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AES による元素分析

ドキュメント内 水素誘起転がり疲れの発生条件と水素の起源 (ページ 175-182)

4. 転がり接触試験による水素侵入と防止

4.2 潤滑油添加剤

4.2.3 実験結果及び考察

4.2.3.4 AES による元素分析

AESによる元素分析を,TOP 10h試験とZDDP 10h試験のディスク試験片及びボール 試験片において行った.まず,TOP 10h試験のディスク試験片の結果を以下に示す.

Figure 4-22のAESスペクトルよりトラック内にP,C,O,Feの存在が確認できる.

また,Fig. 4-23bはFig. 4-23aのディスク試験片のAESマッピングであり,左部がトラッ ク内で右部がトラック外を表している.Figure 4-23bからトラック内にP,Oが顕著に確 認でき,Feも確認できることから,リン酸鉄の被膜を形成していることが確認できた.

Fig. 4-22 ディスク試験片トラック内におけるAESスペクトル(TOP 10h試験)

P

C

O

Fe

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Fig. 4-23a ディスク試験片

Fig. 4-23b TOP 10h試験のAESマッピング

(上左:C 上中央:Fe 上右:O 下:P)

次に,TOP 10h試験のボール試験片の分析結果を示す.

Figure 4-24a~Fig. 4-24dはボール試験片トラック上の異なる場所のAESスペクトルで

あるが,いずれもPの存在を確認できなかった.つまり,ボール試験片表面には,ディス ク試験片の表面とは違い,リン酸鉄の膜が形成されてないと考えられ,TOPはボール試験 片の表面との反応性が良くなかったといえる.このことから,ボール試験片への水素侵入 を抑制できなかった原因は,リン酸鉄の膜が形成されていないためである.また,リン酸

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鉄被膜が形成されたディスク側においても,その信号強度は,次に示すZDDP由来の被膜 に比べると著しく弱い.

Fig. 4-24a ボール試験片におけるAESスペクトル(TOP 10h試験)

Fig. 4-24b ボール試験片におけるAESスペクトル(TOP 10h試験)

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Fig. 4-24c ボール試験片におけるAESスペクトル(TOP 10h試験)

Fig. 4-24d ボール試験片におけるAESスペクトル(TOP 10h試験)

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次に,ZDDP 10h試験のディスク試験片の結果を示す.

Figure 4-25のAESスペクトルよりトラック内にP,S,C,O,Fe,Znの存在が確認でき

る.ただし,カーボンのピークは非常に小さい.また,Fig. 4-26bはFig. 4-26aのディス ク試験片SEM像のAESマッピングであり,左部がトラック内で右部がトラック外となる.

Figure 4-26bからトラック内にO,P,Zn,Sが顕著に確認でき,Feも確認できることか

ら,硫化鉄やリン酸鉄,ポリフォスフェートの被膜がち密に存在していることが示された.

そして,この被膜は極めて不活性なガラス質であるため,水素侵入量を妨げている可能性 が高い.

Fig. 4-25 ディスク試験片トラック内におけるAESスペクトル(ZDDP 10h試験)

Fig. 4-26a ディスク試験片

Zn

P S

O

Fe

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Fig. 4-26b ZDDP 10h試験のAESマッピング

(上左:C 上中央:Fe 上右:O 下左:P 下中央:Zn 下右:S)

さらに,ZDDP 10h試験のボール試験片の結果を以下に示す.

Figure 4-27a,Fig. 4-27bはボール試験片の異なる場所のAESスペクトルであるが,どち

らもディスク試験片と同様にP,S,C,O,Fe,Znの存在が確認できる.このことから,

ZDDPはボール試験片との反応性も高く,ボール表面全体を覆うように膜が形成されたた め,ボール試験片への水素侵入が抑制されたと考えられる.この要因としては,Sが比較的 高温の水素中での反応性が高いためではないかと想定される.その反応性はS-S結合,C-S 結合が切断されやすいほど大きくなるため,H2Sなどが遷移状態にある可能性がある.

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Fig. 4-27a ボール試験片におけるAESスペクトル(ZDDP 10h試験)

Fig. 4-27b ボール試験片におけるAESスペクトル(ZDDP 10h試験)

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