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我が国への示唆

ドキュメント内 経済産業省平成19年度政策評価調査事業.doc (ページ 109-142)

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7.2.1 「予算・会計・業績評価の一体的改革」に関する論点

【論点1】包括的な行財政改革を推進するリーダーシップの確保

1) フランスの現状

LOLF改革では、ローラン・ファビウス、アラン・ランベール等の国会議員が超

党派的に協力体制を組み、改革の実現に向けて主導的なリーダーシップを発揮し た。特に、2000年、ファビウスが経済財政産業大臣に就任したことは、改革に抵 抗を示していた経済財政産業省内や首相に対して予算改革の必要性を説得し、抵 抗を抑え込むことで、改革推進上、大きな転機になったと言われている。LOLF は予算・会計・業績評価について従来の考え方を大きく転換する抜本的改革であ るが、このような大掛かりな改革の実行に際して、強力かつ持続的なリーダーシ ップの果たした役割はきわめて重要であった。

2) 日本における現状

我が国の政治・行政における改革推進上の問題点として、予算編成含め政策決 定プロセスにおいて、実質的な政策形成に係る権限が、各種の公式・非公式の組 織や会議体(内閣、経済財政諮問会議、財務省、与党による法案事前審査、連立 与党間協議等)に分散しており、大掛かりな改革を推進するのが容易ではないと いう問題、及び中期的・マクロ的視野で予算をコントロールする枠組みが欠けて いるといった問題が指摘されている109

また、改革テーマとしての「今後の我が国の行財政制度改革」の検討に関して は、財政制度等審議会を中心に予算・業績評価の整合化や、発生主義に基づく会 計制度導入等の検討が進められている110ものの、技術的な制度検討に留まってお

り、LOLFのような一体的な行財政改革パッケージとして、これらを包括的に設計、

導入を進める動きは見受けられず、改革アジェンダとして強く政治的に打ち出さ れているとは言い難い。

我が国における行財政改革としては、橋本内閣下において、平成10年の「中央 省庁改革基本法」等に基づく平成13年の中央省庁再編がある(ただし、行政改革 とあわせて六大改革の一つとされた財政構造改革は、その後の小渕内閣下におい

109 田中(2005)p.155

110 財政制度審議会「「公会計に関する基本的考え方」について」(2003)等

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て景気対策が優先されたことから、停止されるに至っている)。また、平成17年 の小泉政権では、郵政公社民営化の事例がある。いずれの事例においても、首相 自らの強いリーダーシップが、様々な反対意見や抵抗を封じ込め、実現に至るカ ギとなっている。

3) 考察

日本において、予算・業績評価の整合化や発生主義に基づく会計制度導入等を 改革パッケージとして包括的に設計・導入するには、その制度改革の及ぶ範囲が 政府機構全体に及ぶことから、様々な抵抗が予想される。改革に大きな推進力を 与えるためには、強力で持続的なトップのリーダーシップやコミットメントが重 要になる。

以前のフランスと同様に大きな財政赤字を抱え、財政に構造的な問題を抱えて いる日本においては、LOLFのような包括的な行財政改革の取組みは、問題解決に 向けた1つのアプローチとして参考になる。財政赤字の拡大を背景とした行財政 改革の推進は現在の日本にとっても非常に重要な政策テーマであり、2000年の中 央省庁再編のような大掛かりな政府機関の再編が、将来、重要な改革アジェンダ の一つになる可能性も想定しうる。

その際には、LOLFの事例と同様に、改革の推進力の源泉として、強力なトップ からのリーダーシップが必須になると考えられる。また、国民的な支持を呼び起 こし、様々な抵抗勢力を突破して改革を推進していくには、いわゆる「骨太の方 針」等で改革アジェンダを具体的に設定し、リーダー自らのコミットメントとし て旗幟を鮮明にすることもあわせて重要になるのではないかと考えられる。

【論点2】政策・予算・業績評価、各体系構造の整合化・一本化

1)フランスの現状

LOLF改革では、ミッシオンプログラム-アクシオンという三階層の概念を用い

て政策目的及び業績評価の体系を全省庁的に再編するとともに、それらの三概念 を予算書上の単位として制度化することを通じて、政策体系、予算体系、評価体 系の一本化が図られた。現在ではプログラムを単位として、プログラム責任者の 権限と責任において、予算の執行および成果の管理が行われている。

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これら3つの体系が一本化したことにより、ミッシオン・プログラム・アクシオ ンのそれぞれを分析単位として、予算の管理と成果の管理を統合的に行うことが 可能になった。具体的には、PAP・RAP上のコスト分析会計情報や成果情報の分 析を通じ、予算の執行結果や成果の達成状況を検証することや、予算と成果を対 比的に分析することが可能な仕組みとなっている。その結果、これらの分析を活 用することで、PDCAサイクルに基づく行政マネジメントの実践が可能になった。

2)日本の現状

日本の予算体系は、組織や発生形態別の区分(組織→項→目)で作られている のに対し、政策評価制度では政策体系(狭義の政策→施策→事務事業)に基づい て行われており、予算単位との整合的な対応関係が十分に整理されているとは言 いがたい。現在、両者について、「施策」=「項」の各単位レベルで対応関係を 明確化する方向で整理が進められているものの111、政策・施策・事務事業を単位 とした単年度の資源投入/予算の執行結果の把握や行政コストを把握できるレベ ルに到達するには、さらなる努力が必要な状況である。

なお、経済産業省の平成20年度予算では、「施策」=「項」レベルの対応を以 下のように実施している。

111 総務省「政策評価と予算等との一層の連携強化」では、政策評価に関する基本方針(2007年)にて政策評価と予算・

決算の連携を強化する必要性を述べており、また骨太の方針2006でも予算とその成果を評価するために、予算書と決算 書の見直しを平成20年度予算を目処に実施するものとしている。

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図表 63 経済産業省の「施策」=「項」の対応状況

使

経 済産業政 策 (経 済産業政 策 ・経費 ) 及 び (事務 費 )

01 産業人材 産業人材育成費

02 技術革新の促進・環境整備 技術革新促進・環境整備費

03 知的財産の適切な保護 知的財産保護費

04 工業標準・知的基盤の整備 工業標準・知的基盤整備費

05 経営イノベーション・事業化促進 新事業創出促進対策推進費

06 ITの利活用の促進 情報技術利活用促進費

07 流通・物流基盤整備 流通・物流基盤整備費

08 情報セキュリティ対策の推進 情報セキュリティ対策推進費

09 消費者行政(製品・取引)の推進 消費者行政推進費

10 経済産業統計の整備 経済産業統計整備費

対外経 済政 策 (対外経 済政 策 ・経費 ) 及 び (事務 費 )

11 通商政策 通商政策費

12 貿易投資促進 貿易投資促進費

13 経済協力の推進 経済協力費

14 貿易管理 貿易管理費

もの作 り・情報・サービス産業政 策 (ものづ くり・情報・サービス産業政 策 ・経費 ) 及 び (事務 費 )

15 ものづくり産業振興 ものづくり産業振興費

16 情報産業強化 情報産業強化費

17 サービス産業強化 サービス産業強化費

18 コンテンツ産業強化 コンテンツ産業強化費

19 化学物質管理 化学物質管理費

中 小 企業・地 域経 済産業政 策 (中 小 企業・地 域経 済産業政 策 ・経費 ) 及 び (事務 費 )

20 中小企業事業環境の整備 中小企業事業環境整備費

21 経営革新・創業促進 経営革新・創業促進費

22 経営安定・取引の適正化構築 経営安定・取引適正化費

23 まちづくりの推進 まちづくり推進費

24 地域経済の活性化の推進 地域経済活性化推進費

エネル ギー・環 境政 策 (エネル ギー ・環 境政 策 ・経費 ) 及 び (事務 費 )

25 石油・天然ガス・石炭の安定供給確保 燃料安定供給対策費

26 エネルギー源の多様化・エネルギーの高度利用 エネルギー源多様化対策

27 省エネルギーの推進 エネルギー使用合理化対策

28 原子力の推進・電力基盤の高度化 原子力推進・電力基盤高度化費

29 鉱物資源の安定供給確保 鉱物資源安定供給確保費

30 温暖化対策 温暖化防止対策費

31 資源循環推進 資源循環推進費

32 環境経営・競争力の強化 環境経営・競争力強化費

原 子力安 全・産業 保安政 策 (原 子力安 全・産業 保安政 策 ・経費 ) 及 び (事務 費 )

33 原子力安全 原子力安全費

34 産業保安 産業保安費

平成20年度予算書・決算書の構成(案)

経済産業本省 経費

平成19年度(19.8.31経済産業省政策評価基本計画)

競争力強化と市場創造、経済社会基盤整備を通じた、持続的な経済成長 の確保と国際経済の安定的発展

1対1で対応 を図っている

3)考察

今後、財務大臣による予算費目の見直しの可能性も視野に入れた場合、政策体 系・評価体系および予算体系が一本化するよう、予算の体系構造を見直すことも、

成果志向のマネジメントを推進していく上で、LOLFは一つのモデルになると考え られる。

なお、予算の体系を見直す際には、省庁横断的な観点からみて「施策」=「項」

の水準が保たれるよう、既存の政策の体系(より具体的には施策のくくり方)を 見直すとともに、予算体系における「目」の概念・区分についても、成果志向の 行政マネジメントを促進する観点による見直しを行うことが必要ではないか。ま た、現状における予算体系と体系との整合化作業の結果、予算の執行管理の視点、

及び成果対費用のマネジメントの視点の両面から、新たな問題点が生じていない かどうかについても、検証が必要ではないか。

ドキュメント内 経済産業省平成19年度政策評価調査事業.doc (ページ 109-142)