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T P S と財務データの関係

ドキュメント内 T P S   (トヨタ生産システム)と会計評価 (ページ 44-47)

第 1 編

第 3 節 T P S と財務データの関係

ここでは、営業46期 (1962年)'"'‑'71期 (1975年)のトヨタ自動車工業の『有価証券報 告書』の諸データを分析し、その特徴と TPSとの関連性を考察する。図表6に挙げる 4つ の特徴が、それぞれの側面について指摘できる。今回はそのうちの lから 3を分析し4に ついては終章第2節の、今後の課題の中で取り上げる。

TPS (生産方式)からみた側面 財務的側面(=争どんなpスクを軽識したか) それは現場の改善から始まった。 少ない資産でのやりくり(オベレーションリスク)。

2現在の人・設備投資をムダにしない。 余剰資金を思い切った設備投資へ(設備陳腐化リスク)。

ジャスト・イン・タイム、在庫低減の貢献。 危機の時期に顕在化する強さ(在庫リスク)。

41  7つのムダ、徹底してムダをなくす。 リソース別生産効率指標化の試み(複合リスク)。

図表

6

トヨタの課題の

2

側面 資料出所:筆者作成

図表7は、前節で述べてきた、この時期のトヨタが直面していた課題と、それらを解決 するためにトヨタが取った戦略およびその結果としての数値成果の関係を示す概念図であ る。カネ、ヒト、設備という、必要なリソースが、全て不足する中で、どのようにして、

トヨタが成長してきたかを図解している。

50年代後半 からの課題

60 70年代に あらわれた 成果=強み

惜金を返す ¥ 

1

お金が 必要 J 

利益増大 キャッシュの増大

※特に、高度軽請成長期に有効

借入金減少、貸付金増大 当支払利息く受取利息

営業外収益の向上

財務的な体力増加

図表7 トヨタの課題、戦略、数値効果の関係概念図 資料出所:筆者作成

※特に、オイルシヨヲク笹などの不況期に有効

少ない資産でのやりくり、キャッシュ・フローのために

戦後復興期、後に 「トヨタ生産方式(TPS)Jと呼ばれる、ムダを排除する生産の仕組みが 工場の一角から始まった。 TPSの育ての親ともいえる大野耐一元副社長(当時本社工場第

二製造部長)の指導のもと、大野氏の管轄部署が大きくなるにしたがい、 TPSはやがてト ヨタ全社に広がった。

今でこそ、「自働化16)J、「ジャスト・イン・ タイム17)J、「かんばんJなど、あまりにも有 43 

名なTPSだが、当初は決して体系的に導入されたので、はなかった。それは、あくまで現場 の工夫=

r

改善」の積み重ねた、った。

1962年、「かんばん方式」の社内全面採用、 1963年、「ジャスト@イン・タイム生産指示」

の採用、「多工程持ち」の推進などがなされ、 1960年代前半にはトヨタ社内にほぼ広まっ た。この時期をTPSの「成立期」、以後を「グループ内浸透期J と位置付ける凶。

TPS 

r

成立期」の注目すべき条件は、トヨタには資金が少なかったという点である。倒産 の危機後、生産、売上が伸びていっても、借入金をかかえ、自己資金も決して豊かとはい えず、その少ない資金をいかに効率よく活用するかというのが、「成立期J

r

グルーフ。内浸 透期」にわたる最も大きな課題で、あった。

まず、期間全体における、売上・利益の変化をみてみる。図表8にみるように、大きく 2つの時期にわけられる。 1973年67期までは、売上、原価、利益共に、高度経済成長を 反映して、ほぼ右肩上がりに伸びている則。

その後 1973年の第一次石油危機後には、利益が大幅に下落した。この時には、販売台数 もまた、大きく落ちている20)。それでも、売上高が、ほぽ横ばいですんだのは、 1973年67 期(全車種平均7%値上げ)、 1974年69期(全車種平均10%値上げ)の2回の価格改定に

よるものである。

しかし、それらの値上げにもかかわらず、資材・部品の価格高騰をはじめとする原価の 増大は吸収しきれず、利益は下がっている21)。ただし、通常、値上げは、売れ行きそのも のを更に悪化させる要因となりうるが、翌期よりすぐに増え始めた販売実績台数、売上、

営業利益の急速な回復を見る限りでは、 トヨタは、値上げ幅を的確に読んで、いた、という ことができる。

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