11. 化粧品市場における競争
11.3. グローバル化粧品会社 - 直接販売
11.3.1. Oriflame
ビジネス概観
Oriflame Cosmeticsはスウェーデンを拠点とする上場企業であり、その製品は約1,000種類あり、
それらは独立販売コンサルタント、同社独自の販売店などを通じて直接販売されている。Oriflame は世界60 カ国以上の約350 万人の独立販売コンサルタントを通じて事業を行っている。主な製 造施設はポーランド、スウェーデン、ロシア、インド、中国にある。
Oriflame Indiaは、スウェーデンを拠点とするOriflame Internationalの100%子会社で、1996年に 事業を開始した。Oriflameの世界5大製造施設の1つはインドにある。Oriflame Indiaには約 25 万人の販売代理人がおり、うち5万人で年間売り上げの半分以上を占めている。現在、製品はイ ンド全国で12 の販売事務所、71社の宅配会社を通じ、約1,300 都市で入手可能である。インド 事業の製品ポートフォリオは、スキンケア化粧品、カラー化粧品、フレグランス、パーソナルケ ア、ヘアケア、アクセサリー、ウェルネス製品からなる。
製品ポートフォリオと主要ブランド
同社の製品ポートフォリオは、スキンケア化粧品、カラー化粧品、フレグランス、パーソナル ケア、ヘアケア、アクセサリー、ウェルネス製品からなる。各製品部門は様々なブランドからな っている。
表 11.3.1: Oriflame 製品ポートフォリオ 主要製品部門 ブランド
スキンケア Aqua-Rhythm、Bioclinic、Diamond Cellular、Ecollagen、Essentials、Essentials Fairness、Optimals、Pure Nature
メーキャップ Giordani Gold Eyes、Giordani Gold Face、Giordani Gold Lips、Oriflame Beauty Eyes、Oriflame Beauty Face、Oriflame Beauty Lips、Very me- Eye, Face & Lips フレグランス Amber Elixir、Architect、Ascendant、Chiffon、Deep Impact、Delight、Midnight
Pearls、Mirage、Miss O、Muse
ヘアケア Hair Solutions、Hair Styling、Hair X、Nature Haircare
ボディケア Body-care、Foot-care、Mens-care、Milk & Honey Gold、OptiFresh、Oriflame Kids、Sun Care、Swedish Spa、True Instinct
出所: 企業ウェブサイト
直接販売戦略
オンライン販売:インターネットで製品を購入できるようにしている。
在宅業務:多くの主婦や働く女性に、Oriflameの製品を販売する独立販売代理人として登 録することで、簡単に収入を得る機会を提供している。
製品を販売代理人または独立販売コンサルタントを通じて販売。
シーズンごとの割引やフリーギフトなどは、販売増のための主要戦略の一部である。
友人、同僚、隣人などの潜在的顧客網を通じた製品の販売網で、強力な「口コミ」戦略が 利益をもたらしている。
コスト削減のため、電話やメールを通じて製品の販売を行っている。
Oriflame – 主要カテゴリー
カラー化粧品およびスキンケアがインドにおいて最も売れているカテゴリーである。Oriflame は、様々なカテゴリー、特にカラー化粧品とスキンケアのカテゴリーの幅広い化粧品を持ち、過 去15年にわたって強固な顧客ベースを作り上げている。全商品の 3分の1以上で新製品が毎年 発売され、顧客の新製品への関心を保っている。製品は天然成分をベースにしており、55歳以上 の年齢層や男性向けのスキンケア製品があることも、このカテゴリーでの販売が多い理由である。
ファッション意識の高い人々が、主要都市(デリー、ムンバイ、バンガロール、コルカタ)だけ でなく、北東諸州でも増加していることが、インドのカラー化粧品市場の拡大を促進している。
Oriflame のスキンケア部門およびカラー化粧品部門の製品は、友人から友人へと、信頼に基づき
販売される。同社のスキンケア部門の売上高は2010年に前年から約40%増加している。
ビジネス戦略
<販促戦略>
販売促進戦略の一環として、Oriflameはファッション・デザイナーと提携したり、メディア・
タイアップ、屋外広告、劇場広告などからなる販売促進策を用いて新製品の発売を行っている。
また、新製品の発売では、女性雑誌など特定の印刷媒体での広告を重視している。最近、同社は デリーを拠点とする非政府団体Deepalayaと提携し、口紅1本の販売につき2ルピーを女児の教 育支援に寄付すると発表し、現在までに約1,000人を支援している。同社は、全投資額の約5%を マーケティング活動に用いている。
<北東諸州に重点>
最近の推計によると、Oriflameは過去5年間で、北東諸州からの売上が約50%の増加を記録し ている。2010年、同社は全売上高の32%を北東諸州、特にアッサム州から得ていた。ファッショ ン意識の高い人口の増加と同社の強力な販売網により、北東地域はインド最大の市場の1つにな りつつある。同社は北東地域にさらに25支店を設立する計画である。
11.3.2. Amway India
ビジネス概観
Amwayは米国ミシガン州を本拠とする、世界最大の直接販売企業の1つである。同社は1959
年にJay Van AndelとRich DeVosにより設立され、現在、世界の6大陸80以上の国と地域で事業
を行っている。Amwayは人々に、美容、栄養、ウェルネス、家庭用製品の販売に基づく自分自身 のビジネスを行う様々な機会、さらにこの機会を同じ事業を行う他人と共有する機会も提供して いる。
Amway Indiaは米国拠点Amway Corporationの全出資子会社である。同社は1995年に設立され、
1998年5月始業し、国内最大の日用消費財の直接販売企業となった。本社はニューデリーにある。
同社には450人のフルタイムの従業員がいるほか、契約製造施設で1,650人を間接的に雇用して
いる。Amwayは55万人以上の独立のAmway販売コンサルタントに収入の機会を提供している。
同社のビジネス機会および製品は「100%の返金保証」によって保証されている。消費者が製品に 満足しなければ、それを返品し、返金を受けることができる。
製品ポートフォリオと主要ブランド
パーソナルケア、ホームケア、栄養・ウェルネス、化粧品、グレート・ヴァリューの5部門で 115種類の製品を販売している。
表 11.3.2: Amway India 製品ポートフォリオ 主要製品部門 ブランド
パーソナルケア Glister、Persona、Satinique、SA8 Gelzyme ホームケア LOC High Suds、Dish Drops
栄養、ウェルネス Nutrilite、BSM Range、
化粧品 Artistry、Attitude、Dynamite、G&H Range
出所: 企業ウェブサイト
売上分析
Amwayのインド事業からの売上高は、2009年の3億780万ドルから、2010年の3億6,990万
ドルへと 20.17%増加した。大規模な広告およびマーケティング戦略による認知度の上昇により、
2010年、化粧品およびウェルネス部門の売上が増加した。その他の新製品発売およびインフォメ ーション・センター数の増加で、近い将来、売上はさらに増加する見込みである。
図 11.3.1: Amway – 売上高 (2009年、2010年)
出所: 企業報告書
注: 財政年度は12月31日終わり
307.8
369.9
0 50 100 150 200 250 300 350 400
2009 2010
100万ドル
直接販売戦略
「インターネットでの注文」のコンセプトは勤労者にとって、より便利で自由がきく選択 肢になっている。
宅配および独立販売コンサルタントが、インド市場における製品の販売での主要戦略であ る。
適切な研修、高い仲介料、大きな割引が販売増のための主要戦略。
テレビ広告および印刷媒体への広告の重視により、顧客ベースを強固なものにし、販売を 増加させる。
自営業の促進は、販売を増加させる戦略の1つ。
Amway - 主要カテゴリー
カラー化粧品およびウェルネスが、同社インド事業の上位2部門である。大規模なマーケティ ングおよび広告戦略は、インド市場での足がかりを強固にするとともに、インドにおけるカラー 化粧品やウェルネス製品への需要を生み出している。同社は毎年、インド市場に8~10製品を導 入してきている。2010年、栄養、ウェルネス、カラー化粧品は合わせて、同社の売上全体の60%
以上に貢献した。Nutriliteの広告では、製品の特長および利点を伝え、Amwayの販売コンサルタ ントが製品を効果的に販売できるようにしている。
ビジネス戦略
<CSR(企業の社会的責任)活動を重視>
Amwayは、インドを含む世界中で、CSR(企業の社会的責任)活動の一環として、子供のため
の「ひとつひとつ」キャンペーンを後援している。同社はインド 56 カ所で「プロジェクト・サ ンライズ」を開始した。これは各所で指定された孤児院に、清潔な飲料水、教育、栄養を提供す るというものである。この活動をインドの到るところで - Port Blairから Shimla、RajkotからHubli まで – 実施している。また、同社は、同社の社員や「ディストリビューター」の子供たちが、
提携機関の子供たちと一緒に行う美術コンテストも開催している。
<拡大戦略>
カラー化粧品およびウェルネス製品市場の拡大に伴い、Amwayは支店数を現在の130カ所から 2013年までに250カ所に増やすことを計画している。Amway Indiaの売上高は今後5年間、年平
均25%で成長すると推定されている。同社は2012年1月、化粧品およびウェルネス部門で12種
類の新製品を発売した。2013年までに、ブランド・エクスペリエンス・センターを現在の 10カ 所から25カ所に増やすことを計画している。現在、Amway Indiaは、127製品を販売しており、
うち栄養・ウェルネス部門が29製品、化粧品部門が41製品である。さらに、同社はインド消費 者のニーズを満たすため、インドに製造工場を設立する計画である。
11.3.3. Avon Cosmetics India
ビジネス概観
Avonは米国を本拠とする世界の主要化粧品会社の1つである。同社は世界140カ国で活動して おり、なかでも中国とロシアで最も急速に成長している。Avon Indiaは米拠点Avon Cosmeticsの