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直接光結合系の設計

半導体レーザからの光ビームを、PLC導波路に、レンズを介さず直接入力した場合の光結合系 について考えてみる。半導体レーザから出射されるビームとPLC導波路を伝播するビームの双方 の形状に、0 次のガウシアンビームを仮定する。ここで、0 次のガウシアンビームのことを、以下に おいては単にガウシアンビームと呼ぶことにする。ここで、図 3-3 に示すように、ガウシアンビーム 同士の光結合系を仮定する。半導体レーザから出射したビームの進行方向を光軸とし、これを z 軸方向とする。半導体レーザから出射したビームは、正面に相対する PLC 導波路に直接入射す

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るため、考慮する光学系としては、z 軸に垂直な方向であるx軸方向にも y軸方向にも軸ずれが なく、かつz軸方向に対する角度ずれもないガウシアンビーム同士の光学結合系、すなわちz軸 方向にのみ間隙があるガウシアンビーム同士の光学結合系について考慮すればよい。このように 考察する理由は、実際の半導体レーザのビーム出射端面とPLC光導波路の入射端面との間は、

x軸方向y軸方向に対する軸ずれが無いように、半導体レーザと PLC光導波路の二体間でアク ティブ光学調芯を行うことを前提としていることと、z 軸方向に対する角度ずれは、半導体レーザと PLC導波路自体の基板自体が、サブmmから1 mmオーダーのバルクであるため、それらの面同 士を突き合わせるにしても、数m からサブm のビーム結合系に対し、角度ずれを無視できるほ どであることを前提としている。z軸方向に間隙があることを考慮するのは、半導体レーザのビーム 出射端面とPLC導波路の入射端面との正面突き合わせであるため、それら基板間の接着に必要 な間隙として、数m程度が存在することを考慮したためである。

3.3.1 直接光結合系の光結合損失

ここで、半導体レーザから出射されるビームのスポットサイズを、x方向に1x、y方向に1y、PLC 導波路のスポットサイズを、x 方向に2x、y 方向に2yとする。これらのガウシアンビーム同士が、

そのビームウェスト位置を z だけ離れて相対した際の光結合効率は、次式によって与えられる [2.4]。

η = 2

√(ω1x ω2x2x

ω1x)2+ ( λz πω1xω2x)

2

2

√(ω1y ω2y2y

ω1y)

2

+ ( λz πω1yω2y)

2

(3-1) ここで、λは光の波長である。

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この式から、z 軸方向にずれがない(z=0)場合であったとしても、分母にふたつある 2 乗根号内 の第1項から、双方のガウシアンビームのスポットサイズが一致しない限り、光結合効率1が得られ ないことがわかる。またz軸方向ずれがある場合には、分母の同じく第2項から、ビームのスポット サイズが大きいほど、光結合効率を高めることができることがわかる。通常、半導体レーザのスポッ トサイズはサブmオーダー、石英系のPLC導波路のそれが数mオーダーである。そこで、半導 体レーザ側のスポットサイズを PLC 導波路のそれに近づけるほうが、光結合損失の低減を図りや すいため、本章で用いる半導体レーザには、スポットサイズを拡大する変換器を集積することを検 討した。

PLC 導波路の詳細については、3.6 節で述べることにするが、本章においては、TOSA の小型 化のため 2.0%の比屈折率差()を有する PLC 導波路を採用した。この 2.0 %-で作製する単一 モードPLC導波路のコア断面形状は、縦4.5 m,横4.5 mの正方形状であり、そのスポットサイ ズはほぼ真円に近い2x =2y = 2.3 mである。

一方、本章で検討する半導体レーザの基本構成としては、2章 2.5節で述べたEADFBレーザ アレイチップの内、DFBレーザ部と EA変調器部の設計をそのまま適用したEADFB レーザを採 用した[2-6]。すなわち、図2-11における2入力1出力MMI光カプラのパッシブ導波路部を無く した、通常のInGaAsAl系EADFBレーザである。図3-4(a)に、その概略を斜視図にして示す。こ

のEADFBレーザのDFBレーザ部とEA変調器部の光導波路構造は、幅2 mのリッジ導波路

で形成しており、その出射ビームのFFP放射角として、横方向と縦方向の半値全幅 FWHMがそ れぞれ、およそ 35 °と 37 °の広がりを有している。これは、スポットサイズにすると、1x=0.72

m , 1y=0.68 mに相当し、PLC側の2.0%-導波路のスポットサイズと大きく異なるため、直接光 結合の場合、スポットサイズ不整合により大きな光結合損失が生じる。その光結合損失は、式(3-1)

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から5.2 dBと見積られる。ここで、EADFBレーザの光出射端面とPLC導波路の入射端面間の距

離zは、実際のTOSA組み立てに必要な接続長として5 mの間隙が存在し、その間隙は、屈折 率 1.45 の光学樹脂が充填されているものとして仮定した。この 5.2 dB もの光結合損失は、別途 AWG自体の透過損失も想定しなければならない状況において、TOSA全体の光出力低下を招く 要因となるため、直接光結合系の光結合損失改善が必要である。

3.3.2 スポットサイズ変換器(SSC)集積による光結合損失の見積もり

EADFB レーザからの出射ビームのスポットサイズを、PLC 側の光導波路側のそれに近付ける

ため、EADFB レーザの光出射端面にスポットサイズ変換器(SSC)を集積することで、直接光結合

における光結合損失低減の検討を試みることとした。まず、図3-4(b)に示すように、DFBレーザ部 とEA変調器部の導波路構造がリッジ導波路であることから、集積するSSCも、その製造プロセス 負荷を低減するため光出射端面に向かって拡幅するリッジ光導波路による横テーパ構造の導入 を検討した。これは、2 章の図 2-11 の MMI光カプラを形成したパッシブ導波路部分を形成する プロセス工程において、単にスポットサイズ変換に要する長さに拡幅したマスクパタンに置き換え るだけでよい。光の導波方向に向かって拡幅する横テーパにより、SSC 内を導波する光ビームは、

その横方向においてスポットサイズを拡大していくことなる。尚、SSC のテーパ方向でいう横方向と は、図中x 軸に沿った方向を、同様に縦方向というのは、図中 y軸に沿った方向を指すものとす る。

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EADFBレーザからのスポットサイズに対する、2.0 %-のPLC導波路との光結合損失を見積も

ってみる。図3-5は、出射ビームのFFPのx方向FWHMに対する、PLC導波路との直接光結合 損失を見積もった計算結果を示す。図中の実線が、横方向にのみテーバを付けた SSC を形成し た場合の、破線が後述する横方向と縦方向の両方にテーパを付けたSSCを形成した場合の光結 合損失である。横テーパ SSC の場合では、y 方向に対してはスポットサイズ変換構造を有しない ため、y方向のFWHMは、37 °で一定と仮定した。この図3-5から、横テーパSSC の場合でも 横方向 FWHM が、9~17 °になると、光結合損失を 3 dB 以下にまで低減することできることが わかる。SSC を有しない EADFB レーザの横方向 FWHM が 35 °であった場合の光結合損失 が、図中の白抜き丸で示す5.2 dBであったことと比較すると、横テーパSSC構造を導入し、対向 するPLC側のスポットサイズに横方向だけでも近付けることで、直接光結合においても2 dB以上 の光結合損失改善が期待できることがわかる。