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「パックフラッシュ・コスティング J とは

ドキュメント内 T P S   (トヨタ生産システム)と会計評価 (ページ 179-182)

1  r

パックフラッシュ・コステイング」の特徴と

T P S

との適合性

TPSを導入し、いわゆる「ジャスト・イン・タイム環境」が成立した場合、そこでは、「期 末在庫品(期末材料、期末仕掛品、期末製品)がいちじるしく減少するo (中略)・・そ こでもし、期末在庫品がゼロであれば、当期に発生した製造費用はすべて売上原価勘定へ 借方記入できる。しかし、一般には、期末在庫品が少しは残るであろう。こうした事態を 踏まえて新たに工夫されたのが、パックフラッシュ原価計算である。 3)J

「パックフラッシュ・コスティング」は、理論上で構築される前に、実務上の必要から 発生したといわれている。初期の実務例としては、米 HP社のものがよく知られている4)。 その発生理由は、実務上の作業の簡便化であり、また、実際に在庫がほとんどないという 環境であれば、ほとんど意味のない、各種の在庫勘定への記入を、期中において省略する

ことが主眼とされた。

「パックフラッシュ・コスティング」を論文として最初に取り上げたのは、 1987年のホ ーングレン、フォスターのもの5)であると考えられる。また、翌1988年、同じくホーング レン、フォスターでは、「パックフラッシュ・コステイング」を、以下の3つの例に整理し ており 6)、以後、多くの論文、研究は、この類型に準じて、あるいは、それに若干のパタ ーンを追加するかたちで、整理、考察をしているの。

例l 在庫勘定、製品勘定、売上原価勘定の3時点で記帳する。

例2 在庫勘定、売上原価勘定の2時点で記帳する。

例3 製品勘定、売上原価勘定の2時点で記帳する。

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これらの記帳タイミングを、ホーングレン他は、「トリガー・ポイントJ8)と名付けてお り、例lから例3の違いは、それをどの時点にとるかによるものである。それが少ないほ ど、また、勘定連絡図の流れの後の方へいくほど、いわゆる伝統的な全部原価計算とは、

その様相が異なってくる。

その上で、ホーングレン他は、「パックフラッシュ・コスティング」を、「まず、製品の 出口に注目し、その後で、売上原価の確定時に在庫勘定を意識する。パックフラッシュと いう言葉は、販売時点ぎりぎりまで記帳を遅らせ、最終段階で原価計算にフラッシュスル ーするためについたものであろう 9)Jとしている。

これらの点から「パックフラッシュ・コスティング」は、 delayedcosting, endpoint  costing, post‑deduct costingなどとも呼ばれてきた10)。ここで重要なのは、この「販 売時点ぎりぎり」というタイミングが、製品完成時なのか、その後の、本当の販売時なの か、という点である。

図表55 は、従来の「パックフラッシュ・コスティング」諸研究において、整理されて きた記帳時点をどこにするか、また、それにより「トリガー・ポイント」がどこになるか という観点から各事例を類型化したものである。先に述べた例1....̲̲3は、この図表では、類 型 1....̲̲3にあたる。また、図表 56"‑'61は、伝統的な直接原価計算および、「パックフラッ シュ・コスティング」の各類型を、勘定連絡図にしたものである。

この図表55から明らかなのは、「パックフラッシュ・コスティングJというのは、いか なる場合も仕掛品勘定を持たず、売上原価勘定を常に持つという点である。

これはすなわち、製造現場における中間在庫を持たないことを、第一義的な前提とした勘 定体系であり、さらに、その製品が売れた時点、すなわち販売時点を最重要視するもので あることを意味する。

類型 材料 仕掛品 製品 売上原価 主な事例の資料出所 (在庫品) (在庫品) (在庫品)

ーーーーー‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑ ・ー・‑‑‑‑‑‑‑ ーーーーーーーーー‑‑‑‑ ー・・・・ーー‑‑‑帽‑‑‑‑‑

Material  Work‑in‑ Finished  Cost of  Inventory  Process  Goods  Goods Sold 

Foster, Horngren  1988  類型l

×  。 。

Horngren et a1.  1997、島田

2001、川島2006、 Horngren  et  a1.  2008 也イ

Foster, Horngren  1988、 類型2

×  × 

Horngren et a1.  1997、島田

2001、川島2006、 Horngren 

et a1.  2008他

Foster, Horngren  1988、 類型3

×  ×  。 。

Horngren et a1.  1997、島田

2001、川島2006、 Horngren  et  a1.  2008 イ也

類型4

×  ×  ×  。

Maher 1997、島田 2001、川│

島2006他

※ O記帳を行う ×記帳を行わない 聞 トリガー・ポイント 図表55 パックフラッシュ・コスティングjの記帳時点および

トリガー・ポイントによる類型 資料:筆者作成

その意味で、確かに「パックフラッシュ・コスティング」は、「在庫低減」を重視し、ま

た、「売れるものを、売れるだけ」製造することを大前提とする TPSとの整合性、適合性が 非常に高い記帳方法、勘定体系であると確かめられる。

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直 接 労 務 豊 製造間接豊

図表56 伝統的な全部原価計算による勘定連絡図 資料:筆者作成

米 H P 社 の J I T シ ス テ ム

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