3.3.1 予算編成の時系列的解説
本項では、フランスの予算編成の主な流れを時系列に沿って解説をする。
フランスの会計年度は暦年(1月開始12月終了)である。春から夏にかけて、予 算法案の作成が政府部内で行われ、9月に正式な予算法案として、内閣で閣議決定 される。その後、この予算案は議会へ提出され、審議を経て、12月に成立となる。
以下、予算編成の手続きを政府発行のガイドブックである「Guide pratique de la
LOLF」を用いて、時系列に沿って述べる。なお、予算編成の手続きの説明は、栗
原(2005) 47を参照した。
図表 21 LOLF下の予算・決算プロセス
1月 2月 3月 4月 5月 6月
予算の執行(前年度に議決された予算法の目的を達成するために、プログラム責任者は必要に応じて裁量を行う)
分析の実施
RAP(年次業績報告書)の内容の分析
決算法
•決算法案(PLR)
• RAP(年次業績 報告書)
•国の会計の証明
予算方針
大統領によって、次年度の予算戦略や支出 方針について指示が各省に送られる。
準備作業
1-経済構造に関する会議
予算担当大臣による大臣会議。予算上の見通しや経済政策について話し合う。この時期は 各担当課とそれを取りまとめ、課で統合した見通し作業により、予算対象年と含め、その後 4年間の公的財政の動向の見通しを確定する。
2-予算会議
各省庁と予算局による会議。予算要求や予算制約に基づき話し合う。各官庁との折衝は、
担当課から、さらに審議官レベルまで行われ、その結果が予算局長に連絡される。その後、
5月には各省庁の予算担当の代表者が当該省庁予算担当の予算局審議官と予算の事務 折衝を行い、裁定文章を作成する。
3-成果に関する会 議
各省庁と予算局による会議。達成目標やそれを図る指標について話し合う。
政治裁定 大統領がミッシオン、
歳出、人員に関する 方針に関する通達を 出す。
予算討論
・国家財政と国家経 済の発展に関する 報告書 前年度予算・決算
に係る流れ
議会の役割 政府の役割 凡例
1月 2月 3月 4月 5月 6月
当年度
翌年度予算に係る 流れ
47 栗原(2005)pp.215-219
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7月 8月 9月 10月 11月 12月
予算の執行(前年度に議決された予算法の目的を達成するために、プログラム責任者は必要に応じて裁量を行う)
決算法の議決
予算の最終化
予算書類の最終化と予算配分の討議の 集約がなされる。この段階では、支出に ついては、主要な点は決定されており、
技術的な修正を残すだけである。新規 経費を再確認し、歳出の配分を精査す る。このため、予算局と各省庁の間で、
「第二段階の事務折衝」が行われる。ブ ルーブック等の議会提出資料の作成も 開始される。
プログラムやアクシオンごとの歳出、人 員配分が確定され、また、成果目標や 指標の確定もなされる。
予算討論
前年度予算・決算 に係る流れ
7月 8月 9月 10月 11月 12月
当年度
翌年度予算に係る 流れ
予算審議
予算法案をPAP(年次業績計画)の添付文章に基づき議論す る。
政府回答:10月10日 予算法議決
政治裁定
議 会質問 7月10日 準 備作業
(出典)MINEFI(2007f)より新日本監査法人が作成
予算執行年の前々年の12月から前年の2月まで「予算見通し」を部内で作成する。
その第一段階として、戦略的な複数年のプログラムを作成する。前々年度の12月 から、予算局の担当者は、自らの担当分野の、今後の予算のあり方や、見通しを 検討する。この結果が、「プログラム化」48と呼ばれる文書に整理される。この 時点における予算の見通しには二つの意味がある。一つは、欧州委員会に提出さ れる公的財政についての安定化プログラムの準備であり、もう一つは、マクロの 観点からの予算法の原案の作成である。以上の作業を経て、予算局において、予 算対象年を含めたその後4年間の複数年度の予算見通しを確定させる。
第二段階として、確定された前年予算を反映させて、「プログラム化」の検討 が進められ、予算局と各省庁との議論により、プログラムごとの支出(案)が計 上されていく。各省庁との折衝は、担当課から開始され最終的には審議官レベル で行われ、その結果が予算局長に連絡される。この情報を基に、担当課との局内
48 分野ごとの主要課題のまとめや、大項目による歳出の計数が含まれている。
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会議を通じて、予算局長は、予算担当大臣に提案する予算の戦略を作成する。そ の戦略を予算局長が予算担当大臣に提案する。
前年の3月末から4月初めまで、予算局長が予算担当大臣に対し予算素案を説明 する。この段階では、歳出、歳入の状況を踏まえ、予算担当大臣が素案を修正し、
首相に提案する。首相は、予算素案が政府の主要な政策との整合性を確認したう えで、政府の主要政策や大臣に対し、予算要求に関する指示をまとめた「枠組書 簡」を提出する。次に、各省庁に対し、予算の準備に必要な指示を行う。最後に、
各省庁から予算局に要求を行う締切日を提示する。
前年の5月から7月まで、予算折衝と裁定が行われる。予算の事務折衝は、各省 庁の予算担当の代表者と、当該省庁の予算担当の予算局審議官の間で行われる。
事務折衝での未裁定部分は、6月の予算担当大臣と各大臣との折衝で解決が図られ る。7月に、首相が最終的な裁定を行い、それを反映した各省庁に認められた予算 について上限書簡49を伝達する。
前年の8月から9月まで、予算法案の最終的な作成と調整が行われる。この段階 では、予算の技術的な修正が行われ、同時に両議会への提出資料が作成される。
その後、予算法案は閣議に提出され、採択される。採択された予算法案をもって、
前年の10月から予算審議が開始される。
49 Les lettres plafonds. 歳出と雇用の上限を設定し、合意と裁定の主要な項目を記載している。
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