13.3 モジュールおよびアドオン
MICROSAR.MCAL パッケージに含まれているドライバーモジュールは、Can、Eth、Fr、Lin、I2C と、AUTOSAR 4.x 対応バージョンでは PamTstテストモジュールです。これらのモジュールはAUTOSAR 4.xに対応しており、入手可能な各種マイクロコントローラーで使用できます。
> Can – CAN Driver
Can ドライバーは、メッセージの送受信やコントローラーの状態の切替え(スリープ、停止など)を目的としたCAN ハードウェアへのアクセス を抽象化します。
Extensions to AUTOSAR Standard
> メッセージの受信時およびメッセージ送信成功後に通知(コールバック)。これによってアプリケーション固有コードを自動実行することが可能 アドオン
> 「HighEnd」オプションにより、複数のベーシックCANオブジェクトに対するフィルターオプションの拡張、受信時の割込時間を短縮するた
めの受信キュー、データの整合性確保と割込みによる負荷の軽減を目的としたメールボックスの個別ポーリング機能が提供されます。
> 複数のCANコントローラーを1つの物理CANバス(共通CAN)上にまとめることによるFull-CANオブジェクト数の拡大
> Can (SocketCAN)
SocketCan APIは、Linux環境下でCAN通信するための、ハードウェアに依存しないAPIです。このモジュールは既存のSocketCAN APIを使用してCAN通信を実現し、LinuxでのMICROSARスタックの実行を可能にします。
> Eth – Ethernet Driver
Ethドライバーは、メッセージの送受信やコントローラーの状態の切替えを目的としたEthernetハードウェアへのアクセスを抽象化します。
> EthSwt – Ethernet Switch Driver
EthSwt モジュールは、Ethernet スイッチを制御および設定するための、統一された、ハードウェアに依存しないインターフェイスを提供し ます。これは、サラウンドビュー用カメラのように、同じECUを複数使用する場合のMACの学習も実施します。
> Fr – FlexRay Driver
Frドライバーは、メッセージの送受信やコントローラーの状態の切替えを目的としたFlexRayハードウェアへのアクセスを抽象化します。
Extension to AUTOSAR Standard
> バスの自己診断。FlexRayコントローラーは、アプリケーションでエラーステータスを呼び出すために、エラーを検出するとアプリケーション
にエラーを通知
> 最適化されたWakeup During Operation (WUDOP)
> CancelTransmitおよびL-PdU再設定APIのサポート
> プリコンパイルの最適化(シングルチャンネルシステムの場合など)
> Lin – LIN Driver
Lin ドライバーはフレーム送信(ヘッダー、応答、スリープモード、ウェイクアップ)の開始と、応答の受信、現在の状態のチェック、ウェイクアッ プイベントの検証を目的としたサービスを提供します。
> RamTst – Ram Test
RamTst モジュールは、マイクロコントローラー内部のRAMセルをテストします。ECU の起動およびシャットダウン時には、診断コマンドよ って完全なテストが実施されます。通常の動作時には、周期的なテスト(ブロック単位またはセル単位)が実行されます。
> Crypto(HW) – Crypto Driver
これはサードパーティーが提供するハードウェア暗号化ドライバーであるCryptoを抽象化します。
13.3.1 Vector Modules as Extension to AUTOSAR Standard
> vI2c – Vector I2C Driver
vIICDRVドライバーは外部のI2Cチップとの通信を目的としたサービスを提供します。
Extension to AUTOSAR Standard
> vI2cには、Inter-Integrated Circuit Bus (I2C) を介して外部周辺機能チップに接続するためのインターフェイス用ドライバーが含まれ ています(AUTOSARの拡張)。
13.3.2 クロスパッケージのアドオン
アドオンの中には複数のパッケージに影響を与えるものもあります。以下にその詳細を示します。
> MICROSAR.IDM – Identity Manager:詳しくは、「MICROSARバリアントハンドリング」のセクションをご覧ください。
> MICROSAR.PBL – Post Build Loadable:詳しくは、「MICROSARバリアントハンドリング」のセクションをご覧ください。
13.4 設定
設定には、簡単で便利なツールDaVinci Configurator Proのご利用を推奨します。詳しくは、ベクターまでお問い合わせください。
図 30: DaVinci Configuratorによる設定:Freescale MPC560xB (Bolero) を例としたクロック設定
13.5 MICROSAR.MCAL統合パッケージ
MICROSAR.MCAL統合パッケージは、ベクターの組込ソフトウェアやツール環境へのサードパーティー製MCAL の円滑な統合を実現する、複 数のワークパッケージの機能を代行します。ベクターはお客様や半導体メーカーと協力して MCAL をセットアップします。そして、インテグレーショ ン性を特に重視してコンフォーマンスをチェックした後、サードパーティーのソフトウェアをベクターの組込ソフトウェアやツールチェーンに組み込む ための、補完用のパッケージを作成します。
図 31: MCAL統合パッケージ内のワークフロー
必要なMCAL のバージョンは、プロジェクトや納入物の内容に応じた質問票の形で要求します。お客様は納入に先立ち、この質問票を使用して、
必要なすべての情報を提供します。MCAL の統合および納入には、納入前に先だってベクターに MCAL を提供いただく必要があります。詳しく は、ベクター・ジャパンまでお問合せください。
MCAL統合パッケージには以下のサービスが含まれています。
図 32: MCAL統合パッケージのサービスプロファイル
13.5.1 お客様へのサポート
> MCALベンダーのスケジュールに関する助言
> コンパイラーのバージョンやAUTOSARのバージョンといった基本的なパラメーターの確認
> 互換性などの技術的な問題の早期発見
> ベーシックソフトウェアとMCALのインタラクションに関する連絡窓口
13.5.2 組込モジュールの統合
> 検収および統合可能性の実証:適切な評価ボードでのMCALの起動と、MICROSARベーシックソフトウェアとの統合テストの実施
> 上位ソフトウェアレイヤーに対するコンパイル/リンクテスト
> ベーシックソフトウェアに関連するMCAL基本機能のテスト(CAN通信、NVデータストレージなど)
> ベーシックソフトウェアとMCALの間の組込インターフェイス(MemMap、Compiler Config)の作成/サービス
> 「AUTOSAR混在型」プロジェクト向けのラッパーの開発(このサービスはAR 3.xに準拠したベーシックソフトウェアとAR 4.0.3以降の
MCALでご利用いただけます)
13.5.3 ツールの統合
選択したMCALをベクターのツールチェーンに統合する場合は、その特性に応じて複数の方法が考えられます。ベクターが特に重視するのは、お 客様にとって最適で、最も使いやすいソリューションの実現です。したがって、MCAL コンポーネントをBSW コンフィギュレーションに組み込むた めの基本的な条件としては以下が挙げられます。
> AUTOSARに準拠した記述ファイルがある
> MCALの妥当性検査/設定の担当者がAUTOSARに準拠したコンフィギュレーションファイルを操作できる
これらの事前条件が満たされれば、設定ツールのDaVinci Configurator ProにMCALを統合し、モジュールを生成できます。
独自開発のフォーマットが使用されている場合や、設定の作成と検証を簡単に行うために、MCAL 設定ツールで複雑な抽象化を扱う必要がある 場合、ベクターは多様なコンフィギュレーションファイルやツールをスムーズに併用できるよう、適切な手段を提供します。