55
EADFBレーザからのスポットサイズに対する、2.0 %-のPLC導波路との光結合損失を見積も
ってみる。図3-5は、出射ビームのFFPのx方向FWHMに対する、PLC導波路との直接光結合 損失を見積もった計算結果を示す。図中の実線が、横方向にのみテーバを付けた SSC を形成し た場合の、破線が後述する横方向と縦方向の両方にテーパを付けたSSCを形成した場合の光結 合損失である。横テーパ SSC の場合では、y 方向に対してはスポットサイズ変換構造を有しない ため、y方向のFWHMは、37 °で一定と仮定した。この図3-5から、横テーパSSC の場合でも 横方向 FWHM が、9~17 °になると、光結合損失を 3 dB 以下にまで低減することできることが わかる。SSC を有しない EADFB レーザの横方向 FWHM が 35 °であった場合の光結合損失 が、図中の白抜き丸で示す5.2 dBであったことと比較すると、横テーパSSC構造を導入し、対向 するPLC側のスポットサイズに横方向だけでも近付けることで、直接光結合においても2 dB以上 の光結合損失改善が期待できることがわかる。
56
57
置している。ここで、図3-5で得られたPLC導波路との直接光結合が最小の3 dB以下となるよう なSSC導波路の出射端の幅(Wt)とテーパ長(Lt)の作製条件を求めた結果、Wt=6 µm, Lt=200 µm の時、図3-7に示す横方向FWHMが14 °, 縦方向FWHMが37 °のFFPを得ることができ た。チップサイズは、幅0.25 mm, 長さ0.92 mmである。EA変調器、DFBレーザの光導波方向の 長さは、それぞれ150 µm、400 µmである。また、チップの厚さは、150 µmであり、裏面はグランド 電極である。各レーザの発振波長は、チップ温度50~60 ℃において、1.3 µm帯で800 GHz間 隔となるように、4種類の発振波長設計を行った。
図3-8(a)は、作製したEADFB-LDチップと2.0 %-のPLC導波路との直接光結合による光結
合トレランスを測定した結果である。測定は、図 3-8(b)に示すように、光導波路を一本だけ有する PLC を用意し、この光導波路の一端に SMF を接続し、その先には光コネクタを取り付けている。
2.0 %-のPLC導波路とSMFの接続損失は、2.1 dBである。PLC導波路は、EADFBレーザから の入射光が直接 SMF と光結合しないように、S 字を緩やかに描くレイアウトにし、その全長は 10mm程度であるため、PLC 導波路損失は無視できる。EADFB レーザ側に相対するPLC 光導 波路端面は、光学研磨を施してある。まず、EADFBレーザを発光させて、大面積 PD を近接させ て全発光パワーを測定しておく。次に、SSC端面とPLCの導波路入力端面との間を5 µm離して、
EADFB レーザを、水平方向(x 軸)および垂直方向(y 軸)に動かしつつ、PLC 光導波路を介して
光コネクタ先に接続した光パワーメータで、透過してきた光パワーを計測する。EADFB レーザの 全発光パワーから、PLC 光導波路を透過してきた光パワーと、PLC と SMF 間の光接続損失 2.1 dB を差し引くと、図 3-8(a)に示す光結合トレランスが得られる。この測定結果から、位置ずれのな い位置(x=y=0 µm, z=5 µm)において、計算値2.8 dBに近い光結合損失2.9 dBが得られることが 確認できた。尚、0.5 dB以内の光結合損失となるトレランスは、水平方向に±0.7 µm、垂直方向に
±0.5 µmである。
3.4.2 縦横テーパ SSC 集積 EADFB レーザの直接光結合
さらに、EADFB レーザの横方向に加え縦方向にもスポットサイズを拡大して、PLC 導波路側の
スポットサイズに近付けられれば、一層の光結合損失の改善が期待できる。そこで、図 3-4(c)に示 すように、SSC の構造において横方向テーパに加え、ビーム出射端に向かってコア膜厚を徐々に 薄くした縦テーパ構造を有する SSC 集積も検討した。光出射端面に向かってコア膜厚を徐々に 薄くする方法としては、パッシプ導波路のコア層をエピタキシャル成長する際に、マスク開口を調 整することで膜厚を徐々に減厚できる選択成長技術を用いた。SSCの形成は DFBレーザおよび EA変調器形成後となるため、その活性層厚みが決まってから、SSC となるパッシブ光導波路のコ ア膜厚を徐々に薄くして実現することになる。そのため、縦方向のスポットサイズは、その作製プロ セス限界によって決定され、その時の縦方向FWHMは、およそ29 °になることが数値計算で導 出された。図3-5の破線に、出射ビームのy方向FWHMが29 °である時の、x方向FWHMに 対する、2.0 %-のPLC 光導波路との光結合損失を示す。この時、x 方向FWHM が10~15 °の
58
時、光結合損失が2 dB以下になることがわかる。このことから、横テーパのみのSSCに比して、さ らに1 dB程の光結合損失改善が見込めるということがわかる。
この検討結果をもとに、縦方向と横方向にテーパ構造を有する EADFB レーザを作製した。作 製した縦横テーパ集積 EADFB レーザチップのチップ外観は、図 3-6 とほぼ同じである。光結合 損失が最低となる横方向テーパは、横方向テーパのみ SSC の EADFB レーザチップとほぼ同じ 横方向FWHMにあるので、同じマスク設計を用いてWt=6 µm、Lt=200 µmとしている。この時、図 3-9に示すように、横方向FWHMが14 °, 縦方向FWHMが29 °のFFPを得ることができた。
59
この縦横テーパSSC集積EADFBレーザチップを用いて、2.0 %-のPLC導波路との直接光 結合実験を行った。測定方法は、前述した図 3-8(b)と同様である。図 3-10 の実線に縦横テーパ SSC の直接光結合トレランスを示す。比較のため、横テーパ SSC の直接光結合トレランスを再掲 する。光軸ずれのない位置(x=y=0 µm, z=5 µm)において、計算値1.8 dBに近い光結合損失2.0 dBが得られることが確認できた。このことから、縦横テーパSSCにすることで、横テーパSSCに対 して、さらに1 dB程の光結合損失改善を見込むことができる。
このように、EADFBレーザに縦方法と横方向にテーパ構造を有するSSCを集積することによっ て、SSCを有しないEADFBレーザに比して、3 dBの光結合損失改善ができることが確認できた。