9.2.3 同期的なシステムタイムの提示
ネットワークには、最も正確な時間を把握しているECUから時間が配信されます。つまり、すべてのエンドポイントとブリッジが、グランドマスターよ って指定された同一の時間に従って動作するということです。これによって、A/V データストリームの送信と再生を、時間を同期させて行うことが可 能になります。タイムスタンプを配信するためのプロトコルは IEEE 802.1AS の仕様に従い、AUTOSAR ベーシックソフトウェアモジュールの EthTSynによって実装されます。
正確な時間測定を有効にするには、拡張ハードウェアサポートを使用してより高い精度を実現する必要があります。これはEthernet スイッチドラ イバーの「Add-On Time Sync」に実装されています。
9.3 Vector Modules as Extension to AUTOSAR Standard
以下に示す MICROSAR AVB のベーシックソフトウェアモジュールには、上記の IEEE 仕様で定義されている機能が含まれています。また、
AUTOSAR環境へのシームレスな統合を可能にするソフトウェアプロパティーも必要になります。
> vAvTp – Vector Audio/Video Transport Protocol
vAvTpモジュールはIEEE 1722で規定されています。AVBネットワークでは、プレゼンテーションタイムも含めたオーディオ/ビデオデータ の転送を担当します。
> AVTPフレームを送受信するための、EthIfモジュールへのインターフェイス
> ストリームチャンネルと制御チャンネルの識別
> タイムスタンプの表示と検証
> 伝送されたデータストリームの検出
> vSrp End Station - Vector Stream Registration Protocol End Station
> アドミッション制御によるデータストリームの登録
> すべてのAVBブリッジがストリームIDごとに十分な帯域幅を予約できるように保証
> vSrp Bridge - Vector Stream Registration Protocol Bridge
> 異なるエンドステーションからの複数のデータストリームを、アドミッション制御により登録
> Ethernet AVBネットワーク全体で予約される帯域幅が、事前定義されている上限を超えないことを保証
> vRtp - Vector Real Time Transport Protocol
vRtpモジュールは、ユニキャスト/マルチキャストをサポートするリアルタイム対応のストリーミングプロトコルです。サービス品質(QoS)の 監視のためのRealTime Control Protocol (RTCP) も含まれています。以下のプロファイルがサポートされています。
> IETF RFC 6184 RTP Payload Format for H.264 Video
> ローカルエリアネットワーク(LAN)における時間依存のアプリケーション向けのIEEE 1733レイヤー3トランスポートプロトコル
マルチキャストまたはユニキャストネットワークサービスを介してオーディオ、ビデオ、シミュレーションデータなどのリアルタイムデータを伝送 するアプリケーションに適した、エンドツーエンドネットワークの転送機能を提供します。以下に対応しています。
9.4 設定
設定には、簡単で便利なツールDaVinci Configurator Proのご利用を推奨します。詳しくは、ベクターまでお問い合わせください。
AVB固有の設定パラメーターは、「ECU Configuration Description」の拡張として保存されます。
9.5 関連MICROSAR製品用インターフェイス
MICROSAR AVBに、別途入手可能なMICROSAR.MCAL、MICROSAR.EXT、MICROSAR.ETHの各パッケージのベーシックソフトウェアモ ジュールを併用することにより、MICROSARアーキテクチャーに基づいた車載AVB用の完全な通信スタックを構成できます。MICROSAR AVB をハードウェアと接続させるには、以下のベーシックソフトウェアモジュールも必要です。
> ハードウェア固有Ethernetドライバー(MICROSAR.MCALのEth)
> ハードウェア固有トランシーバードライバー(MICROSAR.EXTのEthTrcv)
> Ethernetドライバー抽象レイヤーおよびコントロールレイヤー(MICROSAR.ETHのEthIf、EthM)
MICROSAR.MCALおよびMICROSAR.EXT内のモジュールはすでに多くのマイクロコントローラーやトランシーバーに対応していますが、必要 に応じて、新しいマイクロコントローラーやトランシーバー用のモジュールが開発される場合もあります。
9.6 追加のEthernet用関連MICROSARモジュール
> MICROSAR.ETHDCMのTcpIp、SoAd、DoiP、SomeIp、MICROSAR.DIAGのDem
> MICROSAR.SYSのDet、EcuM、ComM、Nm
> MICROSAR XCP
9.7 その他のEthernet用関連製品
CANoeのオプション、「.Ethernet」を使用すれば、既存のCANoeインストール環境を手軽に拡張し、EthernetおよびAVBベースの通信を解 析およびシミュレーションする機能を追加できます。
物理レイヤーに BroadR-Reach®を使用する場合は特に、VN5610 ネットワークインターフェイスのご利用を推奨します。これには 2 つの Ethernetチャンネル(BroadR-Reach®または100BASE-TXで個別に設定可能)のほか、2つのHigh-Speed CANチャンネルも装備されて います。
9.8 Ethernet/AVB ECU開発用ベクターツールチェーン
図 18: ベクターは、Ethernet/AVBプロジェクト用の幅広い製品ラインナップを提供しています