第 5 章 SWNT 電子状態の考察 78
5.3 M 点と K 点の変化の計算
5.3. M
点とK
点の変化の計算86
5.3.2 K
点のエネルギーギャップの計算結果Fig. 5.10
に構造最適化を行ったSWNT
で計算した,K
点の変化の直径に対する分布を示す.グラフェンでは
K
点は0 eV
ギャップであるが,SWNT
では全てエネルギーギャップを持 つ.Fig. 5.10(b)
に示した通り,K
点の変化は直径d
tの−2
乗に比例し,armchair
側の変化 が大きい結果になっている.またzigzag
側でプロットのラインが3
本に分かれているが,こ れはmod
による影響であると考えられる.K
点の変化が発生した理由として,3
つのM
点が非対称な変化を起こしたために,その影 響が3
つのM
点の「中央」に位置するK
点に及んだと考えられる.しかしFig. 5.8(b), (c)
の考察で触れた通り,0 eV
またはそれに極めて近いギャップの点は確かに存在する.それはarmchair SWNT
がFig. 5.10
で示した通りK
点で大きなエネルギーギャップを持っているに もかかわらず,Kataura plot
に0 eV
ギャップの点がプロットされていることからも明らかで ある.それゆえ,K
点周りのエネルギーギャップが全体的に大きくなったのではなく,0 eV
ギャップの点が移動した結果,K
点が0 eV
ギャップでなくなった,と考える方が妥当である.(a) (b)
0.5 1 1.5
0.0 0.5 1.0
Tube diameter [nm]
Energy separation [eV]
0 10 20 30
0.10 0.20
Chiral angle [deg]
Energy separation (×dt2 ) [eV·nm2 ]
Fig. 5.10: The change of energy separation at K-point.
5.3.3 0 eV
ギャップ点の移動についての計算結果前項での考察により,グラフェンでは
K
点にあった0 eV
ギャップの点がSWNT
ではK
点 から移動し,そのためK
点ではFig. 5.10
に示した大きなエネルギーギャップを持っている,と説明した.それゆえ
0 eV
ギャップ点の移動に注目する.0 eV
ギャップ点の移動とKataura
plot
の対応を考えるとき,重要なことは逆格子空間における0 eV
ギャップ点の移動量そのも のではなく,K
点を通るカッティングラインと0 eV
ギャップの位置関係である.この理由は 以下の例で説明することができる.すなわち,金属性SWNT
で0 eV
ギャップ点がカッティ ングラインに沿って移動しても,そのカッティングライン上に0 eV
ギャップ点が存在するこ とには変わりはなく,そのSWNT
は依然として金属性を示す一方,カッティングラインに垂 直な方向に少しでも移動すればそのSWNT
は厳密には金属性ではなくなるからである.5.3. M
点とK
点の変化の計算87
K
M
2Γ
M
3M
10eV gap
(JDOS peak)
K’
cutting line lK
Fig. 5.11: Displacement of 0 eV gap point in the Brillouin zone of SWNT.
以上より,本項では
0 eV
ギャップ点とK
点を通 るカッティングラインl
Kの関係について考察する.Fig. 5.11
に0 eV
ギャップ点のK
点からの移動の図 を示す.l
K 上でエネルギーギャップ最小の点をK
0 としたとき,K
0は0 eV
ギャップ点の移動によりK
点から移動する.Fig. 5.8(d)
に示す通り,グラフェ ンの逆格子におけるK
点近傍のエネルギーギャップ はK
点からの距離に比例するが,SWNT
において もFig. 5.8(b), (c)
に示す通り,逆格子における0 eV
ギャップ点近傍のエネルギーギャップの値は0 eV
ギ ャップ点からの距離にほぼ比例する.それゆえK
0は,Fig. 5.11
に示した通り0 eV
ギャップ点からl
Kに下 ろした垂線の足付近にあり,K
0におけるエネルギー ギャップは0 eV
ギャップ点とl
Kとの距離にほぼ比 例する.Fig. 5.12
に構造最適化を行ったSWNT
で計算した,K
0点のエネルギーギャップを示す.た だし0 eV
ギャップの点がM
2点方向にあるときは正の値,Γ
点方向にあるときは負の値とし た.mod 1
またはmod 2
のSWNT
はカッティングラインがK
点を通らないが,K
点を通 り基本逆格子ベクトルK
1に平行な直線をl
Kと再定義すればよい.Fig. 5.12(b)
に示す通り,armchair SWNT
ではK
0におけるエネルギーギャップが0 eV
となっており,zigzag SWNT
に近づくほどK
0点のギャップは大きくなっている.これはFig. 5.2(c)
に示した曲率と構造最 適化の影響を考慮したKataura plot
における金属性SWNT
のバンドギャップの分布に一致 する.またmod 0
の金属性SWNT
の場合,Fig. 5.12(a)
に示したK
0点のエネルギーギャップ はKataura plot
の最も低いE
iiラインそのものである.Fig. 5.12(b)
に示したmod
による変 化は,カイラル角依存性はほとんどなく,d
−2t 依存性がほとんどである.(a) (b)
0.5 1 1.5
0.0 0.5 1.0
Tube diameter [nm]
Energy separation [eV]
Semiconductor (mod 1, 2) Metallic (mod 0)
0 10 20 30
0.00 0.05 0.10 0.15
Chiral angle [deg]
Energy separation (×dt2 ) [eV·nm2 ]
mod 2
metal mod 1
Fig. 5.12: JDOS peak energy separations on the cutting line through K-point.
ドキュメント内
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(ページ 85-88)