∴
−35−
35
設備投資の経済性計算に おける線型計画法の応用
井 上 康 男
Ⅰ序
西ドイツのアドルフ・モックスター・は論文「線型計画法と設備投資理論」(商
(1)
学研究雑誌1963年5・6月号)において経営経済学上の設備投資理論は歴史的 転次の8つの発展段階を経過して今日に至っていると主張している。
第1発展段階
第1の発展段階は今世紀の80年代における投資理論であって,昔の利子理論 や財務数学を基礎として主として設備投資の経済性計算の基礎的な概念と方法
とが研究された段階である。この発展段階はケンニーー∴ス・イ−・・プールディソ グ,クルト・ルソメル,ハン∵ス・オイラ−およぴハン.ス・ディ−・ルックス,ノ\
インリッヒ・フヵーン・レコ.タッグルベルク ,ワルタ、−・オイケン,バクル・エ イ・サムエルソン,ガプリェル・プラインライヒ,ハロルド・ホタリング,フ
ランク・エイチ・ナイト,ジョン・リチャ−ド・ヒックス等の19卯年代の著書 および論文紅よって代表されるものである。
第2発展段階
帯2の発展段階は今世紀の40年代における投資理論であって,主として不確 実性における設備投資の計算理論が展開された段階である。この第2の発展段 階はオ巧か−・ラング,デヨ・一汐・一エル・エス∵レヤプクル,ユルグ・ニ−ノ、
ンス,レオブリレド・汐工一−‥サピッヂ,アルバート・ゲイロー・ド・ソ、ルト,汐
(1)Adolf Moxter,Lineares Programmieren und betriebswirtschaftliche Kapital−
theorie,ZfhF,1963,Heft5/6,S285−r287
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第37巻 第1巧 36 ーーー36−1
ヨン・フォン・ノイマンおよぴオスカ−・モルグンレユ.テルソ,レカ■ニッド・
ハーー・クィッツ,アプラハム・ワルド,ゲルハルト ・ティソトナー,ワルデマーー ル・ウィットマン等の1940年代の著害および論文によって代表されるものであ る。
第8発展段階
第3の発展段階は今伊紀の50年代における投資理論である。この発展段階に おいては設備投資理論と企業財務論との結合が行われた。この段階はジョエル
・ディー・ン, デェイビッド・デ.ユ∴−・ラント,ユズラ・ソロモン,モデリアーニ イおよびミラー,ビヤマンおよびスミット,クィルフオ−・ド・汐.霹−・アイト マン,ミロン・汐ェー・・ゴ−・ドン等の1950年代におけ畠著書および論文によっ て代表されるものである。
設備投資理論は以上の8段階を経て現在に.至ったのである。そうしで今日の 1960年代においては最適資本調達引画と最適の投資計画とを同時に決定する理 論が展開されつ」あるのである。その1例として設備投資計画に対する線型計 画法適用の理論をあげることが出来る。設備投資の経済性計算に線型計画法を 適用した最初の人はフラン.スのピ・エ−ル・マヅセであった。そしてその方法は
フランス国営電力会社においても実地に適用された。その後この方法は.チャーー ンズおよぴク−パ・−・ならびにミラ・−,西ドイツのホルスト・アルバヅハ,ぺ−
(2)
テル・スクォボーダ,へ・ルベルト・ヤコブ等によって発展せしめられている。
以上がアドルフ・モックスタL−の主張する設備投資理論の発展段階説である。
このように今日においては確かに設備投資計画に線型計画法を応用すること
12)Adolf Moxter,a、a 0.,S.287。
Vgl.Mass畠Pierre,Le Choix desInvestissements,Paris1959;Charnes,A.,
Coopef,WりW−andMi11er,M H・,Applicationof Linear Programming to Fi・
ancialBudgetingandtheCosting of Funds,Journ?lof Business,Vol.32(1959),
pp。20−46;Horst Albach,Linear ProgrammiezIung alsHilfsmittelbetzIieblich・
erInvestitionsplanung,ZfhF,1960,Heft9;PeterSwoboda,DieErmittlungoptima lerInvestition$entSCheidungen d11rCh Methoden de$Operations Research,ZfB,
1961,Nr.2;Herbez・tJacob,Investitions・・Ⅰ・eChnung auf derGrunrdlagelinearer Optimierung,ZfB,1962,Nr.11.
設備投資の経済性計静における線型計画法の応用 −・∂7−
37
が熱心に研究されて凍ているのであるが,その理由は何かというと,それは種 々なる制限条件を計画過程ゐ中へ同時に織り込むことが出来るという利点を有 しているからである。すなわち線型討画法は設備投資の経済性計算匿おいて設 備投資其の利益性以外の他の種々なる制限条件を同時的に計算過程の中に導入 させることが出来て,企共の全体的立場からの観察を可能ならしめるので,き わめて有効適切な手法であるからである。私見によるとこのような設備投資計 画に対する線型劇画法の適用ほ理論的には現在西ドイツの経営雑誌において盛 んに論議されている。そこで筆者は本論攻においてこれらの西ドイツの学者の 主張をとり上げてこれを研究してみたいと思うのである。それ故以下において ほ先ずこれらの西ドイツの諸学者の所説を紹介し,最後に彼等の主張において 存在している設備投資計画に対する線型計画法の応用理論における重大な弱点
を摘発して,これを批判してみたいと考えるのである。
ⅠⅠ線型計画法適用理論の内容
西ドイツにおいて設備投資計画に・線型計画法を適用した理論を検討するため に筆者は先ずホルスト・アルバッノ、の主張から批判を始めて行きたいと思う。
1 ホルスト・アルパッノ、
ホルスト・アルバッノ、(Horst Albach)ほ.論文「経営上の投資決定の判定基
「さ) 準としての利益性と財務的安全性」(経営経済雑誌1960句」0月号および11月号)
に・おいて設備投資決定に対する線型計画法の適用についで以下の如く述べてい る。
彼はこの論文で,設備投資の決定に1影響を与える要因に.ほ種々のものがある が,その中投下資本の利益性(Rentabilitat)と財務的安全性(Sicherbeit)
だけを ̄考察の対象としている。この2っは設備投資計画に.おいて,主要な判断 の指倒であるからである。
(3)Horst Albach,RentabilitfIt und SicheIheit als KIiterien betrieblicherInves・
titionsentscheidungen,ZfB1960,Nr10,S583M−599und NI.11,S.673−−682
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38 第37巻 第1号
ーββ−
(4) (1)利益性
設備投資の経済性計算に.閲し,資本主義社会で第1に考慮されるのは投資設 備の利益性である。この利益性には次の2っのものがある。
川 個々の投資設備の耐用年数中の利益性を最大にするようにもってゆくこと である。
(ロ)個々の投資設備の利益性でほ.なくて,経済性計算の資料を予測出来る,適 切な企業の生存年数間の企業全体の利益全体を最大ならしめるように投資をし てゆくことである。個々の設備の個々単独の利益性は問題としないで,企業の 全体的立場からの企集金体の利益性を問題とするのである。また全生存期間の 予測ほ不可能であるから,投資計算の資料を予測出来る,適切な長さの企業の 生存年数を決めて,この期間について投資の経済性計算を行うのである。以上 め2っの利益性の中,後者の企業全体の利益性が,投資決定の判定基準として 採用されるペきである。
(5) (2)財務的安全性
投資計画においては,種々の危険を考慮しなければならないが,アルバッノ、
は,この論文では財務的安全性だけを考察している。適切な長さの計画期間中 においては利益性だけでなく,財務的安全性を確保して,企業をつぶさないよ うにし・なければならない。財務的安全性の判定考準ほ,次のようである。
「企業の収入および流動資金は,あらゆる時において常紅企業が同じ時点に
(6)
おいて支払わなければならない支出よりも大でなければならない。」
そしてこの判定基準ほ.,企米全体に対してだけ適用される。ある設備の収支 が一・走の時点において赤字でも,これをその時,他の設備の収支の題字でまか なっ′て,企業全体として収入・支出が調盤出来ればよいからである。
以上の事柄から分るように企業における投資決定の判定基準としての利益性 と財務的安全性ほ.,企業全体紅関して計算すべきであり,個々の投資設備牒
(41Derselbe,a a.Ou,S584−586 15)Derselbe,1aa0.,S586「588 161Derselbe,a.a 0.,S.588.
設備投資の経済性計静における線型封画法の応用 −∂9−
39
独の利益性と財務的安全性は,投資計画紅とっては不適当である。それ故アル バヅハは,企業全体の適切な計算期間の総合的な計画の立場において,利益性 と財務的安全性を最適に結合する最有利な設備投資計画を,リニア−・プログ ラミングを用いて展開する。この線型計画法に・よる経済計算が個々の設備案の 個別的な経済性計算と異なる点は次助ようなものである。
(1)線型計画法による計算は企業の全体的立場から計算するから,他の設備案 より大なる利益性指数(たとえば資本価値)を有する設備が必ずしも採用され ない◇
(2ト種々の乏しい資源に関する制約条件を計算過程の中に織り込むことが出来 る。
ところでこのように設備投資計算砿線型計画法を適用するにあたって2っの 問題が生じてくる。
(1)繹1の問題は設備から生ずる各年の純収入の再投資の問題である。多くの 企莱に.おいてほ一,設備への投下資本は販売収益性よって逐次回収され,そして この回収額はまた再び直ちに企業の収益活動へ再投資されるのである。彼はこ の回収資金の再投資問題をどのようにしてエアの中へ織り込むのであろうか。
アルバッハはこの問題を次のような仮説を採用することによって解決してい る。すなわちこの回収資金の将来の再投資ほ.,過去の企業の平均総資本利益率 を従来と同様に生ぜしめるであろうと仮定するのである。そして−この企其の過 去の平均総資本利益率を引算利子率として痍用するのである。そうすると将来 の再投資の資本価値ほ0になるから,将来の再投資問題は考慮外紅おくことが できて卜現在提案されている設備投資の資本価値だけを考察すればよいことに なるのである。彼は次に述べる設備投資の具体的計算例においてほ,簡単化の ためこの仮定を採用しているが,しかし理論的紅ほ将来回収資金で再投資する 設備が正確に分っていれほ,そのことを考慮し討算に入れて,この仮定ほ捨て
なければならない。
(2)第2の問題は上紅述べた財務的安全性の条件をどのような形ちで線型計画 法の制限条件の中へ織り込んだらよいかという問題である。彼は経営者が巌も
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←−すクー− 40
望ましいと考える−一定の回収期閣内に.,全体としての設備投資額が当該設備か ら生ずる各年の純収入の合計によって回収されるならば,企業は財務的安全性 を持つと考えてよいであろうという仮定をおくことによってこの問題を解決し ようとしている。筆者はこの仮定が実際に適当であるかどうかは,これを具体 的問題にあたって具体的に.検討して決定すべきであると考え.る。
次に.アルバヅハのあげたムPによる設備投資の経済性計算を研究しよう。彼
\rl の示した計算例は次のようなものである。今ある織物会社が2っの部門紅新し
い織機を備え付けようと考えているとする。企菜ほこの新しく備え付ける予定 の織機によって,A部門でほ無色の単純な衣服地を,またβ部門では流行の衣 服地(基盤じまのフレスコ・グレンシュック)を生産しようと考えて−いる。
A部門では無色の衣服地生産用の織機として∴ノツズル式敵機,つかみ式織機,
高速自動式織機の8っの種類の織機を考慮中である。一方β部門では流行の衣 服地生産用の織機として,A,月,C,かの4っの種類の織機を考慮中である。
しかしこの中A,C,かの8種の織機を運転するためには,その前段階として さらにC部門を作って,こゝで付属の糸より機を運転する必要がある。この糸 より機としてはクソテルプルク式糸より機とニッぺス式糸より機を考慮中であ る。β織機はそれ自身糸よりの作業をもする高速自動装置なので,付属の糸より 機を必要としないのである。これらの諸機械に・関する資料は次の通りである。
第1衷 部門Aの投資案(り
ノッズル式lつかみ式 高速自動式 測定単位 織 機 j 織 機l絨
(1) 】 (2〉 蓼 (3)
m/年
DM 年 DM DM/年
人数 キ ャ バ レテ ィ
取 得 原 価 耐 用 年 数
残 ノ存 価 他 毎年の粗利益並 必要とする人員
*収入差引支出
10,000 120,000 10 50,000 20,000
3
12,000 90,000
4
20,000 30)000
3
10,000 20,000
5
0
10,000
1
(7)Derselbe,aa0.,673〜682 18)Derselbe,aりa0・,S.674
設備投資の経済性計算における線型計画法の応用 −−4J一 第 2 表 部門B の投資案(9)
41
測定単位 A織機 B織機 C織機 D織機
(4) 】 (5) t (6) l (7)
20,000 75,000
10 10,000 15,000
4
10,000 60,000
8
5,000 12,000
1
25,000 30,000
7
0
10,000
3
キャパシティ
取 得 原 価 耐 用 年 数 残 存 価 値 毎年の粗利益嘗 必要とする人員
*収入差引支出
15,000 10,POO
5
0
5,000
2
第 3 表 部門C の投資案 く10)
クソテルプルク式 糸 よ り 機
ニ ッ ぺ ス 式 糸 よ り 機
(8) l 伯)
_
岬DM年嘩DM服 D
キャパミ/ティ 取 得 原 価 耐 用 年 数 残 存 価 他 毎年の粗利益醐 必要とする人員
40,000 20,000
5
7,500 6,000
1
60,000 5,000
4
1,000 5,000
4
*最終製品である衣服地に換算したノーレレである。
料より終った糸は,計静価格(市場価格)で評価して∴粗利益を算出した。
収入差引支出。
E9)Derselbe,a a,0一.,S.674
(1O)Derselbe,aha0.,S675.
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42
第37巻 第1号
−−42−
この投資計算の適切な計画期間ほ10年間であるとする。そしてこの計画期間 の間虹販売収益に−よって伯叔きれた資金むよ,常に企業ゐ平均的な総廃木利益率 を生ぜしめるように再投資されるとする。この平均的総資本利益率は1U%であ るとする。
部門Cで過剰に生産されたより糸は,外部への販売が不能なので,部門βと 部門Cとのキャパジティはお互に・調和しなければならないものとする。また企 業の使用可能な工員は65人であり,また将来に・おける製品の毎年の販売量は,
フレスコ・グレソシニック100,000〝亨,単純な衣服地15b,000沼である。次に各 設備の資本価値を計算しなけれはならない。資本価値ゐ計算において計算利子 率は10%とする。また収支はすべて各年度末に行われるものと仮定する。資本 価値の計算を各機械について行えば,次のよう転なる。すなわち,たとえ・ばノ
ブズル式織機の資本価値は次のように計算される。
資本価値=−・取得原価+毎年の粗利益×10年間の年金現価率
十残存価値×10年目の割引率
=−・120,000+20,000×6,1445−ト50,000×0.8855=28,069 同様にして他の機械の各耐用年数に対応する資本価値もそれぞれ計算するこ
第 4表 資 本 価 値(1り
し攣竺竺竺竺 機械番号】 投 資 設 備
ノ ッ ズ ル 式 織 機 つ か み 式 織 機
/高 速 自 動式織 機 A 織 機 B 織 機 C 織 機
D 織 機
クソテルプルク式糸より挽 ニ∴ ッぺス式糸よ り 機
23.069 19,228 18,087 21,701 6,857 19,013 9,041 7,573 1l,589
(11)Derselbe,aa0.,S676
設備投資の経済性計算における線型計画法の応用 ・−4β−
43
とが出来る。これを集めると第4表のよう・紅なる。
いま設備投資計画において投入すべき各機械の台数を.れ,∬2…,鞄(1,2,
,9は第4「表の機械番号を表わす)とすれば,最適の投資計画は次のリニア
_・プログラミングの問題を解くことによって得ることが出来る。
(1.1)10,000・方1ヰ・12,nOO一灯㌢十10,000・恥≦150,000
(1.2)錮,000.方4十10,000.恥+25,000翫・十15,000.和≦1帥,000
(1.8)3.焉1+3.仇+領+如4+∬5+3.恥+2.和+.彩8+如9≦69
(1.4)20,00助4+25,000.方6十1軋000.方7=40,000頻+60,000.和 いま企巣家が4年の回収期間(T)を最も安全適当なものと考えているとす れば,設備への総投下資本支出は4年間で回収されねばならない。いま総投下 資本支出をJとすれば,′ほ次のようになる。
J=120,000焉1+90,000.芳望一十20,000.恥+75,000.ガ4+60,000.‰
十80,000.芳6+10,000.勘+20,0抑芳8+5,000∬9 また4年間で回収される流動資金(粗利益記収入一文出)をGとすれば,G ほ.次のようになる。
Gこ芸80,0抑れ+1鯛,000方2+40,0㈹鳩十60,0㈹ガ4+48,000.先5
+40,000.恥+20,000.方7+24,000鞄一20,00J.和 上の式からGほG≧∫でなけれほならないから,財務的安全性を表わす制限条 件としては,次の式が生ずる。
(1.5)40,000一肌一−80,000庖r鮒,000.恥+・15,000.‰+12,000.和一10,000鶴
−10.000一方了・−4,000.芳8−15,000.侮≦0
(1.6).鴛1≧0,.鴛巴≧0, ,和≧0
(1.1)から(1.6)までの6っの制限条件の下に.おいて
(1.7)総資本価値C=23,069仇十19,228.ガ2+18,087.方8十21,701.勘
」、6,857鵜ヰ19,013一光6+9,041.芳7一+7,57∂,先8
十11,58批9−→椚α.ガ./
(1・1)および(1.2)は販売可能長の制限を表わし,(1.3)は労働人員の制限を 表わし,(1.4)ほC部門のキャパシティがβ部門のA,C,β織機のキャバレデ
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第37巻 第1号 44 ー・44 −
ィに調和しなければならないという条件を表わし,また(1、.5)は財務的安全 性の条件を表わしている。
この設備投資計画に・おける線型計画問題をシ∵ノブレックス表で解けば,次の 解答が得られる。
第 5 義 盛適の設備投資封画(12)
機械の種類 投入すべき台数 取 得 原 価 ノ ッズル式織機
高速自動式織機
A 織 機
ニッぺ.ス式糸より機
五205 10り798
5 1667
504,500 215,900 375,000
8,330 総資本価値C=419,565DM
さてこの線型計画問題において企業者が適当と考える回収期問rを変化させ ると,最適解を表わす投資設備の種類と投資台数および回収期間が変化するの である。たとえば上の計算例において回収期間rを変化させた場合,最適解は 次の第6表の如く変化する。
この表に・おいて回収期間が長くなると,一腰に総資本価値は増加している。
アルバッハは−・般に回収期間rと総資本価値Cとの関係は次の第1図のように なるとする。
第 1 図
C† /−
彼は以上のように,個々の設備単独の立場からでほなく,企菜全体の適切な
u2)Derselbe,al.a.0.,S.681
設備投資の経済性計算における線型計画法の応用 −−4甥一
第6 表 回収期間と総資本価値との関係(13)
45
計算期間全体に∴おける総合的計画の立場から,設備の投資計画を樹立すべきで あると主張するのである。このような企業全体の立場から設備投資計画を立て るという考え方は正しいものであり,投資計画にあたっては,このこと紅大い 紅注意しなけれはならない。
ぺ・−テル・スウォポ−ダほその論文「オぺレーションズ・リサ−チ・の手法に
(1」\
よる最適投資決定の計算」(経営経済雑誌1961年2月号)において−,上述のホル スト・アルバッハの論文「経営上の投資決定の判定基準としてごの利益性と財務 的安全性.」を次のように批判している。すなわち彼はアルバッハのこの論文の 欠陥とレて次の4点をあげている。
仏領 DeISelbe,乱a.0.,S.682.
n4)Peter Swoboda,Die Ermittlung optimalerInvestitionsentscheidungen durch Methoden des Operations Research,ZfB1961,Nr2,S,96−−103
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第37巻 第1号
−−・・ノ6・・ 46
(1)数種の製品が数工程を経て生産されるとき,1エ程の設備を増設するため には必然的に他の設備をも増設しなければならない場合のあることに留意すべ きである。この場合1工程だけの個々の設備に利益を帰属させることほ不可能 であり,したがって個々の設備増設の経済性計算及行うことは無意味であるか
ら,全体的な,各工程を通じての各設備の組合せに利益を帰属させて計算を行 うべきである。アルバッノ\の方法ほ個々の工程の個々の機械に利益を帰属させ てし、るから,それらは特殊の経営事情の場合にだけしか適用出来ず,非常に狭
(15) い範囲にしか適用出来ない。
(2)アルバッハの論文,簡2部のムPによる具体的な計算例においで,彼は匝1収 資金の再投資問題を,10%の従来の平均的総資本利益率で純収入の再投資が行 われると仮定し,この10%を計静利子率として採用することに.よって解決しよ うとして:いる。しかしながらスウォポ・−ダはこれに対して次の如く反ばくして いる。すなわち会社の平均的な総資本利益率が10%であるならば,アルバッハ の計算例において提案されている各設備の総資本利益率(減価償却費控除後,
支払利子控除前の)は平均すると略々10%に.近い数個を示さなければならない 筈である。しかる紅算1,2,8表に基いて実地の引算を行ってみると,次の 第7表の如く各設備の利益率は10%をはるかに上廻わるから,平均利益率を10
(16)
%と仮定することは矛盾しているとする。
第 7 表
舶)DeI・Selbe,a.a.0.,S.96−97 u㊥ Derselbe,a.a.0.,S98−99
浮
設備投資の経済性計辞における線型計画法の応用 −47・−
47
筆名の見解によれば成程このような矛盾が生ずるのはこの計算例における数 倍例がまずかったのである0しかし各年の純収入が10%の利益率で再投資さ れ,したがって再投資問題を考慮外におくことが出来ると仮定するのは,それ が会社の実際の再投資の実務にはぼ仙致しでいるならば,何等差支え.ないこと だと考えられる。
(3)披は.またエアの計算例における1から9までの各機械の資本価値鱒それぞ れ各機械の異なる耐用年数に対応した資本価値であるが,この点にも問題があ ることを指摘している。すなわち彼は.この場合各機械の資本価値ほすべて共通 して同一・の10年間の適切な計算期間紅ついて計算しなければならない。そうし
(17)
ないと比較の基礎が同一・でないから,適正な比較が出来ないとするのである。
(4)長い年月の聞にほ労働力や販売等に関する制限条件は変化する。また各製 品の粗利益も長い年月の間コンスタントではない。生産のあい路ほ経営の改善 匿よって時の経過とともに除去されて行くし,市場条件も長い年月の間にほ変 化する。ところがアルバッハはエPの計算例において,これらの制限条件や製 品の粗利益等の時の経過による変化を無視して,これらをすべてコンスタント
(18)
としている。しかしこれほト正しくない。
(5j ある投資設備の利益が大であっても,その回収期間が経営者の希望する回 収期間より長過ぎるため,投資計画から除外される場合がある。この場合経営 者は希望回収期聞を慈恵的な判断によって決定している。そ町政それは経営に とって真の利益にならぬかもしれない。このような欠点を避けるため,アルバ ヅノ、のムPによる計算例において回収期間の制限条件ほ廃止して,その代りに 各機械の資本価値の計算において計算利子率(割引率)の中に危険率(後の年 はど危険率を大きくする)を加算して,各機械の各年の粗利益を割引いた方が
く】さ1、 よいのである。そしてさらにエアの制限条件の中に,企業が現在所有して.いる
資金が,提案されている各棟械を建設するために必要な資本を十分まかなうも
(17)Derselbe,aa0..,S.99−100
(18)Derselbe,aa.0.,S100
(19)De工Selbe,aa0.,S100−101
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−ぜβ− 48
(餌) のであるという制限条件を付け加える必要があるとする。
以上がスワォボ−・ダの上掲論文における,アルバッハに.対する批判の要旨で ある。このスウォポ−ダの批判から分るようにアルバッノ、の上述の計算例のモ デルにおいては樺々の仮定がなされているのであって,筆者はそれは極めて局 限された特殊の投資計画のク」−スを表わすところの,1つの特殊な数式モデル であると言うことが出来ると思う。ととろでこのホルスト・アルバッハの計算 例紅おいては最適解である各機械の購入台数が小数を含んでいる。これは不合 理である。何となれば1台の機械ほ.分割出来ないからである。このように設備 投資計画に対㌧して,リニアー・tプログラミングを適用する場合に,求められた 最適解がすべで整数解であるという条件を必要とすることが多いのである。そ
こで今度ほ最適解がすべて整数解であるエP解法を設備投資計画に適用した事 例を研究して−みよう。
ホルスト・アルバッハはその論文「経営投資計画の補助手段としての.リニア
(2リ
ー・プログラミング」(商学研究雑誌1ノ960年9月号)において整数解を求めるエ Pについて以下のような主張をなしている。
設備投資は色々な動機から行われるが,これらすべての動機は共通点を持っ ている。彼はその共通点は企業に対する要求と企業の能力との間の不均衡を克 服することだとしている。彼ほ.またこの論文においてほ.この不均衡を是正サる
ことすなわち設備投資をすることの究極の目標を企業の利潤最大化において語 を進めている。そして彼はあらゆる形ちの企東の設備投資計画は結局凱、路を 除去する計画(Engpaszplanung)であるとしている。短期計画は所与のあい 路を前提とした計画であるが,設備投資計画はこれとほ反対に長期計画であっ て,あい路そのものを除去することを目的とするのである。設備投資計画は経 営の各部門中のあい路を除去して各部門のキャバレティの調和を達成せしめな ければならないのである。設備投資計画にあたっては経営のあらゆるあい路を eO)Derselbe,a.a.0.,S 101
(21)Horst Albach,Lineare Programmierung als HilfsmittelbetrieblicherInves■・
titionsplaung,ZfllF,1960,Heft9,S.526w549.
汐整小
設備投資の経済性計算における線型計画法の応用 −49・−
49
正確に考慮しなければならない。そしてまた経営のあい路となる1部門のみを 考慮するだけでほ不十分であって,経営各部門のキャパシティの経営全体とし ての調和を考慮しなければならない。
アルバッハは従来の設備投資理論ほこの点を−・般に考慮していないうらみが あった。最近の0点の1手法である線型計画法は以上の要請に/答えるものであ
り,設備投資計画に対して有用な資料を与えるものであるとしている。さて彼 によれば従来論ぜられて来たエPによる設備投資計画の問題には2っの型があ るとする。第lの型は経営における現存のあい路をたんに除去するということ を目的とするものであり,第2の型はこれとは異ってたんに現存のあい路の除 去ということにとゞまらず,さらに進んで経営全体のキャパシティを企業にと って可能な限度まで拡張すさことを目的とするものである。
(22)
アルバッハは第1の型の例として次のような数式を掲げている。
生産および投資討画の問題
d 各製品の粗利益(売価−・変動費)のべクレレ。この行ベクトルほ d′=(dl,,dリ,一,ぬ)である。
∬ 各製品の生産数蔓のベクトル。.芳′巴(.先1,,.先〃,,プ玩)
β 総粗利益
A 乃個の製品における研個の生産要素の投入係数のマトリックス。
A=(α仙)
∂ =生産要素の現存数遍のベクトル。
∂′=(∂1,,∂〝,,∂仇)
ゐ 各機械設備1台当りの固定費金額のベクトル。
ゐ′=(あ, ,ゐβ,あ)
γ 投資計画のベクトル。
γ′=(.γ1,,.γβ,,.γγ)
γタ投資されるβ型の機械の台数。
(22)Derselbe,aa 0小,S529川532
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50 滞37巻 第1号
一 50・,・,・
C 各機械が生産要素の使用可能数鼻紅対してこ及ぼす効果のマトリックスo
C=(c押)
そうすると以7・■の制限条件の下で粗利益を最大にするように次の期間(たと
えば日,月)において生産すべき製品の数量・方と購入すべき機械の台数.γを求 める問題は次の如く表わされる。
Aズ十qγ ≦∂
ガ,二少 ≧0 の下で
∂=d′.芳一ゐ′.γ→∽α.ガ./
彼はこの型のモデルを最初に発表したのはフ‡ルストナーおよびへンの両氏
(23)
であるとしている。
(24)
次に彼ほ.また夢2の型の例として次のような数式を掲げている。
設備投資の問題
γ 投資計画のベクトル。
ぶ 各設備の資本価値のべクりレ。
5′=(51, ,ち ,み)
ぶ 企菓の総利益
且 生産要素の投入係数のマトリックス。
β=(β叩)
g 生産要素の現存数鼻のべクりレ。
g′=(gl, ,gT, ,g才)
そうすると以下の制限条件の下で企業の利益を最大ならしめる設備投資計画 の問題ほ次の如く表わされる。
βγ ≦ g
γ ≧ 0 の下で
∫=5′.γ・→椚α∬./
C23)HorstAlbach,a.a.0.,S,532;KrF6rstnerundRr Henn,DynamischeProduk tionstheorie und Lineare Programmierung.Meisenheim/Glan1957
r24IHorst Albach,a.a.0..S・533
■
設備投資の経済性計算における線型計画法の応用 −5ユー 51
この解は次の計画期間の如何なる投資設備が最大の資本価値を生ぜしめるか を表わす。彼によればこの型の投資計画のモデルはフランスのピエ・−ル・マヅ
(25)
セ匿よって最初に発表されたものであるという。
さてこのようにエアによる設備投資計画は経営におけるあい路を制限条件の 中において\考慮しているから,従来の投資理論よりは優れているといえる。し かし以上のような設備投資計画に應いて投資される機械設備の台数は正の整数 でなければ意味がないのである。こゝ紅整数解を求めるエPの方法が非常な重 要性を以て考察されなければならない根拠がある。
さてホルスト・アルバ′ツハは経営の計画問題において巻数解を求める諸方法
(26)
には次のようなものがあるとしている。
(欝1法)
通常のエPで求めた最適解をそれ軋最も近い整数に端数の切上げ切捨てによ って整理することに・よって問題を解決せんとするものである。制限条件が無い ときほこういうやり方は適当であろう。しかしエアのように制限条件があると きほとの方法に対して無条件にほ.賛成することは出来ないのである。端数の切 上げ,切捨ては制限条件があるため他の変数に・種々なる影響を及ぼす。この方 法でほ最適解の申どの解を上に,また他のどの解を下に切上げまたは切捨てる べきかはたゞ試行錯誤による試験によってのみ決定出来るから,解の中紅人間 の溢意性が入ってくるのである。またこの方法ほ最適解の構成が整数条件によ って変化しない限りにおいてのみ行い得るものである。アルバッハは多くの場 合最適解の構成は整数条件によって変化しないとしている。
(第2法)
エアの輸送問題ほすべて整数解を生ぜしめる。そこでこの第2法は経営討画 上の問題を輸送問題の形に還元して整数解を碍んとする方法である。チャー・ン
(251Horst Albach,aa0.,S533;Pierr・e Mass6,Quelq11eS P工Oblem畠s d Optimum
亘conomique,in:Centre Nationaldela Recherche Scientifique,Strategies et D畠cisions邑conomiq11eS,宜tudesTh60Tiq11eS et Applications aux Entrepri$eS,
PaIis1954
(26)Horst Albach,ahaO..,S536−538
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第37巻 第1号 52 ー・−52−−
ズおよびク−・パ・−の諸論文は経営上の問題を輸送問題の形に変化せしめた多く
(27)
の例を示して−いる。
(第8法)
この方法は上に述べた方法よりもさらにもっと数学的に精密な方法である。
そうしてこの方法は次の如く2っに分けることが出来る。
(1)ベルマン(R.E.Bellmann)によって発展せしめられた動的計画法(Die dynamischeProgrammierumg)に,よって問題を解く方法。
(2)整数解を求めるリニア・−・プログラ ミングの方法。
さて米国のドレイプス(St.E.Dreyfus,a Comparisonof Linear Prog・・
rammingandDynamic Programming,RANDP−885,June22,1956)は動 的計画法の解が常に整数解であることを明らかにした。しかし一期間に・多数の
代案がある場合には動的計画法は非常に解き難くなるのである。したがって 数学者の研究は専ら整数解を求めるエアのシ∵ノブレックス法を発展せしめるこ とに注がれたのである。その研究の成果は色々と発表されたが,それらに共通 の根本思想ほ「 先ずムPによって非整数の最適解を求め,次いで解を整数にす るための付加的制限条件をそれに付け加えて,ミ/ンプレックス法をさらに続行 してゆくのである。そうすると最後軋は整数の最適解が求められる一」というの である。したがってこ.れらの整数解をづ/ンプレックス法で求める諸種の方法は その∴般的構造において異なるものではなく,たゞその相異点は整数解に到達 するために付け加えられる付加的制限条件をどういうふうにして見付けるかと いう技術的な点に見出されるのである。従来この方法ほ多くの場合直観的であ った。米国のゴモリイは初めてシ∵ノブレックス法が有限段階後に必ず整数解を
(27)A.Charnes and WW。Cooper,Management Modells andIndustrialAp−
plications of Linear Programming,Management Science1957,S.38;Charnes and Cooper,Some Uses of ModelPrototypesin Operations Research Study,
Sonderdruck a11S California Management Review1959,Nrl・13,Sl.79;Charnes and Cooper,The Use of ModelTypesin Some Operations Research Applica・
tions to Business Planning,University of Michigan,Seminar on Operations Research,October1957
設備投資の経済層計算における線型計画法の応用 一−ββ一 53
(28)
与えるという算式を発表したのであった。その後この方法はさらに発展せしめ られて,整数解と非整数解の混った解を求めるシンプレックス法が発表され
(ごや,)
た。これによって設備投資における設備資金の金融計画の問題も正確に・解ける こととなったの1である。しかし以下において−ほすべての解が整数解であるゴモ クイのシ∵/プレックス法について研究することゝする。エアによって−整数値/を 求める方法によれば最適の整数解は最適の非整数解と次の2っの点において異 なるのである。
① 最適解の砥が変化するこ.と。
⑧ 最適の整数解の構成ほ場合によって−は非整数解の構成と異ること。つまり 従来の非整数解申軋あったものが除かれたり,また無かったものが入って来た
りするこ.とがある。整数のエア解法では整数解はしかしながら常紅すべての最 初の変数をべ・−・スの中に含むのである。
ホルスト・アルバッノ\はこの論文において−ゴモリイの方法ほ端数の切上げ,切 下げによる方法よりも優れて.いるとしてゴモリイの方法についで以下のような 詳細な説明を行っている。彼は理解を容易に.するために上に述べた第1の型の
($0)
モデルの具体的数値例を次のように示している。いまある企業がたゞ1つの生 産工程で同一・の原料から2っの最終製品を製造しているとする。現存の機械群 ほ.全部で1日について76機械時間のキャノミシティを持ち、従業員ほ138人であ 鋤 R E‖ Gomory,Outline of an Algorithm forInteger Solutions to Linear
Pzograms,Bull.AmリMathrSoc′1958,pr275;R.EGomoIy and WJ、Baumol,
Integer Programming and Pricing,Econometrica,July1960,pp.52ト・550 t291E.M‖L Beale,A Method of SoIvingLineaIPIOgIamming Problems When
Some but not Allof the Variables Must TakeIntegralValues,Statistical
Techniques Research Group,Section o董MathematicalStatistics,Department of Mathematics,Princeton University,Princeton,NJ ,TechnicalReport No 19,July1958,Mimeographed,Blatt3;REGomoIy,A Method of SoIving Linear Programming PIOblems When Some but not Allof theVariablesMust
TakeIntegIalValues,untilfentlichtes Manuskript,RANDCorpoIation,Santa Monica,Calif.;G BDantzig,OnInteger and PaItialInteger LineaIe Proq gramming Problems,RAND pq1410,June20,】958;ders。,On the Significance Of SoIvingLineaIPr?grammingProblemswith SomeInteger Vaziables,Eco−
nometIica1960,S30
(30)HoISt Albach,aa.0.,Sh539一−541
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第37巻 第1号 54 一− 5−′ −l
る。貯蔵および購入能力に制限があるため毎日の加工ほ原材料1000ゐgしか行う ことが出来ない。製品の販売市場は好況で生産能力を拡張して生産愚を増大す れぼ直ちに労力なしに・売切れる見込みである。製品1の1単位の製造は5機械 時間,3人の労働力および11ねの原料を必要とし、その限界利益ほ3エ用グであ
る。また製品2の1単位の製造は3機械時間,5人の労働力およぴ7々gの原料 を必要とし,限界利益ほ2上)〟である。従来企業は毎日製品2の25単位を製造し た。この場合労働力と貯蔵および購入能力は完全に利用しつくされていず,な お遊休の能力を有しており、機械のキャパシティがあい路となっていた。経営 者は現在生産のあい路である機械のキャパシティを拡張することを検討中であ る。増設のため投資を要する機械の型は1種類だけである。この型の機械1台 は機械のキャパシティを1日について9時間高めるであろう。しかしその反面 この機械1台について1日に4DMの固定費の増加が生ずる。企其の1日当り
の利益(か)を最大ならしめるには製品1(・方1)および製品2(・芳2)の1日当り 数蒐と購入される機械の台数(.γ)をいくらにしたらよいか。この問題をエアの数 式に恵せば次のように表わすことが出来る。
5れ十∂.方2・−やγ ≦76 3.方1十5.#2 ≦138 11.須+7.方雲 ≦1000
須,.方ユ,.γ≧0
芳1,裁,プ=整数./
の条件の下紅
か=aれ+2.方〇−・如→∽α.方./
この間題を解く紅ほ次の2っの段階を区別すべきである。
(1)先ず問題を普通のレンプレックス法で解いてその結果申整数になってヤる かどうかを調べる。
(2巨岩し解が求める盤数でないならば,葺蒋2段階としてゴモリイの方法を適用 して付加的制限条件をつけ加えて整数解に達するまで計算を繰返して行く。
以下においてはこの2つの手職を上述の計静例に適用してみる。
設備投資の経済性計辞紅おける線型封画法の応用 −β5−
55
(1)通常のシ∵/プレックス法による計算
次の第8表は.通常のレンプレックス法による巌通解の計算を示す。
第 8 表(311 山
T臣β B】 u c= P(1) 1亡≡lノ P(2) 2 P(3) −4 呵Pも5) P(6) 0 ー
】 15‡‡ ロ
A46 1
> 1
p(1)l 315‡l ロ 3/5 −9/5 1/5
B Ei P(5) 0 92喜
16/5 l亘暮l
> P(.6) 0832言 99/5
13 9/5 3/与0 0
0 0
0 1/5
l1
C 】 P(1) ア(3)
−417
P(6)
岳5/3 l三;ニ;: 】 1 廟 仁一1丹.._…;…; 1
3 2二17/糾 ._4 4/9・ 7/27 0 0 −17/27 0 ・−4/9 −7/27 0
慮適齢おいてほ1日の糾益ほ班となり,それほ製品lの46単位の 生産と機械17台の新しい購入によって獲得せられるのである。しかし機鵬 数が分数となるので整数の条件は満足されないのである。
(31)DeISelbe,aha Ou,S 541
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第37巻 第1号
5(;−− 56
(2)整数解の計算 α)鋭敏な感覚紅よる解法
先ず非整数解の近傍に存在する整数解を簡単な端数の切上げ切捨てによって 明らかに.してみよう。この解では唯2っの変数の変化のみを注意すれはよい
(これに対応する調整変数ほ自動的に整数となる)から実際上は4っの軸合せ を吟味すればよい。
端数の切上げ紅よって次の2っの解が生じる。
第1解:機械の数だけが上に∴切り上げられる。その結果総利益ほ66ヱ)朋■とな る。
第2解:製品の数屋が47に,また機械の台数が18台に.切上げられる。これは 現存するよりもより以上の労働者を必要とするから,この解ほ制限条件を満た さない。改札この解は不適当である。
端数の切捨て一によって次の2っの解が生ずる。
第8解:機械の数のみが17に切下げられる。製品1の46単位ほ17台の投資計 画によって得られるよりもより以上の機械時間を必要とするから,この解は不 適当である。
第4解:17台の機械を購入し,製品1の生産塁も1単位減らされ,1日につ
いて45単位.を生産する。この解は適当であり,毎日の総利益ほ67ヱ)〃となる。
それ放この第4解は66ヱ)〟の総利益をもたらすところの第1解よりも優ってい る。したがってこの節4解が鋭敏な感覚の方法による最適解であるということ になる。しかしながら上述の計算手続から分るように、このように変数の少い 場合にも比較的多数の整数解の組合せを吟味しなければならない。最適解のす べての解が分数であって,しかも変数の数が非常に大である場合この組合せの 数は非常に多数となって比較検討が複雑困難となり,当事者の慈恵性が入って くる危険がある。しかしながらこの可能な盤数の絶合せ全部をすべて吟味比較 しなければ、見付けられた解が最適であるという何等の保証も与えられないの である。
∂)整数の最適解を求めるゴモリイの方法 、
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設備投資の経済性計算艦届け.る線型封画法の応用 −6∂【−
以上のよう、な理由からゴモ.リイの方法が採用されるぺきである。ゴモクイの 方法は相対Vンプレックス法(D11alSimplex Method)の知識を必要とする。
すなわちアルバッノ\ほ相対γンプレックス法な基髄とするゴモリイの方法を上 述の計算例紅適用して次のような計算を行っている。すなわち先ず第1に通常
P(3)ご17,
のシ∵/プレックス法を適用するとすでに第8表に‥おいてP11)ニ46,
Pし6)=494の最適解が求められた。今度はこの通常の方法に.よる最適解から出発 して整数の最適解を求めるのである。そめ計算過粗は前の第9表の如くであるd
鋤 De‡Selbe,aノa0,.,S.546
(33)Derselbe,a a0.,S.547
(34)Derselbe,a‖a0.,S.548
鱒37巻 第1号 64
ー 6J−一一
第8表C欄は成程最適解であるが整数解ではない。そこで次のような手続を 行うのである。すなわち第8表C欄のス列において正数の最適解の中最大の裏 分数を求める。それ欄8表C欄用細いてである。そこで第8表C批 新レい制限条件の行P(7)を刊け加える。これが鱒9表C′欄P(7′行である。この 行の各列の数値はア(3)行の各分数だけについて,(その分数より小さい,その 次の整数)・−(その分数)によって了計算するのである。分数を有しない列につ いては計算を行わない。すなわちC′欄P(7)行の各列の数値は次のように↓て求 められる。
ス列:0一()=−
P(2)列:0−(−)=−−
君鳳列:−・トイー)=−
P(5例‥ 0−−()
このように.して制限条件P(7)行を付け加え.るとC′欄は負の解を含んでいる。
(35ノ そこでこれに.相対シ∵/プレックス法を適用して負の解を除去するのである。そ
うしてこれによって二生ずる新しい最適解が再び分数を含むならば,再び上述の 手続を躁返えすのである。このゴモクイの方法を適用した結果最適解は製品1
=44単位,機械=16台,原材料の未使用の残り=516ゐg,労働力の余り=6人 となる。そしてこの総利益ほ68ヱ)〟であって,鋭敏な感覚の方法によって得ら 錮 相対シンプレックス法の手続ほ次の如くである。
Simplex法 I DualSimplex法 入列はすべて非負
ZクーCプ行にほ負のものがある。 Z名−・C.プ行はすぺて非負 入列には負のものがある。
為−C.プ行の負のものより新入りの変数 を決める
(MostNegativeを選ぶ)。
その変数の列中正のものだけを選び,対
入列の負のものより追出す変数を決める
(Most Negativeを選ぶ)。
その変数の行中負のものだけを選び,対 応するZクーCプ行の要素を割って,その 最大が起るところから新入りの変数を決 める。
入列の要素を割って,その最小が 所から追い出す変数を決める。
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設備投資の経済性計算紅おける線型計画法の応用 −−6β∴一 65
れた最適解の利益を1Lか〟はど超ているえ.。このようにゴモクイの方壊は他の方 法よりも∵僧正確な数値を表わし,それよりも優れた方法である。以上がホル スト・アルバッノ、の所論の概要である。
ところで今度は設備投資の問題で最適解の−部が整数でなければならない が,他の一・部は整数でなくてもよいという場合がある。このような最適解を得 るエアの研究はすでにど」−ル,マ−コウィ)ツおよびマンネ,ランドおよびドイ
(36)
ッグ等によってなされている。次にはこの−一部の解のみが整数となるエア解法 を適用すべき設備投資計画を研究してみること紅する。そのため今度は西ドイ ツのヘルベルト・ヤコブの理論を検討することにしよう。
2. ヘルベルト・ヤコブ
へ・ルベルトヤコブもホルスト・アルバッノ、と同様に従来の動的投資計算法 ほ種々の制約条件を計算過程の中に織り込みえないことを理由として二線型計画 法による経済性計算を主張する。すなわち彼ほ論文「線型計画儀常よる設備投
(37〉
資計算」(経営経済雑誌1962句こ11月号)においで以下の如く主張している。
いますで隼一一定量の機械設備を有する会社を考えよう。碍翠が増加するた 吟,
特筆該期間の期首に現下されるものとする。
さて:この会対の一定の計算期間(経済計算の資料の予測が可能な期間)t−
この計算期間は㌢個の期間(針=1,2,・,㌢)に分割される−「において獲得される と予想される利益は次の等式によって表現される。
(36)E。M.L Beal,A Method o董SoIving Linear Programming Pzoblems when Some but not Au of the Variables M11St TakeIntegIalValues,Statistical
Techniqu野草eseaICh Group,Section ofMathematicalStatistics,Department of Mathematics/PrincetonuniveISity,Princeton,N J..,TechnicalReport No 16,July1958,Mi;rleOgraphed,Blatt3;Markowitz.HIMtand A一S∴Manne.
On the Soltion oIDiscIete ProgIamming Problems,EconometIica,1957,PP 84NWllO;A H,Land and AG.Doig,AnAutomaticMethod of SoIvingDi占cIete PIOgramming Problems,Econometrica,July1960,ppl497仙520・
(37)HeIb畠rtJacob,Investitionsplanungaufder GrundlagelinearerOptimierung,
ZfB,1962,NI.11,Sり651−一655