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あらゆる対象間におけるコミュニケーションが日常になり、行き交う情報通信量が今後もますま す増大していく社会が地球規模で構築されている。そこでは、情報アクセスにおいてストレスの無 い環境が要求される。それ故、扱う情報量の増大に伴い、一層の情報通信技術 ICT の革新にお いて、大容量高速化が目標のひとつとして求められ続ける。そして現代は、光による通信が情報 通信手段の礎となっている。こうした中にあって求められるのは、光通信を支える構成物普及によ る社会への貢献である。

本研究は、光通信を成立する構成要素である、送信器、伝送媒体、受信器の内、送信器の構 成に関わるものである。単一コアから成る 1 本の光ファイバによる伝送容量の拡大は、大きく時分 割多重(TDM)技術による構成デバイス自身の高速化と、波長分割多重(WDM)技術による光波長 ファイバチャンネル数の増大化により進展してきた。伝送容量拡大のために、身近な通信環境に おいても、WDM 技術を用いた多波長化への対応が求められている。その中でも、本研究では、

通信規格のひとつであるイーサネットにおいて、複数の波長レーンから構成される仕様への対応 を目標に掲げ、多波長送信器における光学系構成の小型化、低損失化ついて検討を行った。具 体的には、100 Gbit/s イーサネットで規格されている光送信仕様に準拠することを目標に掲げつ つ、2章では、複数の波長レーンの小型集積化を図った二連コリメート光学系による4波長TOSA を、続く3章では、光学系を簡素化することにより小型化を図った、AWG波長合波器とEADFBレ ーザとを直接光結合して構成した4波長TOSAの検討を行った。さらに4章においては、複数個 のDFBレーザを同一石英系PLCにパッシブ調芯によるフリップチップ実装することで、実装工程 の簡略化を図ったPLCハイブリッド集積による4波長送信器の検討を行った。そして5章におい ては、4章で検討したPLCハイブリッド集積技術を応用し、波長レーン数を8波長までに拡張し、

かつ直接AWG波長合波器にパッシブ調芯によるフリップチップ実装した、WDM送信ボードの検 討を行った。ここでは、同技術を受信側であるPD素子の直接AWG波長分波器へのパッシブ調 芯によるフリップチップ実装にも応用したWDM受信ボードの検討を行った。以下に、各章の内容 を要約し、得られた結論について述べる。

2 章では、4 つの波長レーンから構成され、これら波長信号を合波する機能を有する多波長送 信器の集積化について論じ、その光学系における光学損失を低減する小型集積方法について 述べた。具体的には、100 Gbit/sイーサネットの規格 100GBASE-ER4に対応した 4波長送信器 において、サイズ目標としては、CFP2光トランシーバに収容可能とするため、ビットレート25 Gbit/s の4つの波長レーンと波長合波器を同一パッケージ内に集積した小型 TOSAの設計とその作製 を行った。

TOSA の光学損失低減を図るため、モノリシック集積とディスクリート集積を混用した二連コリメ

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ー ト 光 学 系 の 設 計 を 行 っ た 。 ま た 使 用 した 半 導 体 レー ザ に は 、 高 消 光 特 性 が 期 待 で き る

InGaAlAs系MQW構造を導入したEADFBレーザを2波長レーン分と、それらを2入力1出力

MMI光カプラで合波して出力できるモノリシック集積アレイチップを、新たに開発した。4波長レー ンを構成する上では、さらに、このEADFBレーザアレイチップが2つ必要であり、これらの波長合 波器としては、ディスクリート光学部品から成る偏波多重回路を二連コリメート光学系で構成し、そ の基本設計と光学的過剰損失の見積もりを行った。組み立て途中に、二連ある内の一方のコリメ ート光学系において調芯補正を行うようにしたことで、二連コリメート光学系による光学過剰損失を 1dB以内に抑制できることを確認した。これは、4入力1出力MMI光カプラと4波長EADFBレ ーザアレイをモノリシック集積したチップを使用した TOSA 構成例に比べ、約 2dB の光学損失改 善が図られたことに相当する。

以上の光学設計に基づき作製した TOSA は、CFP2 光トランシーバに収容可能な小型化を達 成した。さらに、その送信特性を評価した結果、伝送距離40 km を保証する100GBASE-ER4 に 完全準拠する特性を有することを確認した。以上から、モノリシック集積とディスクリート集積を混用 した二連コリメート光学系によって、4 波長送信器の小型一体集積化への有用性を明らかにした [1.34]。

3章では、100 Gbit/sイーサネット用のCFP4光トランシーバに収納可能とするため、4つの波長

レーンを有するTOSAを、光学部品点数を削減しつつより小型化を図ったTOSAに関する設計と その作製を行った。具体的には、EADFBレーザと石英系PLCによるAWG波長合波器のそれぞ れにおいて性能最適化を図りつつ、これらの光学結合にレンズ等のディスクリート光学部品を使 用すること無く、直接光結合する光学系の導入を検討した。

EADFB レーザには、PLC 導波路との直接光結合によって生じる光学結合損失を低減するた

め、テーパ型スポットサイズ変換器(SSC)集積の設計検討を行った。横テーパ構造で SSC を集積 した場合と縦横テーパ構造でSSCを集積した場合を検討し、AWG小型のため採用した2.0 %-

の PLC 導波路との結合損失を、SCC 集積無しの場合と比較して、前者で 2 dB 以上、後者で 3 dB以上の損失改善が可能であることを実験的に確認した。

AWG については、フィルタ透過帯域の広帯域低損失化のため、MZI 同期 AWG の採用を検 討した。2.0 %-で PLC 導波路設計することにより、透過損失 1.9 dB 以下、0.5 dB 帯域幅 410 GHzのフィルタ特性を有する、チップサイズが幅3.5 mm, 長さ6.7 mmの小型AWGを実現した。

以上の光学設計に基づいて、横テーパ構造SSC 集積EADFBレーザを用いて4波長TOSA を作製した。作製した TOSA は、CFP4 光トランシーバに収容できるサイズを達成し、その送信特 性を評価した結果、100GBASE-ER4に準拠する性能を有していることを確認した。

採用したEADFBレーザの形態としては、個別に4つのEADFBレーザをAWG端に取り付け

たTOSA形態と、4波長分を有するEADFBレーザアレイをAWG端に取り付けたTOSA形態の 2種を検討し、両者ともに同様な動作性能が得られることを確認した。集積の点では、アクティブ光

学調芯が1回で済むEADFBレーザアレイを採用する形態が有利であろう。

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以上から、EADFBレーザとAWGとの直接光結合という簡素な光学系構成によって、4波長送 信器の小型一体集積化の有用性を明らかにした。また、AWG の採用は、小型多波長化に対しス ケーラビリティあるさらなる多波長化への対応として有効である[1.30, 1.31]。

4章では、複数個のDFBレーザを同一石英系PLC上にパッシブ調芯することで、実装工程の 簡略化を図ったハイブリッド集積形態の4波長送信器の検討を行った。具体的には、直接変調型 DFBレーザをベアチップで、PLC上に薄膜半田によりフリップチップ実装して構成する、4波長送 信器の設計とその作製を行った。ここでは、DFB レーザと PLC との間の直接光結合のため、あら かじめ導波路コア高さを調整したレーザ搭載部を形成したPLCプラットフォームを設計し、両者の 光軸調芯をパッシブ光学調芯により行うことで、実装工程の簡略化を試みた。同一のPLCプラット フォームに複数個のDFBレーザをフリップチップ実装する方法として、個々のDFBレーザを画像 認識による位置決めを行った後、薄膜半田を用いて一旦熱圧着仮固定する工程を繰り返し、その 後一括して半田固定する方法を試みた。その結果、搭載精度が±1 m程度であれば、DFBレー ザとPLC導波路間の光結合損失ばらつきは1 dB程度に抑制できること、またフェースダウンのフ リップチップ実装によるDFBレーザの発振動作に影響が無いことを確認することができた。

以上の光学設計に基づき作製したPLCプラットフォームに、4つの異なる発振波長を有する10

Gbit/s級直接変調型DFBレーザをフリップチップ実装し、さらに別途作製したAWG波長合波器

を接続して4波長送信器を実現した。作製したこの光送信器は、4レーン同時直接変調駆動によ るトータル40 Gbit/sにおいて、伝送距離10 kmにおけるエラーフリー動作が可能であることを確 認した。以上から、パッシブ光学調芯による PLC ハイブリッド集積は、多波長送信器の構成を簡 素化し作製の簡易化を推進する形態として有効であることを明らかにした[1.32]。

5章では、4章で検討したPLCハイブリッド集積によるWDM送受信器作製における集積度向 上のひとつとして、AWG 合分波器そのものをベアチップ光半導体素子の集積プラットフォーム化 する検討を行った。

WDM送信器の作製においては、4章で検討したパッシブ実装による PLCハイブリッド集積技 術を応用して、8 個の DFBレーザを波長合波器である AWG チップ上にフリップチップ実装する ことを試みた。さらには、この技術を受信器側にも応用して、8個の屈折型 PD を波長分波器であ るAWG チップ上にフリップチップ実装した WDM受信器の作製も試みた。半田バンプ接続を要 する屈折型PDには、半田リフローの際の生じるPD搭載部の表面状態に対する濡れ性の違いを 応用して、複数個のフリップチップ実装を可能にした。

これら、DFB レーザもしくは PD をフリップチップ実装した AWG を、駆動用電子回路と共に実 装して、8波長のWDM送信ボードおよびWDM受信ボードを作製し、送受間の対向実験を試み

た結果、14 dB以上の送受間伝送マージンを有するシステムを構築できることを確認した[1.33]。

以上の本研究において得られた知見をまとめると、1) 2章で検討した二連コリメート光学系では、

光学部品を用いてアクティブ光学調芯により 4 波長までの合波部を低損失化して構成することが できるが、4 波長レーンを超える多波長送信器の小型化には、構成部品数の観点から限界がある