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本研究における多波長送信器について検討を進めるにあたり、図 1-4 に示す設計項目の内、

光学系設計を主点において進めた。2章で検討した2波長分のEADFBレーザと2入力1出力 MMI 光カプラをモノリシック集積したチップをふたつ用いて、二連コリメート光学系によって構成し た4波長送信器は、もともと4波長分のEADFBレーザと4入力1出力MMI光カプラをモノリシ ック集積したチップにおいて存在する原理的光学損失6 dBを、半分の3 dBに削減するコンセプ トであった。しかし、実際の二連コリメート光学系の組み立てるとなると、構成するディスクリート光 学部品点数の増加を招き、1 dB程の過剰損失が発生した。それでも、差し引き2 dBの損失改善 にはなったが、光学部品点数の増加につながるディスクリート集積による多波長送信器の組み立 てには、光学調芯工程にかかるコスト見合いとなる。このため、今後、複数レーン化もしくは多波長 化に対応するためには、光学調芯を必要とする光学部品点数を増やすことがない、簡素な集積 形態が望ましい。そのためには、3 章で検討したように、半導体レーザや PD といった半導体アク ティブデバイスと、AWGに代表されるような PLC パッシブデバイスというような機能集積単位で性 能最適化できるものをハイブリッド集積する形態が有効である。ただし、これら相互間を直接に光 結合させると、スポットサイズの違いから大きな光学損失を招く。この点の解決策のひとつとして、

モノリシック集積技術によるスポットサイズ変換器SSC を半導体デバイス側に集積し、光結合損失 改善することが望ましいと考える。本研究でも、横テーパ構造のみならず、縦横テーパ構造のスポ ットサイズ変換器を集積することで、光学損失を3 dB程改善できる見通しがあることは3.4節でも 述べた通りである。すなわち、半導体デバイス側のSSC集積とPLC導波路の最適化を進めると同 時に、フリップチップ実装による搭載精度向上を図ることによって、直接光結合という簡素な光学 系構成により損失改善を図ることができる。

次に、3 章3-8 節でも言及したとおりであるが、複数レーンを高密度に集積したためレーン間の

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電気クロストークの影響が大きいため、図3-3に示したように、BER測定でも明らかなったようにパ ワーペナルティが 2 dB 以上発生していた。これは、図1-4 に示す光学設計と高周波電気設計と が両立できていないものと考えられる。今後は、気密封止されるTOSA内部の高周波電気回路の 最適化設計を検討し改善を図る必要がある。この高周波電気回路設計により善処できる傾向とし ては、2章で作製したTOSAは、2レーン分であるが同一チップ内にEADFBレーザふたつがモノ リシック集積されているにも関わらず、レーン間の電気クロストークの影響が 0.3 dB 程度のバワー ペナルティであったことが挙げられる。

さらに、3 章3-8 節の図 3-24 に示したように、消費電力の改善が必要である。2 章の構造で作 製したTOSAと3章の構造で作製したTOSAで使用しているEADFBレーザの構成は、同じであ る。ただし、駆動するチップ動作温度Topを、2章の構造で作製したTOSAでは45 ℃設定であっ たものを、3章の構造で作製したTOSAでは55 ℃に高めて設定した。TOSAの消費電力の大半 は、内蔵するペルチエ素子によるものであり、もともと発熱する DFB レーザに対しては、チップ動 作温度 Top が高温度設定になるほど消費電力が抑えられる傾向にあるが、本研究においては、3 章の構造で作製した TOSA の方が、消費電力が大きくなる傾向にあった。この原因としては、

AWGの端面に直接EADFBレーザが実装されたキャリアを端面接続固定することを優先した、す なわち光学的接続を優先したため、EADFBレーザを実装しているキャリアが、内蔵ペルチエ素子 上に伝熱性良く固定されていないことが原因である(図3-11)。これは、図1-4に示す光学設計と放 熱設計とが十分に両立できていないものと考えられ、EADFB レーザからの放熱を考慮したキャリ ア実装の検討が必要である。この解決方法のひとつとしては、4章もしくは5章の形態で作製した PLC ハイブリッド集積形態が挙げられる。すなわち、光学的接続を保持する PLC 基板がフリップ チップ実装される半導体レーザに対して同一である。また、PLC 基板自体がシリコンであるため、

半田で固定された半導体レーザからの放熱性は高いことも見込まれる。

最後に、4章もしくは5章のPLCハイブリッド集積形態で使用した半導体レーザは、チップ単体 の駆動能力からして精々10 Gbit/sの性能のものを使用した。100 Gbit/sイーサネットでは、チップ 単体あたり 25Gbit/s の駆動能力を、また次世代 400 Gbot/s イーサネットでは PAM4 変調で 25

GBaud の駆動能力が要求される。このため、PLC プラットフォーム上において、高周波電気駆動

に対応した電気配線設計および実装レイアウト設計が必要になってくる。この場合、フリップチップ 実装による寄生インピーダンス成分の抑制が必要である。高周波電気設計のもと、EADFBレーザ をフェースアップでフリップチップ実装し、特性改善を図る報告も様々に報告されている[6.1, 6.2]。

今後は、これら技術を応用しつつ、例えば5章の WDM送信ボード側において屈折型PD 実装 に半田バンプ接続を採用したような構成で、高周波電気設計された半導体レーザのフェースダウ ンのフリップチップ実装が、PLCハイブリッド集積形態に必要である。

今後、本研究における成果が、次世代の波長多重送信器の汎用性のある小型集積化技術とし て幅広く適用され、ひいては多くの人々の快適な暮らしを支える情報通信技術のひとつとならんこ とを願う。

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略称リストおよび記号リスト

略称 意味

AR Anti reflection 無反射

AWG Arrayed-waveguide grating アレイ回折格子

BER Bit error rate ビットエラーレート

BtoB Back to back バックツーバック

CDR Clock and data recovery クロックデータリカバリ

CFP Centum form-factor pluggble

DER Dynamic extinction ratio 動的消光比

DFB Distributed feedback 分布帰還

DMUX Demultiplexer デマルチプレクサ

EA Electroabsorption 電界吸収

FFP Far field pattern 遠視野像

FHD Flame hydrolysis deposition 火炎加水分解堆積

FSR Free spectral range

FWHM Full width half maximum 半値全幅

HR High refrector 高反射

ICT Information communication technology 情報通信技術 IEEE The institute of electrical and electronic engineers

IoT Internet of things モノのインターネット

IP Internet protocol インターネットプロトコル

LAN Local area network ローカルエリアネットワーク

LD Laser diode レーザダイオード

LSI Large scale integrated 大規模集積

MAN Metropolitan area network メトロポリタンエリアネットワーク

MCVD Modified chemical vapor deposition 内付化学気相堆積 MEMS Micro electro mechanical systems

MM Mask margin マスクマージン

MMI Multimode interference 多モード干渉

MOCVD Metal organic chemical vapor deposition 有機金属気相成長

MQW Multi quantum well 多重量子井戸

MSA Multi-source agreement

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MUX Multiplexer マルチプレクサ

MZI Mach-Zehnder interferometer マッハ・ツェンダ干渉計

NRZ Non return to zero

OMA Optical modulation amplitude 光変調振幅

ONU Optical network unit 光ネットワークユニット

PAM4 4-level pulse amplitude modulation 4値パルス振幅変調

PD Photo diode フォトダイオード

PLC Planer lightwave circuit 平面光波回路

PPG Pulse pattern generater パルスパターンジェネレータ

PRBS Pseudo random binary sequence 疑似ランダムバイナリシーケンス

RIE Reactive ion etching 反応性イオンエッチング

ROADM Reconfigurable optical add-drop multiplexer 再構成可能光挿入分岐多重 ROSA Reciever optical sub-assembly

SER Static extinction ratio 静的消光比

SMF Single mode optical fiber シングルモード光ファイバ

SMSR Side-mode suppression ratio サイドモード抑圧比

SSC Spot-size converter スポットサイズ変換器

TDM Time division multiplexing 時分割多重

TE Transverse electric

TIA Transimpedance amplifier トランスインピーダンスアンプ

TM Transverse magnetic

TOSA Transmitter optical sub-assembly

ULCF Uniform loss and cyclic frequency characteristics 透過損失が均一な波長周回特性

VAD Vapor phase axial deposition 気相軸付け

WAN Wide area network ワイドエリアネットワーク

WDM Wavelenght division multiplexing 波長分割多重

記号 意味

c 光速

D スラブ導波路との接続曲面におけるアレイ導波路の配列間隔 F スラブ導波路の長さ

f1 第1レンズの焦点距離 f2 第2レンズの焦点距離

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Li アイソレータ入射面からSMF端面までの経路長 Lt SSC導波路のテーパ長

m 像倍率

m AWGの回折次数 (3.6.2節) nc アレイ導波路の実効屈折率 ng アレイ導波路の実効群屈折率 ns スラブ導波路の実効屈折率 Pavg 平均光出力パワー

Pavg (BER測定の際の)平均受光パワー Pf 光出力パワー

Tc ケース温度

Top 半導体レーザの動作設定温度、ペルチエ素子の設定温度 Vb EA変調器のバイアス電圧

Vf 半導体レーザにかかる電圧 Vpp 変調電圧振幅

Wt SSC導波路の出射端の幅 x 集光位置

Xp クロスポイント

z ビームスポット間の距離

 PLC導波路の比屈折率差

c 伝導帯オフセット

v 価電子帯オフセット

L アレイ導波路の隣接導波路間の経路長差

L1 第1レンズの光軸方向位置ずれ

L2 第2レンズの光軸方向位置ずれ

 光軸に対する角度ずれ

r SMF端の垂直方向に沿った光路0,光路1それぞれからの結像位置の距離

x 光軸方向に垂直な方向の位置ずれ

x1 第1レンズの光軸方向に垂直な方向の位置ずれ

x2 第2レンズの光軸方向に垂直な方向の位置ずれ

z 光軸方向の位置ずれ

z 光軸方向に沿った光路0,光路1それぞれからの結像位置間の距離 (2.3.2節)

 光結合効率