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r 在庫低減 J r 視える化J r ものの流れJ TPS の視点からみた再評価

ドキュメント内 T P S   (トヨタ生産システム)と会計評価 (ページ 190-195)

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第 3 節 「パックフラッシュ・コスティング」の再評価

3  r 在庫低減 J r 視える化J r ものの流れJ TPS の視点からみた再評価

TPSでは、たとえどの時点であれ、そもそも在庫はゼロであるべきである。つまり、 TPS の視点からみて役に立つ行動的意義とは、あくまでも在庫をゼロにするためのものでなけ ればならない。だとすれば、在庫があるということが、むしろマイナスに働く「パックフ ラッシュ・コスティング」および、スループット会計は、等しくその行動的意義を持っと もし、える22)

しかし、「パックフラッシュ・コステイング」に認められる意義は、それだけではない。

TPSを導入、推進している製造現場で、常に重要視される「問題の視える化」という点も 考慮すべきである。

一般にTPSを実践している現場では、解決すべき問題点や、克服すべき課題について、

それがどのように起こっているのか、現状がどうであるかを把握することが、最初に求め られる。

しかもそれは、その現場の誰が見ても、一目でわかるようになっていなければならない とされる。たとえば、在庫というのは、工程の流れに問題があり、それが滞ったことを具 体的に示すものである。

これを、会計的に示すのが、「パックフラッシュ・コスティング」であるということがで きる。期中において、材料費あるいは加工費を、たとえば売上原価に直接計上する場合、

それは「売れるものだけをつくる=つくったものは全て売れる」という「あるべき姿Jを

「視える化Jしているのである。

同様に、期末に在庫が「できてしまっている」場合、それを、わざわざ逆流計算するの は、あるべきではない在庫を「視える化」していることになる。ちょうど生産現場におけ る「生産進捗管理板」のように、「パックフラッシュ・コスティング」は、勘定連絡図の上 で、その製品の生産の流れの「あるべき姿」を映し出しているのである。

ただし、それらが、期末だけのことであれば、実際には、日々の生産状況を映し出す「生 産進捗管理板」とは似て非なるものとなる。そのためにも、本来は、在庫の逆流計算は、

月次、週次などの短い期間、理想、をいえば日次で把握されることが望ましい。これは必ず しも厳密な意味での「棚卸Jをすべき、というのではなく、生産管理上の数値でもって、

それを金額換算した上で、その結果を、会計上の勘定連絡図でも表現して「視える化」す べきということである。

ここまでくると、もはや「パックフラッシュ・コスティング」は、記帳の簡便化ためだ けのものとはいえなくなる。むしろ、会計が写像すべき内容を重視するために選択される、

その写像方法としての記帳技術であるとしづ意義が、それだけ強くなるのである。生産管 理とその結果としての会計(貨幣換算)管理という 2面性が、今後さらに重要になってく

るのである。

第 4 節 お わ り に

「パックフラッシュ・コスティング」について、その特徴と行動的意義、さらに、実際 の生産現場において、

T P S

の視点からみて必要とされる、生産管理と会計(貨幣換算)管 理の融合という新たな課題を指摘した。ここでは、さらに、今後の課題として、以下の 2 つを指摘したい。

まず、 lつめは、生産管理と会計(貨幣換算)管理の融合における、実際上の方法論で ある。そこには、 IT技術の利用なども含めた新しい情報収集、管理の可能性、また、現場

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管理のための数値と原価計算のための数値の整合性の可能性などが検討されるべきである。

もうひとつは、在庫そのものの、会計上の取り扱いである。在庫、すなわち財務諸表上 の棚卸資産は、はたして現在の会計基準が示すような資産といえるのかどうか。これにつ いては、リスクのエクスポージャー概念の援用の可能性を含めて、終章第2節で、改めて 検討する。

)岡本清「原価計算(六訂版)J国元書房, 2006年, 839ページ。

2)大塚裕史「パックフラッシュ・コスティングの行動的意義一JIT環境における原価計算 一J~産業経理~ Vol.54, No.3, 1994年, 61....̲̲69ページ。

3) 岡本清,前掲書, 839ページ。

4)古賀勉「パックフラッシュ・コスティングの原理一JITへの対応一J~福岡大学商学論 叢』第40巻第4号, 1996年, 5""'̲̲'6ページ。

Calvasina R.  V., Eugene J.  Calvasina, Gerald E.  Calvasina, 官θ thθ λTew ACCOUNTING MYTHS : The backf1 ush i a drθssed‑up version of thθperiodic systθmNF 

必叫1AGEMENTACCOUNTIN ,G Dec.  1989, pp.41‑45 

5) Foster G., Charles T.  Horngren, JIT: Cost Accounting and Cost Managθmθ 'nt Issuθ

Aゐ'nagθmθ刀 tAccountin ,g Vol. 6,8 ん

D .

1 ,2 Jun.  1987, pp. 19‑25 

日)前掲論文でも 3事例は提示されているが、まだ詳しく整理されていない。

7)巻末参考文献参照。

8) ただし、これらの記帳タイミングについて、例1および例3のように製品勘定を記帳し、

それをトリガー・ポイントと認識した場合は、その後の売上原価勘定をトリガー・ポイ ントとみなしておらず、製品勘定あるいは売上勘定のいずれに最初に記帳するか、とい

う観点で類型化している。すなわち、製品勘定を認識するかどうか、という点が重視さ れているのである。

9) Foster G., Charles T.  Horngren, Cost Accounting and Cost nagementi aJIT  Environmet,Journal of Cost M初 年θ'lllθ']]tfor the Aゐnufacturingindustr.児 約:nter,

1988, pp. 12 

10) Horngren C.  T., George Foster, Srikant M.  Datar., Cost accounting : a managerial  Emphasis ‑9th ed, Prentice Hall, 1997, pp.  726. 

門田安弘

r J 

I T生産のもとでのスルーフ。ット会計の拡張ーボトノレネック別貢献利益法 の提案一」企業会計Vol.50,No. 2, 1998年, 74ページ。

島田美智子「スノレーブpット会計とパックフラッシュ・コスティング‑Horngren et  al.  の「スループロット原価計算」を手がかりとして‑J ~大阪商業大学論集~ No. 119, 2001  年, 200ページ。

ただし、同じホーングレン他の、最新版 (2008、13版)では、これらの別名表記はさ れておらず、この間に何らかの見解の変化があった可能性も指摘で、きる。今後の課題で

ある。

1 1) Horngren C.  T., et  al.  Op.  ci t.  1997, pp.  731  門田安弘, 1998年,前掲論文, 74ページ。

大塚裕史「スループpット会計の意義と導入の背景ーパックフラッシュ・コスティングと の関係・ABCの不適合性 J ~東北大学研究年報「経済学J~ 第 58 巻第 4 号, 1997年, 59 

ベーシ。

12)ただし、同じホーングレン他の、最新版 (2008、13版)では、 super‑variablcosting  および、 throughputcostingの表記はされておらず、この間に何らかの見解の変化が あった可能性も指摘で、きる。今後の課題である。

3)大塚裕史 1997年,前掲論文, 62ページ。

14) 岡本清,前掲書, 843ページ。

5)大塚裕史 1997年,前掲論文, 64ページ。

6)古賀勉,前掲論文, 29'""30ページ。

1 7)実際に、加工費も在庫に計上する形で累計4を提示する研究もある。

川島和浩 rJIT生産方式におけるパックフラッシュ原価計算の考察J~苫小牧駒津大学 紀要』 第15号, 2006年, 173ページ。

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1 8) これらを指摘している論文、著書は、たとえば以下のようなものがある。

J J ohnson H.  T., RELER'CEREGAINED‑From Top‑Down Con trol to Bo t tom‑Up Empowermen t,  THE FREE PRESS, pp.111‑112 (邦訳:辻厚生,河田信訳 『米国製造業の復活一「トッ プダウン・コントロール」から「ボトムアップ・エンパワメント」へ

J

中央経済社, 1994  年, 132'""'133ページ)、 LeeJ. Y.著,門田安弘・井上信一訳[190年代の管理会計』中 央経済社, 1989年, 96ページ(原著:Lee].  Y., Managθ'rial Accounting Changes For 

Thθj990s, Addison‑Wesley Publishing, 1987)、 河田信『トヨタシステムと管理会計 一全体最適経営システムの再構築をめざして』中央経済社, 2006年, 161'""'164ページ、

大塚裕史「パックフラッシュ・コスティングの行動的意義一

J I T

環境における原価計算

‑J [1産業経理~ Vol.54,No.3, 1994年, 61'""'69ページ。

1 9)大塚裕史1994年,前掲論文, 67ページ。

2 0)前章で述べたのと同じ理由で、類型4も、同様の可能性がある。

21) Horngren C.  T., et  al.  Op.  cit.  1987, pp.22 

この他、多くの文献で、この点、が指摘されている。巻末参考文献参照。

22) この場合、パックフラッシュ・コスティングの諸類型のうち、加工費を全て売上原価 に計上するケースについて、この行動的意義が成立することになる。

終章

適正な企業業績評価の実現可能性に向けて

第 1節

適正な企業業績評価のために、会計が果たすべき役割

ドキュメント内 T P S   (トヨタ生産システム)と会計評価 (ページ 190-195)