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AOPDF を用いた振幅位相変調による増幅器前置き型波形整形

ドキュメント内 高精度波形整形に関する研究 (ページ 124-127)

第 4 章 増幅器前置き型波形整形 105

4.4 増幅器前置き型波形整形実験

4.4.3 AOPDF を用いた振幅位相変調による増幅器前置き型波形整形

第4章 増幅器前置き型波形整形 117 を与えていると考えられる .非線形光学効果の中で最も重要な効果は自己位相変調 (Self Phase Modulation: SPM)であるが ,SPMはEq. (4.3)に示すように時間波形の立ち上がり,立ち下が りに依存した位相変調が加わる.

∆ω(t) =−∂

∂t∆φ(t)

=2πn2l λ

∂t|E(t)|2 (4.3)

ここで n2は非線形屈折率である.SPMが存在するために本手法を用いたのみでは正確な波形を 増幅器後に得ることはできない .但しそれでも,Fig. 4.8においてある程度の波形が再現される 理由はストレッチャーで大きな 2次分散を加えているために再生増幅器内でのパルス波形はスペ クトルが時間域にマッピングされるからである.波形整形器で加える位相変調は増幅器内ではパ ルス時間波形には摂動として現れるのみであるので ,オープンループ 型の増幅器前置き型波形整 形システムにおいてもある程度の波形が再現される.実際に増幅器前に設置した 4f 波形整形器 に 2次分散と中心波長付近で0, π の位相ステップを加えた位相マスクを印可した .波形整形器 を通過した光をシグナル光,波形整形器を迂回した光をリファレンス光とし ,増幅器前と増幅器 後のスペクトル位相差をそれぞれ ,§ 6.2.1 (p. 151)で述べるSIを用いて測定した .その結果を

Fig. 4.9に示す.シグナル光とリファレンス光の位相差を測定するので ,増幅器が持つ分散は打ち

消され ,SIを用いると波形整形器で加えた位相の変調成分のみを測定することができる.さらに SIで測定した増幅器前後の位相を比較する事によって ,信号光と参照光の波形の差に起因する増 幅器の非線形な変調を知ることができる.なめらかな位相変化と1カ所の急峻なπの位相ステッ プが比較的良く再現されている事から ,位相マスクの変調がなめらかでそれほど 複雑な構造を持 たない時に限っては ,SPM等の非線形性によって起る位相変調はそれほど 大きくはなくオープン ループ 波形整形システムを用いても位相変調のみによる波形整形はある程度の精度で整形可能で ある.しかし ,位相変調がより複雑な場合にはその限りでは無いことが予想され ,高精度波形整 形システムを実現するためには閉ループ制御を構築する必要がある.

ここでオープンループによる波形整形がどの程度の精度で波形を整形できるのかを明らかにし , 後に Fig. 6.10と比較検討するために ,Fig. 4.8 (a)で整形した300 fsのダブルパルスを§ 6.3.2 に示す手法によってスペクトルグラム表示して Eq. (6.6)で定義する2 乗誤差画像を算出する . その結果をFig. 4.10に示す.Fig. 4.10(a),(b)はそれぞれターゲット 波形と整形波形のスペク トルグラム表示であり,Fig. 4.10(c)はそれらの画像の2乗誤差である.また ,Fig. 4.10(c)を全 ピクセルにわたって積算した整形誤差を表わす指標はC = 2.05×101であった .

第4章 増幅器前置き型波形整形 118

0 10 20 30 40 50

760 780 800 820

Wavelength (nm)

Output pulse from CPA

Seed pulse

Fig.4.9 The solid line represents the spectral phase difference of the signal and refer-ence pulse before the CPA. Both pulses are seeded to the CPA and the dotted line is the measured spectral phase difference of these two pulses after the CPA. The difference between the dotted line and solid line is caused by the nonlinear phase transmission in the CPA, which depends on the input pulse shape.

(a)

(a) (b) (b) (c) (c)

6x10-7 3x10-7

0

Fig.4.10 (a) Spectrogram of a target pulse for 300 fs double pulse. (b) Spectrogram of shaped 300 fs double pulse using open-loop control. (c) The error function between (a) and (b)

第4章 増幅器前置き型波形整形 119 Samp(ω)は ,

Samp(ω) =Sseed(ω)G(ω) (4.4)

で表される .増幅器の利得G(ω)は有限の帯域を持つ.その帯域は中心周波数をピークとした利 得関数になってるいために ,一般に増幅器後のスペクトル幅はシード 光のスペクトル幅よりも 狭くなる.これを利得の狭窄化と呼ぶ .この利得狭窄化の影響によって ,増幅器後のパルス幅は フーリエ限界の関係(Eq. (1.1))によって長くなる.利得の狭窄化を補償するために ,増幅器内に エタロンを挿入し ,増幅器のゲ インの中心波長付近に損失Letalon(ω)を与え ,増幅器全体として のゲインGeff(ω) =G(ω)Letalon(ω)を広帯域化することによって増幅器後のパルス幅を短くする 手法が報告されている19).一方,利得の狭窄化の影響はシード 光のスペクトルを整形することに よっても補正可能である.そこで ,振幅位相変調波形整形器としてAOPDFを用いてCPAの分 散補償をしつつ,増幅器の利得狭帯域化を補償する27).補償の手順は ,はじめに波形整形器の位 相マスクを調整してCPAの分散を補償する.分散は4次分散までをFROG画像をモニターし手 動で補償した.その後CPAの出力スペクトルを分光器でモニターし ,そのスペクトル幅が最も広 くなるように波形整形器の振幅マスクを手動で調整した.その後再び FROGを用いてFROG画 像を測定する.実験結果をFig. 4.11に示す.コンプレッサー中のグレーティング間の距離を調整

0 1

-10 0 10 20 30 40

760 780 800 820 840

Wavelength (nm)

0 1

-150 -100 -50 0 50 100 150 Time (fs)

Before compensation

After compensation

TL pulse

(a) (b)

Fig.4.11 (a) Dotted curve represents the spectrum after the CPA, when only the phase is compensated with grating distance in the compressor, to compensate second order dispersion of the CPA. Solid curve represents the phase and amplitude mask added on the pulse shaper to compensate both the high order dispersion and gain compensation (b) Reconstructed temporal waveform from FROG trace before (dotted) and after (solid) the compensation with a theoretical transform limited pulse calculated from the spectrum (thin line).

することによって得られたパルス幅は79 fsであるが ,AOPDFを用いて高次分散位相補償および 利得狭窄化の振幅補償を行なった結果33 fsのパルス幅が得られている.分散補償のみを行なった

第4章 増幅器前置き型波形整形 120

Fig. 4.7の47 fsと比較してもかなりのパルス幅の短縮が実現されている.パルス幅が短縮された

のはFig. 4.11 (a)のスペクトル振幅に示されるように ,CPAからの出力パルスのスペクトル幅が

49 nmに達しているからである.利得狭帯域化の補償のため加えている振幅マスクを ,Fig. 4.12

に示す.利得狭窄化の補償振幅マスクは ,シード 光のスペクトルの中心波長である800 nm を中

0 1

760 780 800 820 840

Wavelength (nm)

Fig.4.12 Amplitude mask added on the AOPDF pulse shaper.

心として ,前後約20 nmのスペクトル幅の透過率を約10 %に削減させている.このことにより,

再生増幅器へシード する光のスペクトル幅を広げており ,その結果.増幅器後に広帯域なスペク トルを持つパルスを得ることができる.特に本例は増幅器の前に波形整形器を設置したために可 能となった実験である.増幅器後に波形整形器を設置し Fig. 4.12で示したような振幅マスクを加 えたのでは光強度の大部分を失うことになり,増幅器の性能を生かしているとは言い難い.

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