされた。 次に,同一・設備が2回線返して了投資される場合に.おける資本価値Glは G2(紹)岩Gl(搾)+・Gl((∽)ぴね 川(19) Gl(椚)=1匝Ⅰ限りの設備投資における最大の資本価値 で表わされる。 さらに同一∴設備が鯉限に繰返しで投資される場合に.おけ■る資本価値G∞ほ =・(
皇字+
‡て Gcく)===、___,.,.._¶ q∵∵ (1十方)循 (1+∠)殉 ・し差1Q桝十榊)〝クる・−・A 〕 (1+才)乃・−1 =一斗・Gl(〝) (20J となる。 これらr13),(191,(20)の各式に第1真の数値を代入して,各場合における資本価 値を求めてみると次の第2表の如くなる。設備の最適使用年数について 筒 2 表 ・−JJ− クa Q(乃)ぴ∑Q(f)び 点(〃)び花 月 Gl(形)Gl(∽)ぴね G2(〝) G∞ f=1 (1) (2) (1)+(2) 495㍊ 1 −一十 203 158 184 175 167 207 152 254 138 308 126 327 114 104 327 95 309 86 277 1 273 273 682 955 −45 2 264 537 454 991 − 9 3 203 740 300 1040 一卜40 4 157 897 205 1102 102 5
118 1015 155 コ170
170 6 73 1088 113 1201 201 7 51 1139 77 1216 216 8 37 117(う 47 1223 223 9 8 1184 30 1214 214 10 −12 1172 19 1191 191 この第2表に.よ って明らかな如く,Glは8年,G2ほ.最初の設備の耐用年数 7年,G…は各設備の使用年数6年で最大となる。 次に設備から生ずる収益が毎期常に.コンスタントであると仮定すれば,設備 の資本価値は総支出の現在価値が最小のとき最大となる。この場合に.第1表の 数倍を適用すると次の欝∂表が得られる。 第 3 表 柁 α(〝)む乃 ∑α(f)ぴア.A一一点(乃)ぴク石 手=1 f α(乃) 0 0 0 0 0 0 0 0 ︵U O 3 3 8 7 8 2 0 2 ︵︾ 3 1 1 1 1 1 2 2 2 2 3 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 18073516122403031927 1 A▲ 0・9 4 8 2 5 7 8 8 6 0 5 5 7 3 3 0 1 47444142614。。4閤367835633499些3496 9 6 3 5 7 7 8 nO 9 9 9 9 3 7 6 7 3 9 3 7 0 A▲ 4 7 0 2 4 5 7 8 0 1 6 1 0 1 3 9 8 1 7 5 1 1 1 1 1 1 2 2 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 8 5 0 6 8 2 5 8 7 4 1 人∠ 6 7 8 1 1 1 3 6 1 2 3 4 5 7 8 9 0 1 1 1 〃(乃)=各年の運転費用支出,GAl=1回限りの設備投資の総支出の現在価値, GA∞=鰻閲匪.同一・設備が繰返して投資される場合に.おける総支出の現在価値香川大学経済学部 研究年報 4 J964 −ヱ2− ディ・−テル・シユナイダ・−−ほ第8表において1回限りの設備投資のとき, GAlは通常第1年度において最小となるのが常であっで,このことは何の意味 も持たないものである。同一・設備が無限に.繰返される場合,総支出の現在価値 GA∞は第9年において.最小となるから,この後者の場合でほ9年が経済的使 用年数であると述べている。 今度は,解3番目に我国に.おける村川武雄氏の主張紅ついて二検討してみよ う。い 同氏は経済寿命砿.は(イ)利潤最大をねらうのと(ロ)費用最小をねらうのとH資本効 率最大をねらうものとの3つがあるとされる。そしてその各々を設備新設の場 合を例にとって,次の如く説明されている。 刷 利潤最大の経済寿命 いま或る設備の取得原価をC,この設備の運転のために必要な運転資本を C′,この設備から生ずる時点ヂでの収入を丘(才),運転費用支出をβ(才),利潤 をP(才)=虎(≠)−β(わ,また時点〝でのこの設備の残存価値をぶ(〝),さらに・連 続的割引率を∠とする。そうす・ると現在の設備取得時点から時点〝までの間に おけるこの設備の資本価値Gほ,次の式で表わすことができる。 ケa C=Jp(わ㌻彗離+∫(〝)β−れ−C・−C′+C′β−£雅 0 この(211式を最大紅するために.乃で微分して0とおけば 告ご〔P(か∫′(紹卜勅)・−∠・C′〕β−か㍉㌃0 lコ1l …(22) したがって, 1回限りの設備投資の資本価値(年利潤の現在価値)を最大な らしめるための条件ほ次の式で表わされる。 P(乃)ニ∠∫(〝)十〔−∫′(〝)〕+オC′ この(23〉式を満足させる耐用年数〝が経済的耐用年数である。 ‥ t23) 以上ほ資本価値の最大化であるが,次に.今度は年平均利潤几すを最大化する ための条件式ほどうなるのであろうか。 5)村川武雄氏著『設備投資の経済計算とその理論』Juse出版払 昭和36年137−1甲 頁。
設備の最適使用年数について 2 年平均の利潤〟ほ 〃=C・−二二訂
r妄 となる0
多 と・」で−一「有高−−ほ資本回収係数である。
〃を最大に.するために.紹で微分して:0と.おけば −J3・一一 朗) 甜∴(1−・β一名殉卜拡β・一名陀 ー叫 − .ダニ0 ゐ (ト・♂ ̄虞犯)ま dG ゐ ̄摘G 血  ̄1叫・β一組 ゆえに ・(25) こ.れを(22)式に代入すると P(痢ト」g(〝)−ト∫′(乃)一之■C′ニG・ 1−P ̄拍 (26) (24),(26)式から〟の極値を才略,そのときの年数を‰とすると 肱=P(〝。)・・−〈よ−∫(乃。)−∫′(搾。)ヰよ−C′) a甚武 この〝ノが経済的耐周年数である。 今度は,同一・設備を〟年ごと紅無限に.繰返して投資して行く場合の金利潤の 現在価値ガは,次の式で裳わすことができる。 C l・−β ̄名作 ガ=G(1十β ̄細十β ̄紬り−‖)= 俊8) そして:この方の極値条件は〟の極値条件と全く一徹する。 (ロ)費用最小の経済寿命 前と同一・の符号を使用し,時点0から乃までの全費用の現在価値をぴとす る。そうするとそれほ次の公式紅よって示される。 クa 距〔C−∫(乃)¢−‘れ〕イ卯)β−・物+〔C′・−−Cセー・威館〕 牒 0 年平均の費用yほ 2 y=ぴ・羊訴
またぴの無限系列をとったものをⅣとすると …(30) 仲㌔=ぴ・ 1−−e ̄J′一 …β1)香川大学経済学部 研究年報 4 J964 ー∵由仁ー (30),(31)式から l′ごg.1I′ したがってⅤとⅣの最小条件は周じものである。 ぴの最小条件は d〝 =〔E(乃)十ば(乃)−ぶ′(〝)十∠C′〕β ̄名花 が0となることである。しかし鯛式は正値をとってニ,0となることほない0つ まりぴほ.紹とともに.増加しつづけるもので,び最小という意味の費用最小の 年数は存在しない。 次に.年平均の費用の最小値を求めると即)式から 抑・(1−β一名循トさぴβ一虞犯 .オ=0 (1−β ̄名作)B これと(33)式とからyの最小条件は 多 且(乃)十∠−∫(乃ト∫′(〝)+左■C′ニぴい丁=訴㌃
この85)式を満足させる乃が費用最小の経済寿命である。
それゆえ年平均の費用の最小値を坑,経済寿命を〝一ノとすると,次の式が成
り立つ。 仇=且(〝J)+査∫(乃ノ)−∫′(恥)+左C′ 鍋 H 投資利益率最大の経済寿命 これは,内部利益率法に.いうとこ.ろの内部利益率最大の経済寿命である0す なわち,γを連続的内部利益率とすれば次の公式が成り立つ。 ね C+C′=イP(け㌢酢十〔・∫(かC′〕β−7乃 II 8竹式の右辺をダ(γ・,〝)とおいて微分を行うと−・れ・血ご甜
C十C′ニ常数であるから dF=d(C十C′)=0 したがって ・即)設備の最適使用年数吃ついて 意=・一意/賢 ところで =P(乃)β一7兜1−∫′(〝)♂一刊軋っ〔∫(搾)+・C′ノβ−γ柁 クa 一−J5− ∂ダ =イ≠P(押切一刀〔∫(邦)+C′〕β・−γ花 ∂㌢・ 0
賢≒0として最大の条件意=0から
P(〝)+∫′(〝) ㈹ γ= ∫(乃)十C 連立方程式馴,闘を解くと,そのグ・は最大の投資利益率を表わし,その乃は 投資利益率最大の経済寿命を示す。 以上が相川氏の理論の要旨である。ところで同氏は利潤最大の経済寿命,費 用最小の経済寿命,投資利益率最大の凝済寿命の8つをあげていられるが,こ の8っは各々その数億を異にする場合が生ずるのである。このことに着目し て,それらの間の最適年数の差異を除去しょうとした人は西ドイツのマッチア ス・ハイスタ−である。それゆえ次に.ノ、イスターの理論を研究してみたいと思 う。 披は設備の最適耐用年数に.ついて以下のような主張を行っている。6) 従来の経済学の投資理論では限界分析(Marginalanalys!)といって設備投 資の諸資料の間に.連続的な関数を想定し,これに微鏡分を適用して問題を解決 しようとする理論が存在している。これを仮りに.近代的限界理論と呼ぶことに. しよう。 まず次のような仮想的な投資関数を考えて.みよう。 苗木投資額α=100方円 樹木の売却から生ずる時点才での純収入∂(才)=(t−g望+60g−275)万円 こ」では苗木を買入れて,これを何年か栽培した後に売却する場合が考察さ6)MatthiasHeister,Rentabilitaisanalyse von Znvesiitionen,Westdeutscher Ve− rlag,K61n und Opladen1962.
香川大学経済学部 研究年報 4 J,964 ー ヱ6−− れている。しかしハイスタ・−はこのような植樹の場合の計算原盤を−・般の設備 投資の場合に対しても拡張して適用出来ると考え.ている。そしてたゞ計算を冊 単明りようにするため軋,このように簡単な植樹の投資関数をとり⊥二げている のである。 さてこの投資関数に.具体的数値をあてほ也てみると,次の如くなる。 ‥ 二 __ l
____】
∂(′)lol 225】 4r)0 そこ.で次の等式を考える。 −100・ト(・一才2十60卜275)ク ̄■£=0 この¢は平均的内部利益率(非連続的)と呼ばれるものに1を加えたもので ある。 次に.以下のような数式を考える。 (39) Wみ(f)+∂(f+』才)・留 ̄加=0 そうすると ∂(f+d才) ¢Jg= こ.れから ∂(f) 旦竺二⊥ニ . 血∂(f) 」′  ̄ 」′ 改・→0 とすれば 1 一旦簑=吻=∂′(才ト音打
㈹ この勿¢は限界内部利益率とい・」,設備から得られる営業上の純収入の瞬間 的な再投資の利益率(純収入の瞬間的増殖率)を意味している。 以上に.述べた平均的内部利益率と限界内部利益率が,近代的限界投資理論の 中心的概念となっている。そして限界内部利益率は,平均的内部利益率のよう に.−・律にコンスタントなものではなく,fの経過の途中で変化するものであ る。設備の最適使用年数について −ヱ7− さてこ.の2つの概念を理解した後に,今妓ほ近代的限界・投資理論の主張の内 容を研究してみよう。そしてその説明に.あたってほ上述の計界例を採用し/て請 を進めることにする。とこ.ろでその理論ほ,資本価梱の最大化とか平均的内部 利益率の最大化とか計静の目標如何によって内容を異紅するのであるが,まず 第1に,資本価値の最大化に関するその嬰論を考察することにする。 資本価値ほ,上述の計算例において次の如く表わされる。 資本価値C(才)=100+(−≠2十60ト275)β一言f
(411
石は∵・定の非連続的計算利子率Pを前提としたときの連続的瞬間利子率であ る。 いま予ニ6%とすれほ,竃=(1+眉)=1.06,それゆえ万=0.05828となり,才 とC(≠)との関係は次の表の如くなる。f 1 5 llO j 15 ‡ 20 l 25 I 30 − 35
C(f)l−100l+26l+67l」−64】−卜40l+・9l−22 したがって,経済的に最適の耐用年数はこの場合収入関数の最大年数f=80 年ではなくて,メ=15年である。この年数をさらに・正確に求めるために,(41拭 を才で微分して.0とおく。 旦仁=卜2打60)β一声一一(・・−ず十60巨275)♂一元・ぶ=O d才 育f虫・・−(60声・十2)f十(276扇一卜60)=0 ゆえに. 才ニ16.84 C=69.4 すなわち,正確に計算した最適耐用年数は16・84年である。次に.こ.の関係をグラフに・よって表わしてみよう。収入関数∂(才)=一子雲」−60才
一・275はノ=5から正格をとるが,その増加率は逓減して行く。また㈱式を変 形すると次の如くなる。 〔C(才)十100〕♂f=−′ヱ+60卜275 この㈹式をグラフに.表わすと次の第8図の如ぐなる。 ㈹香川大学経済学部 研究年報 4 第8図肇本価値の最大化7) ヱ9(;イ ーーヱβ−【 5 10 1:) 20 25 30
この図から看取できるように・,資本価値の最大化は,∂(≠)と〔C(わ←α了β声と
が相接するところの時点ヂ=16.84に.おいて達成されるのである。すなわちこ のことを数学的に.表現すれば ∂(才)=〔C(才)+α〕㌔ から ∂′(≠)=C′(才)読書」−〔C(才)−卜α〕β示・P C′(才)=0であるから診=Fところが・上述したところに・よって功であり,さらに・如は限
界内部利益率であった。したがって資本価値は,限界内部利益率と所与の非連 続的計静利子率を前提とした連病的瞬間利子率とが相等しくなる時点において 最大となるということができるのである。このことは,純収入の現価対投資支 出比率の計算に.おいても同様紅言いうることである。すなわちこの比率をQと すれば,それは次の如く表わすことができる。 7)DeISelbe.αα.0.,S−107.設備の最適使用年数について (・−f2+60ト275)β一声 100 l−J9−一 Q= ㈹ これを最大粧するために才で微分して0とおけば Q′=窟・卜・2…0+藤一60狛2鰯)ご0 これから み」(2十60β)打(60十275斥)=0 ゆえに 才=1(∋.84 すなわちこの最適年数ほ,資本価値法の場合と完全に.一致する。このことを さらに・理論的に証明するために,(44)式を変形して.次の等式を考える。 100Qβ虎=−才2十60卜275 ・‥ (凋 ゆえに 100Q昌β才十100(∼β毒・産み′(g) Q′=0であるから 100Q㌔・盲=∂′(≠) これから ∂′(才) ∂′(f) β=㌻−− て両面 ∂(才) =わ岬 ゆえに.この場合に.おいても,所与の非連続的計算利子率に基づく連続的瞬間 利子率否が限界内部利益率袖に等しい時点において,純収入現価対支出比率 は最大となるということができるのである。 第2に.,平均的内部利益率の最大化を計好日標とした場合に.おける近代的限 界投資理論の所説を説明しよう。 いま平均的内部利益率(非連続的)に.1を加えたものを¢とすれば,それは 次のような投資関数の申紅おいて表現される。 ・−−α十∂(≠)¢ ̄£=0 これから ヴニ(豊)う ̄ (46)
J96d 香川大学経済学部 研究年報 4 ー∵aク山一 またほ 三・−′−ご ¢=β 」ニ述の計算例の数値をこれにあてほめてみると,その結果ほ次の如くなる。 」1.∼クa_ニ互生聖ヒ望む ユ0() ¢こ=β
fllOl12
し 一一 13 113..5 1 14  ̄ ̄一■ ̄ ̄云1丁蒜1
1.096【1.097711.0979‡1‖0977 したがって最適耐用年数は13.5年である。 この関係をグラフに.描いてみると欝4図の如くなる。 解4図 平均的内部利益率の最大化 J J 15 ㌘ 0 0 3 これは資本価値最大の場合と結果が異なっている。その理由ほ,両方法に・お いてこは純収入の再投資の利益率に関して仮定が異なるからであるとハイスター は言っている。 この最適耐用年数の計界を別の方法で考えて:みよう。滞4図で最適耐用年数 iこおいては.100♂ク亡と招)とが接して等しくなる。それゆえ次の等式が成立す る。設備の最適使用年数について ・− ごノ ー ∂(才)=100〆 そして ∂′(才)=100β〆・P それゆえ.
ぐ・(・.∴
∂(g) しかるに −=如であるから /ナノヴ∴二〃 ゆえ紅平均的内部利益率(=ヴ叫・1)ほ,限界内部利益率が平均的連続的内部 利益率に等しい時点に.おいて最大となるのである。 さて以上のようにり 従来の近代的限界投資理論によると,資本価値最大の最 適耐周年数と平均的内部利益率最大の最適耐用年数とほ食い違いを生じて相異 なるのであるい近代的限界投資理論ほ,今日でもなお経済的耐用年数の界定に. おいて動的投資計算の諸方法の間に巷/ずる矛盾を解決することができないまま でいるのである。これが従来の理論の矛盾であり,欠陥である。ではこの欠陥を解決してこれ
を除去する方法はないものであろうか。マッチアス・ノ、イスタ・−−は,この矛眉■ を他の論稿で述べた経済原則による投資討静に.よって解決しようとするのであ る。8)以下彼自身の経済原則による投資計算紅基づく最適耐用年数の求め方に. ついて説明を行ってみよう。 ノ\イスタ−はこのことに・関して次の如く述べている。すなわち,幾本価値法と 内部利益率法の両誌において最適耐用年数算定の結果紅矛盾が生ずる原因ほ, 設備から生ずる営業上の純収入の再投資の利益率に・関して,両方法がその仮定 を異砿・しているからである。そこでこの矛盾を解決するために.は,純収入の甜 投資の利益率に閲し会社の実際の再投資利益率を共通して使用するのである。 こ」で話を先に・進めるため紅まず限界補助投資(Marginalsupplement)と 8)紬机「動的設備投汽封抑法における欠陥の除去に∴ついて」己香川火学経済学部 研 究年搬ヨ第3号 昭和39年3月香川大学経済学部 研究年報 4 ・w22一叫−・ J96尋 いう語を定義しなけれほならない。こ.れを具体的紅示すために.,計算例として 先紅あげた次のような投資を考えよう。 最初の投資支出額α=100方円 投資から生ずる純収入∂(才)=(一才2十60ト275)方円 いまこ.の投資を,時点どで手放すべきか,または時点才十飢仁手放すべきかゞ 問題になっているとする。いまこの投資をわニ10年で手放サーと,∂(f)ニ225万 円であり,わ=15年で手放サーと,∂(≠)=400万円である。そうすると,この投資 を10年で手放すのがよいか,またほほ年で手放すのがよいかを決定するために は,f=10年で手放した場合の∂(才)ニ225万円を10年末から15年末までの5年間 にイ也の用途紅再投資した場合に、,ほ年末に.その金額がいくらに.なるかを知らな ければならない。これが補助投資である。この補助投資の利廻りが2%である と仮定すれば,この投資を川年末で手放して∂(ヂ)=225方円を他の用途に再投 資していった場合,i5年末にそめ金額は248万円となる。これを見ると,この 投資は10年末よりも15年末まで続けて使用した方が得であるという ことに.な る。この関係を図示すると次の滞5図の如くである。 S lO 15 9)Derselbe,a.a0。,S.,116.
設備の最適使用年数について “・・2β−・・ ところで限界補助投資とは,上例のわ=10年に‥おける∂(才)=225万円を∠才→0 の極限である虎時間はど他の用途紅投下した場合の補助投資である。そして
その利廻りを限界補助投資の利回り(ZinsfuszdesMarginalsupplementes)と
いうのである。 以上のような準備をした後に∴いよいよハイスターの主張の説明紅入る。そ こで投資支出がコンスタント,純収入が時点ヂの関数である植樹関数を例紅と って説明を行ってみよう。上例においてこほ, 苗木への投資支出α=−・定=100方円 植樹の売却に.よる純収入み(才)=才の関数=−≠望+60ト2乃 であった。この投資の収入関数の増加率が使用年数の延長とともに減少すると いう前提の下に.おいては,一−・般に最初の期間に.おいてほ投資の限界内部利益率 が限界補助投資の利回りよりは大きく,後の期間に.なると前者が後者よりは小 さくなると仮定してよい。最初のうちはその投資をそのま」続行して行くのが よいが,−・定の時点を過ぎて後の方の期間に.なると,その投資を売却して収入 額を補助投資に.投下するのが有利になるのである。このような状況の下に.おい ては,限界内部利益率と限界補助投資の利回りの−・致する点が,最適耐用年数 である。したがって次の命題が成立する。 定理 一・定の投資支出額を有する投資の最適使用年数は,限界内部利益率と 限界補助投資の利回りが−・致する年数である。 上例に・おいては,補助投.資の非連続的な実際に・狩得可能な利回りを常に2% と仮定した。それゆえ,これを連続的な利回り紅なおせば次の如くなる。 限界補助投資の連続的利回りβ=勿曾=勿(1十0.02)=勿1.02=0.0198 ところが,この投資の限界内部利益率は次の式で表わされる。 ∂′(′) 2ト60 限界内部利益率=  ̄ ㌃行「 がL刷75 両者は最適耐用年数の時点≠において相等しくならなければならないから 2才・−60 0.0198 古生」・・−60才一十 ゆえ㌢こ ヂ=2・4.2年香川大学経済学部 研究年報 4 、一 ユJ・−・ J964 となり,この投資の最適使周年数は24.2年であることが分かる。 さて,資本価値法においては,限界補助投資の利回りが一・砕=に.所与の連続的計 界利子率で行われると仮定されているのである。こめ仮定が正しい限り,資本 価植法は適正である。_L例に.おいて投資支出がコンスタントのときにおいて ほ,純収入関数の限界内部利益率がこの所与の辿組拘計算利子率に等しいとき 最適の両用年数が得られるのである。 次に.純収入の現価対投資支出比率法も資本価値法の仮定と同…・である。 最後に,内部利益率法はどうであろうか。この方故においては,限界補助投 資の利回りがその投資案の平均的連続的内部利益率そのものに.等しいと仮定さ れている。それゆえ実際の限界補助投資の利回りがこの平均的連続朋内部利益 率に実際に.等しい限り,内部利益率法は正しいことになる。上例において投資 支出がコンスタントのときにほ,純収入関数の限界内部利益率がこの平均的連 続的内部利益率に等しくなる年数が最適耐用年数である。 以上のよ.うに.資本価値法と内部利益率法とでほ,限界補助投栗の利回り紅l謁 して仮定が異なっているから,最適耐用年数紅関する結論も相異なるのであ る。 ハイスター・はこの両方法の矛盾を解決するため,経済原則に息づく投資計静 に.おいて,限界補助投資の利回りをこの企菜の実際.上の運用利回りを以て−評仙 するのである。このこと紅よって両法払おける矛盾ほ解消する。そして両法は 各々経済原則に基づく投資計静の特殊の場合を表わすものとなる。ハイスタ− は,資本価値法の方が叫・般紅一層弾力性を持っていて,_上述の会社の実際⊥.の 運用利回りを連続的討掛利子率に採用、するこ.とができるから,栗本価触法がl勺 部利益率法よりも具体的紅は経済原則紅基づく投潜計算の結果に近づくことが 可能な場合が多いことを述べている。なお披ほ上述の設備の最適使用年数の決 定において,利潤額そのものの極大化を狙っていることが分かる。 さてエ仙・.リッヒ・シ.。.ナ・イダ・−は,資本価値法を用いて,同一−・設備が連続し て2回線返して投資される場合,第l番目の設備の最適耐用年数ほ,第2番目 の設備の最適耐用年数よりも短いことを証明している。たと.えば次のような封 算例を考え/てみよう。 投資支出額α=500方円
設備の最適使用年数に.ついで −2∂−− 純収入∂(≠)㌫200f万円 −500十200ね ̄〆=0 こゝでエージッヒ・レユナイダ・一に倣って,次のような資本価値を考える。 たゞし毒は連続的計算,ねは第1番目の設備の使用年数,≠1ほ第2番目の設備 の使用年数であるとする。 C(才1;才2)=200才2β‘ ̄〆2・−500十〔200わβ ̄〆1・−500一〕β−Pf2 これを最大紅するため紅,偏微分を0とおけぼ = 釜200β一〆2一200才Bゐ−〆2−・〔200れβ一〆1−500〕ぁー〆2=0 −− 些=〔200¢一戸fl・−・200栖一〆1〕β−〆2=0 鋸 1 1−−・純蒜融1β一〆1・−・・2.5P l 才1こ 一==「一一− β ところが非連続的計算利子率を6%とすれば,扇=J〝1.06であるから れ=17.16 ね=13.85 となる。 次紅このことを,ハイスターの経済原則に.よる投資計静によって証明してみ よう。 いま限界補助投資の非連続的利回りを,すべての場合に−・樺に.6%とする。 そして1回限りの次の式で示される設備投資を考える。 −500十200柏 ̄古ニ0 そうするとこの設備の最適耐用年数は17.16年となる。 今度ほ.同一・設備が2回線返される上例の場合には,第2番臼の設備Glは限 界補助投資の非連親的利回りは6%で同一・であるから,前の1匝=唄りの設備投 資の場合と同一・の最適耐用年数を持つのである。そうすると今度ほ.第1番目の 設備G2の最適耐用年数はどうか。 第1番目の設備G盟の使用年数の終りにおいて,わを決定するために蛋要な 限界補助投資は2っの部分に.分かれるのである。すなわちα万円ほ第2番目の
香川大学経済学部 研究年報 4 J964 ー・一ご6 一、・
設備Glの購入のため必要である。そして残りの〔∂(才2ト・Lα〕万円は,・一・定の再投
資率たとえば計算利子率で他の用途へ再投資されると見徹される。し∂(才2トα.j
万円の限界補助投資の利回りは,Glの耐用年数の間−・定の利回りすなわち計算
利子率¢で再投資されるから,P=血ヴに等しい。
次に.Glの購入のために必要なα方円に・対する限界・内部利益率加¢は次のよ
うに.して決定せられる。すなわち,才1+わ時点においてGlの限界補助投資の利回りほ加古,∂(ヂ)の増
加率は∂(gl)加古である。〔招2)−α〕万円の限界補助投資の利回りをコンスタン
トなぁ盲紅等しく保つために,≠2時点における収入の増加率をα万円の方に・帰
属させるならば,ね時点に.おける収入の増加率はα・血¢である。この増加率
ほ−・定の利回りすなわち計算利子率で再投資されなければならないから,わ+才2時点においてはα・血石・盲才1という値をとる。G3の最適耐用年数は,
fl十ね時点における収入の限界補助投資の増加率∂(り・加盲が,同じくみ十才3
時点に.おいて考察されたね時点における収入α万円の増加率α・勿虻・¢flに等
しくなるときに達成される。 したがって α・飯盲・盲≠1=∂(りあ盲 または ∂(り血石 加¢ したがって,ね時点における∂(才已)万円紅対する限界補助投資の平均的利回り¢は次の如くなる。
〔み(才2トα〕加古ヰα・血石 んJ示‥−・ それゆえ ′叫・ ∂(≠雲) r拍已トα〕血石+み(gl)血石・盲 ̄gl ∂(f2) ところで叔適耐用年数の時点わにおいては次の等式が成立する。設備の段通使用年数紅ついて ー27− これを上式に代入して 旦堕L=∂(わトα+∂(才1)盲一才1 飯〃 こ.の式が,G慧の最適耐用年数才巴を与えるのである。上述の計算例の数値を この式紅代入すれば 200 勿1.06 一芯200≠B−500十200・17.16・1.06 ̄1つ−◆16 こうして ね=13.35 が得られた。この結果ほ,すでに計算した鈷果と一・致するのである。 ところで資本価値最大の条件の下における2列の投資の最適使用年数と,経 済原則による2列の投資の最適使用年数が叫・致したのは,経済原則に.おいて使 用した実際の限界補助投資の利益りと,資本価値法払おける計算利子率とが・一・ 致すると仮定したからである。この仮定がくずれると,結果ほ.一一・致しなくなる のである。 以上ハイスターーの主張の内容に.ついて検討を行った。彼は上述の如く,最初 の投資支出およぴその後の収入が,唯一・つの才の関数であるという極めて簡単 化された植樹の計算例を基礎としてその主張を展開している。そ・して披は,従 来の近代的限界投資理論において:資本価値法と内部利益率法との間の設備の最 適寿命紅潤する結論の食い違いを除去するために.,経済原則に基づく計算を導 入して,すでに.述べたような経済原則に基づく限界投資理論を主張したのであ った。 以上において新設備の経済寿命測定に関して,従来主張されている諸学説を 検討した。これらの学説のうち,西ドイツのディ」−テル・レ。.ナイダ・−の主張 を,こ一」でもうー・度ふり返ってみる必要があると思う。ディーーデル・シ.ユ.ナイ ダ「は,設備の経済寿命の測定の基礎資料となる毎年の純収入算定のための費 用支出の申に,その時その時に存在する最良の新設備(新取替設備)を使用し ないことから生ずる利益喪失を,機会損失として含めているのである。それは 設備の経済寿命測定にあたって,技術の進歩の影響に考慮を払う■ためであると
香川大学経済学部 研究年報 4 r964 ーー2β【【 している。10) しかしこ」に問題があると思う。現在新しく調達される新設備が将来に.おい て使用されている間に,将来さらにもっと新しい新鋭設備が出現したとき,多 くの場合そ・の時期において両者を取替えるのが企業にとっては有利である。し たがってこの場合は,将来さらに.もっと新しい新鋭設備が出現する時期が,現在 新しく調達される新設備の将来に.おける取沓.え.の時期であり,その時期が現在 の新設備の最適寿命であると考えるのが適当である。それゆえ.筆者は,現在新 しく調達される新設備の経済的耐用年数を予測するに.あたっては,その最適寿 命が,将来もっと新しい新鋭設備が出現しない前において到来す−るものと仮定 して,つまり将来の新鋭設備の出現はたな上げにして,これを考慮しないで, 現在■の新設備の経済寿命を一応のめどをつける意味で予測すべきであると考え るのである。 この意味を−・層よく理解して貰うためにくり返して述べるならば,多くの場 合現実の企業においては,将来の新鋭設備出現の時知が現在購入する新設備の 取替えの時点であり,その最適寿命であると考えられる。 したがって−,現在購入する新設備の最適寿命は何時かと質問されるならば, それは将来さらにもっと新しい能率の−・層良い新鋭設備が出現する時期であ る,と答えるのが適当である場合が多いであろう。ところがその将来の新鋭設 備の出現の時期は,不確定で予測できない場合が多い。これでは現在の新設備 の経済寿命を予測することほ不可能な場合が多くなるのである。それゆえ,便 法として.次のように.考え.たらよいと思う。すなわち,現在の新設備の経済寿命 は将来の新鋭設備が出現しない前に.到来するものと仮定して,将来の新鋭設備 を採用しないことから生ずる損失,つまり陳腐化による損失を山応考慮しない で,現在の新設備の経済寿命を考察するのである。この方法が,実務的に意味が あると考える。したがって,筆者の見解によると,設備の経済寿命の測定にお いてはディ・−テル・シユ.ナイダ・−・の如く,測定計算の基潜資料となる費用支出 の中に.,その時その時に.存在する最良の新鋭設備を使用しないことから生ずる
10)Dieter Schneider,Der Einfluszvon ErtY・agSieuern aufdie yorieilhafiigkcii ぴ〃〝∫〝〝β.頭兢〃〝e〝,ZfhF,1962,Heftll、S・556−557.
設備の最適使用年数把ンついて 一一−ヱ9 −−一 利益喪失(機会損失)を,費用として含めないのである。 以上において述べた如く設備の経防寿命の測定にあたってほ,設欄の陳腐化 というものを考慮しないで,叫応のめどを得るために.陳腐化を考慮外に・おいた 最適耐用年数を計節して−みるのが,現実の企業においては有意義であると思う のである。そしてこのような前提の下で,陳腐化を考慮外に.おいた設備の経済 寿命の測定計算に.おける具体的方法は,次のような計界を行えぼよいと思う。 すなわち最初の投資支出ほ除外して,その年の純収入がこの設備の売却価値 の減少分と利子の合計紅.等しくなる年が,その設備の経済寿命であるとするの ある。 この場合紅ほ,設備の触続使用から生ずる毎年の純収入ほ.年の経過とともに. 減少して行くという仮定が前提としておかれているこ.とほもちろんである。 以上述べたような計野方法が−・回限りの新設備の最適寿命測定の方法として 実務的把.最も意味があると考える。 最後に.−・.連の同一・設備の無限の連続的な繰返し投資の場合ほ現実の企業に.お いては行われないといってよいから,この場合は実務的に.意味がないと考えら れる。 ⅠⅤ さて以_l二において設備の最適寿命の計静を(1)まだ使用可儲な旧設備が現存し ている場合の新l郡毎設備の最適取耕え時点の決定の問題と(2)全く新しい新設備 のみの最適使用年数の決定の問題との2つに分って検討して来た。そしてその 結果としての結論は次の如くである。 (1)第1の新旧両設備の最適取番え時点の決定の問題においては旧設備の次 の1ケ年の総費用が新設備の最適の年当り平均的総費用紅丁度等しくなる(そ の後は前者が後者より大きくなる)年が最適取替え時点である。この場合新設備 の絶賛周に.おいては,将来生ずるかもしれない新鋭設備を採用しないこ.とから 生ずる損失すなわち設備の陳腐化に.よる損失を考慮外に.おくのが適当である。 何故ならば設備の陳腐化紅よる損失を将来にわたって予測することほ不可能で あるからである。 (2)第2紅全く新しい−・回限りの新設備のみの最適使用年数の決定の問題に.
香川大学経済学部 研究年報 4 ーー30−− ヱ964 おいては.次の如く考えるのである。 すなわち現在の新設備の最適使用年数は多くの場合将来において新鋭設備が 出現するときである。しかし,たいていの場合将来匿おける新鋭設備出現の時期 を予測するこ.とは困難である。したがってこのとき次のような仮定を便宜上行 って,現在の新設備の最適使用年数の計算を行う。すなわち現在の新設備の最 適使用年数ほ将来,新鋭設備が出現する以前に到来する。それゆえ/現在の新設 備の費用の予測においては設備の陳腐化に.よる損失を考慮外におく。このとき, 現在の−・回限りの新設備の最適使用年数は最初の投資支出は除外して,その年 の純収入がこ.の設備の売却価値の減少分と利子の合計に等しくなる年が,この 設備の経済寿命であるとす・るのである。 次に.同一・設備が無限に連続的に.繰返し投資される場合は現実の企業において 行われないといってよいから,実務的に意味が乏しいのである。