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(a) 20μmSnCu半田バンプの40μmピッチ配列の外観

UBM Ni UBM Ni

Cu RDL Cu RDL

SnCu SnCu

ILD 1 ILD 2 ILD 2

ILD 1 (Cu,Ni)

6

Sn

5

Al pad

10μm 10μm

(b)Cu再配線と20μmSnCu半田バンプの接続部

Cu RDL Cu RDL

UBM Ni UBM Ni

ILD 1 ILD 2

ILD 1 ILD 2

10μm

Cu RDL UBM Ni SnCu

(c)スタックビア構造

3-9. 微細SnCu半田バンプのSEM観察像

3-9(a)に20μm径の微細SnCu半田バンプが40μmピッチで配列している外観SEM観察像を

示す。図3-9(b)の断面SEM観察像は、DRAM最上層のプラズマSiN/TEOS-CVDパシベーション

膜に形成された10μm径の開口部に露出するAlボンドパッドにCu再配線が接続しており、DRAM のAlボンドパッド開口部から離れた位置に形成されたILD-2 の10μm 径の開口部を介して微細 SnCu半田バンプがCu再配線に接続している構造を示す。図3-9(c)のSEM観察像は、Alパッド 開口部の直上に微細SnCu 半田バンプを形成したスタックビア構造を示す。同図中央に示すよう

に、ILD-1の開口部端の段差形状を反映してCu再配線を被覆するILD-2の開口部がオーバーハン

グ形状になる構造では、電解めっきによるUBM Niの埋め込みが不十分になりデバイス信頼性劣 化を招く危険性がある。このため、同図右に示すように、Cu電解めっき液の添加剤を調整するこ

とによりILD-1の開口部にボトムアップ埋め込みを行い、上面が平坦なCu再配線を形成すること

ができればILD-2の開口部のオーバーハング形状は解消される。ただし、添加剤の調整はCuめ っき液の価格や液管理コストの上昇を伴うため、製品設計段階からデバイス性能、製造コストを 勘案し、スタックビア構造の採用の要否を判断することが必要である。

3-3.プロセスインテグレーションの構築

先端微細加工工程を経て半導体デバイスが形成されるまでの製造コストが付加された 300mm ウェハ上に Cu 再配線や半田バンプを形成する中間領域プロセスの量産工程では、デバイス特性 の劣化、変動を回避するだけでなく、安定して99%以上の高歩留まりを維持することが不可欠で ある。以下に、前項で実証したLSIチップ積層体形成におけるプロセスインテグレーション構築 の課題を抽出し、その解決のための検討内容を詳述する。

3-3-1.めっき給電層Cu表面状態と再配線パターンレジストの密着性向上

3-2.で述べたLSI チップ積層集積化プロセスにおいて、電解めっきによるCu 再配線成膜 のマスクとなるネガ型レジストの現像後に最小ピッチ10μmの再配線パターン部を観察すると、

3-10(a)に示すような所望のレジストパターンが得られる。しかし、散発的に図3-10(b)に示すよ

うなレジスト剥がれが発生した。プロセス安定化のために、めっき給電層 Cu の表面状態がレジ ストの密着性に与える影響を明らかにすべく、スパッタ成膜条件を変えた Cu 膜上にレジストパ ターン形成を行なった。現像後に光学顕微鏡観察を行った結果を表3-1に示す。バックグラウン ドが高真空のスパッタチャンバで成膜されたCu 膜上では配線ピッチが 30μm より微細なパター ンにレジスト剥がれが発生することが確認された。一方、バックグラウンドの真空度を落として 成膜したCu 膜上では配線ピッチが 10μm のパターンでもレジスト剥がれは全く観察されなかっ た。

(a)正常なレジストパターン (b)レジスト剥がれ発生

3-10. 10μm厚レジスト(JSR社THB®)現像後の配線幅/配線間隔5μm/5μmの再配線パターン

3-1. Cuスパッタ成膜条件と現像後レジスト剥がれ観察結果

Base pressure in Cu deposition chamber <5×10-6Pa >5×10-5Pa Line/space of resist pattern

5μm / 5μm Peeling off No failures 10μm / 10μm Peeling off No failures 15μm / 15μm No failures No failures

レジスト剥がれ耐性の異なる上記の Cu スパッタ膜表面の酸化状態を XPS(X-ray Photoelectron

Spectroscopy: X線光電子分光法)により分析した結果を図3-11に示す。光電子スペクトルの束縛

エネルギーのピーク位置については、Cu 表面の酸化状態分析に関する文献[3-2,3-3,3-4,3-5,3-6]を 参照した。図3-11(a)に示すCu 2p3/2スペクトルには、いずれも932.5eV付近にCu、Cu2Oの結合 に起因すると考えられる強度の高い光電子ピークが現れているが、レジスト剥がれ耐性の低いCu 膜表面から得られたスペクトルには、CuO、Cu(OH)2、CuCO3の結合を示唆する934eVから935eV に広がる弱いピークが観測されている。スパッタCu 膜表面の自然酸化に加えて、X 線励起のオ ージェ過程による内殻のイオン化を経た光電子放出の終状態として、金属Cu、一価のCu+イオン、

二価のCu2+イオンの複数の状態を考慮する必要があり、図3-11(b)にCu LMM遷移(またはLMN 遷移)のスペクトルを示す。レジスト剥がれ耐性の高いCu膜のスペクトルには、金属Cu起因を 示唆するサテライトピークを伴いながら、Cu2Oの結合に起因すると考えられる570.0eV付近に高 い強度を示すピークが観測され、他方の幅の広いピークと明瞭な差異が現れている。さらに、図

3-11(c)に示すO1sスペクトルは、いずれも、Cu2Oの存在を示す530.7eV付近の幅の広いピークと

OHイオンの吸着またはCu(OH)2結合を示唆する531.2eV付近の幅の広いピークの重ね合わせと 考えられ、レジスト剥がれ耐性の高いCu膜表面のO1sスペクトルの530.7eV付近のピーク強度 がやや高いことが特徴的である。

3-1のプロセス検証結果と図3-11のCu表面状態分析結果から、現像後のレジスト剥がれを 抑制し、微細ピッチの Cu 再配線形成プロセスを安定化させるためには、高真空スパッタによる めっき給電層 Cu 成膜の終了後からウェハが大気に晒され次のリソグラフィ工程のレジスト塗布 が開始されるまでの待機時間、待機雰囲気を制御し、Cu膜表面をCu2Oに近い微酸化状態に維持 することが必要であることが明らかとなった。量産工程では生産性向上のために工程間の待機時 間を短縮すべく、リソグラフィ工程の直前にO2プラズマアッシャーによりCu表面を微酸化状態 に改質するプロセスを導入することが有用である。

(a)Cu2p3/2

(b)Cu LMM(LMN)

(c)O1s

3-11. めっき給電層スパッタCu膜表面のXPSスペクトル

3-3-2.Cu再配線上面のNi被覆効果

3-1.で述べたように、SCS 構造ではロジックチップを積層した下側の DRAM チップ外周 の Al ボンドパッドとパッケージ基板の電極端子をワイヤボンディングにより結線するために、

3-5のCu再配線形成プロセスフローに示すように、Cu再配線間を電気的に絶縁する感光性絶 縁樹脂保護膜(フェノール系樹脂、ILD-2)にパッド開口を形成すると同時に、Cu 再配線に接続す るAlボンドパッド上に開口を形成する必要がある。ILD-2膜の現像後にCu再配線の10μm径の パッド開口部を光学顕微鏡により観察した結果を図3-12に示す。Cu再配線の上面がNiめっき被 覆されていない構造では、図3-12(a)に示すような特定のCu 再配線及びそのCu パッド開口部周

辺にILD-2膜の剥がれが観察された。一方、図3-12(b)に示すように、Cu再配線上面をNi被覆し

た構造では、同じ特定パターンを含むチップ内のすべてのパターンにおいてILD-2膜の剥がれは 観察されなかった。ILD-2膜の現像後に剥がれが発生した図3-12(a)の特定パターンはILD-1膜の ビア開口を介してDRAMチップの最上層Al配線(Al-0.5wt%Cu 合金スパッタ膜)と電気的に接続 しているCu再配線である。ILD-2膜の剥がれを抑制するために電気化学的にCu再配線上面の被 覆層としてNiめっきを選択した。

Cu Cu RDL

Cu RDL

Openings on Cu pads

Cu Ni

Cu RDL

(a) Cu再配線上面に被覆が無い場合 (b) Cu再配線上面をNiめっきで被覆

3-12. 感光性絶縁樹脂膜のCuパッド開口現像後の光学顕微鏡観察写真

電気的に接続するCu再配線パッドとAlボンドパッドの両終端表面が同時にILD-2膜の現像液 及びその洗浄水に晒される場合、水溶液中における電極表面反応[3-7]、

Al → Al3++ 3e- (Eº= −1.676V) 2H++ 2e- → H2 (基準0.000V) Cu2++ 2e-→ Cu (Eº= +0.337V)

の標準電極電位(25ºC)に従い、電子が電位の低い Al から電位の高い Cu へ流れることにより Al ボンドパッド表面が溶出する。同時にCu再配線及び再配線Cuパッド表面から発生するH2ガス

が図3-12(a)に示すILD-2膜剥がれ発生の一因と考えられる。

一方、Niの電極表面反応、

Ni2++ 2e-→ Ni (Eº= −0.257V)

の標準電極電位(25ºC)はCuのそれより高く[3-7]、Cu再配線上面をNiめっきで被覆することによ り、Cu再配線の一方の終端となるAl表面の電極反応との電位差が縮小し、Alボンドパッド溶出 の抑制と同時にH2ガス発生が抑制されることが考えられる。Cu再配線上面のNi被覆の効果とし

て図3-12(b)に示すように、実際にILD-2膜剥がれを完全に解消するプロセスを確立した。

3-3-3.積層チップ位置合わせ精度

3-7 のチップ積層体形成プロセスにおいて、積層する上下チップの微細SnCuバンプ同士が リフロ熱処理により溶融一体化した半田接合部は、半田の表面エネルギーが最小になるように表 面積を収縮させながら凝固する。フラックスを使わない一括リフロによる半田接合プロセスの利 点は、健全な半田溶融接合の阻害要因となる半田表面酸化層を除去するために還元性気体を容易 にチャンバ内へ導入することが可能な装置を用いる点にある。一般の半田合金の融点より高く

200ºC以上の熱処理温度を必要とするリフロプロセスにおいて、沸点が100.8ºC の蟻酸(HCOOH)

の気相による金属酸化物の還元反応は、フラックスを不要とするリフロプロセスに応用されてお り、次のように150ºCから200ºCの温度範囲における中間体の生成反応と更なる昇温による中間 体の分解反応により構成されることが知られている [3-8]。

MO + 2HCOOH → M(COOH)2+ H2O (T>150ºC)

M(COOH)2 → M + 2CO2+ H2, H2+ MO → M + H2O (T>200ºC) ここで、M、MOは、それぞれ、金属、金属酸化物を表す。

本研究では、この還元雰囲気下における一括リフロプロセスにおいて、20μm径の微細なSnCu半 田バンプ同士の溶融接合(以下CoC接合)が上下チップの積層位置合わせずれを自己整合的に補正 する機能発現の可否を検証した。

CoC接合における上下チップの積層位置精度を評価するために、下側チップサイズは11mm×

11mm、上側チップサイズは10.1mm×9.6mm、3-2-2.に詳述したプロセスに従い6066個の

微細SnCu半田バンプを40μmピッチで上下チップに配置し、Siチップ厚を共に150μmとしたテ ストチップを用意した。CoC接合のための合わせマークを上下チップの中心位置からX方向に-

3mm、Y方向に+4.7mm (Mark 1)、X方向に+3mm、Y方向に-4.7mm (Mark 2)の2箇所に配置し た。9 個のチップ積層体を試作し、仮接合後及び一括リフロ後に、赤外線レーザー顕微鏡により 合わせマークの中心位置ずれ量を測定した。図3-13の測定結果は、仮接合後の上下チップの位置 合わせずれは±3μmを越えていたが、一括リフロ後に±0.5μm以下の位置精度でCoC接合が完了 したことを示している。

熱圧着方式の CoC 接合はチップ毎に高精度の位置合わせと半田溶融のための昇降温の時間が 必要であり、高額なフリップチップ接合装置の投資が必要になる。図3-13の結果は、20μm径の 微細な半田バンプ同士の溶融接合においても半田の表面張力による自己位置補正機能が発現す ることを示しており、図3-7に示す一括リフロプロセスは、高額な高精度のフリップチップ装置 を必要とせずに生産性向上と製造コスト低減を実現する有力な手法であることが実証された。