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11. 化粧品市場における競争

11.2. グローバル化粧品会社

11.2.1. L’Oreal

出所: 企業ウェブサイト, Koncept Analytics

注: 上位中間層(strivers)と下位中間層(Seekers)が中間層を形成する。年間所得:富裕層 (Globals)=1,000,000 ル ピ ー 以 上 、 上 位 中 間 層=500,000-1,000,000 ル ピ ー 、 下 位 中 間 層=200,000-499,999、 上 位 貧 困 層 (Aspirers)=90,000-199,999ルピー、貧困層 (Deprived)=90,000ルピー以下

円を囲む線の色は階層を示しており、青 (Globals/Strivers)、赤(Aspirers/Seekers) 、緑(Deprived/Aspirers)を表 す。

円内部の色は価格帯を示し、青(低価格)、ピンク (中価格) ライトグリーン(高価格)を表す。

 主要ブランドのマーケティング戦略 Garnier

 「ヤング、シンプル、ナチュラル、手頃な価格で入手しやすい」ブランドと位置付け。

 Garnier Men DeodorantやGarnier Lightなどの製品で、男性用市場にも大規模に展開。「48 時間制汗」などの画期的キャッチフレーズは販売促進策の1つ。

 製品は低価格パックも発売されており、都市/小都市で人気になっている。

 包装による販売促進戦略。たとえば、シャンプーは5タイプの包装で販売されている。

 多くの小売形態(食品スーパーマーケット、デパート、一般商店、ドラッグストア、薬局 など)での販促活動、インターネット広告、印刷媒体、テレビ広告、販促割引、割引クー ポン発行などによる販売促進が行われている。

 低価格戦略。

 Garnier Fructis Shampooはシャンプーとヘアオイルを合わせた画期的製品として販売促進

が行われている。

L’Oreal Paris

 「卓越したヘアクリーム」と位置付けた高級品市場向けブランド。

 人気女優でL’Oreal India のブランド大使でもあるAishwarya Rai Bachchanを起用した販売 促進。

 「ヘア・スタジオ級」、「皮膚科学の専門家」などの宣伝文句。

 多くの小売形態での販促活動、インターネット広告、印刷媒体、テレビ広告、販促割引、

割引クーポン発行などによる販売促進が行われている。

 シャンプーは「トータル・リペア5」、「髪のボリューム増」などの宣伝文句で販売促進。

 Men Expertという名称で男性用製品を発売。平均的価格で上位中間層をターゲットにして

いる。

Maybelline

 「maybellineだから」が宣伝文句。

 16~35 歳の年齢層の女性向け。入手しやすさや平均的な価格設定、ティーン向けおよび

ミドルエイジ向けコレクションなどの販売戦略。

 大型ショールームおよびショッピングモール内、または大学などの近くの小規模小売店舗 で販促活動。

 Maybelline Symbolicはニューヨーク市をイメージ。

 新製品を定期的に発売することでブランドを形成。製品の革新に基づく戦略が功を奏して いる。

 印刷媒体およびテレビの両方を通じた広告戦略による販売促進。広告には有名人やファッ ション・モデルを起用。

L’Oreal Professionnel/Matrix/Kerastase

 上位中間層向けのブランドで高価格に設定。

 インド映画俳優やファッション・モデルを起用した広告戦略による販売促進。

 業務用ブランド(L’Oreal Professionnel, Matrix, Kerastase)のマーケティングおよび販売の

ため理髪業をターゲットに。

 美容院の所有者および美容師に教育・訓練を提供することによる業務用製品の販売促進。

 美容院などでの製品ディスプレイはマーケティング戦略の1つ。

Lancome

 高級製品の位置づけで、特に、大規模組織小売店舗(ショッピングモール、大型ショッピ ングセンター)内にある独自販売店(Lancomeショップ)を通じて販売。

スキンケア製品は、アンチエイジング、ボリューム・ベース・マスカラ、長時間効果の口 紅、効果的SPFのサンスクリーンなど、種類の多さを通じて販売促進。

フリーギフトや割引クーポンの発行も製品の販売促進で用いられるポジショニング戦略 に含まれる。

 売上分析

L’Oreal Indiaの売上高は2009年の1億6,120万ドルから、2010年の2億2,574万ドルへと約40%

増加している。大衆市場向けの消費者製品および業務用製品の需要増加により、美容およびパー ソナルケア市場で最大企業の1つである。化粧品のL’Oreal Professionnel、Lancome、YSL and Kiehl’s、

フレグランスのArmani、Ralph Lauren and dieselなど、同社の中心ブランドは2010年に過去最大 の売上を記録した。

図 11.2.1: L’Oreal India – 売上高 (2009年、2010年)

161.2

225.74

0 50 100 150 200 250

2009 2010

100

出所: L’Oreal 年次報告書 注:財政年度は1231日終わり

L’Oreal Indiaの消費者製品部門は、同社の2010年インド市場での売上全体の約80%を占める主

要部門である。Garnier、Maybelline and L’Oreal Parisはインド市場の消費者製品部門で最も潜在性 があり、最も売れているブランドである。GarnierとMaybellineの製品は、都市部の若年、労働者、

ミドルエイジの女性の間で最も需要がある製品である。こうした需要は強力なマーケティング戦 略やブランド力によって促進されている。L’Oreal professional、Matrix, Kerastaseの製品は業務用 製品市場で最も需要がある製品になっており、2010年の同社の売上の約18%を占めている。高級 製品部門が2010年の同社の売上の1%を占め、残りの1%はアクティブ化粧品が占めた。

図 11.2.2: L’Oreal India – 製品の内訳(2010)

出所: L’Oreal 年次報告書, Jefferies Equity Research レポート 20117

 ビジネス戦略

<拡大戦略>

L’Oreal India は、インドにさらに工場、研究所、技術革新センターを設立するため、1 億 940

万ドル(50億ルピー)の投資を計画している。また、同社は、インド市場向けに開発されたいく つかのブランドを他のアジア諸国に輸出することを検討している。Garnier Color Naturals、Matrix のオイル、美容室専用ブランド、カージャル(アイライナー)など、インドでの開発製品は他の アジア諸国、特に東南アジア諸国で発売される。同社は最近、ムンバイの Mankhurd に研究・技 術革新センターを新設した。

<リバース・イノベーション戦略>

技術革新はL’Oreal Indiaの主要戦略であり、同社は技術革新は売上と顧客ベースの両方を拡大 すると考えている。この戦略はいまや他の新興市場にも適用されるようになっており、同社はイ ンドの研究・技術革新センターで新興国市場向けに美容製品を開発し、最終的にはそれらを国際 市場向けに改良するという計画を立てている。同社は、インド人消費者には髪にオイルを付ける 習慣があることを考慮し、Garnier Fructis Shampoo+Oilを開発した。Garnier Men PowerLightの製 品はインド人男性の肌向けに開発され、Garnier Color Naturalsはインド人の髪に合わせて開発され た最初のヘアカラーである。