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LOLF 改革と並行して実施されている行財政改革

ドキュメント内 経済産業省平成19年度政策評価調査事業.doc (ページ 98-106)

本節では、LOLF改革を推進するため、及び、LOLF改革の次のステップとして 行われている行政改革の取組みを紹介する。

2005年9月の首相による通達で定められた近代化監査はLOLF改革による効果を 最大限に高めるための手段として位置づけられている。これは行政の近代化、電 子政府の推進、行政の簡素化と質の向上を目的に行なわれる、全ての事業を対象 とした内部監査である。

「全政策の見直し」(la révision générale des politiques publiques, RGPP)は、全 ての政策の目標や必要性を見直すことで、より効率的に行政サービスを提供する ことを目的とした取組みであり、2007年7月に正式に始まったばかりである。

人事については旧来の制度が維持されているため、LOLFと矛盾する部分があ り、現状の課題となっている。LOLFではプログラム責任者に人事も含めたプログ ラムの運営の裁量を与えることが意図されているが、従来の制度では、高級官僚 を初めとして、公務員の人事の柔軟性が十分に確保されていないため、LOLFの意 図が実現していない。現地調査によると、公務員の人事の柔軟性を高める改革が 進行中とのこと95である。

6.2.1 近代化監査の内容と状況

ここでは予算・公会計・公職省(旧経済財政産業省)のウェブサイト96の情報 を元に、近代化監査の目的と導入経緯、監査の主体、対象、及び実例を説明する。

近代化監査の目的は、プログラムごとに目標と予算を定め、その成果を図るこ とで行政の効率化と質の向上を目指すというLOLFの仕組みを実現するため、監査 対象の事業を分析し、課題を分析し、改善提案を行うことである。監査は、行政 の簡素化とマネジメント手法の改善という観点から行われる。

95 現地調査における新聞社へのヒアリングによる。

96http://www.performance-publique.gouv.fr/la-performance-de-laction-publique/approfondir/les-audits-de-modernisa tion.html

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行政文書の量や、行政サービスを受けるために必要な手続き、業務コストを対 象とする調査・分析は、行政の簡素化を目的に行われる。近代化監査では、簡素 化を促進するための提案として、ITシステムに関する情報提供も行う。

一方、近代化監査がマネジメント手法の改善を促進した例としては、すでに行 われている調達方法の最適化のフレームワークを利用してベストプラクティスを 共有することや、取引の評価や利用方法の改善による国有財産の活用等が挙げら る。

近代化監査は、各省の事業を対象とする場合と、給与支払業務の改善や行政文 書の保管といった省をまたがる事項を対象とする場合がある。近代化監査は、2005 年10月の開始時から、これまでに150の事業を対象として行われた。これまで監査 の対象となった事業の支出総額は、累計で1,500億ユーロに上る。

近代化監査は、監査対象の省の近代化推進チーム及び事務局長と、予算省国家 近代化総局から構成される監査チームで行われる。この監査チームを構成する監 査人には、これまでに省庁間の監査や改革推進を経験した者より選ばれる。近代 化監査の企画、実施、調書の作成、及び監査での指摘事項の改善の支援は、主に 国家近代化総局が担う。

ここではこれまで行われた150の監査のうち、「企業に対する援助の適正性」

Mission d’audit de modernisation 〔2007〕)を事例として取り上げる。

図表 59 「企業に対する援助の適正性」に関する近代化監査

対象省庁 経済財政産業省

監査対象事業に 関連するプログ ラム

・ 物品と役務に関する規制と安全な取引の確保

・ 産業発展

・ 技術に関するリスクの管理と防止、及び産業の発展

・ 鉱山に関する負債

問題意識 経済的・社会的な成果が明確にされないまま、長期間に亘り、企業 の発展のために国や地方自治体から企業に補助金が出されている。

補助金に関する包括的な調査がないため、補助事業の効率性を測る ことができない。成果の測定には、補助金の調査が必要である。

監査の目的 ・ 現状の、全ての企業・ビジネスに対する補助金を識別し、その

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主要な特徴(目的、金額、管理方法等)を明らかにする。

・ 経済効率性を明らかにする。

・ 広報の方法等について分析する。

・ 有効性と効率性の向上のための提言を行なう。

補助について 補助金は市場の競争力の強化や公的な目的を民間に担わせる際のイ ンセンティブのために、明確な条件の下で配分される。企業に対す る補助金の総額は650億ユーロで、内90%が国によるものである。補 助金の総件数は少なくとも6,000件である。

発見事項・課題 ・ 企業に対する支援の継続性に対する評価の必要性が高い。

・ 効果に対する十分な検討がなされないまま、新規の補助金が設 定されている。

・ 多数の評価が行われているが、援助の整合性に関する意思決定 と効率性の向上に結びつくものはほとんど無い。

・ 企業への援助に関する政策を実施・管理する仕組みが欠けてい る。

・ 企業への援助に関する情報は多数、入手可能である。しかし、

国際的な比較や統一市場の規則への適合性を鑑みると十分では ない。欧州レベルで企業の負担や、直接的・間接的補助につい ての情報を公表すべきである。但し、企業が詳細な情報公開に 積極的ではない場合がある。

改善提案 ①援助について包括的な調査を行うより、統一的な情報システムを 導入し、評価に必要な情報を収集することが望ましい。

②新しい予算制度に沿った、厳格な評価制度の導入が早急に求めら れる。

③援助の整合性と効率性を向上するための新しいルールが必要であ る。

改善により期待 される成果

国が企業に対する援助政策を評価し、監視することで有効性と効率 性の向上、及び1年間で40億ユーロの増収という目標を設定すること が可能である。

(出典)Mission d’audit de modernisation(2007)より新日本監査法人が作成

このように行政の効率性・有効性の向上という観点から、問題意識の明確化、

課題の分析、改善提案が包括的にまとめられている。指摘を受けた各省は、その 改善に取り組むことが求められる。

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6.2.2 RGPPの内容と状況

ここでは予算・公会計・公職省(旧経済財政産業省)のウェブサイト97の情報 を元に、RGPPの目的と導入経緯、手法の概要、主な実施主体を説明する。

RGPPの目的は①市民のニーズに合致した政策の設定、②公務員の潜在的能力 の開発、③公的資金の優先的投資対象の決定である。このため、下図表の通りに、

政策の目的、必要性や期待される成果、継続の必要性、実施責任者、出資者、変 更・改善の方法について、政策の分析が行われている。

図表 60 RGPPにおける政策の検証方法

1. 私たちは何をしているのか?

1. 私たちは何をしているのか? 2.私たちのニーズと期待は何

か?

2.私たちのニーズと期待は何 か?

4. だれが行うべきか? 4. だれが行うべきか?

7. どのように変化させるか?

7. どのように変化させるか?

6. 誰が費用を負担すべきか

?

6. 誰が費用を負担すべきか

? 5. どのように少ないコストで、

大きな成果をえられるか?

5. どのように少ないコストで、

大きな成果をえられるか?

3. 事業を継続すべきか?

3. 事業を継続すべきか?

(出典)予算・公会計・公職省のウェブサイトより新日本監査法人が作成

分析対象は全ての政策であるが、その性質によって監査主体が異なる。各省に おける一般的な政策の分析は、省内及び省間における監査経験者と民間の監査人 から構成される15の監査チームが担当する。この際、対象となる省の改革推進部 局の協力を得ながら分析が行われる。

国がその他の公的機関と共に推進する6つの主要な政策分野(家族、厚生と健 康保健、産業振興、都市開発と住宅供給、雇用と職業訓練、内務)と、4つの全 政府的な課題(公務員の人事政策、中央政府と地方政府の関係、行政改革、行政

97http://www.performance-publique.gouv.fr/la-performance-de-laction-publique/approfondir/la-revision-generale-des-politiques-pu bliques.html

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の効率化)も監査対象である。これらには特殊な要因があることから、それぞれ の分析のために、特別のプロジェクトチームが構成される。

プロジェクトチームのメンバーは、国家近代化総局と公会計及び税務総局から 構成される。プロジェクトチームによる分析結果は、監視委員会に報告され、検 証される。その後、首相が率いる政策近代化評議会(Public Policies Modernization

Council)が改善策を決定する。各省庁にはこの決定に基づき、2009年~2011年度

に改革を行う責任がある。

RGPPの分析は、2007年7月に開始され、2007年9月~12月において監視委員会 における分析及び第一次改善提案の作成が行われ、政策近代化評議会に提出され た。2008年1月以降、監視委員会は第2回目の改善提案の検討を行っている。2008 年5月に、再度、政策近代化評議会に提出される見込みである。

6.2.3 人事改革の内容と状況

LOLFにより公務員の定員管理に関する考え方や方法が、従来から大きく変化 したが、公務員制度は旧来通りであるため、新制度が十分に機能しないことが、

LOLFの課題として挙げられている。

本項では、まず、新制度における定員及び人件費管理の考え方を、1959年オル ドナンスと比較して整理する。

(1)新制度と旧制度における定員及び人件費管理の考え方

1959年オルドナンスでは人件費の予算は、費目別に、職種(後述)、職団(後 述)、俸給の種類に応じて分類されていた98。つまり、職種間・職団間を越えた 人の配置の自由度が著しく低い制度であったといえる。これに対しLOLFでは、

プログラムごとに人件費の章が設定され、それ以上の細かい分類はない。但し、

他の経費と異なり、他の章の予算との流用が制限されている。また、他の支出許 容費との間の流用や移用はできない(但し、他のプログラムの人件費との流用・

移用は可能)。このような制限がかけられるのは、一度人件費を増額すると、当 該年度だけではなく、後年度にも影響を及ぼすからである99

98 総務省行政管理局(2005)p.31

ドキュメント内 経済産業省平成19年度政策評価調査事業.doc (ページ 98-106)