• 検索結果がありません。

CSE を責任をもって⾏う

ドキュメント内 ユネスコ教育部⾨ (ページ 75-81)

テーマ:

6.1 CSE を責任をもって⾏う

【性的な健康に関する⽀援は、コンドーム、HIV 検査や治療を提供できます。⼀部では PrEP と PEP ま たは VMMC を提供するものもあります。そのほか、STI の検査と治療、避妊、性暴⼒などに対する⽀援 もありますが、これらの⽀援は、HIV に対するかかりやすさを評価することにもつながり、必要に応じ て検査や治療を依頼するのに役⽴ちます】

以下のことができるようになることが⽬標です

▶ HIV に対するかかりやすさを最⼩限にして予防もできる性的な健康に関する⽀援を評価する(知識)

▶ 安全で秘密が守られる HIV 検査や PrEP や PEP といったものを含むその他の⽀援をどこに求めたら 良いかを知る(知識)

6 CSE プログラムを実⾏するためのサポート 体制を作り、計画を⽴てる

このセクションは異なった利害関係者がどのように CSE プログラムのケースを作ることができるか説明 します。さらに、さまざまな関係者が学校内外で CSE の計画と実装をサポートする⽅法の概要を⽰し、

関与する必要がある利害関係者とその役割と貢献の概要を⽰します。

国際的な、あるいはその地域や⼟地に既にある、CSE に役⽴つ仕組みや、CSE に関する国際的な取り決 めを活⽤しましょう:それぞれの地域で CSE を実⾏していくにあたりそれぞれ舵取りが⾏われています が、その範囲はさまざまで、政治的に CSE を推進していくものから、CSE を発展され CSE に投資する というものもあります。

⻄ヨーロッパ

50 年前に学校を主体とした CSE プログラムの導⼊を世界に先駆けて始めました。スウェーデン、ノルウ ェー、オランダなど、⻑年にわたって CSE のプログラムを学校で⾏っている国では、東欧や中央アジア

(EECA)といった、学校でセクシュアリティと SRHR に関する問題についてオープンな話し合いをす ることに対して敏感な反応をしている地域の国々よりも、思春期の出⽣率が有意に低くなりました。たと えば、エストニアでは、CSE が普及することと、若者の性的な健康に関する指標の改善に強い相関があ るということがいくつもの研究で報告されています。最近になって、望まない妊娠、妊娠中絶、HIV 感 染率の低下といったことが達成されましたが、これには学校で CSE を義務化したしたことに加え、若者 に対して性的な健康に関する⽀援を受けやすいようにしたことも貢献していると⾔えます。(UNESCO、

2011a)。

ラテンアメリカおよびカリブ海地域(LAC)

2008 年の Preventing through Education Ministerial Declaration(訳者注;ラテンアメリカとカリブ海の 国 で 合 意 さ れ た も の で 、 こ の 名 前 の 会 議 が 開 催 さ れ た よ う で す :

www.unesco.org/new/fileadmin/MULTIMEDIA/FIELD/Santiago/pdf/declaration-preventing-education-english.pdf#search=%27Preventing+through++Education+Ministerial+Declaration%27

)において、教育や健康に関する部署の⼤⾂がそれぞれ CSE に貢献することに合意しました。政府は、

関係機関の連携を密にして、「HIV や STI の予防を含めた性に関する健康の増進と包括的な CES を実⾏

し、推進するために、多⽅⾯からの協⼒を得る」ということで合意がなされています。この合意により健 康と教育の2つの分野が協⼒することが強調され、CSE の⽅針や内容について、国レベルでの転機を迎 えました。これにより若者にとって SRH の⽀援が受けやすいものとなり、若者と SRH とのつながりも 強固なものとなりました。

東アフリカおよび南部アフリカ

若者に対する包括的なセクシュアリティ教育と、性と⽣殖に関する健康の⽀援について、東アフリカと南 アフリカの政府間で合意が⾏われ、それに基づいて政府の⽅針を決定する部署では CSE を⾏えるように する政治的な⽅針を発表しました。これにより、質が⾼く包括的で、⽣活に即した CSE と若者にとって 親しみやすい HIV や SRH に対する⽀援が、それぞれの⽂化に合った形で、優先的に⾏われるようにな りました(UNESCO、2013b)。

アジア太平洋地域

もともとこの地域では国の HIV 対策に CSE を織り込んでいる国が多く、HIV 教育を⾏うにあたり⾮常 に前向きに捉えています(UNESCO、2012)。2013 年の Asian and Pacific Population and Development Conference においてすべての⼈々、特に最貧層にいる⼈や社会から隔離されているよう⼈々に対する SRHR を確保できるようにするという声明を発表しました(ESCAP、2013)。

⼦どもと若者の社会的および感情的な幸福の重要性に関する議論を共有する

社会的・感情的な学びは学習における重要な部分であり、学⽣の幸福や認知に影響します。さらに、優し さや共感といった、社会にとって良い⾏いができるようになり、学校に対する⽣徒の思いを改善し、うつ 病やストレスを軽減します(Durlak et al、2011; OECD、2017)CSE プログラムは、⾃⼰認識、⾃⼰管 理、社会意識、関係性、責任ある意思決定といった、効果的な社会的および感情的な学習に密接に関連す る能⼒を磨くのに役⽴ちます。

Box 2. CSE に関連した、国際的な国連基準と加盟国間の協定の例

l 国際⼈⼝開発会議(ICPD)の計画、北京⼤会での⾏動計画および過去の⼤会の内容のまとめと結果 この時に政府に、プライバシーと機密性を保ち差別することなく「性と⽣殖に関する⽀援をすること と若者に⼗分な情報と教育をすること」を全⼒で⾏っていくことと、若者に対してエビデンスに基づ いた包括的な教育をセクシュアリティと、性と⽣殖に関する健康、⼈権と男⼥平等について⾏い、セ クシュアリティに関して積極的に責任をもって対処できるように要請しました。

l 持続可能な発展⽬標(SDG)を含む、持続可能な発展のための 2030 アジェンダ

全ての段階で健康的な⽣活と幸福を推進することを保障すること(SDG3)と包括的で公平性の⾼い 教育を受け、⽣涯にわたり全ての⼈が学習の機会を得られるようにすること(SDG4)。男⼥共同参 画を実現し、すべての⼥性と⼥の⼦の⼒になる(SDG5)ということを掲げています。

l ⼈権理事会以下のことを全ての国に求めています

正確で⼗分量の情報に基づき、全ての思春期の⼦どもと若者に、その⼦供たちはできる範囲の中で包 括的なセクシュアリティ教育を含めた教育プログラムと教材を作り実⾏に移すこと

l ⼦どもの権利委員会は世界の国に以下のことを強く求めています

「科学的根拠に基づき、かつ⼈権を尊重し、思春期の⼈の協⼒で作られた、⼈権を年齢に応じた、包 括的な性と⽣殖に関する健康についての教育が学校の義務教育に含まれるべきであるし、学校に通 っていない⻘少年にも教育が⾏き届くようにするべきである」

l 経済的、社会的および⽂化的権利に関する国際規約での委員会では以下のことを勧めています

「性的および⽣殖の健康に対する権利の実現には、包括的で差別のない、エビデンスに基づいており 科学的に正しく、年齢に応じたものを、各国の政府がそれぞれ責任を持って貢献していかなければな らない」

付録 I:包括的なセクシュアリティ教育(CSE)に関連する国際協定、法律および規範を参照してくださ い。

CSE に関する質問や懸念への対応

表 3 に

、CSE プログラムを最初に⽰したときに良く起こる、誤解や懸念と、その際にどのように回答し たら良いかを⽰しています。これらの質問と回答についてしっかりと理解しておくことは重要です、なぜ なら、教育や健康に関する機関の職員、学校の校⻑や教員が CSE の教育そのものや健康に関与する機関 の必要性に関する認識が不⼗分である可能性がありからです。また、先⽣の個⼈的な、または職業⼈とし ての価値観が、教えなければいけない内容に対して抵抗感を持つかもしれないし、先⽣が何をどのように 教えるかについて明確な指針を求めてくるかもしれません。

表 3. CSE に関するよくある懸念

◆=懸念 ▶=回答

◆ CSE により性交の開始が早まるかもしれない

▶ セクシュアリティ教育が早期に性交の開始に関係することはめったにないということが世界中から 報告されています。CSE は性交開始の年齢に直接影響を与えないばかりか、実際には性交の開始を遅 くして更に責任のある⾏動につながることも報告されています。詳細については、セクション 4 を参 照してください。

◆ CSE は⼦どもたちの「純潔」を奪う

▶ ⼀般的な学校教育の開始のころから、科学的に正確で、独断的な判断に基づくものではなく、年齢 や発達段階に応じた適切な情報を受け取ることで、⼦どもや若者が恩恵を受けることができるという エビデンスがあります。もし CSE がなかった場合、⼦供や若者は、悪いものに対抗する術を持たず、

仲間やメディアなどの媒体から傷つけられることもあります。質の⾼いセクシュアリティ教育は、前向 きな価値観と関係性を重視した、正確でしっかりとした情報を提供します。セクシュアリティ教育は性 交についてだけ教えるわけではなく、体、思春期、⼈間関係、⽣き⽅などに関する内容も含んでいます。

◆ CSE は私たちの⽂化や宗教に反する

▶ ガイダンスでは、地元の⽂化に順応するためにその地域社会で⽂化的な事柄に関する責任者に参加 してもらって⽀援体制を作ることの必要性を強調しています。宗教指導者といった政策の決定に関わ る主要な⼈物は、プログラムを作って提供する⼈に、その宗教や社会において⼤切な価値観を伝えるこ とで⼿を貸してあげてください。その⼟地の⼈々の信念を知ることで、プログラムを作るプロセスに役

⽴つことがでてくるでしょう。また、ガイダンスでは、⼈権を無視していたり、⼥の⼦や若い⼥性や少 数派の⼈々を社会的弱者にしてしまう可能性のある、良くないとされる社会規範や有害な社会の慣習 について⾔及し、時に注⽬して学ぶことの重要性を述べています。

◆ 若者にセクシュアリティについて教育することは、両親や広義の家族の役割です

▶ セクシュアリティや関係性について、最初に教えてあげて、健全な⾏いをすることへの⼿助けや⼿

伝いをするといった基本的なことをするのは両親や家族です。しかし、教育機関を通し、教師や学校、

政府も、全ての⼦どもと若者に安全で⽀持的な教育環境を提供し、質の⾼い CSE プログラムを⾏うた めの道具や教材を提供し、両親や家族の教育の⾜りない部分を補っていく必要があります。

◆ 両親は学校でセクシュアリティ教育を⾏うことに反対するでしょう

▶ 両親は⼦どもの性同⼀性や性的関係・社会的関係の形成に最初に関わります。両親が CSE プログラ ムに反対する主な理由は CSE と CSE が与える影響に対して怖いと思っているか、⼗分に知識がない かです。そのため、セクシュアリティや SRH は家族の価値というものに根付いていることを伝えなけ ればなりません。CSE は両親のしなければいけないことを代わりにするわけではなく、両親と共に、

両親を⼿助けするものです。

▶ ほとんどの親は、学校で質の⾼いセクシュアリティ教育のプログラムが実践されることを最も強⼒

に⽀持しています。多くの親は、⼦どもと共に「性的問題」に取り組み、話し合い、難しい問題を解決 したり、正しい情報をどのようにしたら得られるかについて、助けてくれるような、外部からの⽀援を 評価しています。(難しい問題とは、⼦どもがインターネットでポルノを⾒ているときやソーシャルメ ディアでいじめられているときなどを指します)

◆ CSE は⻘少年には良いかもしれませんが、幼い⼦供には不適切です

▶ 幼い⼦どもも年齢に適した情報が必要です。このガイダンスでは、年齢と発達段階に応じた学習⽬

標を5つの章に分けて⽰しています。さらに、このガイダンスでは、その⼟地や地域に応じて柔軟に対 応できるように作られているほか、関係性についても性的関係に限定しないで広義の関係性について 学べるようになっています。⼦どもたちは性的関係というものに触れる前からこのような、性的関係性 以外の関係性には気づいており、幼い頃から体や関係性、感情について知識を持ち、理解し⾏動できる ようになることが必要です。

▶ ガイダンスでは、⼦どもが体の各部の正しい名前を学び、⼈間の⽣殖の現状と仕組みを理解し、家 族や⼈との関係性について考え、性虐待から⾃分⾃⾝を守ったり予防したり、性虐待について報告する ということを、安全な環境下で学ぶことにより、健全な⼦ども時代の基盤を作ることができると述べら れています。また、⼦どもたちは、⾃⾝の感情、⾃分⾃⾝を管理すること(純潔であること、感情、⾏

動など)、社会意識(共感することなど)、関係性を築く能⼒(良い関係性を築く、信頼を持たせる)、

責任のある判断(建設的な選択や倫理的な選択)について学ぶことで、⾃分に⾃信を持つ機会を与えら れます。これらの学習内容は⼦どもの年齢や能⼒に応じて順番に⽰されます。

ドキュメント内 ユネスコ教育部⾨ (ページ 75-81)