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TEOS Ag

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Ag

4-13. Ag電解めっきにより試作したダマシン配線のSEM観察像

4-4.結言

添加材を含まずにKAg(CN)2とKCNのみで構成するめっき液を用いて、Cu給電層上にパルス 電解めっきを行い、比抵抗2µΩ·cm以下のAg膜を得た。Ag/Cu積層膜を熱処理した後もAgの凝 集は発生せず平坦な表面が維持され、CuがほとんどAgに固溶しないためにAg膜の比抵抗の大 きな上昇は観測されなかった。Ag電解めっき膜は、同じ面心立方晶系でCu(111)/TiN(111)に高配 向する下地スパッタ膜の影響を強く受け、(111)面に優先配向し、熱処理による再結晶の過程で (111)方位の結晶粒が優先成長することが確認された。配線のエレクトロマイグレーション耐性向 上の観点から望まれる(111)に高配向したAg膜が得られることが示された。

一方、Ag電解めっき初期に不均一に給電層表面のCuが溶出し、Ag/Cu界面に空隙が生まれる

ことにより、熱処理後のAg 膜に局所的な膨れが発生することが確認された。比較のために用意

したAg/Pd積層膜では、熱処理後も膜剥がれ、膨れの異常発生が観察されず、電気化学的に貴な

電位を持つ給電層の潜在的な優位性が確認された。

最後に、Ag電解めっきにより配線幅1.5µmのダマシン配線を試作し、2.0µΩ·cmの実効的な比 抵抗を有するAg配線が形成できることを実証した。低抵抗のAg配線を半導体デバイスへ適用す るためには、めっき液の不純物管理、Ag膜に最適化されたCMP研磨剤の開発、適切な給電層材 料の選択と成膜プロセスの最適化、熱処理工程の最適化など、今後のプロセス開発が不可欠であ る。

参考文献

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第5章 Ag/Pd/Ti積層膜によるAg配線形成プロセス 5-1.緒言

第4章で述べたように、電解めっきによりCu給電層へ成膜したAg膜の熱処理後に局所的な膜膨 れ、膜剥がれが観察された。この現象はAg電解めっき初期のCu給電層表面の不均一な溶解により Ag/Cu界面に生成した空隙に水分が残留することに起因することが明らかとなった。一方、Ag電 解めっきの給電層に電気化学的に貴なPdを用いたAg/Pd積層膜では熱処理後の形態異常が全く観 察されなかった。また、同じ面心立方構造の格子定数は、Cu(0.362nm)、Pd(0.389nm)、Ag(0.409nm)、

の順に大きく、Ag/Pd界面の格子不整合がAg/Cu界面より小さく、Pd給電層はAgめっき膜の密着 性向上に有利であると考えられる。

図5-1. Ag-Pd系状態図[5-1]

しかし、図5-1のAg-Pd系状態図が示すように、この合金系はAgとPdの同じ面心立方構造の全率 固溶体により形成されており、熱処理により給電層のPdがAgめっき膜中に拡散し、PdがAgの結 晶中に固溶すると、Pd原子による電子の散乱がAg膜の比抵抗を増大させてしまう[5-1,5-2]。実際 のデバイス配線形成プロセスを想定すると、Ag/Pd積層膜と配線層間SiO2絶縁膜の界面密着性を確 保するためにTi層の導入が必要であり、このTiもAgとの合金形成によりAg膜の比抵抗増大の要因 となることが懸念される[5-3]。LSIデバイスの配線幅が0.1μm以下に微細化されると電子の平均自 由工程が無視できなくなり、配線側壁における電子の表面散乱や結晶粒界散乱による細線効果が 配線抵抗増大の支配要因となる。このため、微細配線では配線材料をCuからAgに置き換えること による配線抵抗低減の効果が小さいと考えられており、Ag配線形成プロセスの研究報告は少な い。例えば、配線幅0.1μm以下のAgダマシン配線の細線効果を調べた報告では、電子ビーム蒸着 成膜のAg/Pd/Ti積層膜をめっき給電層にAg電解めっきを行ったAg/Ag/Pd/Ti積層構造の配線試作 に留まっており、LSIデバイス配線のプロセスインテグレーションを想定した熱処理によるAg膜 の比抵抗の変化に及ぼす影響が明らかにされていない[5-4]。

本章では、SiO2配線絶縁膜と密着を得るためのTiスパッタ膜、Ag電解めっきの給電層となるPd 膜をこの順に連続して超高真空スパッタにより積層成膜し、Pd給電層に直接Ag電解めっきを行な いAg/Pd/Ti積層膜を形成する。熱処理によるAg/Pd/Ti積層膜の合金化挙動及び積層界面反応挙動を 明らかにするためにシート抵抗、X線回折、Auger分光分析の測定を行い、測定結果に基づく熱処 理挙動を熱力学的に考察する。最後に、Ag膜の比抵抗の熱処理温度依存性に従い、低抵抗Ag配線 が適用可能なデバイス構造とプロセスインテグレーションの提案を行う。

5-2.実験方法 5-2-1.試料作成

Ag電解めっき成膜の基板として、表面に100nmの熱酸化膜を形成したSiウェハを用意した。

2.6×10-6Paの超高真空チャンバ中にArガスを導入し、0.3PaのAr圧力下でマグネトロンスパッタ放

電により熱酸化膜上にTi、Pdをこの順に、それぞれ、100nm、50nmの膜厚で大気暴露せずに連続

成膜し、Pd/Ti積層膜を形成した。前章の4-2-1.項と同一の条件でAg電解めっきを行った。

Agを成膜した試料には、前章の4-2-1.項と同一のAr雰囲気の石英炉内で、400ºCから800ºC の温度範囲で1時間の熱処理を行った。

5-2-2.測定方法

Ag膜の比抵抗は、通常の四探針法の測定により得られたシート抵抗値と蛍光X線法により測定 した膜厚値から算出した。Pd、Tiの比抵抗はAgより高いために積層膜のシート抵抗の測定値は、

Ag電解めっき膜の特性の変化を反映する良い指標となる。熱処理による薄膜の積層界面の合金化 反応を調べるために、試料面に対してX線の入射角度を5ºに固定し、室温でCu-Kα線を用いたX線 回折測定を行なった。Ag/Pd/Ti積層膜の深さ方向の組成分布と試料表面の元素分布を調べるため に、Auger分光分析(AES)を行った。

5-3.実験結果と考察

5-3-1.Ag/Pd/Ti積層膜の構造解析

図5-2にAg(500nm)/Pd(50nm)/Ti(100nm)積層膜のX線回折測定結果の低角部を示す。熱処理前の 回折パターンと回折角から、図中に示すように、それぞれの回折ピークに面心立方構造のAgとPd の面指数付けができる。400ºCの熱処理後、Pdの回折強度が弱くなり、熱処理温度を600ºCに上げ ると、金属間化合物相のTi2Pd(C11b)、αTiPd(B2)に相当する回折ピークが観測され、800 ºCの熱処 理後は、Ti2Pd(C11b)、αTiPd(B2)とβTiPd(B19)の混在に加え、TiPd2(C11b)に相当する回折ピークが 観測された。図5-3に示すPd-Ti系状態図では、595ºCの共析反応によりTi2Pd(C11b)相は体心立方構 造 のβTiか ら 六 方 最 密 構 造 のαTiと 同 時 に 析 出 し 、αTiPd(B2)相 が 共 析 反 応 に よ りβTiか ら Ti2Pd(C11b)相と同時に析出する温度は820ºCであり、TiPd2(C11b)相は1300ºC以上の包晶反応によ り析出する[5-5]。スパッタリングによる金属薄膜の成膜過程において、金属原子はエネルギーの 高い気相状態から液相を経ずに固相へ急冷され、拡散が不十分な状態で凝集するために、スパッ

タ成膜された金属膜中には多くの格子欠陥や格子歪が導入され、エネルギーの高い非平衡相が室 温で実現される[5-6]。図5-2に示す結果から、熱処理によるPd/Ti積層膜界面の固相反応において、

平衡状態図の予想より低温でαTiPd(B2)相、TiPd2(C11b)相が形成され、さらに、結晶格子のせん断 的変形により500ºC近傍でαTiPd(B2)母相が無拡散変態を起こして得られる準安定相として良く知 られているβTiPd(B19)相が高温熱処理により出現した。この結果は、金属間化合物の各相の自由 エネルギー差が小さく、金属成膜と熱処理のプロセスの相違により、出現する相の序列が変化す ることを示唆しているが、本研究では非平衡過程についてこれ以上立ち入らない。

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