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チャープパルス再生増幅器

ドキュメント内 高精度波形整形に関する研究 (ページ 115-118)

第 4 章 増幅器前置き型波形整形 105

4.3 チャープパルス再生増幅器

第4章 増幅器前置き型波形整形 108

f = 150 mmのレンズを使用すると仮定すると ,LC-SLMに照射可能なエネルギーは約80 µJ

制限される.波形整形器のグレーティングの回折効率が 60 %と仮定しても ,波形整形器後に得 られるパルスの最大パルスエネルギーは約50 µJに制限される.この問題はフーリエレンズにシ リンド リカルレンズを用いる用いることによって解決可能であるが7, 13),更に高強度な増幅シス テムを用いた場合ではそれでも限界が存在する.またシリンド リカルレンズを用いる場合には別 の問題も生じる.本研究で用いたLC-SLMの縦方向のピクセル幅は2 mmであるが ,縦方向のみ 光を2 mmにコリメートすると ,フレネル回折の影響を強く受けるようになる.そのため,2 mm の縦ビーム径のまま波形整形器中を伝搬させるのは簡単ではない .またシリンド リカルレンズを 用いた場合には ,グレーティングとレンズの傾きが整形パルスの精度に特に鋭敏になるので ,波 形整形器のセットアップは極端に難しくなる.一方 ,前置き型波形整形システムではシード 光の パルスエネルギーは数100 pJ程度なので ,AOPDFにおいても ,LC-SLMにおいても波形整形 器の光学素子が損傷することはない.

従って ,増幅器前置き型波形整形システムは

1. 変調を変化させても恒に一定のパルスエネルギーが得られる

2. PW/cm2を超えるようなエネルギーの光パルスが整形波形として得られる

の利点がある.

4.3 チャープパルス再生増幅器

第4章 増幅器前置き型波形整形 109

Pump Laser

Q switch

Stretcher

Amplifier

Compressor

G G

red

G blue G G

G

f f f' f'

z z'

red blue

Crystal

α α'

l

Fig.4.2 Schematic of Chirped Pulse Amplification (CPA). Input pulse is temporally stretched by adding positive dispersion. Negative dispersion is added at the compres-sor. G: Grating.

散を補償する必要がある.線形チャープしたチャープ パルスには入射パルスの周波数軸が時間軸 にマッピングされるために ,伸張した時間軸のパルス形状は入射のスペクトルに依存する .その ため増幅器内でパルス幅を十分長く保つためには ,入射パルスのスペクトル幅を十分に確保する 必要がある.このチャープパルスは増幅器システムにシード され増幅される.フェムト秒レーザ パルスのCPAにおけるパルス増幅器としては ,再生増幅器やマルチパス増幅器が用いられる.増 幅されたパルスはパルスコンプレッサーを通過する.パルスコンプレッサーはグレーティングや プ リズム対から構成されており ,主にパルスストレッチャーで加える正の2次分散を補償するよ うに設計されている.システム全体の分散値はパルスストレッチャー ,再生増幅器,コンプレッ サーの和であり,ストレッチャーとコンプレッサーを適切に設計することによって ,3次分散まで 正確に取り除くことが可能である16)

再生増幅器にはポッケルスセルが取り付けてあり,あるタイミングでシード パルスを再生増幅 器の共振器内に取り込む.その後再びポッケルスセルに電圧を加えて動作させることによって増 幅したパルスを共振器から取り出す.

4.3.2 パルスストレッチャ

パルスストレッチャはパルスコンプレッサと比較して構造が比較的複雑である.そのため ,初 期はファイバーの正分散を利用し15),その後O. Martinez によって提案されたグレーティング

第4章 増幅器前置き型波形整形 110

23, 24)を用いたもの等,様々な構成が提案された .現在ではFig. 4.2に示すOffner¨ 型パルスス

トレッチャが広く用いられている .Offner¨ 型パル スストレッチャではパルスが2 回パルススト レッチャ内を伝搬する.1回パルスストレッチャ内をパルスが伝搬する間に受ける分散の量は25)

d2φ

2 =−ω0 c

∂θd

∂ω

ω0

2

(zM +z). (4.1)

で与えられる,ただし ,z =l−2f(f+f),M =f /f,また∂θd/∂ωはEq. (2.4)で与えられる 量である.lffはFig. 4.2中に示した .Eq. (4.1)のzM +zの符号によって2次分散の向 きが変わる.もっとも大きな正の分散はz =−fz = −f の場合に達成され ,現在のストレッ チャーはこの構成を取っている .現在は全反射鏡で構成されることがほとんどであり,この場合 には各収差が全く生じない .さらに重要な点はOffner¨ 型ストレッチャーはパルスコンプレッサー としてほとんどの CPAシステムで使用されているTreacyパルスコンプレッサーと正確に逆の分 散値を持つように設計することが可能な事である.

4.3.3 再生増幅器

増幅器において線形増幅を達成するためには ,シード 光のスペクトルよりも広い帯域を有する 増幅媒質が必要である.また増幅器は飽和強度以下で動作させる必要がある.以上の条件がそろ わない場合には線形増幅が達成されない .

しかし実際にはシード 光のスペクトルが広いために増幅器において利得帯域の狭窄化が生じる.

また逆に ,増幅器を飽和強度で動作させることによって常に一定のエネルギーレベルまでパルス を増幅すれば ,増幅パルスの強度揺らぎを抑えることが期待される.そのために再生増幅システ ムはしばしばシード 光を線形に増幅しない.

結晶中で光密度は非常に強くなるために非線形効果も無視できない .また共振器内に大きな群 速度分散が存在することはQスイッチのタイミングを変化させて共振器内を光が往復する回数を 変化させると出力パルスの2次分散の量が変化することが観測されるので明らかである.

4.3.4 パルスコンプレッサ

Fig. 4.2に示すTreacyパルスコンプレッサ26)もまた2回グレーティング対を伝搬する.1回グ レーティングペアを伝搬する場合に受ける分散量は26)

d2φ

2 = λ03G

2πc2d2cos3i−θd) (4.2a)

d3φ

3 =−d2φ 2

λ0

2πc

1 + λ0

d

sin(θi−θd) cos2θi−θd

(4.2b) と表される.ここでGはグレーティングペア間の距離,dはグレーティングのグルーブ間隔,λ0

は中心波長,θi は入射角,θd =θi−φmでありφmは回折角である.Eq. (4.2a)がGに線形で

第4章 増幅器前置き型波形整形 111 あることに注目すれば ,パルスコンプレッサ内のグレーティング間の距離を調整することによっ て2次分散が調整可能なことがわかる.また3次分散はEq. (4.2b)が示すように2次分散を変化 させるとそれに伴って一緒に変化してし まうことがわかる.2次分散と3次分散の変化の割合を 変えるにはグレーティングの角度を変化させる必要がある.ただし ,2対のグレーティングの角度 が完全に平行になるように注意を払わないと ,パルスは空間的にもチャープを受けてしまう18)

パルスコンプレ ッサのアライメントは ,§ 5.2(p. 126)で述べるFROG 画像を参照して行い ,

LC-SLMに変調を加えない場合にフーリエ限界パルスが CPA後に得られるように ,グレーティ

ング間の距離を調整した .

4.4 増幅器前置き型波形整形実験

ドキュメント内 高精度波形整形に関する研究 (ページ 115-118)