• 検索結果がありません。

制度の実施状況と課題

ドキュメント内 経済産業省平成19年度政策評価調査事業.doc (ページ 106-109)

7.1.1 予算制度改革における現状と課題

LOLFにおける予算制度は、予算・業績評価・会計の体系が整合しており、制度

的枠組みとしての完成度は高い。また、プログラム責任者という役職が配置され ることで、予算管理の責任が明確化されるとともに、大幅な執行権限の委譲が行 われた。LOLFの制度の包括的な体系については、有識者からの評価も高い。

しかし、実際の運用上では、課題が見られる。第一に、「最初の1ユーロからの 証明」が十分に実践されていない場合があることである。予算編成時の「最初の1 ユーロからの証明」は、ゼロベース予算の考え方に従って、予算を積算すること を求めているが、CIAPや仏会計検査院の指摘によれば、積算の説明が十分ではな い省庁もある。

第二に、執行権限の委譲が必ずしも有効に活用されていない例が見られる。

LOLFでは、制度上は流用や繰越についてプログラム責任者等に権限が委譲されて

いるが、現地調査で得られた意見として「予算の年度繰越をした場合、予算局か ら予算が余分に配分されていたと見なされて次年度予算を減らされる可能性があ るため、実際には予算の繰越は実行し難い」というような声が聞かれた。これは、

LOLFの基本的な思想である成果志向のマネジメントが十分に浸透していないこ とを表している例と言える。

第三に、プログラム責任者に必ずしも十分な責任権限が付与されていないこと が挙げられる。LOLF上は、各プログラムの責任権限をプログラム責任者に付与す ることが定められているが、プログラムを実施する各省庁内の組織体制と一致し ていないため、実際の責任権限が付与されていない例が見られる。プログラム責 任者は、通常局長レベルの役職者が就くが、プログラム数が局長の数より少ない ことからこのような問題が発生している。現地調査によれば、LOLFはあくまで予 算や業績評価を定める制度であるため、実行体制をどのように整備するかは各省 庁が対応すべき課題として整理されている。

107

7.1.2 業績評価制度の現状と課題

LOLFは、NPMの考え方に影響を受け、結果や成果に基づく業績評価を重視し たマネジメント手法を導入した。具体的には、業績指標による管理と、コスト分 析会計に基づいた成果とコストの対比分析によって業績を管理されることとなっ ている。これらの考え方は、PAPとRAPの運用を中心とした仕組みに反映され、

2006年度予算から実践されている。

一方、現状では、業績指標の設定が不適切なケースや、業績指標が多すぎるた めに管理事務が煩雑になっているケース等の問題が指摘されている。業績指標の 適切な設定は、LOLFの業績評価制度の仕組みの根幹にかかる問題であるため、今 後の改善が望まれる。この問題は極めて実務的な対応であるため、指標選定や管 理方法の習熟と実践が今後のカギとなるであろう。

業績評価制度のもう一つの柱である、コスト分析会計に基づいた成果とコスト の対比分析についても課題が残っている。コスト分析会計は、財務会計のデータ を用いて作成されるが、発生主義会計への移行が現時点で不完全であるため財務 会計のデータの信頼性が十分に高くない。その結果、コスト分析会計の作成に必 要な情報も十分に取得できない状況である。加えて、現時点においては、コスト 分析会計に基づいた成果とコストの対比分析方法について統一的な方法が定まっ ていない。これらの要因により、コスト分析会計の本格的な活用は今後の課題と なっている。CIAPの勧告ではこの課題を2008年度中に解消すべきとされており、

その実行が待たれる。

7.1.3 会計制度の現状と課題

新会計制度の導入は、2004年に定められた新会計基準に従い、順次対応が進め られていった。2005年の仏会計検査院の監査報告書によれば、新会計制度の導入 が順調に進められたのは、出納官という会計知識をもった専門家が現場で会計情 報を作成する体制が整えられたことによる。

その一方で、2005年度の同報告書では新会計制度の導入における問題・課題と して、発生主義が適用される財務会計についての政府部門の知識不足が挙げられ ている。このため、新会計制度の目的の理解とその実行に焦点を絞った教育実施 と情報提供の必要性が指摘され、出納官のみならず、省庁の実務者に対しても、

新会計制度のさらなる普及が求められている。

108

この他、2005年及び2006年の仏会計検査院の監査報告書では、新制度導入にか かる課題として、資産の網羅性及びその評価の適正性の問題及び、遡及修正の問 題、内部統制と内部監査の構築に関する課題、ITシステム導入の遅れ等が指摘さ れている。

7.1.4 その他の現状と課題

LOLF施行には、法施行から4年間の準備期間が取られ、LOLFに基づく基準整備、

試行実施、本格実施と段階的なアプローチが採用された。準備期間においては、

LOLF改革の定着に向けて、予算改革局を中心に様々な取組みが行われた。予算改

革局によって、LOLF改革の専用ウェブサイトが開設され、必要な情報や各種マニ ュアルを提供すると共に、充実した教育・訓練が実施された。その結果、2006年 度からの本格的な実施が可能になった。

一方で、新しい予算制度、業績評価制度、会計制度導入のために信頼性の高い ITシステムの構築が不可欠であり、その対応策として新しいITシステムの導入を 試みたが、契約手続きの瑕疵が原因となり頓挫した。この結果、必要な財務会計 情報が取得できなくなり、仏会計検査院の監査報告書における留保事項の一つと して指摘を受けた。

109

ドキュメント内 経済産業省平成19年度政策評価調査事業.doc (ページ 106-109)