• 検索結果がありません。

TDS による水素侵入量測定および分析

ドキュメント内 水素誘起転がり疲れの発生条件と水素の起源 (ページ 189-193)

5 単純接触試験による水素侵入における滑りの影響

5.2 単純接触試験

5.2.2 弾性変形内での単純接触試験

5.2.2.3 TDS による水素侵入量測定および分析

TDS 分析においては,これまで,水素のスペクトルについて分析温度全領域で積分した 面積強度から平均濃度を算出して,これと疲労寿命等の相関を求めてきた.本節において は,TDS 分析のもう一つの重要な分析法である,放出ピーク温度によるトラップサイトの 同定を行う.TDS スペクトルは,複雑で,測定モードによって異なる様々な温度域におけ る議論がなされる[6].本研究で測定する水素TDSスペクトルにおいては,測定温度域(室

温から800℃)において3つのピークに注目する.最も低温側の第1ピークの水素は用語の

厳密さに欠けるが拡散性水素とよばれる.これは固溶水素ではなく,弱くトラップされた 水素である.それに対して第2,第3ピークは室温放置で減少するものの第1ピーク程で はない.その意味で非拡散性水素と呼ばれる.固体内にはいろいろな欠陥が独立に存在す るのではなく,水素の侵入に伴って水素と結合した欠陥が変質していき,.水素の放出温度 が高温側に移行することは,塑性変形で生成した欠陥,おそらく原子空孔が安定なクラス ターを形成し,さらにそれに水素が結合することによってより安定な形に変化していくこ とを示していると考えられる[7].

本節において測定された水素のスペクトルについては,250℃付近,400℃付近で検出さ れる水素は一般には非拡散性のものと考えられ,150℃付近に現れる水素のピークが拡散性 水素と呼ばれるものである[6-9].以降TDSスペクトルの温度軸は,“TDS250℃”のように 表記する.なお,ピーク温度は測定系により若干変動するため,別途ピーク同定のための 予備測定を行っている.

Figure 5-5に試験後の下部試験片内の水素量測定結果を示す.グラフ中のExposedは各試

験気体に試験時間と同時間さらしただけのものである.どの試験気体においても水素が検 出されているのはもともとディスク中に存在する水素濃度に相当すると思われる.

・水素中

Normal において水素侵入量が増加し,Torsion において減少する.また Normal&Torsion ではその中間の値を取る傾向がある.高温では全体的に水素侵入量が多くなっているが,

これは接触点だけでなくディスク表面全体から水素が侵入したため,もしくは鋼中の水素 拡散速度の増加のためだと考えられる.

・アルゴン,真空中

アル してい におい 量が増

Fig

・29 水素 性の水 素が拡 違いは

・37 水素 干大 られ で見 度域付

ルゴン中よ いる.どの接 いてその減少 増加している

gure 5-6か 8K

素のスペク 水素が減少す 拡散したため は見られない

3K

素のスペク きくなってい る.水のスペ られた水のス 付近で,水分

り真空中の方 接触条件にお

少量が一番少 る.これは高

らFig. 5-11

トルについて する傾向があ めだと考え い.

トルについて いる.すなわ ペクトルにつ

スペクトルT 分を含む酸化

方が水素量が おいてもExp

少なく,Tors 高温にしたこ

Fig.5-5 H

にTDSによ

ては,どの試 ある.これは られる.水の

ては,水素中 わち高い温度 ついては試験

TDS150℃付 化層が接触試

185 がやや少ない posedと比較

sion におい ことで水素の

Hydrogen con

よる水素と水

試験気体にお は滑りによっ のスペクトル

においてTD 度の表面から 験気体,接触条 付近のピーク 試験中に熱分

いが,どちら 較して水素侵入

て一番大きい の拡散が促さ

ncentration

水のスペクト

おいても滑り って格子欠陥 ルについては

DS150℃付近 ら侵入する水 条件による違 クが見られな 分解により脱

らの雰囲気も 入量が減少 い.また高温 されたためだ

トルを示す.

りのみを与え 陥等にトラッ は試験気体,

近の拡散性水 水素は拡散性 違いは見られ ない.これは加 脱水したため

も同様の傾向 しており,N 温では水素の だと考えられ

えることで非 ップされてい 接触条件に

水素のピーク 性のものだと れない.また

加熱によりこ めと考えられ

向を示 Normal の減少 る.

非拡散 いた水 による

クが若 と考え 298K この温 る.

186

Fig. 5-6 TDS spectra of H2 and H20 tested in H2 at 298K

Fig. 5-7 TDS spectra of H2 and H20 tested in Ar at 298K

0.00E+00 5.00E‐11 1.00E‐10 1.50E‐10 2.00E‐10 2.50E‐10 3.00E‐10

0 200 400 600 800

Intensity,A

Temperature,℃

Exposed

H2 H2O

0.00E+00 5.00E‐11 1.00E‐10 1.50E‐10 2.00E‐10 2.50E‐10 3.00E‐10 3.50E‐10

0 200 400 600 800

Intensity,A

Temperature,℃

Normal

H2 H2O

0.00E+00 5.00E‐11 1.00E‐10 1.50E‐10 2.00E‐10 2.50E‐10

0 200 400 600 800

Intensity,A

Temperature,℃

Torsion

H2 H2O

0.00E+00 5.00E‐11 1.00E‐10 1.50E‐10 2.00E‐10 2.50E‐10 3.00E‐10 3.50E‐10

0 200 400 600 800

Intensity,A

Temperature,℃

Normal&Torsion

H2 H2O

0.00E+00 5.00E‐11 1.00E‐10 1.50E‐10 2.00E‐10 2.50E‐10 3.00E‐10 3.50E‐10

0 200 400 600 800

Intensity,A

Temperature,℃

Exposed

H2 H2O

0.00E+00 5.00E‐11 1.00E‐10 1.50E‐10 2.00E‐10 2.50E‐10 3.00E‐10

0 200 400 600 800

Intensity,A

Temperature,℃

Normal

H2 H2O

0.00E+00 5.00E‐11 1.00E‐10 1.50E‐10 2.00E‐10 2.50E‐10 3.00E‐10 3.50E‐10

0 200 400 600 800

Intensity,A

Temperature,℃

Torsion

H2 H2O

0.00E+00 5.00E‐11 1.00E‐10 1.50E‐10 2.00E‐10 2.50E‐10 3.00E‐10 3.50E‐10

0 200 400 600 800

Intensity,A

Temperature,℃

Normal&Torsion

H2 H2O

187

Fig. 5-8 TDS spectra of H2 and H20 tested in Vacuum at 298K

Fig. 5-9 TDS spectra of H2 and H20 tested in H2 at 373K

0.00E+00 5.00E‐11 1.00E‐10 1.50E‐10 2.00E‐10 2.50E‐10 3.00E‐10

0 200 400 600 800

Intensity,A

Temperature,℃

Exposed

H2 H2O

0.00E+00 5.00E‐11 1.00E‐10 1.50E‐10 2.00E‐10 2.50E‐10

0 200 400 600 800

Intensity,A

Temperature,℃

Torsion

H2 H2O

0.00E+00 5.00E‐11 1.00E‐10 1.50E‐10 2.00E‐10 2.50E‐10 3.00E‐10

0 200 400 600 800

Intensity,A

Temperature,℃

Normal&Torsion

H2 H2O 0.00E+00

5.00E‐10 1.00E‐09 1.50E‐09 2.00E‐09 2.50E‐09

0 200 400 600 800

Intensity,A

Temperature,℃

Normal

H2 H2O

0.00E+00 5.00E‐11 1.00E‐10 1.50E‐10 2.00E‐10 2.50E‐10 3.00E‐10 3.50E‐10 4.00E‐10 4.50E‐10

0 200 400 600 800

Intensity,A

Temperature,℃

Exposed

H2 H2O

0.00E+00 5.00E‐11 1.00E‐10 1.50E‐10 2.00E‐10 2.50E‐10 3.00E‐10 3.50E‐10 4.00E‐10

0 200 400 600 800

Intensity,A

Temperature,℃

Normal

H2 H2O

0.00E+00 5.00E‐11 1.00E‐10 1.50E‐10 2.00E‐10 2.50E‐10 3.00E‐10 3.50E‐10

0 200 400 600 800

Intensity,A

Temperature,℃

Torsion

H2 H2O

0.00E+00 1.00E‐10 2.00E‐10 3.00E‐10 4.00E‐10 5.00E‐10 6.00E‐10

0 200 400 600 800

Intensity,A

Temperature,℃

Normal&Torsion

H2 H2O

188

Fig. 5-10 TDS spectra of H2 and H20 tested in Ar at 373K

Fig. 5-11 TDS spectra of H2 and H20 tested in Vacuum at 373K

ドキュメント内 水素誘起転がり疲れの発生条件と水素の起源 (ページ 189-193)