• 検索結果がありません。

酸化劣化試験

2 実験方法

2.3 本研究で用いる潤滑油基油と劣化試験

2.3.4 実験結果

2.3.4.1 酸化劣化試験

潤滑油及び雰囲気気体の封入された密封容器を加熱させた際の容器内気体,油の変化に ついて測定を行った.

2.3.4.1.1 ガスクロマトグラフィーによる劣化速度結果

初めに,潤滑油4種,雰囲気気体2種の計 8の条件における水素分子,酸素分子の発生 量の時間変化を示す.凡例は,使用した油(PAO,POE,PPG,Si100),使用した雰囲気気 体が空気か窒素か(Air,N2)をそれぞれ示している.

(例)潤滑油PAO,使用気体空気の場合 → PAO Air

横軸は単位時間[h],左側の縦軸は水素分子の物質量,右側の縦軸は酸素分子の物質量を 単位[mmol]で表示している.縦軸の物質量は容器内全体の物質量を表している.

4種の油の空気中におけるガスの消費,放出を観察した.すべての油において,実験開始 時から酸素量の減少が見られた.酸素の減少速度は,PPG,PAO,POE,Si100 の順に大 きく,前者3つの実験では40時間経過するまでに容器内の酸素をほぼ全て消費している一 方,Si100については100時間経過後も容器内の酸素を消費し切る事は無かった.

また,気体中の酸素が無くなる時間帯に水素発生が停滞した油はPPGのみで,PAO及び POEについては,酸素がなくなった後も反応が続き,その後,ある時間で水素発生が停止 するという結果となった.

44

Fig. 2-11a 各潤滑油の空気下における水素発生推移

Figure 2-11a は,4種の油の空気中における水素発生量を比較したものである.PAO,

POE,PPGは,酸素量の減少の推移が大きく変わることはなかったが,これらの油の水素

発生量については,発生速度(グラフの傾き)と発生量(グラフが横ばいになる点での物 質量)共に大きな差が生じた.発生速度はPAO,PPG,POE,発生量はPOE,PAO,PPG の順に大きく,Si100 については 100 時間の間においては発生速度,量共に最も小さいと いう結果となった.

また,PAO,POE,PPGの実験の後半において,若干量のメタンと一酸化炭素の発生が 見られた.

Air

0 0.001 0.002 0.003 0.004 0.005 0.006 0.007 0.008 0.009

0 20 40 60 80 100

time[h]

mmol

PAO Air POE Air PPG Air Si100 Air

45

Fig. 2-11b 各潤滑油の窒素下における水素発生推移

Figure 2-11bは,4種の油の窒素下における水素発生量を比較したものである.水素発生

速度,量共にPAOがほかの3つの油の比べ大きく,油種における相対的な上下関係は,空 気中の試験と同じである.しかし水素発生量は空気中に比べおおよそ一桁小さい.つまり,

加熱時における油の分解劣化,および水素発生は,基本的には酸素が必要な酸化劣化であ るということが言えそうである.

Fig. 2-11c 酸化劣化試験まとめ

N2

0 0.0001 0.0002 0.0003 0.0004 0.0005 0.0006 0.0007 0.0008 0.0009 0.001

0 20 40 60 80 100

time[h]

mmol

PAO N2 POE N2 PPG N2 Si100 N2

0 0.001 0.002 0.003 0.004 0.005 0.006 0.007 0.008 0.009

0 20 40 60 80 100

time[h]

mmol

PAO Air POE Air PPG Air Si100 Air PAO N2 POE N2 PPG N2 Si100 N2

46

Figure 2-11cは,Fig. 2-11a及び,Fig. 2-11bを重ね合わせたものである.

全ての油において,空気中で行った実験の方は窒素中で行ったものよりも,おおよそ一 桁多くの水素が発生していた.つまり,油の加熱を行った際に,雰囲気気体中に存在する 酸素量が大きければ,水素発生が活発になることがわかる.

2.3.4.1.2 カールフィッシャーによる水分発生量測定

実験前と各実験後における油中の水分濃度[ppm]を測定した結果をTable 2-5に示す.

Table 2-5 油の水分濃度

PAO POE PPG Si100 実験前 27.4 306.91 950.58 53.1 空気 69.26 502.45 1118.41 69.76 窒素 27.79 325.32 1073.66 55.14

全ての実験後の油について,油中の水分濃度が上昇しており,更にどの油についても,

空気中での実験に用いた油の水分濃度が窒素中での実験に用いた油のものよりも高かった.

つまり,油の酸化劣化に伴い,水が生成されていることを示す.

2.3.4.1.3 酸化試薬による測定結果

各実験後の油の酸化状態を測定した結果をTable 2-6に示す.

Table 2-6 油の酸化状態 単位[mgKOH/g] 雰囲気気体

空気 窒素

PAO 0.05 0.03

POE 0.23 0.06

PPG 0.23 0.05

Si100 0.01以下 0.01以下

PAO,POE,PPGを用いた実験の場合,雰囲気気体空気において,窒素の場合よりも油

が酸化していた.Si100についてはどちらの場合も試薬で測定できないレベルの小さな酸化 であったため比較できなかった.

47