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波路は、モニタPDとDFBレーザとの間、DFBレーザとEA変調器の間にも取り入れることで、モ ノリシック集積チップ全体の光学損失低減を図っている。
以上述べてきたように、DFBレーザ部においてはInGaAlAs系圧縮歪MQW層、EA変調器部
にはInGaAlAs系引張歪MQW層、パッシブ光導波路部にはInGaAsP層を、活性層もしくはコア
層に適用し、またDFBレーザ部と EA変調器部の上部クラッドには p-InP層を用いる一方で、パ ッシブ光導波路部の上部クラッドには、ノンドープInP層を適用するといった層設計となっている。
このように異種の層構成を光導波路方向に接続する方法には、突合せ結合接続技術、選択結晶 成長技術等があるが、ここでは、異なる集積要素である DFB レーザ、EA 変調器、パッシブ導波 路を独立に最適設計することが可能な、有機金属気相成長法(Metal organic chemical vapor
deposition : MOCVD)と半導体エッチングのプロセスを繰り返す突合せ結合接続技術を用いて、
モノリシック集積EADFBレーザアレイを作製した[2.2]。
図2-11に、作製した EADFBレーザアレイの外観写真を示す。DFBレーザには、単一波長の 発振を安定化するために、/4 位相シフトグレーティング構造を入れている。DFB レーザ間のピッ
チは100 mで配置し、チップサイズは幅0.4 mm, 長さ1.6 mmである。モニタPD、EA変調器、
DFBレーザ、そしてMMI光合波器の光導波方向の長さは、それぞれ150 m、400 m、90 m、
そして96 mである。また、チップの厚さは裏面研磨で150 mとし、その裏面全面をグランド電極
としている。100GBASE-ER4の仕様は4波長レーンなので、レーン0用に0でとレーン1用に1
で波長発振するレーザアレイ0と、レーン2用に2でとレーン3用に3で波長発振するレーザア レイ 1 の 2 種類を設計した。これらの発振波長は、動作温度が 40~50 ℃で得られように設計し た。また、光ビーム出射端においては端面反射の影響を抑圧するため、出力導波路の方向は劈 開面の法線方向に対し 5 °傾けられており、さらにチップの前面および後面には無反射(Anti reflection : AR)膜コーティングを施した。
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ート光学系構成による光学過剰損失としては、約1 dBであった。2連あるコリメート光学系の両者 からのビームの結像をSMFに合わせ込むために、2.4節に述べたように光路2側の第1レンズを 動かすことで達成するとしていたにも関わらずに、このように約 1 dB の光学過剰損失が残留する 理由は、アクティブ調芯後に行う光路1 側の第1 レンズやレセプタクルの固定に、YAG レーザを 用いたことによる溶接時の軸ずれが積み上がった結果である。この光学過剰損失は、YAGレーザ
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の照射条件と溶接条件を最適化することにより低減可能であると考えている。
図 2-13 は、EA 変調器に印加したバイアス電圧 Vb に対する各レーンの静的消光比(Static extinction ratio : SER)を測定した結果である。この時の各レーンのDFBレーザへの注入電流Ifは
90 mAである。すべてのレーンにおいて、バイアス印加電圧Vbが-2 V以下で、静的消光比SER
が18 dB以上得られている。ここで、各EADFBレーザアレイ内の波長レーン間において、消光カ
ーブが異なっているのは、同一チップ内にふたつ集積されたEA 変調器のMQW構造の光吸収 層の設計を同一にしたため、2-5節で述べたように各々のDFBレーザからの発振波長に対する吸 収ピーク波長との差、すなわち離調が異なるためである。
図2-14に、各レーンへのDFBレーザへの注入電流Ifを80 mA一定、EA 変調器のバイアス 電圧Vbとしては、後述するエラーフリーとなる動作条件(図2-18の表)で、レーン0, 1, 2, 3の順に、
-0.96 V, -1.16 V, -0.96 V, -1.09 Vに設定した時の発振波長スペクトルを示す。各レーンにおいて、
100GBASE-ER4 で規定された波長範囲内において単一発振し、サイドモード抑圧比(Side-mode
suppression ratio : SMSR)は、49 dB以上を確保できている。
これら得られた静特性からも分かるように、二連コリメート光学系による本 TOSA の光学構成に
おいて、EADFBレーザの発振動作に対し特段の劣化要因がないことがわかった。
図2-2(a)に示すTOSAは、モノリシック集積された半導体レーザからの光出力ビームに対し、単
一のコリメート光学系を構成して、レセプタクル内SMF 端に結像させる光学系であった。一方、本
構成のTOSAは、図2-2(b)に示すように、ふたつのレーザアレイチップからの光出力ビームに対し
て、途中光路の異なる二連のコリメート光学系を介して、同一のレセプタクル内 SMF 端に結像さ せる光学構成であるため、周辺環境温度に対する光出力変動が気になるところである。図2-15に、
TOSAのケース温度Tcを-10 ℃から85 ℃の範囲で変化させた際の、ケース温度25 ℃に対する
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光出力変動差(トラッキングエラー)を、レーン毎に評価した結果を示す。すべてのレーンにおいて、
トラッキングエラーは、0.4 dB 以内に抑制されていることが見て取れる。光トランシーバでは、通常-5 ℃から 75 ℃の温度範囲でトラッキングエラー±0.5 dB 以内が要求されるので、この評価結果 によれば、二連コリメータ光学系を有する本TOSA構成は、対周辺環境温度的にも適用可能であ る。トラッキングエラーが現れる傾向を詳細に見てみると、レーン 0 とレーン 1 の発振波長光源を 集積したレーザアレイ0側と、レーン2とレーン3の発振波長光源を集積したレーザアレイ1側と
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で、その傾向が異なっていることが分かる。この違いは、二連あるコリメータ光学系におけるそれぞ れのビームの集光先が異なっていたため、同一のレセプタクル内 SMF 端に入射させるために光 学調芯を行った結果、両光路間に生じたずれに起因するものと考えられる。
図2-16に、TOSAのケース温度Tcを-10 ℃から85 ℃の範囲で変化させた際の、本TOSAの 全消費電力を測定した結果を示す。この評価を行うにあたって設定した条件は、後述する全レー ン同時駆動の状態でエラーフリー動作が得られる駆動条件(図 2-18 の表)であり、全消費電力の 内訳は、DFB レーザ、EA 変調器、モニタ PD、そして内蔵ペルチエ素子の消費電力の実測総和 値である。内蔵ペルチエ素子の設定温度は、冒頭述べたように 45 ℃一定である。-5 ℃から 75 ℃の環境温度範囲において、1.5W以下の消費電力であることがわかる。
次に、動特性評価結果について述べる。図2-17に、各レーンにおける電気信号(E)から光信号 (O)への E/O 小信号周波数応答特性を示す。この時の設定条件も、後述する動特性評価の際に 使用した駆動条件(図2-18の表)と同じ、各レーンへのDFBレーザへの注入電流Ifを80 mA一 定、EA変調器のバイアス電圧Vbを、レーン0, 1, 2, 3の順に-0.96 V, -1.16 V, -0.96 V, -1.09 Vに 設定し、光コンポーネントアナライザを使用して測定した。3 dB周波数帯域は、20 GHz前後が得 られており、これは100GBASE-ER4のレーンビットレート25.78125 Gbit/sに十分な動作帯域であ る。
図2-18は、その表に示すように、全レーンのDFBレーザへの注入電流Ifを80 mA、EA変調 器のバイアス電圧Vbとして、レーン0, 1, 2, 3の順に-0.96 V, -1.16 V, -0.96 V, -1.09 Vに設定し、
パ ルスパ ター ン ジェ ネ レー タ(Pulse pattern generater : PPG)か ら出 力 され る、 ビ ッ ト レー ト が 25.78125 Gbit/s、疑似ランダムバイナリシーケンス(Pseudo random binary sequence : PRBS)が231 -1のNRZ(Non return to zero)信号を、変調電圧振幅Vppを2 Vにして、EA変調器に重畳し、全レ
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ーンを同時駆動して得られたTOSAからの各レーン光出力アイパターンを示す。全レーン同時駆 動により 4 つの波長レーンからの光信号出力が合波されているため、各レーンの光出力アイパタ ーンは、波長可変光フィルタで切り出した後、デジタルサンプリングオシロスコープで観測した。図 2-18 に示すアイパターンは、4 次ベッセルフィルタを介して観測したものであり、アイパターンの光 クロスポイントが、50 %近傍になるように調整している。アイ開口内の示す内側の薄い灰色マスク は、100GBASE-ER4規定のアイマスクである。マスクマージン(Mask margin : MM)としては、全レ
ーンで 27 %以上が得られ、良好なアイ開口が得られている。図 2-18 の表に、各レーンの評価結
果をまとめるように、すべてのレーンで、平均光出力パワーPavgとして-1.2 dBm以上、動的消光比
DERは8.9 dB以上、またこれらより求められる光変調振幅OMAが0.9 dBm以上と、表2-1で示
した100GBASE-ER4の仕様を満足する光出力アイパターンが得られた。
次に、図2-18の表に示す動作条件において、全レーン同時駆動させて光伝送実験を実施した 結果について述べる。図2-19に、SMFを10 km、40 km、さらに60 km伝送させた後に、4次ベッ
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セルフィルタを介して観測された各レーンのアイパターンを示す。伝送距離が長い程、波形歪が 現れてくるが、それでも動的消光比DERとして8.7 dB以上のアイ開口が確認できた。
図2-20に、バックツーバック(Back to back : BtoB)、およびSMFを10 km、40 km、さらに60 km 伝送させた時のビットエラーレート(Bit error rate : BER)特性を示す。ここでも、各レーンのビットエ ラーレート(BER)特性を評価するために、伝送後において、波長可変光フィルタで各レーンの光 信号を切り出して測定した。切り出された各波長レーンの光信号は、p-i-n PD とトランスインピーダ ンスアンプ(Transimpedance amplifier : TIA)を集積した単チャンネルのROSAで受光して光電変 換し、さらに電気アンプで電気信号を増幅して、エラーアナライザに入力してBERを評価した。尚、
40 kmおよび60 kmのSMF伝送後においては、ROSAに入力する前段で、1.3 m帯プラセオジ
ウム光増幅器を用いて、一旦光信号を増幅してから受信している。この図から、60 km伝送に至る まで、エラーフロアの無いビットエラーレート(BER)特性が得られていることがわかる。バックツーバ ック(BtoB)における受光感度は、ビットエラーレート(BER)が10-12において、レーン0, 1, 2, 3の順 に、-14.4 dBm, -13.8 dBm, -14.1 dBm, -14.2 dBmであり、0.6 dB以内で波長レーン間の特性が揃 いつつ、60km伝送までの分散ペナルティは、最大でも 1.4 dB であった。100 Gbit/s イーサネット
規格IEEE 802.3baで仕様化されている伝送距離40 kmの100GBASE-ER4における分散ペナ
ルティが、レーンあたり最大 2.5 dB とされている。このことから、伝送距離 40 km の 100GBASE-ER4規定である分散ペナルティで、60 kmまでの伝送距離延伸を考慮しても十分に満足できるこ とが確認できた。
さて、複数波長の信号レーンを集積したTOSAに関して考慮すべき点として、レーン間相互の 信号干渉で生じる特性劣化があり、これをレーン間におけるクロストークという。クロストークの発生 は、レーン相互に影響を及ぼして伝送特性劣化の要因となる。その要因は、電気的と光的の双方 の原因が複合して現れると考えられるが、ここでは、バックツーバック(BtoB)の駆動状態における、
アイパターンとビットエラーレート(BER)特性から、レーン間クロストークを評価してみることにする。
図 2-21 は、各レーンを単体で駆動した場合に得られた、バックツーバック(BtoB)での各レーン からのアイパターンを示す。この時の動作条件も、図2-18の表と同じ設定である。図2-21に示す 各レーンを単体で駆動した場合は、それぞれのレーンで 40 %以上のマスクマージン MM がある 非常に明瞭なアイ開口が得られている。その一方で、図 2-18 に示す全レーンを同時駆動した場 合においては、特にレーン1とレーン2において、マスクマージンMMが30 %を割り込む27 % にまで劣化していることが分かる。これは、レーン1とレーン2は、レーン0とレーン3に対し、レー ン両側で駆動されているレーンが存在するため、電気的なクロストークの影響を受けやすいためと 考えられる。次に、ビットエラーレート(BER)特性から、クロストークの影響を見てみよう。図 2-22 は、
バックツーバック(BtoB)の状態で、各レーンを単体で駆動した場合のビットエラーレート(BER)特 性と、全レーンを同時に駆動した場合のビットエラーレート(BER) 特性(図2-20の再掲)を、それぞ れのレーンにおいて測定した結果を示す。ビットエラーレート(BER)が 10-12 における受光感度劣 化は、レーン0, 1, 2, 3の順に、0 dB, 0.3 dB, 0.2 dB, 0.2 dBであった。前述したアイパターンにお